大阪府北部地震寿栄小学校ブロック塀倒壊9歳女の子の死に見る安倍晋三以下の大人たちの怠慢な安全管理

2018-06-19 11:54:31 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 6月18日、NHKが朝のニュースでその終わり際に大阪府北部を震源とする震度6弱の地震の発生を緊急放送した。発生7時58分頃。緊急放送はそれ以後続くことになった。

 自治会の防災担当の役員をしていたとき、震度5弱だと家具のズレ、棚の食器類の落下等の発生の可能性が生じ、震度5強だと、家具等の転倒が発生、物につかまらないと歩行困難となり、震度6だと、物につかまっても、行動に支障が生じるということを調べて、防災訓練時の参考とした。

 震度6弱だということなら、それ程の人的犠牲は生じないのではないのかと単純に考えた。昨日の時点で死者は3人、今朝になって1人増えていることを知り、4人となっていた。いくら少ない犠牲であっても、その近親者にとっては気持の収まりのつかなさはいつまでも残ることになるのだろうが、あくまでも「大震災」と名前をつけられることになる災害との比較で、数の点では少人数で済んでいる。

 ところがである、少人数の死者で済んだものの、そこに理不尽な犠牲を強いられた9歳の女の子が含まれていた。

 死因は自身が通っている小学校のプールと通学路を遮る高さ3.5メートルのブロック塀のプールの高さより1.6メートルある上部分が長さ40メートルに亘って倒壊、いわばブロック塀がほぼ上下真っ二つに割れて、その下敷きとなった。

 問題は地震の激しい揺れが建築基準を満たしているブロック塀の強度を上回った結果のある意味止むを得ない倒壊なのか、建築基準を満たしていなかったことによる強度不足が招いた倒壊なのかである。

 鉄筋が入っていない疑いがあると報じているマスコミ記事もあったが、ニュース画像を点検してみると、鉄筋が切断された状態で入っているのが見える画像を見つけた。(左掲) 

 と言うことは、鉄筋がサビなどによって劣化、強度不足に陥って真っ二つの倒壊を招いた疑いが出てくるものの、鉄筋が入っているという点では、それが定められた太さと本数であるなら、建築基準を満たしていることになる。

 但し他のニュース画像を見ても、ブロック塀を背後から支えて倒壊防止の大部分の役目を果たす控壁(ひかえかべ)の痕跡はどこにも見当たらない。この点、建築基準法を満たしていない疑いがあるが、例え建築基準法を満たしているという固定観念のもとブロック塀を当たり前に立ち続けている工作物と看做していたとしても、ブロック塀の持ち主は劣化の程度を確認する定期点検は欠かすことはできない。

 6月18日夜、ブロック塀の持ち主に当たる高槻市教育委員会が記者会見を行った。「NHK NEWS WEB」(2018年2018年6月19日 0時04分)

 〈建築基準法では高さが2.2メートルを超すブロック塀をつくることは認められておらず、教育委員会は法律に違反していたことを認め〉、〈業者に委託して3年に1度、学校内の設備を点検していたが、ブロック塀については、点検の項目になかった〉と報じている。

 ブロック塀そのものが高さ制限を超える建築基準法違反の状態になっていただけではなく、いつまでも立ち続けるとの固定観念に囚われてのことなのだろう、定期点検を怠っていた。

 大人たちの怠慢な安全管理が地震の問題だけでは片付けることはできない9歳の女の子の理不尽な死を招いた。

 大人たちの怠慢な安全管理はこれだけではない。「NHK NEWS WEB」(2018年2018年6月18日 17時32分)

 文部科学省が補助金を出して耐震化工事を進めてきた対象は、〈あくまで校舎や体育館などの建築物〉であって、ブロック塀やフェンスは対象外となっていると記事は書いている。

 ブロック塀については次のように伝えている。〈文部科学省が作成している学校施設の指針では、「十分な耐用性や地震時の安全性を確保するよう設計することが重要」などと記載されていますが、具体的な耐震の基準などは示されておらず、各教育委員会の判断に委ねられているのが実情です。〉――

 いわば文科省は建物の安全性を主として考えた補助金の支出という形を取っていて、建物以外は通り一遍の指示を出すのみで、各教育委員会、各学校任せにし、任されたその一つである寿栄小学校を管理する高槻市教育委員会は文科省の通り一遍の指示を超える子どもたちの安全を考えた自律的・積極的な安全管理を施すことはしなかった。

 大人たちの怠慢の連鎖としか言いようがない。9歳の女の子はその犠牲となった。

 6月18日、官房長官菅義偉は全国の小中学校の通学路にあるブロック塀の安全点検を文部科学省に指示した。そして安倍晋三は6月18日の関係閣僚会議で、「小学校のブロック塀が崩れ、幼い命が失われる事態となりました。災害発生時における学校の安全確保についても万全を期して頂きたいと思います」と指示している。

 何らかの痛ましい犠牲が起きてからでないと、指示を出さないことも、大人たちの怠慢な安全管理のうちに入る。

 ブロック塀の危険性は大きな地震が起きて倒壊するたびに指摘され、そのうち喉元通れば熱さ忘れるで、その危険性は打ち捨てられる。〈1978年の宮城県沖地震で犠牲となった28人のうち、ブロック塀や石塀、門柱の倒壊による死者は18人だった。〉と6月19日付「河北新報」は伝えている。

 一頃、小型の金属探知機でブロック塀の鉄筋の有無の検査が流行った記憶がある。鉄筋が入っていないなら、その危険性は格段のものがあり、入っていても、コンクリートはただでさえ水を吸い、吸うごとに徐々にコンクリートは劣化して尚更に水を吸って、鉄筋にまで到達してそれを錆びらせるか、あるいはひび割れでも生じようものなら、それが奥の方にまで到達した場合、そこから簡単に水が染み込んで鉄筋を腐らせることもあり、倒壊の危険性を拡大させることになる。

 2016年3月18日の参院予算委員会で、「通学路の交通車両からの安全確保」についての質疑が行われている。

 小野次郎(当時維新の党)「総理、春は、就学、進学、そして転校など、子供さんの環境が大きく変わる季節です。2012年4月には、京都府亀岡市でたくさんの方が亡くなったり負傷する交通死亡事故もありました。

 通学路の安全確保に関する法律案を我々野党は2012年以来5回にわたって国会に提出してきました。子供の安全というのを考えていくと、交通事故だけじゃないということが分かってくるんです。鉄道の線路の危険があったり水路の危険があったり、裏に畑があるんだけどそっちは防犯灯が付いていなかったりして何か痴漢が出るとか変質者が出るとか、だから仕方なく交通量の多い大通りを渡らなきゃいけない、いろんな安全が一体になって子供さんの環境をつくっているということが分かりました。

 我々は、そういったヒアリング、皆さんからのお話も伺った上で、各学区ごとにヒヤリ・ハットマップを共同で作成するなど、行政の目線でやるんじゃなくて、現場目線、生活目線で、お子さん自身や保護者が対等な立場から危険箇所の確認とか改善策の提案を行政当局にできるという画期的な安全協議会の設置をこの法律案で規定しています」

 安倍晋三「子供たちの安全については、大人がしっかりと責任を持っていかなければならないと思います。

 通学路の安全については、平成25年以降、毎年度通知を出しまして、市町村ごとに教育委員会、学校、保護者、警察、道路管理者などによる協議会を設置をすること、そして、協議会においては安全確保のための基本方針の策定や定期的な通学路の点検を行うことなどを求めているところでありまして、その結果、昨年度末の時点では全体の約8割の市町村において協議会が設置をされています。また、各学校においても、児童生徒に対する安全教育を行うとともに、交通安全、災害、防犯などの観点から通学路の安全点検を行っています。

 政府としても、安全教育や通学路の安全確保、関係機関の連携等についてモデル的に取り組む地域、学校を支援し、その成果を全国に広げることとしておりまして、今後とも、これらの施策によって子供たちの命を守り、安全を確保するための取組を進めていきたいと思っています」

 やれ通学路安全の協議会設置だ、約8割の市町村で協議会が設置された、安全確保のための基本方針の策定や定期的な通学路の点検だ、そして「今後とも、これらの施策によって子供たちの命を守り、安全を確保するための取組を進めていきたいと思っています」と約束しているが、2年も経って今更ながらに通学路の安全確保のためのブロック塀の安全点検を全国の小中学校に指示を出さなければならないというのは、安全確保が徹底していなかったことの証明でしかない。

 安全確保の指示は出すだけで役目を終えるわけではない。指示が指示通りに実行されているかどうかの確認を適宜行わなければ、指示が無いに等しくなるだけではなく、安全確保そのものが無いに等しくなって、たちまち怠慢な安全管理と化す。それを行うのは大人であって、その犠牲を今回のように理不尽にも子どもがときに受けることになる。

 その痛ましさを犠牲が生じる前に考えなければ、いつまで経っても同じことをくり返すことになる。

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