与謝野の「自民票を掘り起こし、自民党にも貢献していた」の比例区当選正当性の情報操作を切る

2011-01-23 09:56:55 | Weblog

  
 菅改造内閣に「どっこいしょ たちあがれ日本」を離党、経済財政担当大臣として入閣した与謝野馨に対して元々の古巣の自民党ばかりか他の野党からもその正当性に疑義を唱える批判が起きている。

 2009年8月の衆院選で小選挙区東京1区で民主党候補の海江田万里に敗れ、比例区で復活当選は有権者が与謝野馨と個人名を書いた当選ではなく、自民党と党名を書いた票の中からの順位による当選なのだから、当選して獲得した議席そのものは与謝野個人の力によるものではなく、自民党の力によるものある。そうでありながら、昨2010年4月に自民党を離党して立ち上げた新党の議員として議席を維持するのは矛盾していると、自民党は与謝野の議席の正当性を批判し、与謝野自身からの離党届を受理せず、除名処分に付している。

 いわば今回が同じ理由で二度目の批判となる。

 どのように批判を受けたか見てみる。《自民各派 首相の政治姿勢批判》(NHK/2011年1月20日 16時33分)

 山本有二自民党・元金融担当大臣「有権者が自民党に票を投じた比例代表で議席を得たにもかかわらず、民主党に行ったのは脱法行為であり、即刻、議員辞職すべきで、国会で徹底的に追及する必要がある」

 《与謝野氏の「問責出したい」=自民・山本氏―公明・高木氏は議員辞職要求》(時事ドットコム/2011年1月15日(土)12:03)

 1月15日朝のTBS番組――

 山本一太自民党参院政審会長「厳しく追及していく。個人的に言うと(24日召集の通常国会の)最初から問責(決議案)を出したい大臣だ。前回の衆院選では自民党の公認で小選挙区で負け、比例で復活当選している方だ」

 高木陽介公明党幹事長代理「与謝野氏は自民党で当選した。その反対側に行くのであれば議員を辞職し、一民間人として(内閣に)入るほうが筋論としては通る」

 《“与謝野氏では協議は困難”》(NHK/2011年1月15日 21時32分)

 石原伸晃自民党幹事長「「自民党の比例代表の議席を盗んでいった与謝野氏を経済財政担当大臣に登用したり、若い人を抜てきすると思ったら70歳や80歳に近いベテランを登用したり、『人手不足』という印象だ。(社会保障と消費税を含む税制改革を巡る与野党協議について)物事を決めるのは信頼関係が大切だ。それをみずから放棄した人(与謝野馨)が先頭に立って物事を決めようと言っても誰もついていかない」

 《仙谷氏 起用批判で野党けん制》(NHK/2011年1月15日 22時35分)

 谷垣自民党総裁「自民党の比例代表で当選した方であり、内閣に入るならば議員辞職し、いち民間人として入るべきだ」

 いずれの批判も与謝野の国会議員としての議席に正当性はないと言っている。

 上記記事題名が伝えている与謝野起用批判に対する仙谷の逆批判――

 仙谷「自民党などを刺激しているようだが、与謝野氏が今まで言ってきたことと、内閣に入るということがどうなのかという整合性の議論はある。しかし、国会で、野党がその問題に終始して、政策議論が行われないとなれば、国民にとって不幸だ」

 「整合性の議論はある」と言うなら、その整合性は問わなければならない。大事なことである。正当性の整合性を無視して政策議論に入った場合、政策議論そのものの正当性を失う。ニセ医者の資格を問わずに治療を優先させるのと同じだろう。

 勿論、他に医者はいない、命に関わる緊急の治療を要するといった特別の例外は除くが、そういったケースは滅多にない。

 「国民にとって不幸だ」と言っていることに対して、Twitterに投稿した。

 〈仙谷22日徳島市で「なかなか熟議の国会がつくれる環境にない。(野党は)とにかくこき下ろして内閣をつぶせばいいということで、国民にとっては大変不幸なことだ」(asahi.com)。内閣支持率30%そこそこ、不支持率が支持率の倍前後あるのだから、国民を人質に熟議を持ち出す資格もなし。 〉
 
 いわば菅内閣自体が国民にとっての不幸の対象となりつつある。

 こういった野党の批判に対して与謝野氏は勿論反論している。枝野と優劣つけ難い詭弁家である。反論がないはずはない。但し、自民党を離党して新党を立ち上げたときも同じ反論を使っている。《税制改革より行政改革が先との考え、逃げの議論=経済財政担当相》(ロイター/2011年 01月 19日 03:47)

 先ず記事題名にある与謝野の発言を伝えてみる。

 与謝野「まず無駄を省き、経済成長してそれから消費税だと、そんなことをしていたら永久にこの仕事は始まらないし終わらない。3つのことを同時並行にやらないといけない。無駄の削除とか行政改革は、大化の改新の頃からやっている、これからも続けないといけない問題。それをやって、次に経済成長をやって、次に税制というのは、ある種の逃げの議論だ」

 誰も「経済成長してそれから」とは言っていないはずだ。一定以上の景気を回復してからと言っている。景気が暫く続くのではないかと国民に希望を与えたところで消費税増税なら、さして景気の腰を折らないだろうとの予定調和を置いているはずだ。

 たちあがれを離党、菅内閣入閣、民主会派入りの正当性について――

 与謝野「私自身がその当時、自民党の票を掘り起こしていた。自民党にも貢献していた。仕組みとして議員を辞めなければならないのであれば喜んで辞めるが、今の選挙制度はそうなっていない」
 
 確かに辞職に関しては「今の選挙制度はそうなっていない」

 このことは昨2010年4月10日の当ブログ《新党関連の石原慎太郎「戦争を体験した人間」云々の戯言と与謝野辞任要求に対する対応は?》「Wikipedia」を参考に書いた。

 〈所属政党の移籍の制限

 日本では2000年以降の国政選挙から、比例当選議員は所属政党が存在している場合において、当選時に当該比例区に存在した他の名簿届出政党に移籍する場合は議員辞職となることになった(公職選挙法第99条の2)。

 ただし無所属になることや、当選時に当該比例区に存在しなかった新政党への移籍は議員辞職の必要はない(当選時に存在した政党であっても、自分が比例選出された選挙で該当比例区に候補者擁立しなかった政党には辞職せず移籍可能。具体的な例として、2009年衆議院総選挙でみんなの党は衆議院比例区では北海道・東北・北陸信越・中国・四国で擁立しなかったので、北海道・東北・北陸信越・中国・四国の比例当選衆議院議員は議員辞職することなく、みんなの党への入党が可能である。)〉――

 だが、「自民党の票を掘り起こしていた。自民党にも貢献していた」と言う点については異議がある。1972年自民党から初立候補して落選したものの、1976年に同じ自民党から再立候補して当選以来、途中選挙区・比例区双方の落選もあるが、比例区の当選を含めて2009年8月の総選挙まで合計10回の当選を自民党公認で果たしている。

 このことは与謝野馨という個人の力だけではなく、自民党の力の有効性、その名前・看板の有効性の恩恵をも受けた当選でもあろう。

 その証拠が2009年総選挙出の選挙区落選である。もし与謝野個人に自民党の名前・看板の力の喪失を超える力を有していたなら、当然当選していたはずだ。だが、当時は民主党の名前・看板の力が、あるいはその有効性が自民党のそれらを上回り、その力・有効性が全国的に吹き荒れていた。2005年の総選挙では選挙区・比例区共に落選し、政治的にはただの人の不遇を囲っていた民主党の海江田万里が2009年総選挙の選挙区で復活当選できたのも海江田の個人的な力だけではなく、全国的に吹き荒れた民主党の名前・看板の有効性の恩恵でもあったはずである。

 また民主党から立候補し当選した新人議員の多くが民主党の名前・看板の力の有効性の恩恵を受けた。

 与謝野が言うように「自民党の票を掘り起こしていた。自民党にも貢献していた」は、少なくとも2009年8月時点では正当性を欠く、逆に正当だとする詭弁そのものの情報操作に過ぎない。与謝野の個人的な名前・看板は、即ち与謝野個人の力は自民党の名前・看板の力の喪失に押しひしがれ、差引きマイナスの状況にあったのであり、だからこそ選挙区で落選の憂き目に遭うこととなった。

 だが、比例区復活当選で議席を確保することができた。あくまでも自民党に残されていた名前・看板の有効性、その力の恩恵が与謝野個人に対して辛うじて有効に働いた比例区復活当選であり、既に触れたように自民党と党名を書いた票の中からの順位によって当選できた自民党としての議席である。

 確かに選挙制度から見た場合は議員としての身分を維持できるが、議席獲得の経緯に関しては与謝野個人の力の関与よりも自民党の力の関与が上回った議席獲得であり、その点で自民党を離れて新党に身を置くことも、無所属に移ったとは言え、民主会派入りして菅内閣に入閣、そこに席を置くことの正当性はあるとは言えないはずだ。

 また、多くが指摘しているように人間性から言っても、議員の身分でいることの正当性は疑わしくなる。既に多くのブログで取り上げていると思うが、人間性を疑うことができる例として記すが、昨年の参院選では反民主を掲げて戦っていながらの菅内閣入閣の矛盾を問われて、与謝野は次のように答えていると《菅首相アップアップ改造、与謝野氏が入閣へ(スポーツ報知/2011年1月14日06時03分)が伝えている。

 与謝野「私は『打倒・民主』という言葉を使った覚えはない」

 だが、「The Wall Street Journal」記事が「時事通信社」記事の配信の形で取り上げている、〈朝日新聞とのインタビューで「打倒、民主党」を叫んでいる。このインタビューは、同氏の公式ウェブサイトにも掲載されている。〉の文章に導かれて与謝野のWEBサイト『心優しき政治』(人格は決して心優しくなく、なかなかにしたたか、狡猾である)を覗いてみた。朝日新聞社からうけたインタビューらしかった。

 「なぜいま新党ですか」(朝日新聞:2010年4月7日 掲載) 

 記者「参院選後の展望は」

 与謝野「いずれにせよ民主党は衆議院で300議席以上をもっている。まずは良識ある批判勢力を参議院に構築するのが第一の目標です。野党の立場で。 もちろん野党。打倒、民主党です

 見事なウソつき名人だが、単にウソをついたで終わらない。やはり「私自身がその当時、自民党の票を掘り起こしていた。自民党にも貢献していた」と同列の自身を正しい人間だと見せかける一種の情報操作そのものである。

 この手の情報操作を菅首相にしても得意としている。たくさんある中で一つの例を挙げるとしたら、何度でも挙げているが、「これまでは仮免許だった」であろう。自身の失政を誤魔化し、自分は間違っていない、正しいとする情報操作である。

 菅首相の情報発信の多くは情報操作だと見て先ず間違いはない。

 昨2010年4月11日記事――《与謝野馨の「民主党には政治に対する哲学や思想がない」は一種の情報操作》で取り上げた与謝野の発言、「民主党には政治に対する哲学や思想がない」も情報操作以外の何ものでもない発言である。

 この記事でこう書いた。〈「民主党には政治に対する哲学や思想がない」と言うからには、己にはどのような優れた哲学や思想があると先ず明らかにしてから、それを以て民主党には欠いている哲学や思想だと指摘すべきではないだろうか。

 いわば自分にはあって、民主党にはないものだと、その哲学・思想がどのようなものかの内容と民主党にはないとする根拠を明示すべきであって、明示せずにただ単に「民主党には政治に対する哲学や思想がない」と批判するのは民主党を一方的に悪者にする一種の情報操作に当たる。〉――

 「人生90年を前提にすると定年延長を考えないといけない。年金支給年齢の引き上げも考えなければいけない」(毎日jp)の発言も、国民の生活よりも歳出を抑え、消費税増税で歳入を増やそうとする、単に財政再建化の視点でのみ見た自己の政治だけを推し進めるための情報操作であろう。

今後とも続けに違いない、与謝野のウソと詭弁に満ちた情報操作には気をつけなければならない。


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