安倍晋三は北朝鮮暴発皆無の圧力強化方法のシミュレーションを国民に示すべき

2017-09-22 11:40:17 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 安倍晋三が2017年9月21日、ニューヨークは国連総会で一般討論演説を行った。例の如く一人舞台のような高揚感を味わったに違いない。但し大勢の各国関係者相手に専属のスピーチライターが書いた原稿の一連の言葉に舞台の役者のように自身の思いを乗り移らせて説得力を持たせて読み上げることで生み出すことができる高揚感に過ぎないはずだ。

 「安倍晋三国連総会一般討論演説」首相官邸/2017年9月20日)      
 
 人間、地球及び繁栄のための行動計画である「持続可能な開発目標」の実施や女性起業家を資金で支える「女性起業家資金イニシアティブ」、全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを必要な時に支払い可能な費用で受けられる状況構築の「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」等、「語るべきことの,リストは長い」が、それらを省いて「私の討論をただ一点,北朝鮮に関して集中せざるを得ません」と限定、北朝鮮に対するミサイル開発放棄と核開発放棄に向けたこれまでの対話の努力が全て無に帰したこと、それらを放棄させるためにはもはや圧力しか残されていないと強く非難、一般演説はそのことに多くが費やされた。

 安倍晋三「我々が営々続けてきた軍縮の努力を,北朝鮮は,一笑に付そうとしている。不拡散体制は,その,史上最も確信的な破壊者によって,深刻な,打撃を受けようとしている」・・・・・・・・

 安倍晋三「冷戦が終わって二十有余年,我々は,この間,どこの,どの独裁者に,ここまで放恣にさせたでしょう。北朝鮮にだけは,我々は,結果として,許してしまった。
 それは我々の,目の前の現実です。

 かつ,これをもたらしたのは,『対話』の不足では,断じてありません」・・・・・・・・

 だが、安倍晋三はかつて金正日から金正恩への独裁権力の父子継承に拉致解決のために一度は期待をかけた。

 2012年8月30日、フジテレビ「知りたがり」

 安倍晋三「ご両親が自身の手でめぐみさんを抱きしめるまで、私達の使命は終わらない。だが、10年経ってしまった。その使命を果たしていないというのは、申し訳ないと思う。

 (拉致解決対策として)金正恩氏にリーダーが代わりましたね。ですから、一つの可能性は生まれてきたと思います」

 伊藤利尋メインキャスター「体制が変わった。やはり圧力というのがキーワードになるでしょうか」

 安倍晋三「金正恩氏はですね、金正日と何が違うか。それは5人生存、8人死亡と、こういう判断ですね、こういう判断をしたのは金正日ですが、金正恩氏の判断ではないですね。

 あれは間違いです、ウソをついていましたと言っても、その判断をしたのは本人ではない。あるいは拉致作戦には金正恩氏は関わっていませんでした。

 しかしそうは言っても、お父さんがやっていたことを否定しなければいけない。普通であればですね、(日朝が)普通に対話していたって、これは(父親金正日がやってきたことを)否定しない。

 ですから、今の現状を守ることはできません。こうやって日本が要求している拉致の問題について答を出さなければ、あなたの政権、あなたの国は崩壊しますよ。

 そこで思い切って大きな決断をしようという方向に促していく必要がありますね。そのためにはやっぱり圧力しかないんですね」――

 要するに拉致は父親の金正日の犯罪であって、息子の金正恩の犯罪ではない。だが、父親の拉致犯罪を息子として「間違っていました」とは否定できない。そこで「拉致の問題について答を出さなければ、あなたの政権、あなたの国は崩壊しますよ」と圧力をかけて「大きな決断をしようという方向に促してい」けば、拉致は息子の金正恩の犯罪ではないから、「一つの可能性は生まれてきたと思います」と言って、独裁権力の父子継承に期待を掛けた。

 2014年5月26日から5月28日までスウェーデン・ストックホルムで開催の日朝政府間協議で北朝鮮は「特別調査委員会」を立ち上げて、拉致被害者を始めとするすべての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を約束した。

 この約束に応じて安部政権は北朝鮮側の調査開始時点での制裁一部解除の方針を北朝鮮側に伝えた。

 その後調査がなかなか開始されないために約束の履行を求める目的で2014年7月1日に中国・北京で日朝政府間協議を開催する予定を組んだ。

 ところが北朝鮮は中国・北京で日朝政府間協議7月1日開催予定の2日前の6月29日に6月26日に引き続いて短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。政府は拉致問題とミサイル発射を別問題とし、制裁解除方針は維持、政府間協議をそのまま開催することにした。

 開催の結果、北朝鮮は調査を開始し、最初の調査結果の通報時期を「夏の終わりから秋の初めごろ」との見通しを示した。日本側は2014年7月4日、北朝鮮側から調査開始の報を受け、調査の実効性が確認できたとして、アメリカが懸念を示したものの日本独自に科してきた人的往来や送金などの経済制裁の一部を解除した。

 2014年7月3日。

 ローズ大統領副補佐官「オバマ大統領も日本政府が拉致問題の解決に重点を置いていることはよく理解しているが、北朝鮮の核問題に関して多国間で科している制裁を犠牲にすべきではない。われわれは結束して圧力をかけ続ける必要がある」

 北朝鮮は制裁解除決定の5日後の7月9日早朝に複数の弾道ミサイルを日本海に向けて発射、安倍政権は抗議したものの、一方で慎重に状況を見極めるという態度を取り、7月13日に安倍晋三は「先般の合意に従って北朝鮮に調査を進めていくよう求めていきたい。問題解決に向けた我々の取り組みにミサイル発射が影響を及ぼすことはない」(時事ドットコム)と言明、ミサイル発射、いわば大目に見た。

 北朝鮮は一度は約束した「夏の終わりから秋の初めごろ」とした最初の報告は夏の終わりになっても、秋の初めになってもなく、確認のための日朝政府間協議を開くが、結局のところ、梨の礫で終わることになった。

 10月22日の首相官邸でのぶら下がり記者会見。

 安倍晋三「この問題を解決しなければ北朝鮮の将来はないと、そう考えるようにしなければならないと、ずっと主張し、それを主導してきました。その上において対話を行っていく。まさにその上において今対話がスタートしたわけです。北朝鮮が『拉致問題は解決済み』と、こう言ってきた主張を変えさせ、その重い扉をやっと開けることができました」(産経ニュース

 金正日から金正恩への独裁権力の父子継承に一つの可能性が生まれたとして拉致解決の期待をかけ、「こうやって日本が要求している拉致の問題について答を出さなければ、あなたの政権、あなたの国は崩壊しますよ」、あるいは「解決しなければ北朝鮮の将来はないと、そう考えるように」と思わせて大きな決断を仕向けようとした自身の思惑で金正恩をコントロールしようとしたものの、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」という態度を再び取るようになったために夢のまた夢と終わった恨みつらみが、外国を何回訪問した、外国首脳と何回会談を開いたと自らの外交手腕を誇っている手前、なおさらに今回の国連総会一般演説での対北朝鮮批判にも色濃く反映されることになったに違いない。

 安倍晋三「議長,同僚の皆様,国際社会は北朝鮮に対し,1994年からの十有余年,最初は『枠組合意』,次には『六者会合』によりながら,辛抱強く,対話の努力を続けたのであります。

 しかし我々が思い知ったのは,対話が続いた間,北朝鮮は,核,ミサイルの開発を,あきらめるつもりなど,まるで,持ち合わせていなかったということであります。

 対話とは,北朝鮮にとって,我々を欺き,時間を稼ぐため,むしろ最良の手段だった」・・・・・・・・。

 安倍晋三「対話による問題解決の試みは,一再ならず,無に帰した」・・・・・・・・

 安倍晋三「北朝鮮に,すべての核・弾道ミサイル計画を,完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で,放棄させなくてはなりません。

 そのため必要なのは,対話ではない。圧力なのです」・・・・・・・・

 圧力の最善・的確な方法として加盟国全てに安保理決議の完全な履行を求めた。

 安倍晋三「北朝鮮に,累次の決議を,完全に,履行させる。

 全ての加盟国による,一連の安保理決議の,厳格かつ全面的な履行を確保する。

 必要なのは,行動です。北朝鮮による挑発を止めることができるかどうかは,国際社会の連帯にかかっている」・・・・・・・・

 安倍晋三は力強く宣言している。「全ての加盟国による,一連の安保理決議の,厳格かつ全面的な履行を確保する」ことによって「北朝鮮に,すべての核・弾道ミサイル計画を,完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で,放棄させなくてはなりません」

 しかし安倍晋三はこの先のことには一言も触れていない。「安保理決議の,厳格かつ全面的な履行」を原因として「核・弾道ミサイル計画」の「放棄」という結果を認識するのみで、可能性としてあるかもしれない原因と結果の食い違いについての認識はどこを探しても見当たらない。

 前者の原因と結果に調和を持たせるとしたら、金正恩は圧力によって追いつめられたとしても、何もせずに大人しく放棄に応じることが絶対条件となる。

 後者の思惑とした原因と結果の食い違いとして誰もが考えるケースは独裁者が陥りやすい自己完璧性・理想自己に拘って大人しく放棄に応じることを考えずに軍事的反撃に出る、いわゆる決してないとは言えない暴走の突発であろう。

 拉致を解決しなければ北朝鮮の未来はない、金正恩の政権、北朝鮮という国は崩壊すると原因と結果を見込んだ自身の思惑で一度は金正恩をコントロールしようと願ったが、その思惑が物の見事に外れた失敗例を教訓とすると、自身が思惑としている圧力に対して大人しく「核・弾道ミサイル計画」を「放棄」するとしている原因と結果の調和にしても、必ずしも成功を約束してはいないことになる。

 と言うことなら、安倍晋三は北朝鮮に対していくら圧力を強化したとしても金正恩が大人しく「核・弾道ミサイル計画」を「放棄」することになる、いわば軍事的に暴発を誘発させることのないシミュレーションを国民に示さなければ、スピーチで言っていることの正当性を与えることも、責任を果たしたことにもならない。

 示すことができたとき、発言の責任を果たすことになるだけではなく、日本国民のみならず、他の国の国民も、安倍晋三の圧力一辺倒の対北朝鮮政策を安心して見守ることができるし、国民の生命と安全にも繋がることになる。

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