家に帰るとビーと殿が見当たらず、
探し回った。
いなくなるわけがないので、
心配というより、
神かくしにあったような、
不意をつかれた気持ち。
ビー殿は新たなパワースポット、
洗濯機の上の棚の上のタオルの上にいて、
よほど居心地がいいのか、
呼んでも出てこなかったのだ。
昨日はコンタクトを取って洗面所にいると、
廊下をビーが横切った、
と思ったらビーは居間で寝ていた。
横切ったのはモンチだったのだけど、
確かにビーの走り姿のように見えた。
猫たちといると、
なんとなく不思議、でも別にOK、
ということがよくある。
ビーとモンチがふっと入れ替わっても、
別に驚かない感じ。
夜中にイチゴに砂糖とミルクをかけて、
つぶして食べていると、
ビーがじっと見ていた。
ビーに「あんたまだ食うの?」といわれそうで、
少しどきどきした。
前に研ナオコがオーラで、
猫がしゃべった、といってたけど。
そんなこと、ありそうだ。
元気になった殿は、しょっちゅうモンチやビーの顔をなめている。
昨晩久しぶりに、ダーが薬を飲ませようとして、
ザシュッとひっかかれていた。
私が無理やり薬を飲ませようとしても爪を出さないのに。
なんてジェントルマンかしら。
今日は雨の途中で、
空気が突然変わった。
寒さが緩んで、一瞬春の匂いがした。
晩夏はアスペルホーフの噴水のほとりで、
やっと主人公が感情を現したけど、
それも一瞬のことでまた淡々としだした。
冬の山への旅。
「旦那様、冬もまた本当に素晴らしいものですね」
「そうだねカスパル」と、私はいう。「冬は美しい。実に美しい」
薔薇の家の主人が時々語る美意識といい、
教会を修復するやり方といい、
こんな人に都市開発の監督をして欲しい。
○欲情をすべて排除した人間の中にある最も高貴なものこそ、
我々が求める対象なのですが、
このようなものを求める衝動を名づけるとすれば、
それはおそらく愛というほかないでしょう。
ピスタチオと、キイチゴ、ストロベリーのケーキ。