帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

海・南風・そして何より”真夏の太陽”が大好きな翔です。

「よろしく!」  

ロック

2017年12月28日 | ど下手な 詩集やエッセイ等

レイル(*1)が水を咬む瞬間の、複雑なGを感じつつカービング。

 

そしてセイルを返す。

 

たった3秒間の間に、20以上の確実な動作を要求するジャイビング。

”最も難しいスポーツ”と言われているけど、慣れきった躯は無意識に動く。

 

あれだけ蒸し暑かった南の風は少し乾いてね、一つの季節が終わろうとしている。

 

戻ってきたブームを摑み、新しい風が入ることで孕み始めたセイルを、力一杯煽りこむ。

全体重を生かし、盛り上がる腕の筋肉と腹筋で、さらに繰り返しながら、”同時”にボード上の体重を抜いていく。

 

セイルの生み出す推進力と浮力の中和点がそこに生まれ、

ここから加速力を創り上げていく。

 

戦闘機の翼と同じ形状のそれは、加速するボードとシンクロしながら、次々と風を切りつつ爆発的なパワーを生み出し、

超硬ステンレス製のハーネスにラインを掛け、ストラップにつま先を入れると、視線はブルーとブルーが織りなす水平線に・・・

 

アプローチ速度に達すると、もう煽りこむ必要は無い    

 

けど・・・・

 

ここから先の一時は、ある意味とても緊張する一瞬。

揚力と会話しつつ、少しづつマストを前に送る。 慎重に、慎重に、ほんの数センチに出し過ぎただけで、そのパワーはあっという間に体を吹っ飛ばすから。

 

自分の力で押さえられる限界ぎりぎりをキープしつつ、自然の力との駆け引きは続く。

 

 

やがてボードがリフトして海面を飛び始め、セイルに入る風がすっかり軽くなる頃。

 僕は 季節をシフトさせるストリームに溶け込む。

 

ウインドサーフィンは孤独だ、 誰かと一緒に乗れる物ではなく、

受け取る感覚を共有できる物でもなく、

ただ、一人だからこそ受け取る多くは、言葉に表し切れない。

 

ダイナミックな感動と、無言で交わされる地球との会話は、生きていることの素晴らしさを何時も教えてくれる。

 

ただそれだけの、とても不思議なスポーツだけど、相手がデッカいからこそ ”大きくて優しい人間”になれる。

 

 

 

 

 

僕はそう思う・・・

 

ストーリー By 翔 

 

 

 *1  レイルは、スキーやスノーボードのエッジ全体の流れと同じ感じの物です。

   相手が水ですから、有るようでいて無いし、でも確実にカービングするとても不思議なものです。

 

 君はロックを聴かない