安倍晋三の「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」の誤魔化し 国家はときには国民を平気で犠牲にする

2017-09-19 09:38:46 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


       2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か



 安倍晋三が2017年9月17日、都内開催の「今年中に全拉致被害者の救出を!国民大集会」に出席、スピーチしている。

 安倍晋三スピーチ首相官邸/2017年9月17日)   

 安倍晋三「国民大集会の開催に当たり、一言、御挨拶申し上げたいと思います。

 15年前の今日、平壌で日朝首脳会談が行われ、金正日国防委員長が公式に拉致を認めました。首脳会談の後、両首脳が署名した『日朝平壌宣言』では、『日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる』との認識が共有されています。

 しかしながら、北朝鮮は、国際社会の度重なる警告を無視し、先月29日、一昨日と、我が国上空を通過する弾道ミサイルを立て続けに発射し、さらに、今月3日には、6回目となる核実験を強行しました。これらは、国際社会に対する正面からの挑戦であるとともに、我が国を含む地域の安定と安全、そして、世界の平和に対する、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できません。

 北朝鮮の暴挙を止めるためには、国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力をかけなければなりません。我が国が米国と共に議論を主導し、12日に安保理が全会一致で採択した、格段に厳しい制裁措置を、各国が一糸乱れず、厳格に履行していくことが重要であります。日米韓で連携し、中国、ロシアとも協力しつつ、国連の全ての加盟国が本決議を完全に履行するよう、関係国にしっかりと働き掛けてまいります。

 同時に、北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返す中にあっても、日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません。

 先週の月曜から、家族会、救う会、そして超党派の拉致議連が訪米され、米国政府や議会等に北朝鮮のテロ支援国家再指定等、拉致問題の早期解決に向けた協力を訴えてこられました。私も、今週、国連総会に出席するため訪米いたします。この機会に改めてトランプ大統領に対し拉致問題の早期解決に向けた協力を求めてまいります。また、国連総会における演説において、北朝鮮の問題を中心的に取り上げ、拉致問題についても世界に訴えていきたいと、こう考えております。

 この集会に先立ち、先ほど、御家族の皆様と懇談する機会を頂きました。拉致問題が決して置き去りにされてはならないという強い訴え、そして拉致被害者も御家族も御高齢になられ、もはや一刻の猶予もない中、家族会・救う会の運動方針に盛り込まれた今年中に全ての拉致被害者を救出してほしいという痛切な思いを、伺いました。

 拉致問題の解決に当初から取り組んできた政治家の一人として、また、日朝首脳会談に官房副長官として同席した者として、この15年間、5名の被害者とその御家族しか帰国が実現していないことは、痛恨の念に堪えません。

 拉致問題は、安倍内閣の最重要課題であり、最優先で取り組んでいくという姿勢にいささかの変わりはありません。

 被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない、拉致問題は安倍内閣で解決するとの強い覚悟の下、私が司令塔となって、度重なる北朝鮮の暴挙に対する国際社会からの厳しい圧力をテコとしつつ、北朝鮮に対して、拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。

 拉致問題の解決のためには、日本国民が一致団結して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意志を示すことが重要です。私もまた、皆様と心を一つにしながら、拉致問題解決に向け全力を尽くしてまいります。北朝鮮との、最終的には交渉をしなければならないわけであります。極めて難しい課題ではありますが、皆様と共に、日本国民と共に一日も早い被害者の帰国を目指して全力を尽くしていくことをお誓いいたしまして、総理大臣としての御挨拶とさせていただきます。全力を尽くしてまいります。ありがとうございました」

 安倍晋三の「被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない」は耳にタコができる程に耳にしたが、何度口にしているのだろうか。その覚悟で口にしているのだろうか。

 「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」と言い、「最優先で取り組んでいくという姿勢」に変化はないと宣言している。

 と言うことは、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験・ミサイル搭載目的の水爆小型化実験を国際的な安全保障上の脅威と見做して「国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力」を掛け、阻止する安倍晋三の日本の安全保障政策よりも拉致問題を最優先させていなければ、言っていることは誤魔化しそのものとなる。

 逆に対北朝鮮最大限圧力の安全保障政策を「安倍内閣の最重要課題」とし、「最優先で取り組んでいくという姿勢」が実情となっているとしたら、拉致問題は対北朝鮮ミサイル開発・核開発阻止の二の次だと正直に言わなければ誤魔化しを働いていることになる。

 大体が残すところ後3カ月の今年中に全拉致被害者救出の目途が立っていなければ、「今年中に全拉致被害者の救出を!」と謳った国民大集会に出席してスピーチすること自体が図々しいまでの誤魔化しそのものであるし、「北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返す中にあっても、日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません」と言っていることも拉致問題を対北政策よりも二の次としていることの現れであって、この点にも誤魔化しがあることになる。

 ある問題の埋没しかねない状況というのは非優先の取扱い、あるいは二の次の取扱いとなっていることからの危惧であって、最優先の取扱いとなっていたら、埋没とは反対の常に目の前に浮上している問題となって、「埋没」などという言葉は出てこない。

 要するに安倍晋三自身がそういう言葉を使うこと自体、あるいは使わなければならない状況にあること自体が拉致問題を置き去りにしているからであろう。

 更に言うと、「国連総会における演説において、北朝鮮の問題を中心的に取り上げ、拉致問題についても世界に訴えていきたい」との文言にしても、取り上げるべきことは北朝鮮問題が中心であって、その中心問題に「拉致問題についても」と追加させていることも、「安倍内閣の最重要課題」、「最優先で取り組んでい」ることが北朝鮮問題であって、拉致問題を二の次としている姿勢の現れそのものであって、「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」と言っていることの誤魔化しは計り知れない。

 逆であるなら、「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題であるが、北朝鮮の挑発行為も疎かにはできない」、あるいは「国連総会における演説において、拉致の問題を中心的に取り上げ、北朝鮮問題についても世界に訴えていきたい」と優先順位を逆転させなければならない。

 対北朝鮮ミサイル開発阻止・核開発阻止があくまでも主であって、拉致問題が従となっているから、「日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません」と言いながら、埋没させないための方法を「拉致問題についても世界に訴えていきたい」と、言葉で訴えることしか提示できないことになる。

 言葉の訴えで終わらせるのではなく、北朝鮮問題が安全保障上「最優先で取り組んでいく」「安倍内閣の最重要課題」であることを前提としていたとしても、いわば拉致問題を二の次に置いていたとしても、対北朝鮮圧力を拉致解決へとどう繋げていくのか、その方策を国民の前に提示しなければならないはずだ。

 提示しないままに一方で「国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力をかけなければなりません」と言い、他方で「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」、あるいは 「最優先で取り組んでいくという姿勢にいささかの変わりはありません」と言っていることも誤魔化しそのもとなる。

 問題は拉致問題に関わるこのような誤魔化しは安倍晋三自身が気づいていなくても、拉致被害者を犠牲にすることによって成り立つということである。

 犠牲とは何も命を奪うことだけを意味しない。拉致を解決できなくて北朝鮮で生活する時間を長引かせてしまい、逆に日本に帰って生活する時間を奪うことになっていることも犠牲を強いていることになる。時間が経てば経つ程に精神面の命を削り奪い取る犠牲となって跳ね返っていく。

 安倍晋三は対談集『この国を守る決意』で「命を投げ打ってでも(国を)守ろうとする人がいない限り、国家は成り立ちません」と国民の国家への犠牲を最大の国家奉仕と考えている政治家である。戦前の国家がそうであったように国家はときには国家主義の立場から国民を平気で犠牲にする。安倍晋三は戦前の国家と簡単に同列に立つことができる位置にいる。

 安倍晋三のこのような国家主義的な姿勢が拉致被害者の精神面の命を削り奪い取る犠牲に繋がる危険性があるにも関わらず、具体的な動きも見せずに「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」だと言う誤魔化しは拉致被害者や拉致被害者家族だけではなく、国民に対する誤魔化しでもある。

 森友疑惑・加計疑惑に関わる国会答弁の誤魔化し、アベノミクスにおける不都合な統計隠しの誤魔化し、選挙での国民に不人気な政策の争点隠しの誤魔化し等々、安倍晋三は様々な誤魔化しを国民に対して働いている。

 いわば数々の誤魔化しが首相延命の手段となっている。

 誤魔化しを得意とする一国の指導者程、危険な存在はない。

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