数日前から外に出るとどこからともなく青くさいような匂いがする。なんだろう。野草は咲いているがそれではなさそう。でもこの香り、知らない香りじゃない。しばらく・・そして、はっと思い出した。椎の木の花の匂いだ。急いで遠くから椎の木を見上げると、若葉のような薄黄色の花が枝先を覆っているのが見えた。
この椎は私より先住民なのだが、椎の香りに気が付くのは、なんと八丈島へ行ってからだから、何十年もたってからのことだ。八丈島の公園であたり一面にただよう甘い香りに「この香りはなんですか」と尋ねると、「椎の木の花の香り」と教えてくれた。「あら、うちにも椎の木あるのに、香には気が付かなかった」八丈島の公園の椎はたくさんあったから、香りも多かったんだろうが。以来花の咲くころ気にしていたが、いつしか忘れていた。八丈島の方が甘い香りがした。今日はいい天気、花も活気づいたのか香りも強い。
朝、燃えるごみをpapasanと二人で出しに行った。片づけをしたので、燃えるゴミがたくさん出た。重くはないががガサがあるので、二つに入れたのだ。帰りの坂で「苦しい、苦しい」と騒いでいる。今日は朝倉さんへ定期検診に行く予定。そこで息子に、出がけ前に朝倉さんまで送ってくれと頼む。先生に、デイサービスの話をすると、行った方がいいんじゃないか、という。そのあと、papasanに簡単なテストをした。まず「今日は何月何日ですか？」答えられない。毎日が日曜日で月日の概念のない生活をしているから仕方はないが。「何月ですか」はかろうじて答えられた。「では今日は何曜日ですか」答えられない。「何歳ですか」これも困っている。私も思わず、「papasanいくつになったのかなぁ、８３かな、８４かな？じぁ～私はいくつになったんだろう？」こりゃ～、私も怪しいもんだ。帰って調べると、papasanはまだ８２だった。したがって私は秋まで８１。後、記憶や計算のテストをした。記憶はとても怪しい。計算はよくできる。終わってから「papasan、今日はフライタークだよ」というとピン来ないみたい。「忘れちゃった？フライターク、フライディだよ。金曜日」というとやっとこわかったみたいだ。帰り、いきなりフライタークと言ってもピンとこなかったかもね。月曜日から順番に言えば思い出すかもね」と言って、私がすらすらと言ったのはフランス語。あら、やだ、これはフランス語だ、ドイツ語はなんだったかな。ゲルマン語族だから、英語と近いんだよ」と言いながら「モンターク、あれ火曜日はなんだっけ？」と詰まると、papasanの方がすらすらと出てきた。昔取った杵柄だね。papasanはドイツ語は英語並、私より強かった。だからドイツ語圏を旅した時は任せておいた。代わりにフランス語圏は私が責任持ったけど。まぁ日本語も忘れているくらいだから、よその国の言葉なんて忘れて当然と言えば当然。
とにかくデイサービスに行く気にはなったようだ。
謡坂を下り、小田百まで、道ばたの草の説明をしている。小判草がたくさん自生している。小田百の近くで待たせておいて、私だけセイジョーまで処方箋を届けに行ってくる。よっくりゆっくり坂道を上がってくる。空は青い。
写真は室内のカーテンにへばりついていたカニグモ。脱皮したばかりでまだ色が薄いが、キハダカニグモ。体長７ｍｍ。♀。コンデジだからピンがあまいけど。
