野田首相、ドジョウの本領を発揮した1月27日正心誠意な「シロアリ」等代表質問答弁

2012-01-28 11:14:46 | Weblog

 野田首相「参議院では少数だから、法案が通らないのではなく、野党のみなさんにどうしてもご理解をいただけない場合は、法案を参議院に送って、野党にもう一度、この法案を潰したら、どうなるかということを、よく考えていただく手法も、ときには採用していこうではありませんか」(日テレニュース24動画から)

 この野田首相の1月16日民主党定期大会挨拶を、中曽根弘文自民党参院議員会長が昨日(2012年1月27日)の参院本会議代表質問で取り上げて、撤回と謝罪を求めた。

 《【代表質問】野田首相と自民・中曽根参院議員会長らの発言要旨》MSN産経/2012.1.28 00:14)

 中曽根議員「首相は民主党大会で、消費税増税法案について『参院に法案を送って、野党がつぶしたらどうなるか考えてもらう手法も採用しよう』と恫喝(どうかつ)まがいの発言をした。撤回と謝罪を求める」

 野田首相「議席数のみで先入観を持つことなく、政策議論で競い合うことを提唱した。恫喝でも参院の審議権の否定でもない。趣旨が理解いただけなかったなら不徳の致すところだ。衆参両院の機能と意義を高めるための発言だ」

 一見もっともらしい、合理的な答弁に聞こえるが、巧妙にすり替えた、欺瞞で成り立たせた詭弁に過ぎない。

 「ときには採用していこうではありませんか」は野党に呼びかけた、いわば提案した文言ではなく、民主党及び野田内閣に呼びかけた、あるいは提案した発言である。

 「採用していこうではありませんか」はあくまでも手助けを求める意味合いの呼びかけ、提案であって、「野党にもう一度、この法案を潰したら、どうなるかということを」という言葉は挑発的なニュアンスを帯びていても、手助けを求めるニュアンスを一切含んでいない。

 だが、「議席数のみで先入観を持つことなく、政策議論で競い合うことを提唱した」は野党に対する呼びかけとなる。あるいは提案となる。このように呼びかける、提案することによって、「衆参両院の機能と意義を高める」という目的を目指すことが可能となる。

 これが民主党、野田内閣に対してのみの呼びかけ、提案だとしたら、そこに野党を置いていない以上、「衆参両院の機能と意義を高める」という目的は達することは不可能となる。

 自民党や公明党などの野党に、「この法案を潰したら、どうなるかということを、よく考えていただく手法も、ときには採用していこうではありませんか」と呼びかけたとしたら、即、精神鑑定を受けよと言われるに違いない。

 要するに呼びかけの対象者、あるいは提案の対象者を巧妙・狡猾にすり替えて、正当化できない発言を正当化させたに過ぎない。

 野田首相は「正心誠意」を掲げている。「正心」とは「心を正しくする。または、正しい心(『大辞林』三省堂)という意味である。

 野田首相は「正心誠意」について2011年9月14日の「野田総理官邸ブログ【官邸かわら版】「初めての所信表明を終えて」で次のように書いている。

 〈「正心誠意」という言葉が誤字ではないか、との指摘を多くいただきました。私の今の思いをよく表しているのは、勝海舟が使った「正」という字を使う方です。「意を誠にして、心を正す」という姿勢で、すべての国民が力を合わせ、「国力の結集」を図っていく。それが私の心からの願いであり、覚悟です。〉・・・・・

 「意を誠にして、心を正す」正心誠意の姿勢を持った政治家こそが、呼びかけの対象者、あるいは提案の対象者を巧妙・狡猾にすり替えて、正当化できない発言を正当化することを完璧に為し得るに違いない。

 ドジョウの本領をまさに発揮して巧妙にすり抜けたつもりでいたのだろうが、本質的には誤魔化し、自身の言葉に対する責任を言い逃れたに過ぎない。

 もう一つ、ドジョウの本領を発揮した「正心誠意」な答弁。3年前の野党時代の大阪での街頭演説で飛び出したという、インターネット上に飛び交っている、例の「シロアリ」発言。

 いくつかの記事が取り上げていたから、「衆議院インターネット審議中継」から必要箇所のみを文字に起こしてみた。

 渡辺喜美みんなの党代表「みんなの党の渡辺喜美であります。大阪には維新が始まりました。地域主権改革、公務員改革、教育改革について、国がやらないなら、大阪から始めよう。

 官僚統制、中央集権という、日本の統治構造の歪みを正す、行動をみんなの党は応援いたします。

 みんなの党は大阪、都構想のように、それぞれの大都市が、それぞれの地域の判断で自らに最もふさわしい制度、つまり事務配分や財政配分、を選択できるようにするための地方自治法改正案を提示しております。総理はこれに反対ですか。

 消費税増税について、総理は実施時期が(衆院)任期後だから、公約違反ではないという詭弁を弄しています。増税案が出てくること自体がマニフェスト違反なのではありませんか、

 総理は、『2万5千人の公務員OB が天下りした4500法人へ流れる12兆円の血税にシロアリが群がっている構図がある。この白アリを退治しなければならない。天下りや渡り、ムダ遣いのカラクリを残したまま消費税を上げても、砂漠に水をまくのと同じだ』と言っています。

 天下りや渡り、ムダ遣いのカラクリはなくなったというご認識でしょうか。

 これまでの天下りが水面下で続いている。それを放置し、その上に現役出向という、裏ワザを正面から容認し、民間企業にまで現役天下りを拡大させた。

 再就職等監視委員会は未だに立ち上がっていないじゃないですか。総理のいうシロアリの巣を膨張させているだけじゃありませんか」(以下略)

 野田首相「消費税とマニフェストについてのお尋ねがありました。

 先ず現在の政権の任期中に於いて、消費税率の引き上げは行いません。従って、公約違反ではありません。

 また、行政改革、政治改革など、身を切る改革なども併せて、包括的に実施してまいりたいと思います。

 『社会保障・税一体改革』は前政権から引き継ぎ、避けて通れない、先送りできない、与野党共通の課題として実現を目指しております。

 そして消費税率の引き上げの最終判断は具体的に税率の引き上げを実施する半年前に行うことを想定しており、現在の衆議院の任期中に民意を問い、新しい政権が引き上げの最終判断を行うことになります。

 消費税引き上げとシロアリ退治、天下りの放置、現役出向の拡大、再就職監視委員会の立ち上げについてのご質問をいただきました。

 一体改革を進めるに当たっては、自ら身を切る改革を実施し、国民の納得と信頼を得ることが必要であります。これまで政権交代後、独立行政法人に対する施設や公益法人に対する施設は大幅に削減してきております。

 また、天下りの根絶のために省庁による再就職の斡旋を内閣の方針として全面禁止すると共に、独立行政法人に於いて、公募を実施するなど、大いに取り組みを進めて参りました。

 なお、現役出向、官民人事交流は、従来の天下りと性格の異なるものであり、再就職監視委員会については、その人事案を第177国会及び前回国会の提出しましたが、残念なことに採決に至らず、会議末に至ったものでず。

 今後共行政改革につきましては、不断の取り組みを続けていく決意であります」

 独立行政法人改革については、マニフェストに〈原則廃止を前提にすべてゼロベースで見直し、民間として存続すべきものは民営化し、国としてどうしても必要なものは国が直接行います。〉と書いてあることを取り上げて、「マニフェストに添ったものになっている」と言ったが、1月20日(2012年)に102ある独立行政法人を統廃合や民営化などによって40%近く減らし、65にするなどとした見直しの基本方針を閣議決定したばかりなのだから、言抜けに過ぎない。

 原稿読み上げの答弁を終えて、めくり終えたかなりの枚数の原稿を纏めて手に持ち、演台に叩いて整えながら、原稿に書いてないことを続けた。
 
 野田首相「えー、なお、ま、大阪の様々な動き、橋下知事(ママ)の動きについては、私は改革者として注目すること大でありますが、この動きにも白アリがたかることがないことを願って止みません」

 深く一礼して壇上を降りる。

 官僚が独立行政法人等へ天下って、「12兆円の血税」に群がる白アリ構造と、橋下市長が人気がある、支持率が高いからと自己組織保存、あるいは個人的に自己保存のために擦り寄る、一見雪崩現象とも見える白アリ構造とは同じ白アリであっても、似て非なるものがある。

 前者に於ける主役はあくまでも天下り官僚OBであって、後者に於ける主役は橋下市長であり、橋下市長に擦り寄る側が主役ではない。

 後者の白アリは民主主義の多数決の原則に照らした場合、必要な数の内に入る。民主党支持者の中にも、政権交代しそうな勢いを保持した時点から、あるいは政権交代後、自民党、その他の党支持から離れて擦り寄った支持者、あるいは業界団体が多くいるはずである。

 中には既に白アリ化(利権化)している存在がいないと否定できまい。

 別に橋下氏を全面的に支持しているわけではないが、政策が一致しているわけでもないのに擦り寄ってきて橋下氏の政策に同調・追従する白アリを多数決の源泉として如何に利用するか、あるいは逆に擦り寄る側によって利権構築に利用されてしまうのかは橋下氏の政治的才覚にかかっている。

 民主党三代の政権の余りの不人気、支持率の低迷が予想させる次の衆院選民主党敗北の前以ての趨勢からシロアリ化していた個人、あるいは団体にしても相当に民主党離れを引き起こしているはずである。

 それが橋下氏に対する擦り寄る主体性なき行為であっても、そのような勢力を問題にしている場合ではあるまい。橋下氏がシロアリであろうと何であろうと近づいてくる勢力は歓迎だと次の総選挙に多数決の原理に利用して当選者数を大幅に増やした場合、逆に現有勢力を減らすのは民主党や自民党、その他ということになる。

 みんなの党が仮に橋下氏に擦り寄ったシロアリであったとしても、みんなの党は笑う側に立つ。

 自らが現在置かれている状況・局面を全体的に把握し、解釈する認識能力もなく、言わずもがなのことを言う。

 これも「正心誠意」の性格と共にドジョウの本領を発揮してぬるりとかわすつもりで発した余計な一言に違いない。

 小沢一郎なら、シロアリ結構、利権化させずに多数決の頭数として大いに利用するに違いない。良かろうが悪かろうが、それが民主義の一面となっている。

 問題は余計なことは言わずに、自らが掲げた政治を確実に行う強い意志である。その意志を持っていたなら、余計なことは言わないだろう。余計なことを言う必要もない。

 実際には強い意志を持たない政治家だけが余計なことを言う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする