2週間前、小学生達が捨て猫を拾ってきた。前の教室で飼ってもらおうと思ったらしい。でも教室には3匹のネコがいる。で、こっちに持ってきたが、ここのうちにも4匹のネコがいる。飼えない、と断った。子ども達は自分の家に電話をして飼ってくれと頼んだが、どこもダメだった。どこかの親が、駅近くの動物病院で里親制度をやっているという情報をくれた。
小学生達が電話をすると、獣医さんが健康なネコかどうか診察するから、連れてくるように、ということで、子どもたちはネコを抱えて連れて行った。体重を量り、大体生後25日程度、病気はない、でも後2週間頑張って育てて、病院に連れてくるように、ということだった。ネコのミルクや餌も貰ってきた。これは獣医さんの気配りだろう、もしかして誰かが飼ってくれればという願いも入っているのだろう。
後2週間どうするか、子ども達は5人で3日づつ面倒見ることにして、親に了解を求めた。
一軒をのぞいて、後は親がOKしてくれたとかで、嬉しそうに抱いて連れて行った。子ども達にとっては3日でもネコが飼えるのはうれしいことなのだ。最初に連れて行った子のおばあちゃんが飼ってくれることになった。よかったね、と言っていた。
昨日、子どもが仔猫を抱いてきた。獣医さんへの報告もあって連れてきたのかと思ったら、引き取り先のおばあちゃんが急に倒れて、猫を飼うどころではなくなってしまって、再び里親を探してもらうために連れてきたのだった。真っ黒な仔猫である。やはり仔猫はかわいい。で、仔猫はウチで飼うことになった。生後約25日と2週間ということになる。体重600g。
子どもたちが獣医さんのところに連れて行くと、診察して、耳にカビがついているからと薬もくれた。そしてネコの話もしてくれたらしい。この獣医さん、まだお目にかかったことはないけど、いい人のようだ。ならこれもご縁だから、この仔猫の主治医になってもらおうか。
子ども達にとっては、うれしい結果となった。おばあちゃんのところに行ってしまったら、孫以外は会うことが出来ない。ここにいればいつでも会える。PapasanがLuckyと名づけた。ラッキーなネコだからというのである。
ところが毎度のことながら、一定のバランスに新参者が加わると摩擦が起きる。前の教室の猫たちがビビって、こっちの家に来てしまった。トンガは抱っこを訴えてなく。リビアは教室に入ろうともしない。プラはこっちから行こうともしない。そこで仔猫をこっちに連れてきて、まずは教室ネコを連れて行った。仔猫がいなければ大丈夫のようだ。ところがこっちの家のネコたちも敏感に反応している。
人間にはなれている仔猫も、周りに大きな犬がいたり、ネコがいたり、ウサギがいたり、犬には背中を丸めてフーフー怒っている。慣れるまで、少しの間は仕方がない。しかし、チャドが朝、仔猫が側にいたら、ぷいと体をかたくして家出してしまった。困った、困った。
仔猫はもう生まれたときからここにいるかのようにすっ飛びまわっている。それはいいが、チビで黒だから踏みそうで危なくてしょうがない。黄色いフェルトで首輪をつけた。鈴をつけようと思ったら、もう鈴がなかった。夜目立つように蛍光色のテープを細く張ってみようか。兄弟のいないネコは、人間に遊んでもらいたがるから、もうやんちゃで、甘ったれである。細いツメで傍若無人に脚を肢をよじ登るから、痛い。こりゃぁ、傷だらけになりそうだ。
和美さんと計算すると、ラッキーの生まれたのは8月13日ぐらいになる。分かりやすく誕生日は8月15日にしようと決めた。
先日テレビで、捨てられた動物達を保護して150種類になってしまった、もと警察官の親父さんを追っていた。京都警察勤務の時、捨てられた亀を保護して、面倒を見たのがきっかけだそうだ。退職して、その退職金で土地を買い、家を建てた。と言ってもそこは動物専用の家。今でも保護した動物を面倒見てくれないかと警察から電話がかかってくる。その費用は、彼の年金で月20万かかるそうだ。親父さんは息子の世話になっている。
そんな親父に文句を言いながらも、頑固に面倒見ている親父を息子は尊敬している。親父もちょっぴり家族にはすまないと思っている。いい家族だ。
ほって置けば死んでしまう、それがその動物にとって幸せかもしれない、自分が保護することで一生餌を貰って生きることになるがそれが幸せかどうか、わからない。ただ自分がそういう動物を方って置けないだけのことだ。
どうかペットを捨てないで。最後まで面倒見てやってくれ、というのがその親父さんの願い。
ほんとにそうだ。昨日子ども達にそういう話をした。