帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

海・南風・そして何より”真夏の太陽”が大好きな翔です。

「よろしく!」  

追い抜かれるという事

2011年07月20日 | Weblog

今、自分の真横にいるL君、銀色の眼に、金髪までいかない色の髪、でかい体に少だけ出始めたお腹。

彼がまだバリバリの新米だったころ、右も左も分らないこの国の、この職場へ否応なしに連れて来られた訳だが、僕に「教えてほしい」と直訴してきた数少ないい(珍しい?) 青年だった。

一度に多くて数人、基本的にマンツーマンでしか教えることをしない僕の傍らで、爆音聞いて眼をぱちくりさせたり、ブルーの放電みて腰抜かしたり、

一通りのトレーニング終了するまで子供の様に懐いていた彼だけど、でかい組織特有の有無も言わさぬ配置転換で突然飛ばされ、8年近くどこかに行かされていた。

 

其の彼が戻ってきたのは今年の春、以前と変わらぬ笑顔と人懐っこさは相変わらずだったが、ポジションが高くなり、すでに下のものを従えるようになっていた。

そんな彼と久しぶりにゆっくり話をしたのだが、この秋に再び配置転換だそうだ。

 

次に帰ってくるのは来年?、そのときに彼が直属になるのかまでは判らないが、間違いなく言えることは彼が組織の上司として戻って来るということだ。

こんなことがこれまで何度もあった、心から彼の出世に嬉しさを覚える僕だが、こうした事がある反面、停滞したままだったり、下手するとドロップアウトしていった奴もいて、 「そこにいたときが楽しかった」と寂しそうにメールを送ってくる者もいるので、それを考えると多少つらくなる。

 

僕はこれまで、日本人で構成される組織の中では、下のポジション有った者に抜かれた経験が無い。

若いときにそうしたシステムと決別し、以降はほぼ単独単位として結果を出せる仕事以外はやってきていないからだ。

不自然極まりない不必要な上下関係を作り出して重んじ(押しつけ)、互いを眼に見えない掟で縛りあって雇用(職場)ストレスを作り出すことが大好きな日本。 

そんな事を初めとして最もくだらないのが、若者の私生活行動にまで逐一口を挟んだり、有給休暇の取得理由をしつこく聞いたりすること(完全なプライベートの侵害)だったりするわけだが、それをこの国では管理と呼び、こうした私生活までも

ずけずけと平然と介入してきて、それを基本基点として社内の人間関係を構成整理しようとする。

故に、そうやって養鶏よろしく若者(後輩)を管理していた者が、管理されていた者に追い越される事等が有ると、凄惨な逆管理(肩たたき)が平然と行われるという話を聞くことは多々あるが、あながち嘘話として否定することは出来ないだろう。

 

まあ、こうしたニワトリよろしく的な管理が大嫌いゆえに、僕は日本の会社へ勤めないわけだ。

ようは、使い物にならない人間ということ(笑)

 

そういった点から、ある意味経験不足でもある僕が、日本式会社と単純比較する事等は本来は許されない物なのだろうけれど、国民性の違いといってよいのか、彼らはどんなに自分の立場が上になろうと昔を忘れないのが特徴だ。

たくさんの部下を従えていていも、二人だけだと途端に昔の姿に戻って足投げ出したり、ソファに寝転がったり、場合により絨毯引きの床に寝転んで話したりする。

リラックスが最大の無警戒、信頼の証である文化は、慣れない者には非常に違和感を覚えさせるが、眼に見える形でのこうした姿勢は、けして形を崩さずに言葉だけで伝えるものとは明らかに異なる。

どちらが良いか?なんていうのは無いが、僕にはこちらのほうが心地よい。

あっけらかんで、生意気なことを言ったりもするが、とにかくダイレクト、故に偽りが有れば直ぐにばれてしまうから笑ってしまう。

 

ところが部下が連絡に来たりすると、其の姿勢のままで全く違った人間へと変わる。 

がらりと変わる厳しい口調と表情は、かつて僕が彼に教えていたときの若い時分とは全く異なるもので、こうした姿にこれが異なる文化であることを否が応でも認識させられる。

当然部下のいる前では、こちらも彼の顔を立てねばならないとばかりに話し方を変えようとしても、振り返って再び話し始める彼の昔ながらの穏やかな顔に、そして話し方もそのままフランクだ。

 

「彼(僕)のいうことは絶対だから、けしてONと言わないようにと」部下達は彼に言われる様だが、未知との遭遇状態で緊張している新米もだんだんと砕けて来て、やがては昔の彼のような若者が出てきては教えることになることが多い。

 

この繰り返しをずっと続けて来て、教え子はどんどん出世し、全く変らない僕は相変わらず同じところいる。

どうもこの先も之は変わることなく続いていくようだが、限りなくそれが幸せに感じられるのは恵まれているという事だろうか・・・

 

 

 

 

 僕の大切なもう一つの祖国