安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
加計学園事務局長渡邉良人が5月31日(2018年)午前、愛媛県庁を訪れて安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎とのニセ面談情報を(本人はそうは言っていないが)愛媛県と今治市に流したのは自分だと謝罪したことを5月31日付でマスコミが伝えていた。
5月21日(2018年)、中村時広愛媛県知事が参議院から要請のあった加計学園獣医学部新設に関わる文書を提出。2015年3月の「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者等との打ち合わせ会について」と題した文書に、〈加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申し出があり、3月3日、同学園関係者と県との間で打ち合わせ会を行った。〉とあり、加計学園からの報告の一つとして、〈2/25に理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医学大学の考えはいいね。」とのコメントあり。〉と出ている。
中村愛媛県知事が参議院に愛媛県の新文書を提出した5月21日から4日後の5月26日に加計学園は上記面談を否定するコメントを発表している。
そこには、〈当時は、獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で、構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば、活路が見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えてしまったように思うとのことでした。〉と、ニセ面談情報考案の理由と目的が書かれている。
そして5月31日の加計学園事務局長渡邉良人の愛媛県庁謝罪訪問。2018年5月31日付「朝日デジタル」記事が謝罪の動画を載せていたから、文字に起こした。
渡邉良人「このたびは愛媛県に対し多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく思っております。お詫びを申し上げます。(一礼)
あの、実際、総理と理事長が面会をしたということについてはですね、これはこちらの方で、えー、そういうことを言ったのかなと、いうことで、覚えてなかったんですね。3年前のことですから。
それで、ちょっと、あの、ま、県の方がですね、ああいう文章を、何もなく書くということはないということで自分が思い出す限りはですね、あのときに、多分、自分が言ったんだろうというふうに思います。
県の方がですね、何もないところで書くいうことはあり得ないと、いうふうなことから逆算しましてですね、もしあのとおりのメンバーから言えば、もう僕しか言うのはおらないだろうということで――」
記者(テロップ)「国会で説明責任を果たすべきだとの意見があるが?」
渡邉良人「そうですね。何もそういうふうなことがないもんですから、説明をする必要もないんじゃないかなと思うんですけども、結局そういう思いで以ってですね、説明したんじゃないかなと思います」
記者(テロップ)「渡邉事務局長自身が嘘をついた?」
渡邉良人「えー、まあ、ウソ、ウソをついたと言いましょうか、あのー、結局そういう思いで以ってですね、説明、県に説明したんじゃないかと思います」
記者(テロップ)「ウソを元に公金が出された」
渡邉良人「ウソで以ってですね、認可になっているとは思ってませんで」(聞き取れない箇所あり)
「3年前のこと」だから、「そういうことを言ったのかな」、「県の方がああいう文章を何もなく書くということはないから、多分、自分が言ったんだろうというふうに思う」、あるいは「あのとおりのメンバーから言えば、もう僕しか言うのはいない」等々、安倍晋三と加計孝太郎が2015年2月25日に面談したこと、その会話の一部を紹介したこと自体は覚えていないが、あくまでも県の文書の記載から「逆算」した結果、ニセの面談を報告したのは自分の仕業に違いないと推測しているに過ぎない。
いくら加計学園獣医学部認可を実現させるためとは言え、いや、実現させる一助とするために一国の首相である安倍晋三を相手に自分のところの理事長とのありもしなかった面談の事実をデッチ上げたことの大それたことをしたという深刻な思いも罪の意識からの反省も発言からは窺うことはできない。
このことは発言中の顔の表情にも見えた。深刻に受け止めている様子は探すことはできなかった。
いくら覚えていなくても、愛媛県文書の記載から「逆算」して、一国の首相との面談をデッチ上げ、ニセの面談情報で獣医学部新設認可を有利に運ぶべく不当利益を意図したのが自分である可能性が否定できない以上、大それたことをしたことの反省くらいは示していいはずだが、僅かでも示してはいなかった。
この誤魔化しでいけば、十分に誤魔化せると高を括っているのかもしれない。
渡邉良人は面談を否定するコメントを出すについても、自身が愛媛阿県庁に赴いてニセ面談情報の提供を謝罪するについても、愛媛県の新文書の大方を読んでいなければならない。なぜなら、文書の大方を読んでいなければ、否定も謝罪も、文書全体に書いてある事実それぞれと整合性が取れていなければ、否定コメントが否定とならず、謝罪が謝罪とならない可能性が生じる恐れが出るからなのは言うまでもない。
昨日のブログにも書いたが、《県・市と加計学園との事情打合せにおける渡邉事務局長主な発言》と題する愛媛県新文書No.7の中に2015年4月2日の首相秘書官柳瀬唯夫との首相官邸面会当日の面会直前なのか、当日以前なのか分からないが、加計学園事務局長渡邉良人の発言として、〈先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったことに対し、理事長から柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように言われている。同秘書官からも、本日、その点を質問される可能性があり、県・今治市から、100%の回答にはなっていないが、ちゃんと昨年12月26日にペーパーにより文部科学省に直接説明している旨を回答してほしい。〉と記載されている。
この発言の主意を解くと、下村博文が加計学園に対して文科省として望む獣医学部の形態に添う課題を出したが、何の回答もないと言って、自身も同席していた安倍晋三と会食していた加計孝太郎に「けしからん」と伝えた。伝えられた加計孝太郎は自身の学園の事務局長である渡邉事務局長に対して会食後、2015年4月2日の首相官邸での面会が決まってからだろう、このことを柳瀬唯夫との面会の際に「柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように」と指示したということになる。
と言うことは、この指示自体が安倍晋三と加計孝太郎とが下村博文を加えて会食し、獣医学部について話し合ったことを事実中の事実とする渡邉良人による間接的証言ということになる。
首相秘書官の柳瀬唯夫は2015年4月2日の愛媛県・今治市、加計学園関係者との首相官邸面会時に、〈加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ〉今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい。〉と、愛媛県新文書は柳瀬唯夫の発言を記している。
いわば渡邉良人は首相官邸でも、安倍晋三と加計孝太郎とが下村博文を加えて会食し、獣医学部について話し合ったことを事実とする発言を行った。
2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎の面談はデッチ上げ情報だといくら否定したとしても、愛媛県と今治市職員、さらに渡邉良人とその他が首相官邸を訪問した2015年4月2日から遡って「先日」という近い過去に安倍晋三と加計孝太郎が下村博文を交えて会食し、獣医学部について話をしていた事実までも否定しないことには安倍晋三が今治市新設獣医学部の事業主体が加計学園であることは2017年1月20日になるまで知らなかったとしていることに対して前者の否定は意味を失うことになる。
渡邉良人は愛媛県文書の大方を読んでいるはずだから、両方の面会を否定しなければならなかったはずだが、片方の面会しか否定していない。それとも2015年4月2日から指した「先日」が2015年2月25日だとしたら、2015年2月25日の面会の否定だけで足りることになる。
但し否定を完璧とするためには、いわば面会がニセ情報であることを証明するためには、渡邉良人は2015年2月25日の面会と2015年4月2日から指した「先日」の面会が同じだったと証明しなければならない。
勿論と言うべきか、首相秘書官柳瀬唯夫は2018年5月10日の参考人招致で下村博文「けしからん」発言の対応策を4月2日の首相官邸で渡邉良人から求められたことを「全く記憶にない」と答弁し、安倍晋三も「加計理事長とそしてまた下村大臣と、三人で会食したことはございません」と会食否定の国会答弁をしているが、愛媛県職員が柳瀬唯夫と同じテーブルに座って、直接耳にした発言をメモに取り、あとで纏めて文書にしたであろう事実性に基づいて記録した内容である。
柳瀬唯夫の記憶にない答弁、さらには安倍晋三の会食否定の国会答弁に対して愛媛県職員が加計学園理事長渡邉良人と首相秘書官柳瀬唯夫が交わした発言をそのまま記録した事実性と比較してどちらにより信憑性が高いと言うことができるだろうか。
と言うことなら、渡邉良人は2015年2月25日の面会と2015年4月2日から指した「先日」の面会が同じ面会であったことを証明するだけではなく、《県・市と加計学園との事情打合せにおける渡邉事務局長主な発言》の中に記載されている自身の発言を愛媛県側が文書に記録することで示した事実性を打ち砕く方法で否定して初めて面会の事実の否定も愛媛県に対する謝罪も不足のないものとなる。
いわば単に自分はそのような発言はした記憶はありませんと記憶頼りの否定をするだけではなく、愛媛県職員が柳瀬唯夫と同じテーブルに座って直接耳にした事実性自体を合理的な言葉遣いで打ち砕かなければならない。
例えば、「絶対に言っていないことは確信を持って言うことができる。言っていないことを書いた愛媛県職員はどうかしていたのだ。精神鑑定に回すべきだ」ぐらいは言うべきだが、それでも言葉遣いの合理的は不足する。