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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

『桐生タイムス』連載「永遠の英語学習者の仕事録」【45】(2024/12/28)

2024-12-29 12:53:33 | 桐生タイムス
風と光と六十の英語学習者と

 2024年もムスタファ・スレイマン『THE COMING WAVE AIを封じ込めよ DeepMind創業者の警告』(日経BP/日本経済新聞出版、「永遠の英語学習者の仕事録」第42回、43回[2024年9月、10月]で紹介)、マシュー・ラインハートほか『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』(河出書房新社、同第44回[2024年11月]で紹介)などの話題書を翻訳刊行することができた。
 本年最後の「英語学習者の仕事録」では、2025年の刊行予定翻訳書を紹介したい。

ハリー・ポッター公式 魔法のカエルチョコレートキット
25th Anniversary of the Japanese Publication of the Harry Potter Series!
Harry Potter Official Magical Chocolate Frog Kit
映画でもおなじみの人気のカエルチョコレートが簡単に作れる
ファン待望、夢のキット!
The dream kit that lets you make those iconic Chocolate Frogs from the Harry Potter films is almost here!

 
 2025年2月には『ハリー・ポッター公式 魔法のカエルチョコレートキット』(インサイト・エディションズ、河出書房新社)が刊行される。
 この出版物の内容は以下のサイトにくわしくまとめられている。
 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000809.000012754.html
 
 ハリー・ポッターファンの待望のキットで、B4変型判セット箱に、シリコン製カエルチョコレート流し型、ギフトボックス8箱、動く魔法使いカード8枚のほか、12頁レシピブックが収録される。
 発売前にもかかわらず、オンライン書店のデザート・スイーツ部門で第1位にランキングされた。
 3月には、ウォルト・ディズニー・ジャパン『Marvel Anatomy 超人ヒーロー解体図鑑』(KADOKAWA)を刊行予定。こちらは本欄第35回(2024年2月)で紹介した。
 
 マーベル・ヒーロー、ヴィランズを完全解剖した驚異のヴィジュアル大図鑑! 科学や最先端技術の力を得たヒーロー(キャプテン・アメリカ、アントマン、アイアンマン、ハルクなど)、宇宙の力を得たヒーロー(ファンタスティック・フォー、キャプテン・マーベルなど)、地球外生命体(サノスなど)、動物の能力を兼ね備えたヒーロー(スパイダーマン、ゴーストスパイダー、スクイレルガールなど)や神秘のヒーロー(ゴーストライダーなど)、ミュータント(X-MEN、ウルヴァリン、デッドプールなど)、強化種族(ソーなど)、マーベルのスーパーヒーロー、スーパーヴィラン60名以上の能力を、超精密な迫力満点のヴィジュアル(100点以上!)を示しつつ、科学的に分析、詳細に記述。
 
 4月には、デイビッド・ラロッチェル文、マイク・ウォウナウカ絵『あのねこがいるよ』と『あのいぬがいるよ』 (すばる舎)の2冊を刊行予定だ。

 マックスは猫じゃない。どう見ても犬である。でもしつこく読者に「猫がいるよ!」と言い続ける。はたしてマックスは自分が犬であるとわかってもらえるのだろうか? まるで犬と会話しているように楽しめる、新感覚絵本。読み聞かせに大活躍間違いなし! 2021年、アメリカ図書館協会が優れた児童書を選出する「セオドア・スース・ガイゼル賞」の最優秀作品賞受賞作品。

 絵本の翻訳は本当に久しぶりなので、とても楽しみだ。
 4月、5月頃にはダグラス・ウォーク『マーベル・コミック大全』(仮題、作品社、本欄第31回[2023年11月]で紹介)を刊行予定だ。
大変な情報量で、訳者の詳細な注や索引も加えるので、おそらく800ページはいってしまうだろうが、マーベルとアメリカン・コミックスのすべてがわかる1冊になると思う。著者にインタビューして、新しい情報も聞き出したい。
 同じく4月か5月頃に建築家のフランク・ロイド・ライトが書き残した浮世絵の随筆集を翻訳刊行する。1世紀以上前に書かれた随筆を含めて本邦初訳の歴史的にも非常な重要な1冊になる。

★    ★    ★

 そのほか、まだ情報は公開できないが、以下の3冊も刊行予定だ。
 3月には、2023年のブッカー賞候補になった女流作家の小説を刊行する。主人公は娘を持つ自閉スペクトラム症(ASD)の女性で、彼女の心の声が美しい文章でつづられる。1月からゲラ校正が始まる。自身も自閉スペクトラム症である著者に、ぜひインタビューしたい。
 マーベル社刊行のスパイダーマンの小説も2冊(5月、7月刊行予定)予定している。どちらも分厚いので上下巻になるかもしれない。この2冊以外はすべて訳稿を担当編集者に提出しているので、こちらも早めに訳了したい。大変うれしいことに、わたしの担当編集者は皆さん優秀で、非常に親切に対応してくれる。
 以上、今のところ、2025年前半に9冊の英日翻訳書を刊行予定だ。
さらに日本映画の脚本と字幕の英訳も担当する予定。海外向けの各種メディアのPRリリースの英訳もできる限り対応したい。

★    ★    ★

 わたしは本業が英語関係の書籍の編集者で、編集者としても2025年前半に翻訳書と同じくらいの冊数を担当する予定なので、時間の使い方が非常にむずかしい。だが、何年も両方の仕事を続けられているのは、翻訳力向上のために英語学習にとても楽しく取り組めているからだと思う。日英翻訳、英文記事の執筆、英語でのインタビューもするので、英会話や英文ライティングのトレーニングにも日々精力的に取り組んでいるし、時間があれば各種英語試験も受けて動向を探っている。

 私はそのころ太陽というものに生命を感じていた。私はふりそそぐ陽射しの中に無数の光りかがやく泡、エーテルの波を見ることができたものだ。私は青空と光を眺めるだけで、もう幸福であった。麦畑を渡る風と光の香気の中で、私は至高の歓喜を感じていた。(坂口安吾「風と光と二十の私と」)

 四十歳の坂口安吾は二十歳の自分を回想してこの言葉を残しているが、2025年10月に還暦を迎えるわたしは、「英文を眺めて英語の音声を聞くだけで、もう幸福だ。英語を読んで、聞いて、書いて、話していると、至高の歓喜を感じる」
 いくつになっても、「永遠の英語学習者」でありたい。

上杉隼人(うえすぎはやと)
編集者、翻訳者(英日、日英)、英文ライター・インタビュアー、英語・翻訳講師。桐生高校卒業、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書にマーク・トウェーン『ハックルベリー・フィンの冒険』(上・下、講談社)、ジョリー・フレミング『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』(文芸春秋)など多数。2025年には日英翻訳をあわせて翻訳書数は100以上になる予定。

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