小川敏夫民主党議員の香典疑惑高木毅に対する肝心の質問が抜けた11月11日参議院予算委の手ぬるい追及

2015-11-13 10:32:25 | 政治


 民主党の小川敏夫が11月11日の参議院予算員会閉会中審議で復興相高木毅(59)が自身代表の政党支部から香典を支出し、それを政治資金収支報告書に記載していた公職選挙法違反疑惑を追及した。

 小川敏夫は弁護士、裁判官、検察官を経歴としている。その追及は的確・手厳しいものと期待していたが、些か期待外れだった。結果的に追及し切れなかったのは単に高木毅が強(したた)かだったという理由だけだったろうか。文字起こししてみたから、その質問の程度を評価して頂きたい。

 小川敏夫「高木復興大臣にお尋ねしますが、大臣が代表を務める政党支部からですね、平成24年、平成25年、香典が支出されていますが、これはどういうことなんでしょうか」

 高木毅「お答え申し上げます。平成24年と平成25年に自民党福井県第3選挙区支部で選挙区内の者に香典を支出した旨、収支報告書に記載してあると、この指摘かというふうに思いますが、これにつきましては計8件、記載がございます。

 いずれも私がそれぞれ亡くなられた方へ、葬儀の日までに弔問に行き、私個人の私費で出したものです。私が弔問し、私費で出したものを収支報告書では担当者が政治団体の香典として誤って記載したことが確認できましたので、11月6日、その旨、報告書の訂正をしたところでございます」

 小川敏夫「あのー、一寸ね、お話、説明聞いても、大臣が自分のおカネを私費でお支払いしたと。自分のおカネで払ったんだったら、そこで清算もなしに全部終わってんだから、大臣、自分で払ったおカネがですね、清算も何もない、すべて完結しているのに、何でその無関係な政党支部から支出の処理されちゃうんですか。

 どうしてそういった過ちが起きたのか、一寸説明してください」

 弁護士、裁判官、検察官の経歴からしたら、「私費で支出した香典がどうして収支報告書に政党支部からの公費として記載されることになったのか」ともっと端的に聞くべきだと思うが、どうしてできなかったのだろうか。

 高木毅「事務所に私の私費とそれから政治団体のカネがあるということでございまして、その辺りを取り違えたのだろうというふうに思います」

 この答弁に対して当然、「どう取り違えたのか、どうしてそういった間違いが起きたのか、具体的に説明して貰いたい。1件ぐらいだったら取り違えることもあるだろうが、8件も取り違えるという間違いが起きたというのは不自然だ」といった質問を用意しなければならないはずだ。

 小川敏夫「そうすると、あなた自身が持ってるおカネではなくて、事務所の中にあなたの個人のおカネと政党支部のおカネがあって、それであなた個人のおカネを持っていたものを間違えたと、そういうご説明ですか」

 相手に言わせるべきことをこちらから説明してやる、質問の悪いパターンに見える。

 高木毅「そのように思います」

 小川敏夫の方から説明してやったことが相手が望んでいる内容と一致して、そのまま答弁として成り立つから、単にイエスと答えれば済むようにしてしまった。結果的にどう取り違えたのか、どうしてそういった間違いが起きたのかの具体的な状況を本人から説明させることをさせずじまいにしてしまった。

 尤も次の質問次第で具体的に相手に説明させるよう仕向けることは挽回できる。

 小川敏夫「じゃあ、あなた葬式に行く都度、事務所に寄って、その香典のおカネを持ってきて、それから行くんですか。大体普通自分の財布の中から持っているおカネを香典袋に包んで持っていく。事務所に毎回寄ることないと思うんだけど、どうですか」

 やはりどう取り違えたのか、どうしてそういった間違いが起きたのかの具体的な説明を求める肝心な追及が抜けている。

 高木毅「まあ、運転手なり、秘書なりが事務所からそういったものを持ってきて、それを私が持っていくということでございます」

 要するに毎回事務所に寄るわけではない、携帯なりで指示を出して持ってこさせて、それを自身で葬儀なりに持っていくと説明している。

 では、運転手なり、秘書なりがどうしてそういった間違いを起こすことになったのか、1件だけではなく、8件も事務所に置いてある高木個人の私費と政治団体のカネを取り違えたことになる。 

 当然、ここでいくつかの問題が浮上する。

 その一つは高木個人の私費と政党支部としてのカネ――公費を事務所はどう管理していたのかである。管理の仕方によって運転手、あるいは秘書が間違うこともあり得る可能性も生じる。

 そういった可能性が出てくれば、高木毅の言っていることが正しいということになる。

 但しどういう指示を出したのかの問題も見逃してはならない。そのことによって、高木の言い分の正しさは覆ることになる。

 香典袋は自宅にも用意してあるだろうけれども、外出先から運転手なり、秘書なりに持ってこさせる場合を想定して事務所にも置いてあるはずだ。自宅の香典袋を使う場合は自宅に置いてあるカネを包むだろうから、それを弔問宅に持っていけば、小川敏夫が質問したようにそれで完結するため、収支報告書への記載間違いは起きない。

 当然、「誰それが亡くなったから、香典を用意してくれ」、あるいは事務所が既に亡くなっていることを承知していたなら、「今日香典を持っていくから、用意してくれ」と包む金額と共に指示を出したことになる。その指示を受けて事務所にある香典袋に言われた金額のカネを包んで高木本人に届けることになる。香典袋はいつ何時用立てることができるように前以て本人が名前を署名しているかもしれない。

 例え自身が背広の内ポケットに常に署名入りの香典袋を用意していて(そうしているとは思えないが)、カネだけ持ってこさせるにしても、政党支部のカネ(=公費)の中からか、私費の中からか、区別できる指示を出さなければならない。当然の公私の区別だからである。

 例え同じ一つの金庫の中に私費と公費を保管していたとしても、それが区別できない状態での保管は常識としてあり得ないから、事務所側は指示に応じてどちらからか支出することになる。

 それがどのような指示に従った支出であったとしても、支出のたびに事務所の公費・私費別の帳簿にそれぞれに記録するだろうから(別々でなければ、公私混同することになるし、記録して置かなければ、後になってどこで何に支出したのか皆目見当がつかないことになる)、それが私費からの支出を求める指示であった場合、収支報告書に記載する間違いは起こり得ないことになる。

 当然、小川敏夫は高木がどういう指示を出したかを焦点としなければならない。香典への支出だという使い道とその金額と共に指示を出したのか、どこに用意して置いた香典袋を使ったのかといった質問である。

 小川敏夫「ちょっと視点を変えますがね。選挙支部から2年間に9回、葬式の香典があるんですけど、大臣は2年間に9回しか葬式に出ないんですか。他にも葬式に出たことがあるのではないのですか」

 何で視点を変えるんだよと言いたくなる。

 高木毅「ご指摘の葬式は8回でございますが、他にも勿論出ることはございます」

 小川敏夫「まあ、大臣もお付き合いが広いし、また、政治家もされているから、色々あるでしょう。何回ぐらい、この2年間に何回ぐらい出席しましたか」

 高木毅「記憶は定かではありませんけども、その8回以外にも出たということはあるかもしれません」

 言質を取られないよう、うまく逃げている。尤も逃げることのできる質問を繰返していることにもなる。

 小川敏夫「他にも葬式に出ている。当然、そのときも香典を持っていっていると思うんですけどね、そのときの香典はこちらの政党支部に含まれないんで、何でこの件だけがこの政党支部の記載に載ってしまったんでしょうか」

 高木毅「先程委員もご指摘頂きましたけれども、自分で財布から入れることもありますし、それからそういった事務所から持ってきたものを持っていくという、そういうパターンもあるということです」

 この答弁でも、事務所にどういう指示を出したのかを問題としなければならない。香典に使うからと指示を出して、事務所側が公費から支出したとしたら、公費からの支出を習慣としていることになり、当然、収支報告書への記載は習慣に応じた当然の措置となって、公職選挙法違反の疑いが出てくる。

 尤も私費と認識して支出していたなら、収支報告書に記載している以上、訂正で誤魔化せるとしても、単なる間違いでは済まされない。

 小川敏夫「大臣はご自分で行くときにご自分で出す。事務所から持って行って事務所から大臣におカネを出したから、間違えるという気もするんですがね、まあ、多分否定するんでしょうから、いいんです。私の考えですから。

 それで具体的にお尋ねしますがね、平成24年12月26日、これはですね、選挙直後の特別国会の首班指名の日であります。大臣は議院運営委員会の委員であります。この日に行かれたんですか。この26日の香典の分の支出は」

 高木毅「12月26日の日でございますが、もちろん私は東京におります。ただご指摘の日付というのは多分収支報告書の年月日の欄に記載されているものと承知をしておりますが、事務所の関係者によりますと、香典については葬儀の日を年月日の欄に記載したものと聞いております。

 いずれにしましても、私が葬儀の日までに弔問し、そして香典を出したということに間違いはないと思います」 

 事務所の帳簿に支出した時点でその日付と金額・使途を記入していないことになる。それとも記入してはいるが、葬儀の日に合わせて収支報告書の支出月日を記載する習慣になっていたのだろうか。

 だとしても、8件も件数を重ねているのだから、高木本人が事務所にどういう指示を出したのか、一度は聞かなければならない問題である。香典だからという指示に事務所側は公費から支出して収支報告書に記載したのか、私費から支出しておきながら、報告書に記載したのかである。

 小川敏夫「一寸先程と答弁の趣旨が違いますね。先程はすべて葬儀に出席して、私費から香典を支出したと。今のお話ですと、葬儀の日には大臣は行っていない。ただ葬儀の日に合わせて支出したと。そういうふうに言っているんでは最初の説明と一寸違うように思うんですが、如何ですか」

 高木毅「失礼しました。先程(の答弁は)間違えたと思いませんけども、葬式の日までに弔問に行き、私の個人で私費で支出したものでございますと答えたはずでございます」

 小川敏夫「この12月26日にはですね、葬儀にはあなたのご子息が出席して、それでご子息が香典を出したんじゃないですか」

 高木毅「繰返しになりますけども、この件につきましても私が葬儀の日までに弔問し、香典を出したと思います」

 「思います」だから、あとで記憶間違いでしたと逃げることができる。

 小川敏夫「もう少し具体的に、葬儀の日までにというお話しでした。それはお通夜、告別式ではなくて、それよりも前の日にあなたが弔問に行って、そのとき香典を置いてきたと、こういうふうに言っておられるんですか」

 高木毅「お通夜の前もありますし、お通夜から葬式の間もあります。いずれにしても葬儀の前までに、葬儀までに私が行ったということでございます」

 小川敏夫「平成24年12月26日、安倍総理の首班指名の日、この支出を聞いているのです。如何ですか」

 高木毅「24年12月26日でございます。その件でございます。12月23日にこの方はお亡くなられました。そして26日がご葬儀でございますが、23日は日曜日、24日は祝日でございます。

 いつだったかは記憶に定かではございませんけども、いわゆる、言うまでもなく、繰返しになりますが、葬儀までに私が弔問をして香典を出したということでございます」

 小川敏夫「一つ事実確認ですがね、あなたが事前に弔問に行ったときに香典を渡した。で、私が質問しました。葬儀にはあなたのご子息が行って香典を渡したんじゃないんですかと。あなたの名前の香典を渡したんじゃないんですかという事実を指摘しましたが、この指摘、事実はないということですね」

 事務所にどういう指示を出したのかという質問を既に逃している。息子が代理したのが事実で、高木本人が弔問したとの本人の証言が非事実であってとしても、一度逃がしている以上、ウソを重ねて逃げることは分かり切っている。

 高木毅「繰返しになりますがね、私が葬儀までに弔問に行き、そして香典を渡したということでございます」

 小川敏夫(席に座ったまま)「息子とのことは」

 高木毅「代理で行ったかは、それは記憶と言いますか、記録にもございませんが、いずれにしましても葬儀までに私が弔問に行ったということでございます」

 小川敏夫「ですから、この欄に記載してある2万円はあなたが弔問に行ったときにあなたが渡したということですね。あなたの話は」

 高木毅「ハイ、そういうことでございます」

 小川敏夫「平成25年11月27日の件ですけどね、これはあなたが弔問に行ったのは葬儀の後なんじゃないですか」

 高木毅「25年11月27日の葬儀でございますけども、22日金曜日から24日日曜日まで地元に滞在しておりましたので、日付は明確には記憶しておりませんけども、葬儀の日までに弔問したということでございます」

 小川敏夫「この香典もあなた自身が持っていったということですか」

 高木毅「ハイ、そういうことでございます」

 小川敏夫「あの、話は変わりますが、やはりこういう葬儀の香典、これは私的でなくてはいけない。ですから当然、私費でなければいけないと思うんですが、例えば葬儀に関して弔電なんかを打ちますね。

 これなんかも当然、私費で支出すべきだと思いますが、大臣如何ですか」

 高木毅「弔電については一寸今、私は存じ上げておりません」

 小川敏夫「いやいや、大臣の政党支部のこの収支報告書でね、平成23年に115万円余り、平成24年123万円余り、平成25年124万円余り、弔電の支出があるんですよ。

 やはりこれは政党支部、国民の税金が入っている。この政党支部の支出としては好ましくない。当然、私費で出す支出すべきものじゃないんですか」

 高木毅「まあ、そういうふうな考え方もあろうかと思います。しっかりと勉強させて頂きたいというふうに思います」

 追及が手ぬるいから、逃げ切れると自信をつけたのだろう、開き直りに入った。小川敏夫としたら、高木が「そういうふうな考え方もあろうかと思います」と言っている以上、「では、公費で出しても構わないと思っているのですか」と問い質すべきを問い質さなかった。

 小川敏夫「これはね、弔電を福井新聞、新聞社にお支払いになっている。で、新聞社の方(ほう)は新聞に訃報を載せると、この載った訃報の方にもう頼まれなくても全部弔電を打つと、こういうサービスをやっている。

 この選挙区内に福井新聞の記事の訃報に載った選挙区内の人には全員に自動的にあなたと面識がなくても弔電を打っていた。そういうことじゃないですか」

 面識がなくて、死者の家族や葬式で弔電を読み上げる慣習を利用して葬儀出席者に高木本人の名前を知らしめる選挙運動と言うことなら、死者が生き返って、俺はこんな人間から弔電を貰う謂れはないなどと言う心配はないが、利益供与に当たらないものの、選挙区内の葬式を利用した公費の支出という点で、問題点がないでもないことになると思うが、公職選挙法は弔電について触れていない。

 触れていなくても、こすからい選挙運動でしかない。

 高木毅「弔電は心を込めて打たせて頂いております。今回はこう言った指摘をマスコミから指摘を受けましたので、今ご指摘の香典、失礼しました、弔電につきましても、その他の支出も含めて、事務所の担当者に点検を指示しているところでございまして、仮に問題があるということであれば、法令に則り適切に処理をしたいと考えております」

 「弔電は心を込めて打たせて頂いております」の人を小バカにしたような言葉を聞くと、かつて参考人招致された国会で太々しい物言いでぬらりくらりと追及をかわした籾井勝人NHK会長そっくりに見えてくる。

 但し小川敏夫の追及が人を小バカにした発言を許していることになる。

 小川敏夫「まあ、単価はランクがあるんで分かりませんが、弔電1通千円とすると、1240通、1日3通も4通も弔電を打っているわけですよ。まあ、そうすると、税金が入っている資金からですね、大臣が恐らく見知らぬ人もあるだろう、新聞に訃報が載った人に全部弔電を打つという支出は別に反省することはないと、そういうお考えですか」

 高木毅「心を込めて亡くなられた方に弔意を表しているというふうに私は思っております。繰返しになりますけれども、今そうした要するに、こういった指摘を受けましたので、他の支出についても事務所の担当者に再点検を指示しているというところでございます」

 開き直りと小バカにした態度を程よく混ぜている。

 小川敏夫「悪いと思っている話はないから、悪いと思っていると思っていないんですね」――

 小川敏夫は高木のかつての下着泥棒疑惑の質問に移るが、そういった事実はないの一点張りの答弁を繰り返し、小川が週刊誌で報道した出版社を名誉棄損で訴えないのか尋ねると、弁護士と相談していると凌ぎ、さらに小川が弁護士と相談するものではない、自身から訴えるべきことで、訴えたいと弁護士に言えば、弁護士は手続きを取ってくれると言っても、「そうしたことも含めて弁護士と相談させて頂いております」と強かに言い逃れる。

 多分、時間を計っていて小川の質問時間がもう少しで切れるのを計算していたに違いない。しかも1日限りの閉会中審議である。高を括ったのだろう。

 例え今回小川敏夫が追及し切れなかったとしても、答弁と異なる事実が出てくると、偽証したことになって、偽証は許されない証人喚問を求められることになる。

 だとしても、小川敏夫自身が今回の質問で追及し切れなかった事実は変わらない。返す返すも事務所から香典を持ってこさせるとき、どういう指示を行ったのか、その指示に対して事務所側はどういう対応で応じたのか、肝心の質問をしなかったことは手ぬるい追及と言わざるを得ない。

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