毎日必ずチェックし、場合によっては何度も繰り返し見ているインスタの動画が、5歳の女の子のお母さんとのやりとりである。表情の豊かさと発想の面白さがおかしくてしょうがない。面白いのは、例えば正月と一月の違いが判らず、それを理解しようとする、その様が可愛いらしく、カメラの後ろのお母さんと一緒に笑っている。 おそらくこの子ぐらいの頃だったろう。私は〝フルスピード”のことを〝古(旧)スピード”だと思っていた。幼い私の中には確かに古いスピードという物が在った。どうでも良いことばかり記憶している私も、さすがにそれがどういう物だったかは覚えていない。人は知識や経験と引き換えに様々失っていくものだろう。またそうでなければ不都合も起きる。私の場合は幼い頃の〝頭に浮かんだイメージは、どこへ消えて行ってしまうのだろう”という疑問が消えずに残り、おかげで、それを確認することに一生を賭げることになってしまった。