小津安二郎の1作目は交通局が出していたフリーペーパーの表紙用に作ったのだが、特集場所が決まると、ロケ地など自分で探すのが大変であったが、自分で決められる良さはあった。一応アイデイアが浮んだ段階で編集長に進言してみるのだが、最初に浮んだのが小津映画の常連の佐田啓二の変わりに、そっくりになってきた息子の中井貴一を演出している小津安二郎であった。中井貴一がどのくらいシャレが通じる人物なのか判らなかったのと、小津の頭部が出来ていれば自信をもってお願いができたかもしれないが、小津を作りながらロケ地を探しながら、と考えると時間その他確信が持てず、編集長に進言することなく終わった。 許可を取るのは編集長ということにかこつけ、谷崎潤一郎特集のときは、特集場所近くの明治座で『細雪』が上演されることから、出演者の高橋恵子、賀来千賀子、紺野美紗子、藤谷美紀の元に陣中見舞いに訪れ真ん中に挟まれる原作者の谷崎先生、というのを考えたが、その時期に着物の“完全武装”で4人が集まることがないので実現しなかった。三島由紀夫と格闘家山本キッドの共演は実現したが、配布直後にキッドの再起戦があることを踏まえたのだが、たしかケガでなくなった。三島と“例の4人”を密かに設定していたが、セコンドがこの人数ではおかしい、とキッド選手からもっともな忠告。4人を保ちたい私は道場破りが来た、という設定に。キッド選手には、三島の後頭部がくるあたりを見つめてもらったが、編集長はキッド選手にファイテイグポーズをとらされ、みんなに睨まれるはめに。私は申し訳ないわ可笑しいわで、振り返ってファイテイグポーズをとってる編集長は見れなかった。
開廊55周年記念「眼展2016Part1〜妄想キャバレー〜」銀座青木画廊
2016.11/05(土)~2016.11/18(金)アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
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