自民党東京都連の小池百合子都知事選応援自民党区議離党勧告は強きを助け弱きを挫く弱い者イジメの権威主義

2016-09-18 09:42:03 | Weblog

 自民党東京都連が9月16日に党本部で党紀委員会を開き、7月の都知事選で小池百合子を応援した豊島区議5人と練馬区議2人の計7人の離党勧告処分と、10月30日までに離党届を提出しない場合の除名処分を決定した。

 涙が出る程の嬉しい決定で、大きな拍手を送りたい。

 東京10区を選挙区としていた自民党衆議院議員小池百合子が自民党本部の許可を受けずに、当然、自民党東京都連の推薦を受けることはできずに、一旦は提出した推薦願いを自ら取り下げて、反旗を翻す形で2016年7月14日告示の東京都知事選に立候補した。
 
 自民党は小池百合子の立候補以後暫くして、「小池百合子は自民党の人間ではない」(石原伸晃)と除名処分をちらつかせ、小池百合子応援の党員への引き締めにかかった。

 都知事選挙における党紀の保持について

 自由民主党東京都支部連合会
 会長 石原伸晃
 幹事長 内田 茂
 党紀委員長 野沢太三

 今般の参院選では多大なるご尽力を賜り感謝申し上げます。引き続きの都知事選は、本日開催いたしました都連支部長・常任総務合同会議において、わが党の都知事選挙推薦候補に元総務大臣の増田寛也氏(64歳)を決定いたしました。 

 都知事選挙は、東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京都政の舵取り役を決める極めて重要な戦いであります。都連並びに総支部、各級議員が組織総力を挙げて臨まなければなりません。更に党員・党友は団結し、より一層の挙党一致で勝利を目指して奮闘しなければなりません。

このような折、下記に挙げる事項を遵守され、わが党の候補者を強力にご支援下さるよう何卒、ご理解とご協力をお願いいたします。

 記

1、党員は、党の決定した公認・推薦候補者を応援し、党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならないこと。

2、党員は、反対党の候補者を応援し、または党公認・推薦候補者を不利に陥れる行為をしてはならない。

3、各級議員(親族等含む)が、非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象となります。

 ところが、小池百合子が7月31日投開票で自公推薦の2位増田寛也を大差で破り、当選を果たすと、除名処分をしたらケツの穴が小さいと見られる危険性と、利用すべきところは利用しなければならない点、国と東京都が協力して推し進めなけれならない2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えている関係もあって、世界に冠たる日本の大都市東京都の知事と敵対関係を自民党自らが構築することになった場合、多々不都合が生じるからだからだろう、小池百合子に対しては除名処分は見送り、選挙戦当初から夫婦のように小池百合子の横に立って応援していた比例代表東京ブロック選出の衆議院議員若狭勝に対しては二階幹事長が口頭で厳重注意したのみで、早々に幕引きを図った。

 小池百合子は2016年8月4日、自民党本部で自民党幹事長二階俊樹と会談した。

 二階俊樹「自民党として、東京都にどう対処していくかは考えればわかることだ。もう『撃ち方やめ』で、小池都政に積極的に協力していきたい。

 (小池応援の国会議員等の処分について)私は『できるだけ時間を置いて考えるべきだ』と言っており、それでわかるはずだ。選挙のあと次々と処分してどうするのか。都民の審判が下ったことを柱に物事を考えれば、解決の道はある」(NHK NEWS WEB

 東京都の問題や東京オリンピック・パラリピックの問題、更に東京都民の支持と、それと比較し得る国民の支持という点で相手を強い立場に立たせてしまったから、除名は却って不利要件となると見たということなのだろう。もし小池百合子が当選していなければ、本人に対する見せしめばかりか、今後似たような事態を予防するための見せしめとして、小池百合子ばかりか若狭勝も除名処分を以って生贄の血祭りに上げたに違いない。

 もし自公推薦の増田寛也が当選していたなら、勝ち誇った態度さえ見せて除名処分を宣告していたかもしれない。党に逆らったなら、こうなるんだぞと言わんばかりに。

 除名処分を免れた若狭勝は比例代表から選挙区への転身を図るべく、小池百合子が8月14日告示東京都知事選立候補に伴い、公選法の規定に従って衆院議員を自動失職した東京10区の補欠選挙への立候補の意向を示し、9月6日、二階俊博と党本部で会談、出馬の意向を伝え、小池百合子を応援したことに対しては厳重注意処分を受けたのみで済んだ。

 済んだというよりも、自民党側が厳重注意処分のみで済ませたと言った方がより正確であろう。

 東京都知事選に大勝利したばかりの小池百合子が後ろ盾についているとなれば、自民党公認を断り、無所属で立候補されたら、都知事選と同様、分裂選挙となって、勝ち目はないことは予想されるからだ。

 いわば小池百合子に対しても若狭勝に対しても相対的に弱い立場に立つことになってしまったから、下手な対応はできなくなってしまった。それが小池百合子と若狭勝に対する除名処分見送りとなって現れたのであり、小池百合子程の強い立場に立ったわけではない若狭勝に対しては自民党のメンツの手前もあって、形式・儀式の類いに過ぎないが、精々厳重注意処分ができたといったところなのだろう。

 以上の小池百合子と若狭勝に対する自民党の対応の経緯から見ると、自民党東京都連が自民党本部の処分と自分たちの処分とは違うという理由で区議7人に対して離党、もしくは除名による自民党籍からの追い出しにかかったのは、都議に対する処分ではなく、一段低い立場の区議に対するそれであって、例え敵対関係が生じたとしても、自分たちが弱い立場に立たされるわけでもない、いわば相手を強い立場に立たせることもない無視しうる範囲の影響で済むと見ているからであろう。

 要するに処分を決定したなら、自己と相手との立場が強弱いずれかに変化しようと、あるいは強弱いずれかに立っていようと決定した処分通りを実行していたなら、一貫性ある態度となり得るが、立場の強弱の変化や関係に応じで処分を変える。 

 その実態が強い立場に立つことになった対象は処分は見送り、弱い立場の区議に対しては離党勧告処分と10月30日までに離党届を提出しない場合の除名処分の決定という強い態度に出るものである以上、強きを助け弱きを挫く弱い者イジメの構造を持った処分に関わる姿勢と言うことになる。

 地位の上下や立場の強弱に応じて自らの態度を変える。権威主義の行動様式そのものである。

 自民党はこのような権威主義に支配された政治集団であるようだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする