安倍晋三の日朝首脳会談開催条件を拉致問題前進に置くのは自身の発言をウソにする最大の責任逃れ

2018-06-15 10:33:52 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年6月12日のシンガポールで開催の「米朝首脳会談」でトランプが金正恩に拉致問題解決の提起を行った際、金正恩が従来から取ってきた「拉致問題は解決済みだ」との態度を示さなかったことから、大きな前進だと見て、安倍晋三は日朝首脳会談実現に意欲を示すことになった。

 ところが、2018年2018年6月14日付「時事ドットコム」記事によると、日朝関係筋が明らかにしたこととして同首脳会談で金正恩が安倍晋三との会談に応じる意向を示していたことが分かったと伝えている。

 もしこのことが事実なら、トランプは安倍晋三との電話会談でこの情報をも伝えていたことになり、安倍晋三の日朝首脳会談実現に向けた意欲は金正恩が「拉致問題は解決済みだ」との態度を示さなかったことだけではなく、会談に応じる意向を示していたことがより直接的な動機となっていたのではないかと窺うことができる。

 日本と共に北朝鮮も参加する2018年6月14、15日のモンゴル・ウランバートルで開催の国際会議「ウランバートル対話」を日朝首脳会談開催に向けた動きを本格化させると同時に相手の出方を探る好機と見たのだろう、派遣した外務省幹部が北朝鮮当局者と接触、短時間意見交換したと2018年6月14日22時04分配信の「時事ドットコム」記事が伝えている。

 どのような内容の意見交換と結果なのか、記事は、〈日本側は、拉致問題について2国間交渉によって早期解決を目指す立場を伝えた。北朝鮮側の反応について、外務省幹部は「(従来の姿勢と)大きな変化はなかったようだ」と語った。〉とのみ紹介している。

 記事が解説している「従来の姿勢」とは、「拉致問題は解決済み」という姿勢のことなのは断るまでもない。

 この記事配信前に安倍晋三は首相官邸で拉致被害者家族会と面会している。「首相動静」を見ると、時間は午後1時33分から同2時19分までの46分の面会となっている。家族会に対してどのような発言をしたのか、2018年6月14日 14時23分配信の「NHK NEWS WEB」記事から見てみる。

 蛇足だが、家族会との面会の終了時間が14時19分。記事配信を面会途中時間から計算すると、27分でネット記事は配信されたことになる。終了時間後の配信だとすると、たったの4分で配信されたことになるが、4分は早過ぎるように思える。現在では発言を携帯で録音して、音声をメール添付してそのまま送信ができるようになっているから、出来事発生からかなりの短時間でネット記事は配信できる。

 安倍晋三「今回の米朝首脳会談では、まずは核の問題について、キム委員長が朝鮮半島の完全な非核化をトランプ大統領に明確に約束したという意味では大きいだろうと思う。米朝首脳会談が、北東アジアの平和と安定に向けた一歩であると感じている。

 米朝首脳会談を機会として捉え、あとはまさに日本の問題として日本が北朝鮮に直接向き合い、拉致問題を解決していく決意だ。もちろん日朝の首脳会談は、拉致問題が前進していくものにならなければならず、そうしたことも踏まえながら対応していきたい」

 要するに当事国である「日本の問題として」拉致解決に向けた金正恩との日朝首脳会談に意欲を示す一方で、北朝鮮側が拉致解決に積極的な姿勢を見せない限り日朝首脳会談は開く意味がないとの趣旨の発言となっている。

 だとすると、モンゴル・ウランバートルで外務省幹部が北朝鮮当局者と接触、拉致問題の早期解決に向けた日本の立場を伝えたのに対して相手の姿勢が従来と「大きな変化はなかったようだ」と言うことなら、日朝首脳会談は直ちには開かれない状況にあるとみることができる。

 但しウランバートルでの日朝接触と意見交換の外務省に入った結果報告が首相官邸を通じて拉致被害者家族会との面会前に安倍晋三に伝えられていたのかどうかは分からない。伝わっていたなら、「日朝の首脳会談は、拉致問題が前進していくものにならなければならない」との発言は自身の外交失点を回避するために当然の内容ということになるが、例え伝わっていなかったとしても、2014年9月19日の「内外情勢調査会」で北朝鮮に対して「今後とも、『対話と圧力』、『行動対行動』の原則を貫きながら、全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果につながっていくよう、全力を尽くしてまいります」と発言しているし、10日後の2014年9月29日の 所信表明演説でも、「北朝鮮が、拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的、全面的調査を開始しました。全ての拉致被害者のご家族が、ご自身の手で肉親を抱きしめるその日まで、私たちの使命は終わりません。今回の調査が、全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果につながっていくよう、『対話と圧力』『行動対行動』の原則を貫き、全力を尽くしてまいります」(文飾当方)と発言、拉致解決の最大・最終目標を「全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果」に置いている関係から、それを見込むことができない日朝首脳会談は、当然、回避されることになるために、伝わっている伝わっていないは関係ないことになる。

 とは言うものの、「拉致問題が前進しなければ」、あるいは「具体的な成果が見込めなければ」日朝首脳会談は開く意味がないといった趣旨の発言は拉致解決に向けてこれまで言ってきた自身の別の発言を裏切るものとなる。

 2015年4月26日午後の拉致被害者家族会や支援団体「救う会」主催の「国民大集会」

 安倍晋三「大切なことは『拉致問題を解決しなければ、北朝鮮が未来を描いていくことはできない』ということを、北朝鮮にしっかりと理解させていくことだ。ご家族と被害者の方々が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない。『対話と圧力』『行動対行動』の原則を貫き、引き続き全力を尽くす」(NHK NEWS WEB/2015年4月26日 17時42分)


 2015年3月20日の参議院予算委員会外交・安全保障集中審議。

 中原自民党副幹事長「国際社会で北朝鮮の人権侵害問題に注目が集まれば拉致問題への関心も高まる。北朝鮮が拉致問題を解決しないかぎり、国際圧力は続くということを理解させるべきだ」

 安倍晋三「すべての拉致被害者のご家族がご親族をその手で抱きしめる日がやってくるまで、我々の使命は終わらない。国際的にも拉致問題に対する理解が深まるなかで、この問題を解決しなければ、北朝鮮の未来を描くことはできないという認識に北朝鮮側が立つよう強く求めていく。北朝鮮の特別調査委員会が正直かつ迅速に調査結果を日本側に報告するよう強く求めていく」(NHK NEWS WEB/2015年3月20日 12時50分)

 これはほんの一例に過ぎない。2015年4月4日、安倍晋三は拉致被害者家族と首相官邸で面会している。

 安倍晋三「大切なことは、拉致問題を解決しないと、北朝鮮は未来を描くことが困難だと認識させることです。すべての拉致被害者が再び日本の地を踏むことができるよう全力を尽くしたいと思います。

 拉致問題が解決しない限り我々の使命は終わらない。家族も被害者も高齢化しており、一刻の猶予もゆるさないとの認識のもと交渉していきたいと思います」(救う会全国協議会) 

 2017年9月20日の第72回国連総会に於ける安倍晋三一般討論演説。北朝鮮の核実験やミサイル発射に対して「対話による問題解決の試みは一再ならず無に帰した」と強く批判した上で次のように続けている。

 安倍晋三「議長、ご列席の皆様、北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれています。勤勉な労働力があり、地下には資源がある。それらを活用するなら、北朝鮮には経済を飛躍的に伸ばし,民生を改善する途があり得る。
 そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はあるのです。

 拉致、核、ミサイル問題の解決なしに人類全体の脅威となることで拓ける未来などあろうはずはありません。北朝鮮の政策を変えさせる。そのために私たちは結束を固めなければなりません」

 2017年9月25日の「この解散は『国難突破解散』であります」と命名した解散記者会見。

 安倍晋三「北朝鮮には勤勉な労働力があり、資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に伸ばすこともできる。しかし、拉致、核・ミサイル問題の解決なくして、北朝鮮に明るい未来などあり得ません。北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります。

 圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」

 その他にも、「日本が要求している拉致の問題について答を出さなければ、あなたの政権、あなたの国は崩壊しますよ」とか、「北朝鮮に圧力をかけて、この問題を解決しなければ北朝鮮の将来はないと、そう考えるようにしなければならない」とか発言している。

 これらの発言を見て既にお分かりと思うが、拉致に関しての全ての発言は“拉致解決なくして北朝鮮の未来はない”といった自身の考えで統一している。

 だとすると、日朝間の実務者協議の結果、拉致問題の前進や具体的な成果が見込めないからと言って、日朝首脳会談を回避するのではなく、「拉致問題は安倍内閣の最重要・最優先の課題で、拉致問題は安倍内閣が解決をする」と機会あるごとに偉そうに言っている手前もあり、“拉致解決なくして北朝鮮の未来はない”とする自身の考えを金正恩に伝えるためにだけでも首脳会談を開く責任を有しているはずだ。

 自民党宮城県連の県議と国会議員を首相公邸に招いて昼食会を行った3日前の6月13日も、「拉致問題は安倍内閣の最重要課題であり、自分の責任で何としても拉致されているすべての国民を日本に取り戻して家族と会わせて解決する」(NHK NEWS WEB)と発言している。

 日朝首脳会談の開催条件を拉致解決という“成果”に置いていたのでは一歩も前に進まない恐れが出てくるし、その恐れが現実のものとなった場合、偉そうに言っている自身の発言をウソにすることにもなるし、当然、最大の責任逃れとなる。

 要するに日朝首脳会談を開いて金正恩直接にか、あるいは日朝実務者協議を開いて北朝鮮の実務者から金正恩に伝わる間接的な方法で“拉致解決なくして北朝鮮の未来はない”の安倍晋三自身の考えを最終的に金正恩に認識させることができるか否かの外交能力に拉致解決はかかっていることになる。

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