予報通り雨。それも音もなく、見えもせず,しずかにあたりを湿らせている。それでも猫は濡れて帰ってくるので拭いたやらなければならない。
真夜中、月が出ている。中天高く上っているので、見上げると、霧雨が顔にかかる。
雲はないのに、昼間ならさしずめ狐の嫁入りと言ったところだが、夜のバージョンはなんていうのだろう。
月を詠んだ句や歌はいいものがたくさんあるけれど、私が好きなのは
月天心 貧しき村を通りけり 蕪村
月がこうこうと照らす真夜中、寝しずまった貧しい村を通った、というもの。
しかしこの句から、灯り一つない藁ぶき屋根の寒村と細い道を一人歩く旅人、続く畑や野原を、月は分け隔てなく明るく照らしている情景が目に浮かぶ。寂寥感。旅人の心根まで伝わってくる。
そしてこの句と連動して思い起こされるのはアンデルセンの「絵のない絵本」
これは月が、一月かけて地球上で見た情景を話している形で書かれている物語。
一番はじめがインドの女性の話だったな。