野田「社会保障と税の一体改革」は欠陥政策でありながら、それを以って国民に信を問うと言っている

2012-01-27 09:00:04 | Weblog

 今までブログに書いてきた野田「社会保障と税の一体改革」に関わるテーマと同じ繰返しになるが、野田内閣のしていることがムチャクチャに思えて、腹立たしさに駆られて再度取り上げて見ることにした。

 野田内閣が1月6日(2012年)閣議決定した「社会保障・税一体改革素案」は、「素案」と言えども、2014年4月に現行消費税5%に+3%の8%、2015年10月に8%+2%の10%の増税率を決めた以上、社会保障改革に必要とする財源確保として計算し、結論とした消費税増税率なのだから、「社会保障・税一体改革素案」はほぼ固まった政策でなければならない。

 いわば社会保障改革と消費税増税率は相互対応した一体性を備えた政策となっていなければならない。

 消費税増税率も増税時期も決めた。しかし社会保障改革の中身が固まっていなのでは、必要財源としての消費税増税率をどう計算し、どう決めたのか根拠を失うことになる。

 これこれの社会保障改革にはこれこれの財源が必要で、消費税で賄うとしたら、これこれの税収を見込まなければならないため、これこれの増税率に設定することにしました、お願いしますということで、2014年4月に現行消費税5%に+3%の8%、2015年10月に8%+2%の10%になったはずだ。

 だが、「社会保障・税一体改革素案」はそうはなっていない。

 冒頭、「我が国の社会保障制度は、世界に誇りうる国民の共有財産として、「支え合う社会」の基盤となっている」とか、「社会保障の機能強化を確実に実施するとともに社会保障全体の持続可能性の確保を図ることにより、全世代を通じた国民生活の安心を確保する『全世代対応型』社会保障制度の構築を目指すものである」とか言っていることはチョー立派だが、「改善などを図る」、「環境を整備する」、「推進を図る」、「充実を図る」、「制度改革に取り組む」等々の今後の課題とする言葉が並んでいて、このように決めたことを行っていきますという具体的政策を示した実行形式となっていない箇所が多々あり、社会保障政策が固まった政策ではないことを露わにしている。

 「検討する」とか「検討する必要がある」、あるいは「見直しを行う」、「引き続き実現に取り組む」といった、現在未定状態で、決定を今後とする言葉に至っては、合わせて60箇所近くある。

 現在正式にはまだ決まっていなくて、検討した上で今後決めていくことがこんなにもあるのに、消費税増税率をどう計算したのだろうか。

 現在問題となっている民主党がマニフェストで約束した「最低保障年金創設」に関しては、「『所得比例年金』と『最低保障年金』の組み合わせからなる一つの公的年金制度にすべての人が加入する新しい年金制度の創設について、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、引き続き実現に取り組む」と、政策として纏まっていないことを示している。

 いわば最終的な消費税増税率10%と一体性を伴った政策として「最低保障年金創設」は位置づけられていたわけではないことを示している。

 当然、先に消費税増税を決めて、1月6日に「社会保障・税一体改革素案」を閣議決定したこと自体が矛盾することになる。自公両党が年金制度の一元化や最低保障年金創設を柱とした社会保障改革の全体像を明確に示すよう要求していることがこの矛盾を証明している。

 未完成の欠陥政策だからこそ、全体像を示せと要求可能となる。

 その結果、民主党の岡田にしても前原にしても藤村官房長官にしても、年金一元化と最低保障年金制度創設を柱とする民主党の年金制度抜本改革が導入された場合、10%では足りなくなると言い出した。

 では、何のための野田「社会保障と税の一体改革」だったのか。その素案を何のために閣議決定したのか。何ために2014年4月に消費税8%、2015年10月に10%と決めたのか。

 そもそも増税率+5%の根拠はどこに置いて計算したのか怪しくなる。

 いや、+5%の根拠を見い出すことができない、野田「社会保障と税の一体改革」の欠陥政策だったことになる。

 ところが野田首相は施政方針演説に対する昨日の各党代表質問で「やり抜くべきことをやり抜いた上で国民に判断をあおぎたい。不退転の決意は不変だ」(YOMIURI ONLINE)と述べ、これまでも表明してきたように消費税率引き上げ関連法案を成立させた上で衆院解散・総選挙を行う考えを示したという。

 野田「社会保障と税の一体改革」が欠陥政策でありながら、その欠陥政策を国会で通してから解散して、その欠陥政策を争点に国民の信を問うとしているのである。

 あるいは欠陥政策を掲げて、「不退転」だと言っている。

 好きなようにすればいいことだが、この矛盾、このイカレタ発想を批判したくて、同じテーマを繰返すブログ記事を書くことになってしまった。

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