シーズン前に、
お店で匂った梔子は、
水蜜桃のような香りだった。
満開になった垣根の梔子は、
ココナツみたいな甘い匂い。
咲き進むと、
少しスパイシーな香りが混ざる。
週末、来客が多くて、
猫たちは落ち着かなかった。
土曜はCが、
ノミ予防薬レボリューションを
持ってきてくれた。
その後、海へお出かけ。
海についたのが5時で、
風が涼しく、水には入れなかったけど、
潮風にビュービュー吹かれてすっきり。
本はちくまの江戸川乱歩集。
夏の海にはこれくらいがちょうどいい。
戻るとモンチは私のことも誰かよくわからない体で、
近づくたびに引き潮のようにササーッと逃げていた。
しばらくすると、
そういうもんだ、ということになり、
横にきてごろん。
日曜はエス子さんと、パパママが来て、
ランチをふるまう。
タラコスパ、ポテトサラダ、
ママの持ってきてくれたロールキャベツ。
いつものポテサラも、
ママが自家製のサラダ菜と、
フルーツトマト、ゆで卵をほぐして飾りつけ、
ごちそうらしく変身した。
母は偉大なり。
一度に三人も人が来ると、
私もいっぱいいっぱいになるので、
さすがにビーも、
別の部屋から私を呼びつけたりせず、
寝室でごろんとしていた。
殿はスッと出てきて、
まんべんなく撫でてもらっていた。
パパには一番に膝に寄り添っていた。
パパは、子供や動物によく好かれる。
もの静かで、
いいバイブスの持ち主なんだナ。
モンチはピンポーンの音で焦って隠れるけど、
しばらくすると、
そういうもんだ、ということになり、
ちょろりちょろりと出てきた。
ランチの後は雨の中、
文化村の幻想美術展を見に行った。
チケットがあったので。
子供の頃、家にあった画集をくいいるように見た、
エッシャーの絵や、ダリ、マグリットの絵など、
だいたいどこかで見た絵。
美しさとか、自然の凌駕とか、
美術本来の目的から逸れて、
面白さを追求してる作品が多かった。
それが客層に素直にあらわれ、
ふだん美術館にいる人とは、
違うタイプの若い人たちで、
めっちゃ混んでいた。
聞こえてくる声が、
---この絵マジ家に欲しいんですけど!
---ダリって有名じゃね?
---すんげー、すごくねー?
いつもと勝手が違うので、
ドゥマゴでお茶もしないで帰る。