加計孝太郎2018年6月19日記者会見:ウソや不誠実さの存在は逆に面会は事実であることを物語っている

2018-06-22 11:53:02 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 中村愛媛県知事による2018年5月21日参議院提出の加計学園関係の文書に一つに2015年2月25日に安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎が15分程度の面会を行い、獣医学部について話し合ったことが記載されていた。

 対して加計学園は参議院提出5月21日5日後の5月26日に〈当時は、獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で、構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば、活路が見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えてしまったように思うとのことでした。その結果、当時の担当者の不適切な発言が関係者の皆さまに、ご迷惑をお掛けしてしまったことについて、深くおわび申し上げます。〉といった面談を否定するコメントを発表した。

 対して中村愛媛県知事が5月29日に「これだけの問題なら最高責任者が説明するのが当然。それが学園の信頼を確保することになる」、あるいは「一般論として、偽りなら謝罪、説明し、責任者が記者会見するのが世の中の常識」と加計孝太郎本人の県への説明や記者会見での説明を求めたところ、加計孝太郎本人ではなく、加計学園事務局長渡邉良人が5月31日午前、海外出張で中村知事不在中の愛媛県庁を訪れて謝罪、その後記者団に、「3年前のことだから、覚えていなかったが、2015年4月2日に首相官邸を訪れて柳瀬秘書官に面会したメンバーから言えば、そういうことを言うのは自分しかいない」などと不確かな証言で済ましている。

 要するにコメントどおりに安倍晋三と加計孝太郎との面会は“活路を見い出すための誤った情報”で通したことになる。

 中村愛媛県知事は渡邉良人の愛媛県庁訪問・謝罪に対して6月1日、「ウソを1回ついたら、またウソをつかなければならなくなる。1カ所が崩れると、ほかとの辻褄や整合性が問題になるケースがある。問題になっているのは経営のコンプライアンスだ。トップの方が丁寧に説明した方がいい」(NHK NEWS WEB)と加計孝太郎本人の記者会見説明を求めた。

 この中村知事の要求に対して加計孝太郎本人は音無しの構えでいたが、2週間以上も過ぎた6月19日になって加計孝太郎本人が突如として記者会見を開いた。但し地元記者限定の記者会見だったという。

 この6月19日は愛媛県が文書を参議院に提出した5月21日から約1カ月、渡邉良人の愛媛県庁訪問・謝罪の6月1日から2週間以上経過した余りにも後手の対応であることにプラスすること地元記者限定の記者会見という措置は正々堂々とした姿を窺うことができないばかりか、逆に不誠実や後ろ暗さを見ないわけにはいかない。

 この記者会見の動画をネットで探したところ、「日テレNEWS24」から「前編」「後編」を見つけて、文字化してみた。但し記者の質問の声が響いて殆ど聞き取りにくく、一応聞き取ることができた会話は何度も聞き返してやっと纏めることができたが、ところどころしか聞き取れないところは大体のことを書き記し、文字に起こすことができない箇所はクエスチョンマークに置き換えることにした。加計孝太郎の発言で質問の大まかな内容を推量するしかなかった。
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 2018年6月19日加計孝太郎記者会見 

 加計孝太郎「ただいまご紹介いただきました加計でございます。本日は緊急報告会見を開きましたけど、多数の報道関係者の皆様方にお集まりを頂きまして、誠にありがとうございます。

 (老眼鏡をかけて原稿を読む)それでは先ず報告会見の前に昨日大阪府北部を震源とする震度6弱の地震発生につきまして大阪府を中心に犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 それでは報告会見を始めさせて頂きます。先ず愛媛県が国会に提出された文書を巡り学園職員が起こしました不適切な言動につきまして愛媛県民、今治市民に加えて愛媛県関係者、今治市関係者の皆様方に多大なるご迷惑・ご心配をおかけ致しましたことを学園の代表者として深くお詫びを申し上げる次第であります。

 また大学生・保護者の皆様方、学園関係者並びに多くの皆様方に多大なご心配をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございませんでした。重ねて心よりお詫びを申し上げます。(一礼)

 本日理事会を開催し、コンプライアンスを正常に行うために当該職員の処分並びに監督者である私の処分は合わせて決定致しましたのでご報告を致します。処分内容につきましては当時の学園担当者に対し本日付けで月額給与の10%を6カ月減給する処分と致します。また私自身も最終責任者としての監督責任を明らかにするため、給与の月額10%、12カ月間、自主返納することと致します。

 加えて二度とこのようなことが起きないよう、学園内のコンプライアンスの徹底を図るため、コンプライアンス推進室を活用し、弁護士などの助言を受けながら、ガバナンスを強化していくこともご報告をさせて頂きます。

 本学園としては感染症対策や獣医師の育成など地元に貢献できる大学作りをしていくため、今後とも教育と研究に更に真摯に取り組んで参る所存でありますので、どうぞ、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 司会「続きまして岡山理科大学長の柳沢康信より獣医学部の目指すところと現場につきましてご報告させて頂きます」、

 柳沢康信「今紹介頂きました岡山理科大学学長の柳沢です。どうかよろしくお願いします。あの、皆さんご存知のように岡山理科大学獣医学部は国家戦略特区の枠組みで日本で52年ぶりに認められた特別な使命を帯びた獣医学部です。近年でエボラ出血熱やデング熱、ジカ熱やサーズ(SARS・重症急性呼吸器症候群)など多くの感染症は動物由来だということが明らかになり、動物から人にうつる病気に獣医師が関わるようになりました。動物から人にうつる病気に対してこれまでの日本の獣医学教育では対象は動物で観察していましたが、今後は人との関連や人への応用を視野に入れた獣医学教育の研究を行い、今日的な課題に応えていく必要があります。

 このような認識に立って獣医学部では動物と人の健康を科学するということをキャッチフレーズにしております。獣医学部は獣医学科と獣医保健看護学科の二つの学科で構成されております。6年制の獣医学部では第3分野、公共獣医事分野、医事連携獣医分野の三つの専門分野の獣医師をほぼ同数ずつ社会に配置することを目指しています。

 先ず第一科学分野では生命科学の研究に獣医学的な見地から取り組み、薬学などと連携しながら、動物実験の研究成果を人の治療に結びつける、いわゆるトランスレーショナルリサーチ分野で活躍できる人材を養成します。

 また公共獣医事分野では感染症防護や食品の安全性確保など国際的な視野で危機管理対応のできる公務員獣医師を養成します。医事連携獣医分野では、医学と獣医学は共通であるという認識に立つ臨床面で動物と人との両方に応用できる診断治療法の確立や創薬、医療機器などの開発に貢献できる人材を養成します。

 一方、4年制の獣医保健学科では獣医師と連携できる実践的な能力を有する人材ベテリナリーパラプロフェッショナル、VPPと呼ばれていますが、このような獣医関連専門家を養成いたします。

 獣医学部の専任教員の数は二つの学科を併せて87名と国内では最大級の規模で、施設や設備も充実したものになりました。4月3日に186名の新入生を今治キャンパスに迎えて2カ月半が経ちました。学生たちは一言で言うと、明るくて積極的であります。

 獣医学部の1期生として新しい大学を自分たちの手で創り上げようとする意欲は満々であります。吉川獣医学部長によると、彼らは知的好奇心が強く、授業が終わった後の質問も、これまでに経験したことがないくらい多いということであります。

 今後、愛媛県や今治市の協力を得ながら、彼らが世界に通用する獣医学人材に育つよう、一致団結して教育、環境を整えていきたいと考えています。

 報道機関の皆さんにも温かく見守っていただきますよう、お願いを申し上げます。(深く一礼)

 司会「ハイ、引き続きまして皆様からのご質問をお受けいたします。限られた時間ではありまので予めご承知おき願います。先ず最初に山陽新聞社様、代表質問をお願い致します」

 山陽新聞社記者「加計学園が2015年2月25日の首相との面会がなかったことを5月26日のコメントで発表し、首相自身も面会を否定しているが、改めて受け止めをお聞きしたいことと、同じ5月26日に発表したコメントで当時の担当者が愛媛県などに実際にはなかった面会と会食をしているという誤った情報を与えてしまったと釈明しているが、このような情報は担当者に伝えるよう何らかの指示があったのかを含めてお聞きしたいと思います」

 加計孝太郎「それはまあ、記録を調べさせて頂きましたところ、私の方は3年も前のことでございますので、記憶にもございませんですし、記録にもありませんでした。

 そしてまたもう一つのご質問でありますけれども、担当者が、あー、そこ、そのようなことを言ったという誤解をいうようなことを言ったことにつきましては、ま、事を前に進めようとして言ったんだということの報告は受けております」

 司会「そうしましたらば、各社からの質問をお受けいたします。質問される方は、会社名と名前を付けた上でご指名をお願いします」

 記者「なぜこのタイミングで緊急会見を開いたのか」

 加計孝太郎「先ずですね、この記者会見を開かせて頂いたのは、あー、先程申し上げましたように理事会の中でですね、私を含めた処分をして頂いたと、ま、その報告をさせて頂くということで緊急記者会見を開かせて頂きました」

 記者「先程指示はなかった、御本人が渡邉事務局長が勝手にやったという認識でよろしいですか」

 加計孝太郎「ハイ、そうです」

 記者「?????」(「どういった理由で」とでも聞いたのだろうか)


 加計孝太郎「先程申し上げましたように本人が事を前に進めるために申し上げたということでございます」

 記者「色んな所で“加計ありき”だったのではないかと、獣医学部新設について。これについて理事長はどういうふうに?」

 加計孝太郎「国家戦略特区につきましても、構造改革特区につきましても、特には、まあ、我々が最後にやりました国家戦略特区につきましては、国家戦略特区法の第3条にあります自治体とですね、あの、民間事業者がお互いに一緒に密な関係にしながらやりなさいというふうに書いてありますでの、それはそういうことになります」

 記者「安倍首相との個人的な・・・」

 加計孝太郎「それはありませんですね」

 記者「今回の件でですね、国会等世間を騒がせていることに結果的になってしまっていると思うんですが、そのことにつていお考えをお願いします」

 加計孝太郎「(頭を下げながら)大変申し訳ないと思っております」

 記者「??したいみたいなことはなかったですか」

 加計孝太郎「それは私共あくまで申請者側でございますので、我々の一貫した態度と致しましてはですね。非常に謙虚な態度で上げたい(?)と思っていましたので、そういうことでお許しを頂きたいと思っております」

 記者「事務局長からですね、報告を受けたのはいつ?」

  加計孝太郎「それはちょっと記憶にございませんけれど、大分前のことであります」

 記者「そのときに事実を確認されなかったのですか。虚偽に関わったということは」

 加計孝太郎「それは分かりませんですね」

 記者「2015年の2月25日前後に安倍首相と面会や会食はなかったのですか」(よく聞こえない)

 加計孝太郎「それはありません」

 記者「安倍首相と???」

 加計孝太郎「我々は基本的にはですね、何十年来の友達ですし、仕事のことはもう話すのはやめようということのスタンスでやっております。リラックスするためにお会いしておりますから、仕事の話だとか、勿論政治の話は色々と聞いたことはございますけども、こちらの話なんかは余り興味はないと思います」

 記者「獣医学部の話などは(?????)」

 加計孝太郎「(首を振って)ありません」

 記者「総理が獣医学部について初めて知ったということですが」(殆ど聞き取れない)

 加計孝太郎「私は悪いですけど、知りませんですね、それは」

 記者「獣医学部については総理から何にも話が――」

 加計孝太郎「余りございません」

 記者「今もですか」

 加計孝太郎「ハイ、ハイ」

 記者「柳瀬秘書官とはどうですか」

 加計孝太郎「それは色んな会合ではお会いしたと思いますけれども、そんな話は一切しておりません」

 (二、三聞き取れない。加計孝太郎が「ハイ、ハイ」と頷くだけだから、質問の内容を窺うことができない。)

 記者「(加計学園事務局長がか、愛媛県庁を訪れて謝罪したが)愛媛県の中村知事がなぜもっと早く対応しなかったのかとおっしゃっておりますけれども」

 加計孝太郎「早くお伺いしようとは思ってったんですけども、こちらのスケジュール等でお会いすることができませんでした」
 
 記者「????(聞き取れない)」


 加計孝太郎「それはしたいと思っています」

 記者「それから今後国会から招致の要請があれば、加計理事長、どうします」

 加計孝太郎「それは私が決めることではございませんので、お待ちしております」

 記者「理事長ご自身が愛媛県に謝罪に行くことはあるんですか」

 加計孝太郎「大変申し訳ないと思っておりますし、謝罪に行くことを許されれば、参りたいと思います」

 記者「いつ頃の予定ですか」

 加計孝太郎「それはまだ分かりません」

 記者「(全然聞き取れないが、渡邉事務局長の虚偽情報発信の目的を聞いたのか)」

 加計孝太郎「まあ、前に進めるためにやったという事実しか伺っておりませんので、ま、虚偽の発言と言えば虚偽の発言になんだろうと思いますけれども、前に進めるためにあくまでもやったというふに聞いております。申し訳なかったと思っています」

 記者「前に進めるためであれば」

 加計孝太郎「(遮るって)いや、だから、そんなことはありません」

 他の記者に代わる。

 記者「(入学式についての質問)このような騒動がある中で改めて学園歌の6番を作詞されましたが」

 加計孝太郎「やはりですね、思いを、熱い想いがございまして、今治さんとは、前加戸知事さんの時代から、獣医学部はお互いにやろうとの熱い気持があったものですから、あの、私自身が、それを書いたっていうことについては非常に何か面映い気が致しますけれども、加戸知事さんの方がよかったかなあと思ったり、ま、これからもそういう機会があれば、加戸先生か色んな方々に、今治の人に作詞をお願いできないかなと思っております」

 記者「そんな中でこのような騒動になっていますけれども、ご自身として何でこのような騒動になっているとお考えですか」

 加計孝太郎「うーん、私はちょっと不徳の致すところでありますけれども、たまたま総理と仲がよかたということでこのような騒動になったんだと思います。申し訳ないと思っています」

 記者「????」

 加計孝太郎「これは先程申し上げましたように私共は申請をして、それを受ける方であろますから、そういう態度でずっと貫き通したいなと思っております」

 記者「これまで理事長は総理に対して獣医学部の話は一切していない」

 加計孝太郎「ハイ、しておりません」

 記者「???、一切していない?」

 加計孝太郎「ハイ」

 記者「??????}

 加計孝太郎「それがそういう場合があったとしてですから、仮にですから(?)、ちょっとお答えすることはできません」

 記者「今、仲が良かったというお話がおっしゃったんですが、仲がいいと言うだけで、こんな騒動に繋がらなかったと思うんですが」

 加計孝太郎「思いませんでした」

 記者「前から疑いの目が向けられるんではないかと――」

 加計孝太郎「(首を振って)全く思いませんでしたね」

 記者「?????」

 加計孝太郎「そういうふうに考えております」

 記者「加計学園の職員の方が?????」

 加計孝太郎「ないです」

 記者「ない?」

 加計孝太郎「ハイ」

 記者「??????」

 加計孝太郎「修正(?)、業務については全くなかったと聞いております」

 記者「助成金を交付されていたと思うんですが、????(「返還を求められているようなことは」とでも聞かれたのか。」

 加計孝太郎「今んところございません」

 記者「(名前の確認)」

 加計学園関係者「北村ヨシヒコです」

 記者「??????」

 加計孝太郎「それはまだ検討させて頂きます」

 記者「?????」

 加計孝太郎「これからはそういうことは気をつけて、コンプライアンスに十分気をつけてやっていきたいと思っております」

 記者「?????」

 加計孝太郎「ハイ、ハイ」

 記者「2月25日に会われていないということをおっしゃっておりますが、会ったという前提で資料が出てきたという話もあるので、本当に担当者にあるかないか(確認したのですか?)」

 加計孝太郎「ハイ、(?)記憶にもないし、記録にもございません」

 記者「今回の処分で国民の方が納得されると思いますか」

 加計孝太郎「それは我々がコメントすることじゃないと思います」

 記者「事務局長が理事長を忖度して、事務局長が勝手にそういうこと(虚偽面会情報の吹き込み)をやってしまったということは関係ないんですか」

 加計孝太郎「申し訳ございませんでした」

 記者「それについて、なぜそんなことをしたかをちゃんと理事会で???}

 加計孝太郎「これから気をつけます」

 記者「?????}

 加計孝太郎「それも併せてやりたいと思っています」

 会見終了。

 質疑の第一印象はどうとでも答えることができるどうでもいい質問の繰返しが多かった。

 発言の順不同で疑問に思ったことを書き記す。

 記者が「なぜこのタイミングで緊急会見を開いたのか」と質問したのに対して、加計孝太郎は「先ずですね、この記者会見を開かせて頂いたのは、あー、先程申し上げましたように理事会の中でですね、私を含めた処分をして頂いたと、ま、その報告をさせて頂くということで緊急記者会見を開かせて頂きました」と答えている。

 加計学園側の説明では2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎との面会は誤った情報だとしている。対して中村愛媛県知事はニセの情報を流したと把えて、最高責任者の説明、若しくは責任者の記者会見を「世の中の常識」として求め、世間もその要求に賛同していた。

 当然、加計孝太郎の記者会見は中村愛媛県知事の要求に謙虚に応える目的を備えていなければならないはずだが、ニセ情報を流したことの処分が目的だったとしている。

 この目的を違えている態度には不誠実さだけではなく、不届きささえ感じない訳にはいかない。

 また記者たちも、なぜニセ情報を流すに至ったかに質問を集中しなければならなかったはずだが、全然集中しきれていない散漫な質問で終わっている。

 記者が加計学園事務局長の渡邉良人がいわゆるニセ情報を愛媛県と今治市に吹き込んだのは「何らかの指示があったのか」と質問したのに対して加計孝太郎は「記録を調べさせて頂きましたところ、私の方は3年も前のことでございますので、記憶にもございませんですし、記録にもありませんでした」と答えている。

 と言うことは、記憶と記録にないと言っているだけのことで、指示の可能性は残されることになる。記者はこのぐらいの言い返しをしなければならないはずだ。

 また同じ記者の「実際にはなかった面会と会食をしているという誤った情報を与えてしまったと釈明しているが」の文言に反応して加計孝太郎は
「事を前に進めようとして言ったんだということの報告は受けております」と答えている。

 加計孝太郎は加計学園事務局長の渡邉良人がニセ面会・ニセ会食情報を流した目的は、“事を前に進める”ためだと、4度発言している。

 当然、理事長としてニセ情報を愛媛県と今治市に吹き込み、信じ込ませれば、どう事を前に進むと考えたのか、その意図を事務局長渡邉良人に聞かなければならない立場にあるのだから、聞いたのかと尋ね返さなければならなかったはずだ。

 目的には意図が存在する。意図の存在しない目的はない。ブログに何度か書いているが、今治市と愛媛県には獣医学部新設と認可に関して何の権限も握っていない。“事を前に進める”ためには権限を握っている関係機関、あるいは関係部署にまでそのニセ情報を浸透させ、活用しなければ、“事を前に進める”については何の役にも立たないことになる。

 当然、どう前に進むと考えたのか、その意図と同時に実質的にはどの機関、どの部署でニセ情報を役立たせようと考えていたのか、渡邉良人事務局長に問い質したのかと加計孝太郎に質問しなければならないはずだったが、記者の誰もそのような質問はしていない。

 要するに加計孝太郎は最高責任者である理事長の立場にある者のコンプライアンス(法令遵守、あるいは業務遂行上の社会的規範遵守)の観点から、渡邉良人に問い質さなければならないことを問い質しもせずに「本人が事を前に進めるために申し上げたということでございます」、あるいは「前に進めるためにやったという事実しか伺っておりません」、さらには「前に進めるためにあくまでもやったというふに聞いております」だけで済ませている。

 いわば加計学園のコンプライアンスを守るために求められる秩序の徹底を図りもせずに加計孝太郎は「学園内のコンプライアンスの徹底を図る」などと言っている。

 この行動が伴わない有言不実行には記者会見の目的を中村愛媛県知事の要求に謙虚に応えることに置いていたのではなく、ニセ情報を流したことの処分の発表を目的としていた不誠実さや不届きさにプラスする不誠実さや不届きさしか見えてこない。

 記者が「事務局長からですね、報告を受けたのはいつ?」と尋ねられると、加計孝太郎は「それはちょっと記憶にございませんけれど、大分前のことであります」と答えている。

 中村愛媛県知事が参議院に加計学園関係の文書を提出したのは5月21日で、加計学園が面談を否定するコメントを発表したのが5月26日。

 面会が事実でないなら、そのことを一番よく知っているのは一方の当事者である加計孝太郎本人なのだから、報告を受ける側としてではなく、5月21日から5月26日までの6日間の間に渡邉良人事務局長に対して報告を求める側としての行動を取らなければならなかったはずであるし、取ったはずである。

 例え渡邉良人の方からやって来て、「これこれこういうわけです」と加計孝太郎に説明したとしても、上司である以上、報告を求める側に自分を立たせていなければならない。でなければ、上司としての積極的な立場を蔑ろにすることになる。

 にも関わらず、自身を受け身の報告を受けた側に位置させ、しかもこの問題がずっと尾を引いていたにも関わらず、この記者会見の6月19日からたった1カ月程度前のことを「記憶にはない」、「大分前のこと」とする。

 この発言には明らかに誤魔化しが存在する。

 記者から次に事務局長から報告を受けたときに虚偽に関わったことの事実確認を行ったのかと問われると、加計孝太郎は「それは分かりませんですね」と答えている。

 事務局長から報告を受けた日時を「記憶にない」と答えた手前、その際に事実確認を行ったと答えた場合、前後の発言に記憶上の整合性が取れなくなることから、同じ記憶にないこととするために「分からない」と答えたのだろう。

 だが、「前に進めるためにやったという事実しか伺っておりません」と事実確認したことを認めている。

 これは一つのウソが次のウソを重ねることによって生じる典型的な矛盾そのものである。

 渡邉良人事務局長の報告としてニセ面会情報は「前に進めるためにやった」と加計孝太郎が発言したことに対して記者が「前に進めるためであれば」と問いかけると、加計孝太郎は「いや、だから、そんなことはありません」とたちどころに遮っている。

 面会否定の理由付けにニセ情報で事を前に進めようとしたことを自分たちの事実としている。加計孝太郎は「ニセ情報で前に進むことはなかった」いう意味で、「いや、だから、そんなことはありません」と否定することになったのだろうか。
 
 だとしても、ニセ情報で“事を前に進める”ことを意図したことまで抹消することはできない。結果的にニセ情報で“事を前に進める”ことができなかったとしても、その意図を獣医学部認可に権限を持つ部署・機関のいずれかにまで吹き込もうと企んだのか、あるいは吹き込むことができたのかできなかったのか、その経緯を明らかにしなければ、ニセ面会情報・ニセ会食情報としていること自体が限りなく疑わしく、限りなくウソに見えてくる。

 加計孝太郎は「我々は基本的にはですね、何十年来の友達ですし、仕事のことはもう話すのはやめようということのスタンスでやっております。リラックスするためにお会いしておりますから、仕事の話だとか、勿論政治の話は色々と聞いたことはございますけども、こちらの話なんかは余り興味はないと思います」と発言しているが、安倍晋三は異なる国会答弁をしている。

 2017年7月24日の衆議院予算委員会。これは「Huffingtonpost」で知り得た情報。 

 安倍晋三「先程御答弁いたしましたように、加計さんとは政治家になるずっと前からの友人関係であります。しかし、彼が私の地位や立場を利用して何かをなし遂げようとすることは一度もなかったわけであります。

 彼はチャレンジ精神を持った人物であり、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨のお話は聞いたことがございます。しかし、今まで彼もさまざまな学部・学科をつくってきたわけでございますが、そういうことも含めて具体的に、何かを今つくろうとしている、ですから、今回でいえば、獣医学部をつくりたい、さらには今治市にといった話は一切ございませんでした」

2018年4月26日午後参院予算委。これは自身で気づいていたこと。

 片山大介(日本維新の会)「これ何度も出てる質問なんですけど、総理が加計学園の獣医学部設置について知った日にち、これ1月20日と言ってます。これ改めての質問になるんですけども、この1月20日まで全く聞いたことすらない、ということでいいのか、いや、頼まれたことはなかったかもしれないですけども、これ全く、それまで聞いたこともないというのは、なかなか、これは違和感があるし、やはりそれも国民の皆さんも思っていると思います。

 これについて明確なご意見」

 安倍晋三「国民の皆様はですね、私の友人であるから、そういう話はしているんではないかというふうに思われるかもしれません。ま、しかし、この加計氏はですね、えー、理事長になれてからは様々な学部をつくっておられます。看護学部、あるいは薬学部等々もつくっておられますが、そのたびごとに何か私が依頼を受けたり、あるいはそういう話を聞いたことも、これは殆んどないわけでございまして、いわば友人同士の、えー、会話に於いてですね、お互いの興味が一致する点については話は、これ段々盛り上がっていくということも(ふっと笑いを漏らす)あるわけでございますが、この点について私が何回も述べてきた通り、それが事実でございまして、実際に彼が獣医学部をつくりたいという話を聞いたことは実際ないわけであります。

 ただ、様々なことに挑戦していきたいという趣旨の話は聞いたことはございますが、具体的な話を聞いていないのは事実でございます。これまで繰返し答弁してきた通り、私が加計学園の計画について知ったのは昨年の1月の20日であります。

 えー、但し先程申し上げましたように長年の友人が関わる話であり、えー、片山議員のご指摘のように国民の皆さんから疑念の目が向けられことは尤もなことだろうと、このように思います」

 安倍晋三は事実でないことことを話すとき、簡潔に述べて切り上げることができない傾向にあるが、加計孝太郎が言っているように決して「こちらの話なんかは余り興味はないと思います」といった態度は見せているどころではなく、「お互いの興味が一致する点については話は、これ段々盛り上がっていく」会話の盛り上がりを表現している。

 以上記者会見から窺うことのできる数々のウソや不誠実さ・矛盾の存在は逆に安倍晋三と加計孝太郎の面会も会食もニセ情報などではなく、事実あったことであることを物語ることになる。

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