安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
愛媛県による2018年5月21日参院予算委員会提出の加計学園獣医学部認可に関わるいわゆる「愛媛県新文書」に記載の安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎との面会は安倍晋三や加計学園側が否定しているようになかった事実で、加計学園事務局長渡邉良人が言っているように獣医学部認可を有利に運ぶためのデッチ上げのニセ情報だったのか、別のアプローチによって改めて考えてみることにした。以前ブログに書いたことと重なる部分があるが、ご容赦願いたい。
これまでの経緯を振り返ってみる。面会は「愛媛県新文書」№17に記載されている。
「報告」 「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者 等との打ち合わせ会について」 27.3 地域政策課 1 加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告 したいとの申し出があり、3月3日、同学園関係者と県との間で打 ち合わせ会を行った。 2 加計学園からの報告等は、次のとおり。 ①2/25に 理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師 養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、 国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そ ういう新しい獣医学大学の考えはいいね。」とのコメントあり。 また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示が あったので、早急に資料を調整し、提出する予定。 ②下村文科大臣が一歩引いたスタンスになっており、県において も、官邸への働きかけを非公式で実施いただけないかとの要望 があったが、政治的な動きが難しい旨回答。 ③検討中の大学付属施設(高度総合検査センター等)の設置には、 多額の費用が必要であるが、施設設置に伴う国からの補助がな い中、一私学では困難であるので、国の支援が可能となる方策 の検討を含め、県・市の財政支援をお願いしたい。 なお、3月4日には、同学園と今治市長が面会し、ほぼ同内容 の説明があった。 3 おって、3/3に開催された国家戦略特区諮問会議では、特区法 改正案に盛り込む追加規制緩和案が決定されたが、新潟市の国家 戦略特区(獣医学部設置に係る規制緩和)は、含まれていない。 今後、26年度までに出される構造改革特区提案(愛媛県・今治 市)に対する回答と合わせて、国家戦略特区の結論も出される模 様。 4 ついては、加計学園の具体的な大学校構想が示されたことから、 特区提案の動向を踏まえ、今後の対応方針について、今治市とし っかりと協議を進めていきたい。 |
面談結果等についての報告の経緯は加計学園側からの申し出で打合せ会を開き、愛媛県側はそこで知らされた事実を文書にしたということになっている。
但し安倍晋三が加計孝太郎と2015年2月25日に面会して獣医学部について話し合ったとなると、国家戦略特区諮問会議によって四国今治市への獣医学部新設決定を受け、内閣府が2017年1月4日に事業主体を1月11日期限で公募、加計学園のみが事業主体として1月10日に応募し、それを認めた2017年1月20日開催の「第27回国家戦略特別区域諮問会議」で加計学園が今治市新設獣医学部の事業主体であることを初めて知ったとしている安倍晋三の国会答弁、その他の発言が全て虚言(他人を欺く言葉。ウソ)と言うことになって、至ってマズイことになる。
安倍晋三も加計孝太郎も、共に面会を否定した。オオカミ少年みたいなもので周囲からなかなか信用されなかったからだろう、5月26日に加計学園は面談を否定するコメントを発表。
平素より学園の教育活動にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。 一連の愛媛県文書にある打ち合わせの内容について、当時の関係者に記憶の範囲で確認できたことを下記の通りコメントいたします。 当時は、獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探しておりました。そのような状況の中で、構造改革特区から国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば、活路が見いだせるのではないかとの考えから、当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えてしまったように思うとのことでした。その結果、当時の担当者の不適切な発言が関係者の皆さまに、ご迷惑をお掛けしてしまったことについて、深くおわび申し上げます。 なお、学生たちの平穏な教育環境を確保することが大字の責務と考えますので、夢と希望に満ちあふれて、勉学に励んでいる在学生を、どうぞ温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。 |
要するに獣医学部新設を構造改革特区への申請から国家戦略特区への申請に切り替えて活路を見い出すために安倍晋三と加計孝太郎の面会などという「誤った情報」――ニセ情報を愛媛県と今治市に吹き込んだと言うことになる。
但し愛媛県も今治市も獣医学部新設認可に何の権限も持っているわけではない。面会が何らかのいい影響を与えるのではないかという期待は持てるが、それ以上を出ない。最終的な権限を有しているのは内閣府主催の国家戦略特区諮問会議であり、諮問会議に影響力を与え得る首相や首相秘書官、あるいは内閣府の国家戦略特区担当相などが間接的には何らかの権限を持っていると言うことができる。
もし安倍晋三と加計孝太郎の面会がニセ情報であり、面会の一方の当事者である安倍晋三を除いて獣医学部新設認可に間接的権限を持っている首相秘書官の柳瀬唯夫、さらに内閣府国家戦略特区担当相などにそのニセ情報を吹き込んで認可に向けた「活路」を見い出そうと謀ったということなら、吹き込まれた側はニセ情報か否かは簡単に見極め可能な立場にあるゆえに奇妙な謀り事ということになる。
加計学園のこのコメントに対して愛媛県の中村知事が不快感を示し、加計学園は記者会見を開いて経緯を説明すべきだと発言した。対して加計学園側は5月31日午前、事務局長の渡邉良人が愛媛県庁を訪れて安倍晋三と加計学園理事長加計孝太郎とのニセ面談情報を(本人はそうは言っていないが)愛媛県と今治市に流したのは自分だと謝罪した。
「朝日デジタル」(2018年5月31日)記事が謝罪の動画を載せていたから、文字に起こした。
渡邉良人「このたびは愛媛県に対し多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく思っております。お詫びを申し上げます。(一礼)
あの、実際、総理と理事長が面会をしたということについてはですね、これはこちらの方で、えー、そういうことを言ったのかなと、いうことで、覚えてなかったんですね。3年前のことですから。
それで、ちょっと、あの、ま、県の方がですね、ああいう文章を、何もなく書くということはないということで自分が思い出す限りはですね、あのときに、多分、自分が言ったんだろうというふうに思います。
県の方がですね、何もないところで書くいうことはあり得ないと、いうふうなことから逆算しましてですね、もしあのとおりのメンバーから言えば、もう僕しか言うのはおらないだろうということで――」
記者(テロップ)「国会で説明責任を果たすべきだとの意見があるが?」
渡邉良人「そうですね。何もそういうふうなことがないもんですから、説明をする必要もないんじゃないかなと思うんですけども、結局そういう思いで以ってですね、説明したんじゃないかなと思います」
記者(テロップ)「渡邉事務局長自身が嘘をついた?」
渡邉良人「えー、まあ、ウソ、ウソをついたと言いましょうか、あのー、結局そういう思いで以ってですね、説明、県に説明したんじゃないかと思います」
記者(テロップ)「ウソを元に公金が出された」
渡邉良人「ウソで以ってですね、認可になっているとは思ってませんで」(聞き取れない箇所あり)
一国の首相と自分のところの加計孝太郎との面会というニセ情報をデッチ上げて愛媛県と今治市に吹き込む大それたことを仕出かしておきながら、そのことの深刻な反省の色も見せずにのらりくらりした態度の発言となっている。
対して愛媛県の中村知事は6月4日、渡邉良人の謝罪に対して県庁で記者団の取材に応じている。
中村知事「学園のコンプライアンスをクリアにすることが学園の信頼につながる。この問題をクリアしないとガバナンスの問題になるので真摯に対応してほしい」(NHK NEWS WEB)
そして学園側に対して加計理事長本人が記者会見を開いて一連の経緯を説明することや獣医学部の設置認可が妥当なのか、文部科学省に確認するよう求めたことを明らかにしたという。
だが、加計孝太郎は記者会見を開かずに愛媛県の内部文書に記載されている安倍総理大臣との面談を否定するコメントを発表した経緯の説明などを求める野党国会議員提出の質問状に6月5日、ファクスで回答した。「NHK NEWS WEB」(2018年6月5日)
加計孝太郎ファクス「学内で検討した結果、事実関係を公表すべきとの考えに至った。国家戦略特区を用いた申請に切り替えれば活路が見いだせるとの考えから、実際にはなかった安倍総理大臣との面会や会食を引き合いに出し、愛媛県などに誤った情報を与えてしまったことについて、深くおわび申し上げます」
何のことはない、5月26日の面談否定のコメントと同内容となっている。違っている点は加計孝太郎がファクスで野党国会議員に回答するまでは2015年2月25日の安倍晋三と加計孝太郎との面会のみ否定していたが、このファクスでは会食までニセ情報としていることである。
この会食については後で触れる。
獣医学部認可に何の権限も持たない愛媛県と今治市にニセ情報(「誤った情報」)を吹き込んで信じ込ませたとしても、「国家戦略特区を用いた申請」に切り替えようが切り替えまいが、認可に向けた「活路」を見い出せるわけのものではない。認可権限を直接的に持つ部署に所属する人物にか、その部署に影響力を与え得る人物にニセ情報を吹き込まなければ、情報としての役には立たないし、ニセ情報を設定した意味をも失う。
だが、事を有利に運ぶ利用促進剤として最終的にどの段階にまで、その段階のどのような人物にまでニセ情報を吹き込もうとしたのか、吹き込むことができたのかの真相は何も明らかにしていない。
2015年3月3日に開いた加計学園関係者と愛媛県との打ち合わせ会で愛媛県は2月25日に行われた安倍晋三と加計孝太郎との面会を知ることとなり、1カ月後の2015年4月2日に愛媛県と今治市の職員、さらに加計学園関係者が首相官邸を訪問、首相秘書官の柳瀬唯夫と面会することになった。
そのことを記した愛媛県新文書には、「県・市と加計学園との事情打合せにおける渡邉事務局長主な発言」として、〈先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったことに対し、理事長から柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように言われている。同秘書官からも、本日、その点を質問される可能性があり、県・今治市から、100%の回答にはなっていないが、ちゃんと昨年12月26日にペーパーにより文部科学省に直接説明している旨を回答してほしい。〉との文言が記されている。
ここに出てくる「会食」が加計孝太郎がファクスで「実際にはなかった」と否定している「会食」ということなのだろう。
柳瀬唯夫〈秘書官からも、本日、その点を質問される可能性があり〉と記していることから、「県・市と加計学園との事情打合せ」は首相官邸訪問と同じ2015年4月2日に行われたことが分かるだけでなく、下村博文の「けしからん」発言が柳瀬唯夫にある程度伝わっていることを渡邉良人は承知していたことになる。
安倍晋三と加計孝太郎との会食もニセ情報だったと否定している以上、下村博文の「けしからん」発言にしてもなかった事実であるか、別の機会に下村博文が「けしからん」発言をし、その際加計孝太郎から加計学園事務局長の渡邉良人に対して柳瀬唯夫にちゃんと説明しておくように指示したことになる。
文書№9の愛媛県新文書に《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》が記載されていて、加計孝太郎の加計学園事務局長渡邉良人への指示に関して次のように触れている。
渡邉良人が〈(加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ)、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい。〉との助言を柳瀬唯夫は与えている。
と言うことは、下村博文の「けしからん」発言は事実として存在していたことになる。例え安倍晋三と加計孝太郎の面会と会食が事を有利に運ぶためにデッチ上げたニセ情報だったとしても、この助言の前に柳瀬唯夫は同じ《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》の中で、「本件は、首相案件となっており」と発言していることに注目しなければならない。
最初に〈本日は、地方創生関連の一部改正法の議員説明が予定されており、多忙を極める内閣府藤原次長に面会できたのは良かった。〉と発言し、次いで、〈本件は、首相案件となっており、何とか実現したいと考えているので、今回、内閣府にも話を聞きに行ってもらった。今後は、こういった非公式の場ではなく、藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。魅力的なものを持って行って相談してほしい。〉と発言している。
《県・市と加計学園との事情打合せにおける渡邉事務局長主な発言》に、〈柳瀬秘書官に対しては内閣府藤原次長を紹介をいただいたことに対してお礼を述べたい。〉と記載してあるとろから、内閣府藤原次長との面会をセットしたのは柳瀬唯夫であることが分かる。訪問者側が礼を述べたのに対して柳瀬唯夫の最初の発言があったということであり、次からの発言が訪問者たちに伝えるべき肝心な用件ということなのだろう。
その最初に「首相案件」であることを持ってきた。
柳瀬唯夫はこの「首相案件」なる文言について2018年5月10日の衆議院参考人招致で次のように発言している。
柳瀬唯夫「そもそも言葉といたしまして私は普段から首相という言葉は使わないので、私の発言としてはややちょっと違和感がございます。そういう意味で報道されております愛媛県の職員の方のメモですけども、ちょっと趣旨として私が伝えた形とは違う形で伝わっているのかなという気がいたします」
「言った」とも、「言っていない」とも、断言する形での肯定・否定を決して用いない。「首相案件」という言葉に「違和感ある」とか、「趣旨として私が伝えた形とは違う形で伝わっている」とか、極めて曖昧、極めて遠回しな言い方で否定する巧妙な手を使っている。
柳瀬唯夫が「首相案件」と発言したことをいくら否定しようとも、愛媛県職員が柳瀬唯夫と同じテーブルに座って、直接耳にした発言をメモに取り、あとで纏めて文書にしたであろう事実性は簡単には崩すことも否定することもできない。もし崩し、否定するとしたら、柳瀬唯夫が参考人招致の国会で認めた2015年4月2日の愛媛県と今治市の職員、さらに加計学園関係者との首相官邸での面会という事実性をも崩し、否定しなければならないことになる。
そして既に触れたように訪問者たちに伝えるべき肝心な用件として何よりも最初に「首相案件」であることを伝えたと言うことは、柳瀬唯夫は加計学園獣医学部新設を「首相案件」であることを前提に話を進めていたことになり、このことをどう否定しようとも、愛媛県職員が柳瀬唯夫と同じテーブルに座って、直接耳にした発言をメモに取り、あとで纏めて文書にしたであろう事実性の手前、やはり2015年4月2日の首相官邸訪問自体をなかった事実としなければ、否定は成立しないことになる。
「首相案件」を前提に話を進めていたこと自体、安倍晋三と加計孝太郎の面会・会食がなかったとしても、安倍晋三は今治市新設の獣医学部の事業主体が加計学園であることを2017年1月20日よりも遥か前に認識していたことになる。