ライトセーバーを使った戦闘シーンは、常に『スター・ウォーズ』のハイライトであると言えるでしょう。ほんとうにハラハラドキドキして、一瞬も目が離せません。オリジナル・ノベルもそうです。
『エピソード2』のジオノーシスの戦いに、以下の描写があります。
Mace reached out with the Force and brought his lightsaber flying to his hand, moving like lightning to parry Jango’s first shot. With the second shot, Mace was more in control, and his parry sent the bolt right back at the bounty hunter. But Jango was already in motion, diving sidelong and coming around ready to launch a series of shots the Jedi’s way.
すごくスピード感のある英文ですね。そして映画もありますから、戦いの様子が目に浮かぶようです。
こういった英文を訳すのに重要なのは、このスピード感を殺さないために、①「基本的に英文の順序通りに訳す」、②「基本表現を読み間違えない」、③「英語のイメージを生かして訳す」ということでしょうか。
ここを、
メイスは、目にもとまらぬ速さで動いてジャンゴ・フェットの一撃をかわしながら、フォースを使ってライトセーバーを手に引き寄せた。二発目には落ち着きを取り戻し、光弾をジャンゴに向けてはね返した。しかしジャンゴはすでに動いていた。横に飛び退き、立ち上がってメイスに連射を浴びせようとする。
と最初は訳してしまったのですが、どうでしょうか? 最初の一文Mace reached out with the Force and brought his lightsaber flying to his hand, moving like lightning to parry Jango’s first shot.は、①原文の順序通りに訳し、「メイスがフォースを使ってライトセーバーを手に忍び込ませ、それから稲妻のような動きでジャンゴ・フェットの銃撃に対応した」という流れるような動きを出したいです。そして③like lightning(電光石火のごとく)という表現が示すイメージをなんとか訳文に盛り込みたいです。
さらに、3文目のcoming around ready to...には、句動詞come aroundのこの場合は「意識を取り戻す、元気になる」の意味が表現されていますので、その意味を出すのがいいかもしれません。「横に飛び退き、立ち上がって」は日本語としてやや変ですので、調整したほうがいいかもしれません。すなわち、②基本表現を読み間違えないということに常に注意しないといけません。
次のように訳したらどうでしょう。
メイスはフォースを使ってライトセーバーを手に飛び込ませ、稲妻のような動きでジャンゴ・フェットが撃った一発目をかわした。二発目が撃たれた頃にはメイスも落ち着きを取り戻し、光弾をジャンゴに向かって跳ね返した。しかしジャンゴはすでに動いていた。横に飛びのいて、体勢を立て直したときには、すでにメイスに連射を浴びせる用意ができていた。
『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベルは、いつ読んでも新たな発見があります。