竹下亘の北朝鮮ミサイル「島根に落ちても意味ない」は自分の選挙区でなければどこでもいいと言う自己中心

2017-09-05 10:30:33 | 政治

 国連安保理は北朝鮮の7月の二度のミサイル発射実験に対して8月5日、一段と厳しい対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。北朝鮮はこの決議に反発、北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍報道官は米戦略爆撃機による朝鮮半島周辺での訓練実施を非難し、米国に厳重な警告メッセージを送るため北太平洋の米領グアム島周辺30~40キロの水域に着弾する中距離弾道ミサイル「火星12」で「包囲射撃する作戦計画」を慎重に検討、近く最高司令部に報告され、金正恩朝鮮労働党委員長が決断すれば、任意の時間に同時多発的、連発的に実行されるとの8月8日付の声明を発表した。(「時事ドットコム」)  

 声明はグアム向けミサイルの飛行コースに島根県、広島県、高知県の上空を挙げていたと言う。

 政府は8月12日、北朝鮮ミサイル発射に備えて中国・四国の4カ所に地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の配備を行った。

 自民党総務会長竹下亘(70歳)の9月3日(2017年)広島市で開かれた党の会合での発言。選挙区は島根県第2区。

 竹下亘「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない。あれだけ実験したので、多少、安心していた。東京や大阪、あるいは、アメリカ軍の基地を狙ったものが間違って島根に落ちることはないと思っていた。

 この上を通過するというから、もう一回考え直して、いろんな対応をしていかなければならない。国家というのは何のために存在するか。いちばんは国民の命と暮らしを守ることだ」(NHK NEWS WEB)  
 
 参考までに「時事ドットコム」記事から。  

 竹下亘「広島はまだ人口が(多く)いるが、島根に落ちても何の意味もない。(ミサイル技術の)精度が上がり、東京や大阪、米軍基地を狙ったのが間違って島根に落ちることはないと多少安心していた。

 (島根上空を)通過すると言うから、考え直していろいろ対応していかなければならない」

 帰京後、記者団に「島根には米軍基地があるわけでもなく、軍事戦略上意味がないという趣旨で言った」

 常に絶対ということはあり得ない。旅客機は目的地まで飛ぶように設計されている。だが、ときに墜落して、多くの乗客の命を奪う。だから政府は発射に失敗して日本に落下した場合に備えてPAC3を配備した。

 北朝鮮がミサイルを発射した場合、アメリカの早期警戒衛星が最初に発射をキャッチしておおまかな発射場所や発射の方向などを割り出し、この情報を元に日本近海に展開する海上自衛隊のイージス艦が追尾、日本国内落下の予測の場合は迎撃ミサイル「SM3」で撃墜、迎撃が失敗した場合は航空自衛隊の地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」が地上近くで迎撃する二段構えになっているそうだが、この二段構え自体が絶対はあり得ない証明となっている。

 いわば「PAC3」の迎撃自体が常に絶対ということはあり得ない。常にそういった危機管理の元、備えなければならない。

 こういったことを踏まえて竹下亘の発言を見なければならない。

 「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない」

 この言葉は広島の方が島根よりも人口が多いから、人口の少ない島根に落ちるよりも、人口の多い広島に落ちる方が自身にとって意味があると言っていることになる。

 但しこのことは北朝鮮にとっても意味があるとしていることになる。北朝鮮からしたらミサイル発射に失敗しても、結果的により大きい被害を与えた方が思わざる成果となるだろうからである。

 要するに自分の選挙区に落ちなければ構わないという自己中心の考え方からの発言となっていると言うだけではなく、本人はそのつもりはなくても、北朝鮮の立場に立ってより大きい被害を望んだことになる。

 北朝鮮は実施を現在のところとどまっているが、島根県、広島県、高知県の上空を通過させてグアム島周辺30~40キロの水域への着弾を目指したミサイル発射を予告した。

 日本に落下する場合は、発射が失敗し、失敗による日本落下を見越して海上自衛隊イージス艦の迎撃ミサイル「SM3」が海上での前以っての撃墜を試すも失敗し、尚且つ地上の「PAC3」による地上近くの迎撃も失敗した場合ということになる。

 となると、落下地点は島根県、広島県、高知県の飛行コース下に限らないケースも生じることになって、発射前から広島、島根の選択自体が意味が無いことになる。
 
 竹下亘は自己中心の性格をしているだけではなく、物事を論理的に思考する能力をも欠いているようだが、大体からして自己中心的な人間は論理的思考欠如を背中合わせとしている。

 「東京や大阪、あるいは、アメリカ軍の基地を狙ったものが間違って島根に落ちることはない」は発射が失敗した場合を前提とすると、危機管理の点から言って、少なくとも大阪を狙ったミサイルが島根に絶対に落ちない保証はないことになる。

 京都府や兵庫県、広島県にある米軍基地を狙って、それが失敗して飛行コースを外れた場合、島根に落下しない保証もないことになる。

 自身の選挙区のことしか頭にない自己中心の考えでいるから、論理的に把えることができずに、何でも単純化してしまう。 

 こういった思考能力からすると、「国家というのは何のために存在するか。いちばんは国民の命と暮らしを守ることだ」は取ってつけた言葉でしかないことになる。「国民の命と暮らしを守る」ことを心底考えていたなら、「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない」という言葉は出てこないだろう。

 広島の住人だろうが島根の住人だろうが、日本の国民に変わりはないからだ。広島はいいけど、島根はダメだという考えは国民として選別していることになる。

 要するに竹下亘にとっての「国民の命と暮らしを守る」は単なるスローガンとして身についている言葉に過ぎない。

 竹下亘は翌9月4日になって、自身の発言を記者団に対して釈明している。

 竹下亘「北朝鮮が戦略的に島根を狙ってくることはないだろうという思いを話した。離島であろうと、島根であろうと、ミサイルが落ちれば日本の安定に極めて重大な事態だ。

 昨日の挨拶の中では、『国家の存在は、国民の命と暮らしを守ることが第一義だ。あらゆる対応をしていかなければならない』とも話した」

 記者「発言は不適切と考え、撤回する考えはあるか」

 竹下亘「どこが不適切なのか教えてもらえれば考える」(NHK NEWS WEB)  

 竹下亘は自己中心的で論理的思考を欠いていると書いた。上の発言も当然、この範囲内の傾向にあることになる。

 「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない」が「北朝鮮が戦略的に島根を狙ってくることはないだろうという思いを話した」に変わっている。

 後者の思いが前者の言葉にどう繋がっていると言うのだろうか。確かに戦略的な意味で直接的な島根ミサイル照準は非現実的であり得ない話かもしれないが、その非現実性は前者の可能性としての現実性に繋がりようはないし、発言の前提そのものを誤魔化し、なかったことにしている。

 竹下亘の「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない」は北朝鮮が対米威嚇の意味で島根県、広島県、高知県の上空を通過させてグアム島周辺を目標地点にミサイル発射を予告したことから始まっていて、発射が失敗した場合の飛行コース下の落下を前提として、人口の多さから広島に落下した方が意味があると自身の選挙区に落ちなければいいという自己中心的な考えで言い、結果として北朝鮮の立場に立って被害の大きさを意図せずに意味あることとした。

 但しどう前提を変えようとも、「北朝鮮が戦略的に島根を狙ってくることはないだろうという思いを話した」は戦略的に狙う意味があるかないかを基準にして狙う意味が無いからとミサイル攻撃対象から島根を外した文意を取ることになる。

 と言うことは、「離島であろうと、島根であろうと、ミサイルが落ちれば日本の安定に極めて重大な事態だ」と言ってはいるものの、言葉とは裏腹に本人が気づいていないだけのことであって、戦略的に狙う意味がある他の場所はミサイル攻撃対象となり得ると示唆した意味を取ることになる。

 このことは、「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても、何の意味もない」と言ったことと、「北朝鮮が戦略的に島根を狙ってくることはないだろうという思いを話した」と言っていることは、自身の選挙区である島根は困るが、他の場所は構わないという意味で本質的には殆ど変わらないことになる。

 後者の発言も前者の発言同様に自己中心的で論理的思考を欠いている点で同質の体裁を纏っていることになる。

 記者の「発言は不適切と考え、撤回する考えはあるか」の問いに竹下亘は「どこが不適切なのか教えてもらえれば考える」と答えているが、日本という国全体の生命の安全に関わる安全保障を選挙の地元の生命の安全のみをモノサシにするしか考えることができないのは明らかに不適切な発言以外の何ものでもなく、そのような政治家が国会議員を務め、自民党の役職に就いている。

 任命責任者である自民党総裁安倍晋三の安全保障観自体を疑うことになる。

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