昨1月21日(2012年)放送の日テレ「ウェークアップ!ぷらす」は消費税増税と議員定数削減を話題にしていた。
コメンテーターの寺島実郎日本総研理事長が議員定数削減について次のような発言を行った。
寺島理事長「要するに国民に途方もない政治不信があるわけです。で、その政治不信というのはね、代議制民主主義というものをですね、より良きものにしなければならない大切なところに来ているわけですよ。
さっき専門家がね、どうして国会議員の数を半分にするのが理想だみたいなことを言っていたかというと、例えば1人当たりの国会議員の数っていうのがね、ざっくり言ってアメリカの倍なんですね。
で、そういう状況に対してね、さらに少子高齢化社会で、人口が少なくなっていく中で、政治でメシを食う人ってことを鍛え直していかなければならない。それが代議制民主主義の根幹なんですよ。
ですからね、代議者になる人でね、しっかりとしたですね、資質と力を持った人たちを選び出していくっていうのが民主主義の根幹なわけですから、そう意味でね、僕はその小政党だとか、え、中規模の政党に配慮するってことも大事だと思うけども、国民はその、ボトムラインとしてはね、国会議員の数を削減してね、身を切るということを見せて、増税に、要するに協力してくださいというメッセージを僕は(国民は)見てるんだと思います」
要するに寺島氏は消費税増税前に国会議員は自らの身を切れ派だということである。
この手の発言は大多数を占めていて、その一人に過ぎない。ここで取り上げたいのは、専門家が「国会議員の数を半分にするのが理想だみたいなことを言っていた」ということであり、寺島氏自身、その半数削減の根拠に国民1人当りの日本の国会議員数がアメリカの議員数の約2倍であることを挙げながら、削減によって「政治でメシを食う人」を「鍛え直」す機会になると言っていることである。
寺島氏に「専門家」と言われた鈴木亘学習院大学経済学部教授がビデオ出演だが、寺島氏の発言に先立って次のように話している。
鈴木亘教授「(議員定数削減は)国民感情を宥める、ガス抜きとするという以上の意味はないですが、例えば、議員の定数を減らして歳費を減らすということの財政的な効果は55億円というふうに言われていますが、それに対して消費税引き上げというのは10兆円以上のおカネが動くわけですので、本当に焼け石に水と言うかですね、殆ど効果はないわけですね、実際に於いて」
議員定数に関しては――
鈴木亘教授「思い切った改革をやるということであれば、(衆議院は)半分の240人で、私はいいと思います。(民主党案の)0増5減より(1票の)格差の是正に取り組むべきだと思います」
社会保障の問題点について――
鈴木亘教授「社会保障の中にはたくさんムダが含まれていて、社会保障をですね、削減するっていう話ではなくて、むしろ増やしておりますので、それは将来的にはですね、いくら消費税を5%引き上げても、あの、右から左へ出ていくだけですので、あの、持続可能なものにはなりませんし、財政再建にもなりません」
民主党の「小選挙区0増5減+比例代表80削減」では真の議員定数削減にはならない、半分の240議席とすべきだ、消費税増税の持続可能性と財政再建化に役立てるとするなら、社会保障のムダの削減に優先的に取り組む必要があると言っている。
そこで、先ずアメリカの国民1人当りの上院・下院議員数から日本の国民1人当りの衆参議員数を割り出して、その算出議員を削減した場合、どのくらいの財政的な効果があるか、鈴木教授が言っていた「財政的な効果は55億円」から、これが「小選挙区0増5減」と「比例代表80削減」を加えた計算なのか、加えない計算なのか分からないが、少なく見積もるつもりで加えた計算で導き出してみようと思い立った。
2011年8月1日現在(確定値)の日本の総人口は1億2781万6千人(総務省統計局)
2010年4月現在のアメリカの人口は3億0875万人(外務省HP)
日本議員数
衆議院は480人(小選挙区300人・比例代表180人)+参議院は242人=合計722人
アメリカ議員数
上院100議席+下院435議席=合計535議席(外務省HP)
アメリカ人口3億0875万人÷日本人口1億2781万=2.42倍(四捨五入)
アメリカ議会合計535議席÷2.42倍=221議席(対アメリカ人口比日本人口適正議席数)
鈴木教授は衆院の場合半分の240人で十分だと言っていたが、人口比とすると、衆参合わせて221議席が適正議席数の計算となる。
日本議会合計722議席-適正議席数221議席=501議席削減可能
「財政的な効果は55億円」÷「小選挙区0増5減+比例代表80削減」=6500万円(1議席削減当たりの財政効果)(四捨五入)
6500万円×501議席=324億円の財政的効果(年間)
勿論、これに加えて国家公務員給与削減、地方公務員給与削減を行って、財政的効果を一層プラスしなければならない。
以上の計算から見た日本の議員の状況はアメリカと比較して議員の数が多過ぎるということだけではなく、アメリカが自人口3億0875万人の国を動かすのに上院・下院合計535人の議員で可能としているのに対して日本が自人口1億2781万人の国を動かすのに衆参合計722人の議員を必要としているということであり、ここから導き出すことのできる結論は当然、議員1人当りの能力が遥かに下回っているということであり、下回っていることを適正能力としているということの証明以外の何ものでもないということである。
しかも日本の〈議員歳費は、月額約130万円と年2回のボーナス計600万円を合わせて、年約2200万円になる。主要先進国の議員歳費と比較すると、アメリカが約1400万円、ドイツが1015万円、フランスが約924万円なので、日本が断トツで高い。〉(ZAKZAK)という高額報酬を懐に入れながらである。
GDP比先進国中最悪の財政赤字も示していることだが、如何に他の先進国と比較して生産性が低いか証明して余りある。
日米では政治献金が桁違いだと言うかも知れないが、政治献金額は政治能力の結果値で表されるはずだ。
寺島氏が議員定数削減を通して、「政治でメシを食う人ってことを鍛え直していかなければならない」と指摘するのも当然のことであろう。
悪しざまに言うなら、無能で数ばっか多いと言うことができる。 |