天下りに於ける「適正な人事」とその前後の不適正な部分

2009-11-11 12:01:35 | Weblog

 今朝11日のNHKニュース。

 04年度から08年度(平成16年度~平成20年度)の5年間に八ッ場ダムの建設にあたって1000万円以上の契約を落札した企業や団体は177あって、国土交通省からこのうち45の企業や団体に合わせて93人が再就職、とは言っているが、天下っていることが判明したというもの。

 衆議院国土交通委員会の理事を務める民主党の村井宗明議員が工事の受注企業と天下りとの関係について調査するなかで国土交通省が明らかにした情報だそうだ。

 国土交通省はこう説明している。

 「当時の職員の再就職にあたっては、法律に基づき人事院の承認を得ており、適正に手続きを進めた結果だ」

 確かに「人事院の承認」は“適正な手続き”だろうが、問題はその前後の経緯が果して適正であったかどうかである。国土交通省が八ッ場ダム工事関連の企業に天下りを受け入れるように話を入れる。企業の方は現在お世話になっているし、今後ともお世話にならなければならない下に位置する弱い立場だから、断って下手に機嫌を損なわれ、以後の受注に差し障りがあったら困るからと相手の指示通りの天下りの受け入れを申し出る。

 そのような経緯を受けて人事院が審査して承認する“適正な手続き”によって正式決定する。そこだけが適正であったとしても、受け入れた以上、受け入れた天下りOBの出身省庁である国土交通省に効く顔を利用する手前、それ相応の給与を保証しないわけにはいかないと高級待遇する。

 このような天下り決定プロセスはあくまでも国土交通省を上の強い立場に置き、企業を下の弱い立場に置いた権威主義の強制が働いたもので、そういった前後の強制力学が問題であって、人事院はそこまで関与することはない“適正な手続き”であり、「承認」であったろう。

 そういった権威主義的な上下の強制力学を利用していなかったというなら問題はない。だが、2006年1月に防衛施設庁のナンバー3で技術系トップの技術審議官が官製談合の疑いで逮捕されたが、防衛施設庁が天下りOBを受け入れた企業の、そのOBの優遇の度合いにより、受注工事に差を付けた「配分表」を作成して工事を発注していたことは防衛施設庁を上の強い立場に置き、企業を下の弱い立場に置いた権威主義の強制を働かせた力学があって可能となった工事配分方法だったはずである。

 天下ったOBを優遇しない企業は満足に工事を受注させないぞと、少なくとも間接的・婉曲的に威しをかけたからできた工事「配分」であり、自分たちを上の強い立場に置いていなかったらできなかったろう。

 自衛隊法で退職後2年間は施設庁工事の受注営利企業への天下りは禁止されていたが、施設庁所管公益法人「防衛施設技術協会」に2年前後在籍し、そこをトンネルに工事受注関連の営利企業へ天下りさせる巧妙な方法が取られていたことに関しても、“適正な手続き”を経た「人事院の承認」、あるいはその他の「承認」ということだったに違いない。

 その上、施設庁所管公益法人「防衛施設技術協会」は“適正”にも防衛庁から受注した調査研究業務を下請に丸投げしている。06年2月6日『朝日』朝刊は、〈02年度から04年度までの3年間に施設庁から受注した調査56件(業務委託費・総額5億4千万円)のうち、協会独自に完成させたのは1件だけだった。〉と報じている。

 施設庁からの委託費の一部をピンハネして、残り金額で下請と契約するシステムの丸投げだったそうで、〈施設庁からの委託料のうち、多くて8割、少なくとも3割は協会側が受け取っている。〉という状況は自らは殆んど仕事せずにピンハネ分で自分たちの高級を賄っていたことを示すだけではなく、大手コンサルタント会社の関係者が「協会がしていることは、基地などの現場で調査に協力してもらう自衛隊との調整役だけ。実際の調査は下請がやっている。やろうと思えば、民間だけでもできる」と大手コンサルタント会社関係者の声を記事が伝えているが、要するに「多くて8割、少なくとも3割」の国家予算のムダを「防衛施設技術協会」にタレ流し状態としていたということである。

 天下り人事に関して人事院、その他の承認が適正であっても、その前後の天下りに至る経緯や予算の執行、さらに天下りOBに支払う給与が不適正であったなら、人事院の承認もその他の承認も「適正な手続き」だとする抗弁は意味を失う。

 天下りOBの優遇の度合いに応じて工事「配分表」を作成して発注していたのは防衛施設庁だけではない。05年5月頃までの国発注の水門設備工事でも農水省OBの受け入れ数と談合各社の受注実績を功績として工事の割り振りを行う談合が行われている。

 仕切り役は石川島播磨重工業だったというが、「毎日jp」記事が国交省発注の水門設備工事に関して、それを差配した建設施工企画課の元課長補佐が「天下り受け入れ企業に優先的に工事を割り振った」と供述していることを伝えているから、官僚も関与した工事“配分”談合であることが分かる。

 03、04年度の国土交通省と旧日本道路公団発注の橋梁工事談合でも受注仕切り役会社が決めた工事配分表に従って道路公団の方で工事を割り振り、旧公団元副総裁内田道雄被告(63)が逮捕されている。

 ゼネコン側に天下りOBが存在しないはずはなく、やはり受注実績だけではなく、天下りOBの力関係にも配慮した“配分”の側面があったはずである。

 天下りが問題なのは法に基づいた適正な手続きによる人事院やその他の承認といったことではなく、あくまでも給与関係の待遇や工事の受注に影響を与えて、結果として国の予算をムダにする、省庁やそのOBを上の強い立場に置き、民間企業を下の弱い立場に置いた権威主義の力学の存在であるはずだ。

 民間企業にしても省庁との間に働いている権威主義の力学を逆に利用して、天下りとして引き受けたOBが出身省庁の現役職員に対して個人的に持つ下に従わせる権威主義を活用して工事の獲得を有利に持っていくべくチエを巡らす。

 正式な入札を経ない受注となるから、当然そこに適正な予算の執行は期待不可能となる。随意契約が多いのはこういった事情からに違いない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

資格は有能さの証明ならず/介護福祉士資格と教員養成課程6年制

2009-11-09 15:38:12 | Weblog

 有能さは職務上のその人それぞれの心がけ・姿勢によって決まる 
 
 私自身には縁のない心がけ・姿勢だが、民主党政府は今年10月末に介護・グリーン・地域社会の3分野を柱に雇用創出を図る雇用緊急対策を正式決定、介護関係では現場で就労しながら技術・能力の向上を目的とする「緊急雇用創造プログラム」を策定、介護関係施設で研修勤務をしながら介護福祉士資格試験を受験する際には特例措置として実習を免除する項目を設ける方針だという。

 いわば介護分野で働きながら資格取得を目指す場合、実習が免除される支援制度というわけである。

 具体的には介護福祉士を目指す場合は介護施設で働く2年間の給与と資格取得のため専門学校で受ける受講費を政府が負担するということで、失業者は働きながら資格を取得することが可能となるとしている。

 だがHPで調べると、福祉系高等学校や介護専門学校、福祉系大学等の厚生労働大臣指定養成施設の卒業の場合、国家試験が免除されて介護福祉士の資格取得が可能となるが、社会福祉施設・病院の病棟又は診療所・介護等の便宜を供与する事業などの介護の現場で働きながら介護福祉士の国家資格を得るには3年以上の従業期間、540日以上の従業日数を満たせば、現行法では国家試験に合格すれば資格を得ることができる。

 「3年以上の従業期間」が条件となっていながら、民主党政策では「介護施設で働く2年間の給与と資格取得のため専門学校で受ける受講費を政府が負担」となっている。給与の全面的バックアップではなく、3分の1は施設側が職員から労働の提供という利益供与を受けるのだから、負担せよということなのだろうか。

 但し平成24年度試験からは上記3年以上の従業期間、540日以上の従業日数を満たす実務経験に加えて6ヶ月以上の養成課程修了を追加条件するとなっている。

 また福祉系高等学校や介護専門学校、福祉系大学等の厚生労働大臣指定養成施設の卒業であっても、平成24年度以降からは国家試験の受験が必要となるという。

 民主党の介護福祉士国家試験受験の際の“実習免除”が平成24年以降の「6ヶ月以上の養成課程」の免除を指しているのか、国家試験の中に実習試験があって、そのことだけの「免除」を指しているのか、調べてみたが分からなかったが、後者だとすると、「6ヶ月以上の養成課程」にどのくらいのカネが必要なのか分からないが、受験者の金銭的負担の軽減は差し置いて、厚生労働大臣指定養成施設卒業に加える国家試験受験を含めて、資格獲得により厳しい条件を設けて、それが有能・優秀な介護福祉士の出現に役立つのだろうか。 

 またそれ程ハードルを上げなければならない技術を介護が必要としているのだろうか。

 鳩山政権下の文部科学省は酒気帯び運転や生徒へのわいせつ行為で懲戒免職になった教職員が今年4~10月の7か月だけで98人にも上る(YOMIURI ONLINEといった教育以外でも活動の場を広げている教師状況を受けてのことだろう、18歳未満だと知りながらホテルなどに連れ込んでの買春、女子トイレに隠しカメラを仕掛けた盗撮、覚醒剤の使用等もあるが、小中高などの教員養成期間を大学院での2年間の修士課程を加えて現行の4年から6年に延長、教育現場での教育実習を現行の2~4週間から1年程度に拡大、10年程度の現場経験を積んだすべての教員に対して大学院などで1年程度研修を受けさせ、「専門免許状」を取得することを事実上義務化する教育改革を掲げ、早ければ11年にも関連法案を成立させ、新制度に移行する(毎日jp)方針だというが、現行の大学での4年間の教員養成が役立たないということなら、それを2年増やして役立つという保証があるのだろうか。

 確かに高校・大学等の教育機関は知識(学識)を植えつける。だが、実務の場に於ける人間関係を交えた職業的な実体験こそが社会的な実知識や人間形成の真の教育の場足り得る。人間を成長させるもさせないも、高校・大学等の教育機関よりも人間関係の学びを同時併行させる職業的な実体験にかかっていると言える。

 このことは軽度から重度までの様々な認知症老人や身体の動きに不自由な老人、寝たきり老人、気難しい老人、簡単には言うことを聞かない老人等の間に生じる人間関係、同じ職場で働く職員同士の人間関係、入居者の家族との間に生じる人間関係、そして昼夜交代の厳しい労働から生じる肉体的・精神的な負担、そのような厳しい労働の報酬として受け取る安い給与で賄う私生活上の喜怒哀楽・苦労、あるいはそれぞれが置かれる将来性等々は介護の現場に従事している者こそが実感的に学ぶ者となり得るのみで、教育機関では決して学ぶことはできないことが証明している。

 例え介護養成機関で実習の形で一時的に学ぶことはあっても、その一時性は介護施設での実体験に内容・質共に遥かに及ばない、単なる形式に近い体験で終わるのは誰の目にも明らかであろう。

 教師にしても、大学で教師として必要な知識は学ぶことはあっても、現実の子どもを相手に学ぶわけではない。不登校児や注意欠陥・多動性障害(ADHD)児童のことは知識として学ぶことはあっても、そういった状態にある実際の子どもを相手に人間関係の構築や扱いを学ぶわけではない。子どもの保護者との人間関係、例えばモンスターペアレントと言われている自己中心的で理不尽な要求を繰返す保護者、あるいは学校給食費を払わず、溜め込んで平気な保護者等々の存在と彼らとの人間関係を通した扱いは大学で知識として学ぶことができても、その実体は実務の場で初めて接する存在だから、当然現実的な対応は実務の場でしか学ぶことができないことになる。

 多くの学校・教師が不登校児童や注意欠陥・多動性障害(ADHD)児童、あるいはモンスターペアレント、給食費を支払わない保護者などに手を焼いているということは教師養成の大学教育でも学べなかったということではなく、実務の場でも、実体験から何も学べない状況にあることを同時に証明している。

 さらに大学が学問的な知識獲得の場となり得ても社会的な実知識や人間形成の真の教育の場とはなり得ないから、東大だ、京都大だといった最高学府を卒業して日本の中央省庁に入って日本の官僚になったとしても、あるいはそういった学歴を背景に国会議員になったとしても、官僚の場合は予算の飲食費や遊興への流用、天下り、国会議員の場合は政治献金の不正取得や口利きなどの私的な利益行為に走る者が出てくる。

 官僚や政治家の裏に隠れて表に現れない不正を含めると、今年4~10月の7か月だけで酒気帯び運転や生徒へのわいせつ行為で懲戒免職になった98人の教職員の多過ぎる人数に対応する官僚・国会議員の人数となるに違いない。

 懲戒免職や懲戒処分を受けた教員にしても、無能・怠惰な官僚・国会議員にしても、実務の場が人間形成の教育の場となり得ていなかったばかりか、その出発点であった高校・大学が何よりも人間形成の教育機関として役に立っていなかったことの証明となり、教員の場合、優秀な教師を輩出するために大学での養成機関を現行の4年から大学院での2年間の修士課程を加えて6年とする意味を失うように思える。

 要するに受験条件を何年の教育課程終了、あるいは何年の実務経験として国家試験を受験させ、合格によって就業資格を与えたとしても、その資格が必ずしも有能さの証明とはならないということである。

 ということなら、大学はその職業が求める知識の取得に必要な最低限の年数を以って卒業の資格と国家試験受験の資格を与えることを役目として、あとは実務の場での実体験を通した実知識や人間関係知識の取得とそういった知識を糧とした人間形成に期待を置くしかないのではないだろうか。

 いわば自分で学ぶという自学の教育方法に持っていくことこそが肝要で、教員養成の2年間の延長にしても1年間の実習期間にしても、金銭的・時間的負担のみを強いる制度で終わることになりかねない。

 介護で言うと、介護現場で3年以上の従業期間、540日以上の従業日数を満す実務経験を条件に加えて平成24年度以降6ヶ月以上の養成課程修了を追加する試験資格も、また福祉系高等学校や介護専門学校、福祉系大学等の厚生労働大臣指定養成施設卒業の場合は国家試験が免除されるが、平成24年度以降からは国家試験の受験を必要とする新制度にしても、優秀な介護士育成の主要な要件とはなり得ない危険性が高い。

 勿論介護の場合、労働の過酷さに見合った給与の保証は離職防止の重要要件とはなり得るが、優秀な介護士育成は実務の場で自らの力によって実知識や人間関係を如何に学び取って人間形成につなげることができるかどうか、自学の精神に任せることであろう。

 このことが有効なら、将来的な方針とは逆に現行以上に条件を緩和して国家資格を与え、実務の場で自ら学んで人間形成につなげるといったことができない者は厳しく篩い落としていき、淘汰していく、駆除していくそれぞれの自学の姿勢に恃むことが優秀な教師・介護士の育成の条件とはならないだろうか。

 教師の場合は2年間大学で学ばせ、その後の1年間はNPO等に勤務させる、あるいは1年間限定の労働でも構わないとする企業や農家に勤務させ、その1年後に大学に戻って実社会の体験を踏まえた教師教育を再開し、その終了を以て大学卒業の資格を与えて国家試験を受けさせるなどして教員とするといった制度にしたら、学校という実務の場に立ったとき、実知識や人間関係の学びに即役立ち、人間形成につながっていくように思えるが、どうだろうか。

 こうした制度にしたなら、国家資格を目指す者の金銭的・時間的負担を軽くするばかりか、国家予算を補助や支援の形で余分に支出する必要も生じないし、その分を介護従事者の給与にまわすことも可能となるばかりか、自学ということなら、否応もなしに自覚心を必要要件とすることとなって、主体性・自律性の育成にも役立つはずである。最終的には人間形成につながっていく。

 主体性とは、自分の意志・判断によって、自ら責任を以って行動する態度を言い、自律性とは自分の行動を自ら決めた規律に従って自ら律する態度を言う。文部科学省が学習要領で、「自分で考えて、自分で答を見つけて、自分で決めて行動する」、あるいは「自分で考える力の育成」といった言葉で学校生徒に求めている態度だが、教師がそういった態度を身につけていたなら、自然と子どもたちに伝わっていくものだから、子どもたちが身につけていないということは教師たちが大学の教員養成課程でも実務の場でも身につけることができていない態度だと言える。

 以上のことから国や自治体がなすべきことは、教師の場合は4年制大学卒業だとか、介護士の場合は介護施設での実務経験3年以上、あるいは介護養成機関の卒業といったことを資格取得の主たる条件だと取り上げずに実務の場での人間関係――人との接し方、仕事の取り組み方をこそ就業の明確な条件だと位置づけて、後者にこそ、より大きな価値を置くよう仕向けることであろう。その線で自覚を促す。

 そう仕向けることによって有能さが国家試験合格といった資格や職業の種類、あるいは給与の高さによってではなく、実務の場の実体験から学んだ実知識や人間関係に立った職務態度によって証明されることになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつか来た道、自民党紛いの道、馴染ませられた懐かしい風景が蘇りつつある民主党

2009-11-07 12:31:54 | Weblog

 【謝罪と訂正】11月5日エントリーの当ブログ《谷垣総裁チャリ全国行脚と予算委員会で叱られた町村信孝(2)》の文中、現在の沖縄県知事を「中山知事」と表記してしまいましが、無知・不勉強ゆえの「仲井真知事」の誤りでした。謝罪し、訂正します。

 今日11月7日の『朝日』社説――《官房機密費―この豹変は見過ごせぬ》で、民主党が〈野党時代の01年、機密性の高いものは25年、それ以外は10年後に情報公開を義務づける官房機密費流用防止法案を国会に出したはずだ。〉と書いていますが、この件についても無知・不勉強で知らない事実となっていて、昨日6日のエントリーの《平野官房長官機密費非公表方針/「私をご信頼いただきたい」――どこをどう信頼しろと言うのか》に触れることができませでした。「信頼」できない文章を書いたようです。参考までに最後にその法案を挿入しておきます。 
 政権交代で民主党政権に期待していたが、その期待がはぐらかされるようなことばかり起こっている。民主党内閣の成立から2ヶ月も経過していない日の浅いことだから、長い目で見守るべきだという意見、自民党政治のツケを払わされる大変な側面も考慮しなければならないという意見もあるが、先行きを不安視させる成立早々からの政策のブレ、不始末の連続となっている。

 鳩山首相の偽装献金問題。故人が献金できようはずもないのに献金者名が「故人」であった「故人献金」。公設第1秘書の単独犯行だとして解任、これで既に終わったことと思っていたら、5万円以下の献金の場合は政治資金収支報告書に個人名を記載する必要のない「匿名献金」でも虚偽記載があることが発覚。しかも虚偽記載分の匿名献金者に所得税の寄付金控除の証明書が発行されていた疑惑が浮上。

 当然首相本人が承知して関与していたかどうかが問題となるが、公設第1秘書を解任した際、無関係だとして会計責任者だった政策秘書は処分なしだったが、今回解職されていたことが分かったという。

 疑惑が鳩山首相自身に迫っているさ中の会計責任者だった政策秘書の解職はトカゲのシッポ切りか、そうとは考えたくはないが、鳩山首相自身の最後の悪足掻きに見えないことはない。

 こういった“政治とカネ”の風景はそこにチラホラと民主党も加わっていたが、自民党に良く見た風景のはずだが、今や民主党が自民党に取って代わって自らの風景とするようにも見える。

 民主党として官房機密費を公開、「使途の透明性確保」を政策に掲げていながら、政権を取ると「透明性の確保」をかなぐり捨てて、非公開・非公表に走る、この情報隠しにしても自民党に良く見た風景であって、自民党が辿ってきた道に民主党も辿って、自民党紛いの道を自らの道とするような危惧を抱かせる。

 ああ、自民党にもこんな風景があった、よく似た懐かしい風景だなあ――そんな風景を民主党が蘇らせ、国民の目に突きつけるようになったら、もうおしまいということだけではなく、日本の未来は自民党もダメ、民主党もダメで先行き怪しくなってくる。

 官房機密費問題で鳩山首相は次のように述べている。

 「国民に理解を求めるプロセスは必要になるが、すべてをオープンにすべき筋合いのものだとは必ずしも思っていない」(東京新聞

 自民党の日米核密約も「すべてをオープンにすべき筋合いのもの」ではないとの判断でその存在の否定をしてきたという論理をも成り立たせ得る鳩山首相の弁解となっている。

 「オープン」としない項目を国民の判断の介入を許さない政治側の自由選択とすることを可能とするからだ。臭い物に蓋だって自由にできる。

 民主党の国会議員が政党助成金を駐車場工事代金に使ったと見せかけて、工事代金90万円を建設業者が肩代わりした秘書給与の返済に充た虚偽記載の問題、「天下り禁止」を掲げていながら、日本郵政社長人事だけではなく、人事院人事でも人事官に元官僚を起用する国会同意人事案を提示した「天下り禁止」を裏切る天下り容認姿勢は民主党幹部にも元官僚との切れない人間関係――腐れ縁があるからなのは間違いのない疑惑で、既に自民党が辿ってきたよく見慣れた道を民主党も歩んでいき、同じ風景を描いていくように思えてならない。 
 機密費の使用に係る文書の作成、公表等に関する法律案(機密費流用防止法案)(2001/07/11) http://www.dpj.or.jp/news/?num=11131

 (趣旨)

第一条 この法律は、機密費の使用の適正化に資するため、その支払記録書の作成、公表義務等について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「機密費」とは、国の安全、外交その他の国の重大な利益又は国民の生命、身体若しくは財産の安全に係る国の機密の活動に使用するための国の経費をいう。

 (機密費の厳正な使用)

第三条 機密費を所管する内閣総理大臣及び各省大臣(以下「所管大臣」という。)は、機密費の特性にかんがみ、その厳正な使用に特に留意しなければならない。

 (機密費支払記録書の作成)

第四条 所管大臣は、機密費の支払に関し、その支払の後速やかに、政令で定めるところにより、次の事項を記載した文書(以下「機密費支払記録書」という。)を、当該機密費の支払をした職員に作成させなければならない。
 一 支払をした職員の官職及び氏名
 二 支払の年月日
 三 支払金額
 四 支払の相手方の氏名又は名称
 五 支払に係る活動及び当該活動が機密である具体的な理由
 六 支払について承認をした者の官職及び氏名

 (機密費支払記録書の公表義務)

第五条 所管大臣は、機密費支払記録書を作成した日の属する年度の翌年度の四月一日から起算して、次に掲げる機密費支払記録書の区分による期間を経過した場合には、政令で定めるところにより、当該機密費支払記録書を公表しなければならない。

 一 次号に掲げる機密費支払記録書以外の機密費支払記録書 10年

 二 特に機密の程度が高い活動であると所管大臣が認めるもののために支払われた機密費に
   係る機密費支払記録書 25年


2 前項に規定する場合において、機密費支払記録書の一部に行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第一号から第四号までに掲げる情報が記録されているときは、所管大臣は、当該情報が記録されている部分について前項各号の期間を、一定の期間を定めて延長するものとする。延長後の期間が経過したときも、同様とする。

 (機密費支払記録書の適正な保存)

第六条 所管大臣は、機密費支払記録書を、前条の規定による公表の時まで、政令で定めるところにより、適正に保存しなければならない。

 (政令への委任)

第七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

  理 由

 機密費の使用の適正化に資するため、その支払記録書の作成、公表義務等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 
 廃案になったとは言え、機密費に関わる「使途の透明性確保」に向けたこれだけ立派な法案を出していながら、簡単に方針変換を行う。民主党自身のの保身のためにも廃案になるのが分かっていて国会に提出したというのだろうか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平野官房長官機密費非公表方針/「私をご信頼いただきたい」――どこをどう信頼しろと言うのか

2009-11-06 13:17:13 | Weblog

 平野博文官房長官が歴代内閣が使途・金額の非公開・非公表使用を慣例としていた官房機密費(内閣官房報償費)を鳩山内閣でも同じ非公開・非公表使用の方針で貫くと5日の記者会見で明らかにした。どういうことなのかと、11月5日付「asahi.com」記事――《官房機密費の使途・金額「公表せず」 平野官房長官》から誰もが読み解くことを自分も読み解いてみた。

 平野官房長官は〈官房機密費の必要性については「内閣・政府にとって重要な情報収集、その情報収集に対する対価」〉だと説明、その重要性を強調し、さらに〈「可能な限り今でも会計検査院でチェックを受けている」と述べて使途を公表しなくても、疑義は生じないとの認識を示した。〉という。

 一体どのような「情報収集」に向けて使われるのかは明かさない。当然、「対価」が「対価」となっているかは外からは判断できない。会計検査院のチェックにしても、あくまでも「可能な限り」であって、すべてではないということなら、不都合は、あるいは臭い物は隠せることになる。

 記事は〈民主党は野党時代の01年、官房機密費流用防止法案を国会に提出、03年統一地方選政策集にも機密費改革を盛り込むなど、使途の透明性確保を主張していた。〉と解説しているから、重大な方針転換ということになる。「使途の透明性確保」が一転して非公表・非公開の不透明性の「確保」へと180度軌道修正に動いたのである。

 「使途の透明性確保」をドブに捨てたとも言える。殺人犯が凶器の出刃包丁を底浚(そこざら)えが難しいヘドロでドロドロと濁ったドブ川に捨てるように。

 あるいは自民党と同じ穴のムジナへと化すことの宣言をしたということなのだろうか。

 だが、01年に官房機密費流用防止法案の国会提出、03年に統一地方選政策集に機密費改革提言を盛り込みながら、記事が書いている〈就任直後の9月17日の記者会見で官房機密費について問われ、「そんなものがあるんですか。全く承知していない」と語っていた。〉はシラを切ったとか言いようのないゴマカシもいいとこの矛盾ではないか。

 大体が官房機密費の不正支出の疑惑はマスコミによって散々報道されてきたことで、官房長官という職に就くことが決まった時点で自身が抱える処理事項の一つと気づかなければならなかったはずだ。それを「そんなものがあるんですか。全く承知していない」などと言える。陰険と表現するしかない発言でないか。

 平野は1996年の総選挙で初当選、1998年に民主党に入党している。その4年後の2002年4月に当時小泉首相だったが、共産党が10年遡った宮沢内閣官房長官だった加藤紘一の官房機密費の公務に関係のない、言ってみれば交際費関係の支出を行っていたとして、その「金銭出納帳」を記者会見で暴露している。

 2002年4月13日の『朝日』朝刊。

 与野党の議員に対する高級紳士服専門店の背広の贈答代など国会対策費に3574万円。大半が自民党議員のパーティ券、一人当たり3万から300万円までしめて3028万円。「長官室手当て」、「秘書官室手当て」の名目で計1662万円の手当ては共産党は官房長官室の職員や秘書官に対する正規の給与に上乗せした「ヤミ給与」の疑いがあると指摘したという。

 東欧訪問の綿貫幹事長、小泉副幹事長、熊谷副幹事長(いずれも当時)への餞別、100万、50万、50万ずつは役の上下に応じて配分した金額の違いなのだろう。

 小泉首相(訪問先の中国で)「大臣経験者が人から貰うかね。10年前のことは覚えていない」

 小泉純一郎は副幹事長だったのである。内閣から餞別だと言われて、党役員が受け取らない理由はない。受け取らなかったなら、内閣に対して確執状態にあるか、確執状態をつくることになる。
 
 加藤紘一の事務所「政府は官房機密費の具体的な使途は、一貫して公表していない。今回の指摘にもコメントは差し控えたい」

 秘密が慣習だから、疑惑さえも秘密にしておくという常套手段を使っている。隠してあることで争ったなら、秘密が秘密でなくなるから当然の態度とも言えるが、隠している事柄がなあなあの馴れ合いを醸し出す懐柔策に高級背広を買ってやったり、「餞別」という名の海外視察用小遣いであったりしたら、「機密費」という名が泣く。

 パーティ券は〈首相経験者への出版記念会への支出が30万円なのに対して、加藤紘一官房長官(当時)に近いとされる代議士には200万円、当時宮沢派からl国会議員を目指していた候補者に100万円、同派参院議員には300万円など、身内に厚かった。〉

 何という身贔屓、不公平。あの加藤紘一センセイが。君子に見えるから不思議だ。

 〈国連平和維持活動(PKO)協力法を巡る攻防が激しかった91年11月、公明党幹部3人に150万5千円分、同党参議員に100万円分、民社党幹部に53万円5千円分の背広代が記載されている。〉

 「5千円」という端数があるのだから、背広代として現金を渡したのではなく、注文して出来上がった背広そのものを送ったのだろう。生活者の党を名乗りながら、公明党幹部が50万だ、100万円だする高級背広を得意げに羽織っていた様子を想像すると、感激の余り涙が出てくる。

 〈歴代政権とも、首相官邸が扱う官房機密費(内閣報償費)の使途は明らかにできないとの立場をとってきた。だが、与野党議員らへの餞別や国会対策費に使われているとの指摘は、政界の常識でもあった。〉――

 だが、この「政界の常識」に反する官房長官もいた。

 〈細川内閣時代の官房長官だった武村正義氏も8カ月間で約8億円の報償費を使ったことを公表したが、「国会対策には一切支出を考えなかった」〉――

 「8カ月間で約8億円」――国会対策に使わずに1カ月で1億円も何に使ったというのか。使途を公表せずに、「使わなかった」という証言だけで政治家を相手に、ハイ、そうですかと信じることができると思っているのだろうか。

 事実とする発言も記載している。

 自民党古賀誠前幹事長(国対関係50万支出の記述)「当時は国対副委員長。パーティ券を購入してもらったのだと思う。書いてある以上は貰っていたのではないかと思う」

 (前出)民主党熊谷弘国対委員長「官邸からお金をもらったという心当たりはないが、結果としてそういうことがなかったとも言い切れない」

 自民党幹部「当時は官邸に行って、現金で貰ってたんだ」

 カネで人間を操る図が浮かんでくるだけではなく、当たり前のようにカネを受け取る政治家の金銭感覚の麻痺は恐ろしい。

 〈宇野内閣の官房長官を務めた塩川正十郎財務相は、新聞やテレビのインタビューで官房機密費を野党対策に使ったことは一度は認めた。しかし国会で追及されると、「忘れた」と否定した。〉――

 塩川狸爺が具体的にどんなことを喋ったのかというと、「Wikipedia」によると次のようになっている。

 「外遊する国会議員に餞別として配られた」

 「政府が国会対策の為、一部野党に配っていた」

 「マスコミ懐柔の為に一部有名言論人に配られていた」

 これだけ具体的に言っておきながら、「忘れた」は周囲から圧力があったからだろう。「自民党にしたら、自分のケツを覗かれるようなもんだ、覗かれていいのか」とでも言われたのかもしれない。

 野党に下って野党の立場から民主党政権に対してその政策を国会で鋭く追及している加藤紘一センセイは当時官房長官として官房機密費を私的流用にまでまわしている。

 地元の山形県鶴岡市入りした際に「地元入り経費」として245万円、出身高校の「同窓会費」1万円、県人会費1万2千円。
 
 この共産党官房機密費暴露をたった1ヶ月遡る2002年3月には首相官邸から官房機密費を5億円騙し取った詐欺で逮捕、起訴された元外務省要人外国訪問支援室長松尾克俊が懲役7年6ヶ月の地裁判決を受けている。

 5億横領して何に使ったのかと言うと、競馬馬16頭、マンション、ゴルフ会員権、女等々。さらに余りに金回りが良かったからなのか、外務省幹部らが自分たちの飲み食いの付けを松尾に回して、松尾も官房機密費から横領した自分のカネではない気前のよさから支払ったのだろう、総額が億単位に上るというが(〈外務省は職員から寄付を募り、利子分を加えた約2億円を弁済することで決着をつけようとしている。〉『朝日』/02年3月12日朝刊)、巨額のアブク銭を手にした男の大盤振舞いが想像できる。

 外務省の『松尾前要人外国訪問支援室長による公金横領疑惑に関する調査報告書』がその詳細を伝えている。

 さらに2001年2月14日に行われた当時の森首相と鳩山民主党代表との党首討論で鳩山代表は松尾官房横領事件を取り上げて、森首相を追及している。

 「ホテル代の差額が機密費なのか、外務省の局長の飲食費が機密費なのか。外務次官は無制限に使っていいとか、国民の税金が野放図に使われている。これらもすべて機密費なのか。あまりにもずさんだ。・・・・外務省の組織ぐるみの事件である疑いが強い。松尾克俊元外務省要人外国訪問支援室長の金が同省幹部に渡っている。元室長が持つ9つの銀行(と郵貯の)口座の2つしか解明されていない。(解明に向け)首相はリーダーシップを発揮すべきだ」

 1996年に初当選、1998年に民主党入党の平野官房長官が鳩山の腹心中の腹心だとも言うから、このことを記憶していないことはあるまい。

 それを「そんなものがあるんですか。全く承知していない」と平気で言える神経はいつも眠ったそうな顔をしているが、その表情に反して相当な狡猾さを窺うことができる。

 最初の「asahi.com」記事に戻ると、平野官房長官は河村建夫前官房長官から官房機密費の引き継ぎを受けたことを明らかにした上で、次のように述べたという。

 「報償費という性格上、少なくとも相手があることだし、オープンにしていくことは考えていない。私が責任をもって適切に判断しながら対処する。発表は差し控えたい」

 官房機密費は国会対策が主たる支出項目の一つとなっているのだから、カネの流れは与党から野党に向けてより多く流れる性格を持たせているはずである。政権交代を果たすまで民主党は長年与党自民党に対する野党の立場にあったのだから、国会対策上与党自民党から野党民主党に向けてより多くの流れを見せていたと見るべきで、平野が言っている「少なくとも相手があること」とは自民党議員も「相手」の中に入っているが、それを暴くと、民主党に撥ね返ってくるという意味の、自分たち民主党議員をも指している「相手があること」」であるのは間違いないだろう。

 いわば河村建夫前官房長官から官房機密費の引き継ぎを受けたところで、自民党と民主党は臭い物には蓋をしておくことで手を握り合ったのである。

 平野は透明性の確保に関して次のように言ったという。

 「私をご信頼いただきたい」

 繰返しになるが、1996年初当選、1998年民主党入党、2001年2月14日の党首討論で当時の鳩山民主党代表が松尾官房横領事件を取り上げて森首相を追及し、3ヵ月後に宮沢内閣時代の加藤紘一官房長官の内閣官房機密費の国会対策とかゴルフ代とか餞別とかいった交際費的支出を共産党が暴露、そういった事態に立ち会っていたはずなのに、就任直後の9月17日の記者会見で官房機密費について問われ、「そんなものがあるんですか。全く承知していない」などとシラを切られて、信頼できようはずがないではないか。どこをどう信頼したらいいというのだろうか。

 信頼できないことはこの一つだけではない。民主党が党として「脱官僚」、「政治主導」を大々的に掲げながら、平野官房長官は各府省の国会担当の官僚に与野党議員への「質問取り」を指示する「脱官僚」、「政治主導」に反する背信を犯しているし、マスコミに「脱官僚依存」に矛盾しないかと追及されると、「政務官的なスタッフや政務官自らが質問を取るのが理想だが」と言いつつ、官僚がつくった答弁を政治家が喋るだけのことを「あくまで答弁は政治家がする。矛盾することにはならない」と薄汚く強弁してもいるこれらの姿勢は信頼できない最たる事柄ではないだろうか。

 また首相官邸の内閣総務官室が官僚に対して「国会答弁資料」を作成するように文書で指示、マスコミに「官僚依存への逆戻りか」と騒がれて、すぐさま撤回したが、平野官房長官は自身の指示ではないと否定しているものの、意志統一、人事管理の点で責任がないとは言えない。
 
 こういったことを見てくると、どう逆立ちしても頭の天辺から足の先まで信頼できない政治家の一人となってくる。

 また民主党全体に対しても天下り禁止と言いながら、日本郵政支社長人事で元官僚を据える最初に言っていることと違ったことをする信用の置けなさもある。官僚を辞してから14年経過しているから、もはや天下りではないと言うが、例えそうであっても、言ったことを可能な限り厳密に守る姿勢を持ってこそ、国民に一度約束したことを果たせる。

 人間の自然な感情として信頼できないことが重なれば、何を見ても疑いの目で見ることになるだけではなく、その信頼できなさが顔に現れているといった偏見さえ人に抱かせることになりかねない。この手の顔は信用の置けない顔なのかといった具合に。

 そうなった場合、信頼できない顔の代表格に推奨される名誉を担うことになるだろう。信頼できない民主党の信頼できない顔の代表だと。気をつけた方がいい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

谷垣総裁チャリ全国行脚と予算委員会で叱られた町村信孝(1)

2009-11-05 08:29:12 | Weblog

 谷垣自民党総裁は10月28日、衆議院本会議の代表質問で鳩山首相に論戦を挑み、本会議が終えて11月2日から開催の政府の各種政策に関わる質疑が与野党間で交わされる予算委員会を遥か後ろにして、その休日閉会の11月3日から大阪を皮切りに47都道府県の全国行脚をスタートさせたという。

 〈党員や地元首長らの意見を党の再建に反映させ、来年夏の参院選に向けた足腰の強化を図る〉(毎日jp)意図からだそうで、「足腰の強化を図る」必要から、チャリンコで党員宅を訪問したり、岸和田競輪場を訪れて学生や住民が参加するロードレースの大会に飛び入り参加したりしたのだろう。

 肉体的に「足腰の強化を図る」ことと組織的に「足腰の強化を図る」こととは全く別物だと思うが、これからも各地でチャリンコパフォーマンスに打ち興じるだろうから、肉体的には相当足腰を強くして戻ってくるに違いない。

 谷垣総裁が予算委員会に所属した委員ではなく、国家基本政策委員会委員だから予算委員会に関係はないとは言えるが、鳩山首相が民主党の全政策の上に立つ存在であるのと同様に現在は自民党の政策の上に立たなければならない存在である以上、国政のあらゆる重要事項について与野党政策の攻防が展開される予算委員会に何らかの形で直接関与すべき立場にあると言えるのではないだろうか。

 ところが自民党が野党の立場から予算委員会で民主党政府政策の正否をつまびらかにすべく一進一退の質疑・攻防を一方で繰り広げている、その対決が醸し出す切迫性に何ら関与せずにチャリに乗った総裁のどうしてもそう見えてしまうニコモコ顔ののどかさを一方で演じている。

 政権を失って野党の座に落ちたばかりの党総裁が見せてもいい“のどかさ”にはとても思えない。例え「党員や地元首長らの意見を党の再建に反映させ」るための全国行脚だとしても、自らの政策と対決させて政府の政策を追及すべく現在進行中の予算委員会を遥か後ろにしていい緊急の理由とはならないはずだ。

 確かに論戦内容はテレビや新聞の報道でその日のうちにも知ることができる。NHKがテレビ中継しているし、衆議院が動画で審議の模様を進行形で配信してもいる。だが、その場に臨場しながら直接目にする追及によって明らかとなる政策の内容と矛盾点はテレビ中継や動画によって一部始終知ることができたとしても、自身の視点を直接介したものではなく、他人の視点をそこに介在させている以上、感情的な起伏や直感的判断の点で微妙な違いが出てきて、解釈や反応に温度差が生じない保証はない。

 民主党が今回の予算委員会で新人議員に20席程ある議員傍聴席で傍聴させたということだが、もし谷垣総裁が野党総裁として与党民主党政策を直接監視するためだと称して議員傍聴席に陣取ったなら、新聞・テレビが報道しないはずはなく、チャリ全国行脚よりも遥かに絵になったのではないだろうか。

 だが何よりも野党の座にある党総裁がなすべきことは与党の政策を上まわる政策の創造にあるはずである。子ども手当てや待機児童問題といった幼児から児童・生徒に至る年齢層に向けた福祉政策、雇用や失業、さらに健康保険や年金等々の生活の問題など、大多数の国民を納得させ、受け入れることのできる政策を如何に創造するかであって、その創造を通して国民の支持を成り立たせることが本筋ではないだろうか。

 自民党が政権の座にあったときは野党民主党に対して対案を示せ、対案を示せとしつこく要求し、対案を示さずに批判だけすると非難したものだが、政権交代によって一旦は否定された自民党政策を新たに創造すべく、そのことに時間と労力を費やして民主党の政策が貧弱に見えてしまうような優れた対案とすれば、自ずと自民党の存在感は上がってくるはずだが、谷垣自民党総裁は所詮パフォーマンスでしかないチャリ全国行脚に時間と労力を費やすことで存在感を示そうとしている。ドンキホーテとなる疑い濃厚に思えるが、どのようなものだろうか。

 因みに麻生太郎は懲罰委員会所属の委員となっているそうだが、麻生に懲罰の資格があるのか疑わしい。

 11月2日の昼前に沖縄1区選出の国民新党議員下地幹郎委員が沖縄基地問題を取り上げて質問に立った。13年間に亘って引きずってきた今回の基地移設問題をざっと俯瞰できる質問内容となっていて興味をそそったから、文字に起こしてみた。質問途中、町村信孝がヤジって下地議員にヤジられる一場面がある。

 最後の方で面白い事実が出てくるが、出てからのお楽しみ。

  谷垣総裁チャリ全国行脚と予算委員会で叱られた町村信孝(2)に続く
    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

谷垣総裁チャリ全国行脚と予算委員会で叱られた町村信孝(2)

2009-11-05 08:04:36 | Weblog

 下地幹郎「岡田大臣は普天間について、なぜ辺野古が決まったのか、なぜ嘉手納統合が駄目だったのか検証されたと、いうふうにおっしゃっていますけど、私はその前に、何で13年間やってね、日米は合意しても、政府と沖縄が合意できなかったのか、その検証をしっかりとおやりになってから、そのことをやっていかないと、この二つのことをやっていかないと、私は後先になるんではないかと思うんです。

 あのカーグ・テンプル(?)が、この、ツー・メニー・エッグ・イン・ナ・バスケット、多くの卵が一つのカゴの中に入っている。そして、このカゴの中の卵を一つ動かすと、バランスが壊れてしまって、そのバランスを失って、壊れてしまうということをおっしゃっています。

 これは間違いなく、嘉手納統合とか、その辺野古移設だとか、兎に角県外移設の難しさをですね、物語っているんではないかなあと、いうふうに思うんであります。今までにですね、1996年の4月にですね、4月の、その4月の12日に、当時の橋本総理が、記者会見を行ってからですね、今日までに13年間経っています。

 鳩山総理、それで、総理大臣8人、防衛大臣は16人。沖縄県知事は3人、名護市長は3人、代って参りました。これだけ多くの沖縄の基地の軽減をやりたいと言っても、なぜできなかったのか。そのことをしっかりと見据えていかないと思うんであります。私は、この間の政治状況を見ますとですね、勿論政権は自民党、県知事も自民党系の県知事。県議会も自民党が過半数を取る。そして名護市長も自民党系。名護市議会も自民党が会派を取る。こういうふうに政治状況はパーフェクトなんですよ。パーフェクトの政治状況で、13年間できなかったわけですから、どこかに問題があることだけは確かです。

 その問題がどこにあるかを考えると、これはですね、国と沖縄県の間にですね、沖縄県との間に、ミスマッチが起こってるんです。最初のミスマッチはこのさっき申し上げた1996年、4月12日の記者会見のあと、橋本総理が、太田知事にお電話をなさる。『太田知事、全面返還が決まりましたよ。しかしアメリカは代替地を要求してますからね』ということを、自分は申し上げたと言ってるんです。

 しかし太田総理は、代替地の話は私は聞いていないと、太田知事は。たまには間違うこともあります。

 太田知事は聞いていないと、申し上げて、そのあとですね、1998年の2月の6日に、太田知事は橋本総理が提案をなされた、撤去可能な、その、ヘリポートに関して、拒否することになりました。これがミスマッチの一つです。

 二つ目は、そのあと稲嶺県政が誕生された。稲嶺県政が誕生なされて、3年間のこの稲嶺県政が検討されて、2千メートルの軍民共用、15年使用期限の問題っていうのを提案したんであります。稲嶺県政は15年の使用期限を認めたのは、永久に沖縄県に米軍基地を背負うわけにはいかないと、これは制限、時限立法、時限を以って、これを受け入れることにしようと彼は決めたんです。

 しかし当時の政府は、1兆円規模のですよ、1兆円規模の予算を投下して、2千メートルのね、滑走路を造って、じゅうー5年使用期限では、これは全く、これは道理が通らないと言って、稲嶺さんと決裂されたんです。そして日米と沖縄県と合意できない。

 その後L字案を政府が提案したら、稲嶺さんはそれは合意しない。そしてそのあとですね、2006年の4月に突然L字案からV字型に変わって、もう一回稲嶺さんに提案したら、ま、ここは沖縄にとっては、最悪でしたけども、名護市長は合意するけども、沖縄県知事は合意しないというねじれ現象が地元に起こってしまって、稲嶺知事は8年間の満期を終わって、この合意をすることなく、この問題は終わってしまいました。

 今度は仲井真知事が参りました。仲井真知事が来て、V字型でそのまま進むのかなあと思われたら、今度は100メートルずらしてくれと、100メートルずらしてくれないと、私は受け入れないと、いうようなことをおっしゃる。そうすると、日米両政府はですね、この100メートル動かす修正案を呑むと、パンドラの箱が開くと。アメリカの海兵隊はこの辺野古の1500メートルには納得していないんだと。納得していないから、これをもう一回修正すると、新たな要求が出てきて、日米の合意そのものが駄目になるから、仲井真さんの修正案は、受け入れられないと言って、今、3年間が経過しようとしているんです。

 総理、これはですね、沖縄県とのミスマッチがずうっとあって、今、こういう状態が続いていることだけは確かなんです。そういうことをですね、全部考えて、検証してみますと、大事なことはですよ、いくら、いくら、日米で合意しても、沖縄県との合意がなけれが、この問題は前に進まないとおっしゃる。

 それと、日米の合意が、やったことが、この普天間の、辺野古の移設がうまくいくなんていうものにはなっていないということをね、ジュウー二分に総理は認識してもらいたい。

 そして日米合意しても、、沖縄県と政府との合意がなければ進まないということを、総理がですね、しっかりと、心の中に刻んでもらって、最後に私が決めると、いったことの結論を出すべきだと思います。

 今、私がこの13年間を少し、短い間に検証しましたけど、それに対する総理の感想をお聞かせ願いたいと思います」

 鳩山首相「13年間の検証のお話を伺わせていただきました。まさに、そこに最大の問題があったと、いうことでございます。先程の山口議員の、質問にもございました。地域の皆様方の思いというものを、無視して、政府とアメリカの間だけで、結論を出すことは決してできない。

 だからこそ、沖縄の県民のみなさんの負担を如何に軽減をする、そのことを政府がアメリカにも理解させて、納得させて答を出すと、いう遣り方をしない限り、この問題の結論は永久に出すことができない。そのくらい、大変な難しい状況になってしまっている。私はそのように思っております。

 一方でご案内のとおり、日米の合意というものが、現実に旧政権の間で、なされているのも実態、事実で、ございます。その思いも全く無視するというわけにはとても行かないこともご理解を頂かなければならない。

 その中で従いまして、今検証を始めているところでありますが、大事なことは沖縄県民の皆さん、特に、その代表である、知事と、私共新しい政権との間で、お互い納得できるような、合意を得ない限り、いくら強引に日米の間で進めようとしても、結論を出すことはできない。

 そのように思っておりますので、そこは心して、これから臨んでまいりたい。そのように思います」

 下地委員「あの政府、政治の状況が変わったとですね、先程申し上げました。パーフェクトだと申し上げましたけど、沖縄県議会、逆転してますよ。今度の選挙も4選挙区でも、辺野古反対の、あの、候補者が勝ちました。そして、今度1月行われる名護市長選挙も、保革の、ある意味、乱れた戦いになって、前のような状況ではありませんね。

 そういうふうな、そういうふうなですね、(後ろを向いて)保革なんて色々ある。これが、そういうふうな状況の中で、前よりも政治状況の悪い中で、総理がですね、辺野古を決断なされても、来年の、辺野古を決断なされて、中山知事が埋め立て承認してもですね、来年の11月に選挙がある、選挙はまあ、水物でありますけれども、辺野古反対の方が勝ったら、間違いなく、埋め立て承知の取消しを強制決断するでしょうな。

 そういうふうなことになると、裁判になって泥沼になる。そういうような状況が続くと、また今までと同じような13年間と同じようなことになる。そのことをじっくりとお考えになって、どの決断をするかということをお考えにならなければいけないと思います。

 そして、岡田外務大臣にお伺いしますけど、嘉手納統合案、というようなお話をさせていただいておりますけど、私もよく嘉手納統合って申し上げております。私の嘉手納統合は、1+1が2になるのでも駄目。1+1が1でも駄目。1+1が0.5になりますかっていうのが私の嘉手納統合なんです。

 だから、この嘉手納統合する。7万回乗り降りがある。普天間が3万回ある。足して10万回で、それは誰も納得しませんよ。それはF15の戦闘機を、ね、岩国や、そして三沢に移したり、外来機の訓練を、その伊江島の滑走路を修正してやったり、今、よく言われるような、関西空港のB滑走路が全くゼロですから、安全保障上は全く音も出ないし、あの地域を航空母艦が通るわけですから、あそこを活用して、外来機の訓練をやるというと、私、嘉手納の統合は半分になる。そういうことを提案する。しかも、沖縄県民のこの思い、基地を造っていいですかということは聞かない。許可認可、沖縄の許可を受けずに基地内基地ですから、新たに基地を造らずにできる。

 こういうふうなことで、どうですかということを1回提案をしたことがあるわけですありますけども、外務大臣がおっしゃってる嘉手納の統合とはどういうものか、そのことをお聞かせ願いたいと思います」

 岡田外務大臣「まあ、今、委員、色々お話ありましたように、ま、この普天間の移転の問題は、極めて厳しい、狭い道を通っていかなければいけない、そういう問題であります。ただ、先程申し上げましたように、普天間基地の周辺の住民安全の確保と、言うことが議論のスタートでありますから、私は結論を先延ばししていい話ではない。一定の範囲の中で、結論を出していく必要があると、ま、そういう思いで、今、過去の検証作業を行っているところであります。
 
 ま、その検証を行っていく中で、普天間への統合という、ま、過去にも何度も議論された、問題が、浮かび上がってまいりました。えー、何度も議論されて、結論が出ているという話もありますが、しかし、何度も日米双方から、提案されたということは、それなりの可能性もあるということで、提案をされてきたわけであると、いうふうに思います。

 私なりに、これが、果して案になるのかどうかということを、今、様々検証作業を行っているところであります。その際、私が、先般も、沖縄の地元の市長さん、町長さん、お見えになりましたが、申し上げたことは仮に嘉手納統合という案を取ったときに、それはやはり現在の嘉手納の、負荷、つまり騒音その他が、今以上になると、オー、いう前提になると、これは案にならないと、いうことを申し上げたところであります。

 えー、ますます自分で自分の、こう、通る道を狭くしている感が無きにしも非ずですけれども、しかし、ま、実現するためには、そういうところであろう、そういうふうに思っているところであります」

 下地委員「今、あの、町村先生がですね(右斜め後ろに手を向ける。)、私が関西で、この外来機の、米軍機の訓練をやるというお話をテレビの前で言わせて頂いたら、『関西の人はどう思うんだろうか』という、今、ヤジがありましたけれども、じゃあ、沖縄にずっと負担させていいんですか?日米安保は重要だと言いながら、米軍基地の負担は、ここにいる国会議員の皆さん、自分たちはやらなくてもいいと思ってるんですか?

 それはですね、それはみんなで分け合わなければ、この米軍基地の問題は解決しないんです。こういうヤジはね、言っちゃあいけないですねえ。私はそう思いますね。そういうことをやっているから、この13年間やっても、決着をつけられなかったんですよ。

 もう一回決断をして、しっかりと関西の空港であっても、静岡の空港であっても、沖縄の米軍基地の軽減をやるんだと言ったら、みんなで協力をしてやりましょうよ。そういう思いに国民がならなかったら、日米安保は大事だけども、米軍基地は受け入れられないという、こんな矛盾ばっかやっていたら、駄目なんですよ。そのことをもう一回申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 それでですね、もう一回前原大臣にですね、先程から沖縄の論議しておりますけれども、沖縄の論議していて、もうこの基地問題が大変だと、総理の所信演説でも沖縄は厳しい歴史環境から来ていると、歴史から来ているというようなお話がありましたけども、そういうふうな地域にも関わらず、この10年間沖縄の振興費は激減してきました。もう4千億円あった予算が、今、2300億円ですよ。この10年間で沖縄の予算は減ってきた。

 何でこんなに沖縄に基地を負担させながら、何で沖縄が必要だと言いながら、予算を削るのか、私には理解できないですよ。しかし、今度前原大臣も、400億円切られている、ね。これは予算の削減をしなければならないというのがあるかもしれませんけど、日本全国、行政が一つになって、金太郎飴みたいに予算を全部切ればいいって問題じゃないと思いますよ。

 沖縄に負担があるちゅうなら、私の政権になって、私が大臣になったら、今までの自民党がこれだけ予算を切ってきても、沖縄の負担のことを考えたら、私は予算を上積みしますよと、プラスにするかと思ったら、大臣も、予算を切られておりますけども、大臣、それは切らない方がいいんじゃないですか?

 だから、今度本予算をお決めになるときは、仙石先生がお怒りになっても、沖縄の苦しみを分かって予算をつける。色んなことを考えてやるっていうことが大事だと思いますけども、大臣、お考えを聞かせてください」

 前原国土交通・沖縄北方担当大臣「下地議員にお答えします。えー、400億、予算を削ったっていうのは、それは認識違い、であります。それは自民党政権下につくられた平成22年度の概算要求で較べると、我々新政権になってからの概算要求額、4千億円(400億円?)削られておりますけれども、我々の概算要求額は、えー、平成21年度の当初予算を変えておりません。全く沖縄の予算は削らないと、これはそこに座っておられる大島副大臣、泉政務官の意見を合わせて、私は国土交通省では公共事業費は10%削っておりますけれども、沖縄の予算は削らないという方針で、これを概算要求を出させてもらっております。

 因みにですね、それはあのー、下地議員もよく分かっておられることでありますけども、えー、二つ申し上げたいんですよ。一つは、沖縄が最も平均所得が低いと、47都道府県で。そして失業率が最も高いと、いう所であって、そして基地の負担というものが、そういった背景にあるのも事実であり、やはりこれは、他の予算は削っている状況の中でも、沖縄の予算は削れないと、いう思いで、私たちは概算要求を出させていただいたということが先ず一つと。

 もう一つはですね、この沖縄の予算、いわゆる自民党政権が例えば北部振興なんかは、典型的なものですけども、基地を受け入れなければいけないと、リンクさせましたよね。我々の政権ではそれをリンクさせないと。つまりは真に沖縄振興に対する予算をつけると、言うことで、しっかりと、その対応をしていきたいと思います」

 下地委員概算要求にあった予算から、普通は概算要求は25%アップして、予算つけるもんですから、それから大体切って、ね、数字を出すということになってますから、大体今の金額だと、沖縄の予算は下になると、一般的な考え方なんですよ。まあ、一般的な考え方をしていた私が――、バカだったのかなあと。だから、今回は概算要求に対して満額が付くということですね。下にはいかないということなんですか?」

 前原大臣前原「私は満額貰いたいと思っております。後は財務大臣としっかりと相談をしたいと思っております」

 下地委員「財務大臣、ご答弁をお願いいたします」

 藤井財務大臣「先程からお話がありましたようにね、今一番大事なのは、総体を切るということの裏にある、何があるかと言うとね、国債なんですよ。国債市場が安定していない限り、日本の社会が、その、非常の意味でね、世界から批判されるんです。ですから、これはやります。これはやりますが、今の沖縄の問題等々は、これは個別の問題でありますからね、よく前原さんと相談をいたします」

 下地委員「もう一方(ひとかた)、仙石大臣、どうですか」

 仙石大臣「えー、私は、あの最終的な査定権者ではありませんので、えー、結果として、えー、どうなるか分かりませんが、ただ、あのー、基本的には前原さんがおっしゃったとおり、なんでしょう。ただ、そこにですね、えー、使い方にモラルハザードが発生していないかどうか、いうふうな点は、これは私の立場からすれば、しっかりと見させていただきたいと、こう思っております

 下地委員「あの、私たちは、新しい3党連立政権ができましたんで、色んな切り口で、その政策を進めていかなければならないわけでありますけども、しかし、国民の視点であるという3党連立の合意からするとですね、弱者を大事にする。遅れている地域を大事にする。そういうような気持ちで政策の一つ一つを進めていかなければならないと思いますから、この沖縄の基地問題を初めとして、そして郵便局の問題を初めとして、私たちは強い者も頑張りなさい、弱い人たちももっと元気が出るような、そんな日本をつくるために頑張っていきましょう。

 質問を終わります。ありがとうございました」

「伊江島(いえじま)」

 伊江島は本部半島先端の北西約5km沖に浮かぶ島で東西9km、南北4kmほどで面積23km2弱。人口は約5400名である。1島1村で「伊江村」になっている。

 この島は本島から村営フェリーでわずか30分という便利さもあり人口流出はあまり多くないようである。

 島の中央の城山(ぐすぃく・標高172m)は遠くからでもよく目立ち、島の景観上のシンボルと言えるだろう。

 城山以外の土地はほぼ平坦であり、いっそう城山が目立つのである。

 産業ではサトウキビ、葉タバコ、ラッカセイなどを産出し、肉牛の飼育も力を入れている。

 ダイビングや釣りや海水浴に来る人が多く、小さなリゾートホテルもできている。

この島出身の人は明らかに本島の人より性格が大らかな気がする(?)。

沖縄戦では旧日本軍の沖縄最大飛行場、伊江島飛行場があったことから激戦が繰り広げられ軍人・島民とも多くの死者を出した。現在も島の西部には広大な米軍演習地が残っており、島の面積の3割以上を占めている。米軍の軍人も村営フェリーで島を往来している。(2001年11月) 
 面白い事実が出てくると言ったが、既にお分かりだと思うが、先ず最初に自民党政権下で長年沖縄振興と称して莫大な予算を注ぎ込みながら、現在もなお沖縄が最も平均所得が低く、失業率が最も高い名誉ある地位を指定席としている、“振興”の名に値しない皮肉な状況下にあるというである。

 このことは自民党政治の功績として日本の歴史にその名を記しておくべきではないだろうか。民主党が自民党の次に名前を連ねないことを願う。

 親の収入と子どもの学校の成績が相互関連し合っている社会的事実からすると、全国学力テストで沖縄県の成績が最下位を占めている事実もある意味必然的結果と言える。

 次に下地委員が明かした事実、「普通は概算要求は25%アップして、予算つける」という慣習である。今回の民主党政権下の概算要求95兆円にしても、民主党が新たに付け加えた政策に関わる予算も含めて、その必要金額は官僚が関与して弾き出した箇所が大部分を占めていることを考えると、「25%」は慣習上のDNAとして組み込まれている疑いが濃い。

 過去最大と騒がれた民主党概算要求額95兆380億円の「25%」は23兆7595億円、これを差引くと、実質的な必要予算は71兆2785億円となる。だが民主党の行政刷新会議が行っている予算の事業仕分け作業は3兆円の削減を目標としている。

 少し前のブログで麻生本年度補正予算の14兆7千億円の中から民主党はムダを排除する作業を行って2兆9259億円を圧縮、執行停止させた割合はほぼ20%に相当することと、公共事業の元請が下請に差引いて丸投げする割合が20%~25%といったことから、20%を不要(=ムダ遣い)・不急(=非優先)の目安となる確率ではないかとして、概算要求額95兆380億円の20%、19兆は削減可能ではないか、その半分の10%を取ったとしても、約9.5兆は削減できるのではないかと書いたが、下地委員の「25%アップ」をそのまま当てはめると、約24兆円も削減可能の計算となる。

 下地委員の「普通は概算要求は25%アップして、予算つける」慣習を検証する必要がある。慣習になっているからと一定の割合でアップさせた概算要求を突きつけ、それを見込んで大臣や族議員の力関係、予算の余裕の点などから加減乗除の手加減を加える遣り方をしていたのでは、いつまで経っても正確な計算能力が身に付かないことになる。

 最後に仙石大臣が「使い方にモラルハザードが発生していないかどうか」見ていくと述べた点である。予算をつけたとしても、その執行の段階で利権化や不正行使といったモラルハザードが起きないか監視するということだろうが、その必要があるということは過去にモラルハザードの前例があったことから学習した監視ということであろう。

 ゴマンとある、跡を絶たない官僚・役人・政治家の不正・ムダ遣い・利権行為から見たなら、頷ける仙石大臣の「モラルハザード」発言と言える。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日航の公的支援化は外国の血を入れることができないという日本的国産純潔主義からなのか

2009-11-03 08:08:38 | Weblog

2008年1月9日、国土交通省は成田、関西、中部の3国際空港の管理運営会社と国直轄の羽田空港のターミナル会社に対する外国企業の出資比率を3分の1未満に制限する法案の提出を図った(《空港会社の外資規制を決定 国交省、出資比率3分の1未満に制限》中日新聞/2008年1月10日 朝刊)。

 外国資本が経営の決定権を握った場合、公共性のみならず日本の安全保障を損なう恐れがあり、それを防ぐ狙いからだそうで、18日召集の通常国会に外資規制を盛り込んだ空港法案を提出するとしている。

 外資規制を検討するに至った経緯はオーストラリアの投資ファンドが、羽田空港の旅客ターミナルビルを運営する「日本空港ビルデング」の株式を約20%まで買い進めたことが昨年明らかになったからだそうで、会社法の規定で株主総会での重要事項の議決には3分の2以上の株式が必要なことから、外資の株式保有を議決に影響しない3分の1未満に抑える意向だという。

 議決に外国資本は参加させない、排除する。言葉を替えて言うと、3分の2を超えたら有害だから、3分の1以内に抑えて外国資本を人畜無害の存在に閉じ込めておくということであろう。

 国交省が言っている理由の一つ。

 「国際拠点空港は国民の財産で、外資が支配するのは好ましくない。羽田空港も重要な首都圏空港だ」(『朝日』)

 ハコモノがそこにあるというだけで「国民の財産」とはなり得ないはずだ。国民の生活に便宜と利益を与えて初めて「国民の財産」となり得ると思うのだが、違うだろうか。当然赤字空港は「国民の財産」足り得ない。ハコモノの単なるお荷物でしかない。国が自らの発案で、あるいは国の補助を受けて地方自治体が発案して公共の施設を建設した場合、国民に便宜と利益を与える働きを持たせた「国民の財産」とする責任を負うはことになる。

 勿論、このことは公共施設に限らない。法律その他の制度も国民の便宜と利益を目的としているはずである。法律に関して言うと、国民の便宜と利益に寄与しない法律は悪法の部類に入り、「国民の財産」足り得ないことになる。

 国民の便宜と利益の成立を条件として初めて「国民の財産」と言える資格を有し、その条件に加えて資本の所属を国内を条件と限って国民の便宜と利益の成立を果たし得るなら、新たな条件の付加は正当づけることができるが、果たし得ない場合は資本提供の残る条件たる外国資本を加えてもいいはずだし、「国民の財産」と胸を張って言えるためにも加えるべきではないだろうか。

 また一般的な生存理論からすると、組織が何らかの保護を受けることで内にも外にも人畜無害の存在を対峙させる状況をつくり出した場合、闘争本能・防衛本能を殺いで現状に安住させることになり、組織自体を弱体化させかねない。

 上記「中日新聞」記事は〈日航など国内の全航空会社についても、同様に3分の1未満の外資規制がある〉と伝えているが、日航の今回の経営危機が外資規制が約束することとなった“安住”から生じたものかどうかは門外漢の私には分からない。

 一旦は決めた空港施設に対する外資規制を与党議員だけではなく、閣僚の中からも反対意見が相次いだため2008年10月になって撤回。最も完全撤回ではなく、撤回に代る大口出資規制やしてはいけない行為を予め決めておく行為規制との組み合わせて検討に入る予定だと2008年10月9日の「asahi.com」記事が伝えていた。

 撤回したものの、外資の株式保有を議決に影響しない3分の1未満を上限に規制しようとしたこの3分の1未満は国内の全航空会社に対する3分の1未満の外資規制に対応させようとした3分の1未満であろう。

 いわば公共性と日本の安全保障の確保を相互に連動させた3分の1と言える。

 航空会社や空港施設がその経営権を外資に握られたとしても、日本の安全保障にどう関わってくると言うのだろうか。例えばある外国と軍事的緊張関係に陥った、あるいは一足飛びに軍事的衝突が起きた。その国の資本が日本の空港施設、あるいは日本の航空会社の経営権を握っている。前以て監視していておかしな動きがあればその空港を閉鎖するか航空会社を営業停止処分にして自衛隊もしくは国の管理下に置けば済むことではないだろうか。

 あるいは空港施設や航空会社が軍事技術に転用される恐れのある技術を持っているというわけでもあるまい。

 真壁昭夫信州大学教授が08年02月26日の「ダイヤモンド・オンライン」記事で、空港運営会社や施設関連企業は国土交通省関連の有力な天下り先となっていることから、外資が経営権を握った場合失う恐れのある既得権益の擁護を目的に法規制を掲げたのではないかとする見方を披露している(《空港外資規制-天下り先維持のための法改正なら言語道断》

 勿論天下りルートを確保しておくために国土交通省の陣営に引き入れておきたいという思惑もあったろうが、より大きな枠組みから言って、国土交通省が国の機関であることから国の管理下に起きたい権威主義的支配意志を働かせた外資規制欲求ということもなかっただろうか。

 なぜなら外資規制の理想は外資の完全排除、いわば国産企業を100%国産足らしめておくことにあるが、グローバル化の今日不可能だから、一部外資が入っていたとしても、国産企業を経営上は国産たらしめておくことを外資規制の次善の理想としているはずで、国の管理下(=法の管理下)に置くことによって、それは可能となるからだ。当然そこに国を上位に置いた権威主義的支配意志、あるいは権威主義的管理意志の発動が生じる。
 
 外資規制とは国産純血主義への限りなき欲求を底に秘めた政策と言える。それを可能な限り実現させるために国が権威主義的な関与を働かせる。

 経営危機に陥った日航は国際航空連合「スカイチーム」に所属する米デルタ航空から最大5億ドルの出資を受けるべく今年の10月初旬に業務提携の交渉に入った。日航が所属している国際航空連合「ワンワールド」から離れるのを嫌って同じ陣営にとどめるべく米アメリカン航空もデルタと同規模の資金支援を申し出た(asahi.com)。

 だが民主党前原国土交通相の主導で日航の再建は〈官民出資の企業再生支援機構を使って債務を整理した上、公的資金で日航に出資や融資を行う方向で検討に入った。〉(msn産経)ため、デルタ航空やアメリカン航空との資本提携、あるいは業務提携は一時凍結することに決まった。

 国内の全航空会社には3分の1未満の外資規制があることからすると、公的資金による日航再建策は一部外資が既に入っているものの、デルタ航空やアメリカン航空といった外資との資本提携を排除することで外資割合を限りなく3分の1未満以下に抑えて日航を最大限国産の姿にとどめておこうとする次善の外資規制に向けた国管理と言えないことはない。

 このような経緯にしても元を質すなら、国家的な権威主義的支配意志が絡んだ国産純血主義への限りなき欲求といったところではないだろうか。

 上から下まで国産に拘る国柄である。完璧な国産純血主義は単にグローバル化の今の時代が許さないことからの断念でしかないということだけは確実に言える。

 だからと言って、一歩退いた次善の外資規制を目的として国産企業を経営上は国産たらしめておく準国産純血主義から発想した公的資金の投入が許されるわけではないということも確実に言える。

 個人的な下司の勘繰りとして片付けることができるなら幸いである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「質問取り」は政治家の不勉強を許す時間とカネのムダ遣い

2009-11-01 12:40:26 | Weblog

 10月7日の「YOMIURI ONLINE」記事――《与党「脱官僚」へ国会改革…自民には警戒感》が民主、社民、国民新の与党3党が脱官僚に向けた国会改革に乗り出すことにしたと伝えている。官僚が答弁する「政府参考人」制度や委員会定例日の廃止等を検討、国会法改正も視野に「政治主導」の審議を目指すとしている。

 記事は以下のように「国会改革の主な論点」を挙げている。

 ▽官僚による国会答弁の禁止による政治主導の実現

 ▽委員会定数の削減による議員の専門性の強化

 ▽委員会定例日の廃止による審議時間の増加

 ▽「質問取り」を政務官に一任


 週2~3日の委員会定例日の廃止は、連日の委員会開催を可能にし、審議時間を増やす狙いがあるということである。

 民主党山岡賢次国会対策委員長(6日の党の会合で)「与党の質問時間を大幅に増やそうと思っている。徹底的な審議をして最善のものを作り出したい」――

 記事は改革の問題点を次のように挙げている。

 〈ただ、改革の前途は容易ではない。

 政府参考人の廃止で、閣僚や副大臣ら政治家は高度な答弁能力を求められることになる。委員会の定数削減には「少数政党の社民、国民新両党は委員を置けない委員会が出るため反発しかねない」(民主党国対幹部)との懸念もある。

 自民党も性急な改革に警戒感を隠さない。大島幹事長は6日の記者会見で「国会改革はできるだけ(与野党の)合意をもってやることが大事だ。民主党の思いだけでルールを決めてはいけない」とけん制した。〉――

 「閣僚や副大臣ら政治家は高度な答弁能力を求められることになる」ことを覚悟で「政府参考人の廃止」の方向に持っていくことにした。

 “自分で答える”ことに決めたということである。

 官僚(=他人)に教えられた答弁でいくら的確・明瞭に答えることができたとしても、自分自身の言葉を使った答弁でない以上、殊更断るまでもなく、「高度な答弁能力」を示したとは言えない。他人に教えられた答弁であることを与り知らない国民は騙せるかもしれないが、教えた官僚には分かっていることだから、官僚の言葉の能力があってこその政治家の「答弁能力」ということで、手柄は常に官僚側が握ることとなって足許を見透かされ、本質のところで政治家自身が官僚に頭が上がらない政治家をつくることになり、官僚に対する人事管理の統率能力までも欠くことになる。

 いわば自民党政権下では国会答弁だけではなく、政策立案の面まで官僚依存にどっぷりと浸かることになって、政治家は官僚の操り人形と化していた。結果、官僚の好き勝手を許すことになったということなのだろう。
 
 民主党はそのような自民党政権の官僚依存を反面教師として、「脱官僚」・「政治主導」を掲げた。

 だが、国会答弁に於ける「政府参考人の廃止」を主張しながら、「質問取り」は「政務官に一任」という形式で継続させて、国会答弁に役立たせる。

 民主党が「高度な答弁能力」を自らに課す覚悟の方法として「国会改革」の一つとして掲げた官僚が行ってきた質問する与野党議員に事前にその内容を聞き、省庁側の答弁を作成する「質問取り」を官僚を外して「政務官に一任」は一見「脱官僚」・「政治主導」に添った作業のように見えるが、実態は「脱官僚」・「政治主導」に反した矛盾した方針と言えるのではないだろうか。

 国会で何をどう追及されるか、その質問事項は鳩山首相の政治献金問題、沖縄の基地移転問題、高速道無料化と地球温暖化二酸化炭素25%削減の可能性の問題、自衛隊のインド洋での給油等の補給支援活動問題、アフガン対策、子ども手当て等の民主党政策の財源問題、過去最大の95兆円に膨らんだ概算要求問題、国債を発行しないとしていた当初政策変更の有無の問題、経済成長戦略の欠如問題、マニフェストに掲げておきながら、あとで変更する政策のブレの問題等々、中には選挙戦当時から自民党やマスコミによって指摘されていたことで、すべて予想できた追及点であろう。

 これらの問題を一つ一つ取り上げて、どう追及されるか想定し、追及に対してどう答弁するか自らが理論武装する。その過程で自ずから「高度な答弁能力」が誘導されるはずである。

 また政策立案に関しても、それが自らの手による立案なら、各政策は政治的創造性や政治的洞察力と理論と各種統計の裏付けを兼ね合わせて成り立つものだろうから、政策の立案と併行して理論武装は自身の手によって構築されていくはずである。

 政策の立案自体が官僚依存の場合、政策に関わる理論武装は官僚自身の習得に帰す。政策の立案に関与しないことによって理論武装の機会を持たない政治家が持たないままその政策に関わる質疑を国会で行う場合、国会答弁がその政策に関わる理論武装を果たしている「政府参考人」たる官僚に依存しなければ満足に消化できないのは当然の道理としてあるプロセスであろう。

 民主党が「脱官僚」・「政治主導」を掲げてその逆を行くとした以上、理論武装を自動的に作動させなければならないから、官僚に依存しなくても国会答弁に困るはずはなく、当然のこととして「高度な答弁能力」を自明の理としなければならない。

 いわば「質問取り」は官僚は勿論、政務官も行わなくても済む不必要事項となる。

 それを「政務官に一任」ということなのだから、時間とカネのムダ遣いと言わざるを得ない。

 ところが平野官房長官は「政務官に一任」ということならまだしも、その方針をあっさりと捨てて、各府省の国会担当の官僚に与野党議員への「質問取り」を指示、「脱官僚依存」に矛盾しないかとマスコミに指摘されて、次のような趣旨で言い繕った。

 平野(15日記者会見)「政務官的なスタッフや政務官自らが質問を取るのが理想だが、あくまで答弁は政治家がする。矛盾することにはならない」(時事ドットコム

 鳩山首相「官僚にそれぐらいの手伝いをしてもらうのはあり得る話だ」(同時事ドットコム

 「『質問取り』を政務官に一任」
と「それくらいの仕事」は官僚にやらせないと「国会改革」を掲げていながらの「官僚にそれぐらいの手伝いをしてもらうのはあり得る話だ」となっている。

 自民党大島理森幹事長「あまりにも言うことが変わりすぎる。早く国会を開き、政治主導の在り方や内閣と立法府の関係を論じる必要がある」(47NEWS

 野党としての当然の反応だろう。

 この「官僚依存」の変心は質問取りだけで終わらなかった。首相官邸の内閣総務官室が官僚に対して「国会答弁資料」を作成するように文書で指示、マスコミに「官僚依存への逆戻りか」と騒がれて、すぐさま撤回。

 平野官房長官は質問取りは官僚にやらせても、一度は「あくまで答弁は政治家がする。矛盾することにはならない」と言った。断言した?宣言した?兎に角言った。

 官僚にやらせるのは「質問取り」までと思いきや、「国会答弁資料」まで作成させるべく指示を出した。これをおんぶに抱っこと言うが、これでは「あくまで答弁は政治家」と言っても、官僚に教えられた言葉を機械的に駆使する、あるいは他人の言葉をさも自分の言葉のように喋るだけのことで、政治家自身の答弁とは決して言えない。

 当然、官僚に依存した見せ掛けの「高度な答弁能力」ということになる。

 このようなことは理論武装していないことによって起こる。政策立案まで遡って自分の手で行ってこなかった他人任せが原因する理論武装を欠いた同じ他人任せの答弁ということであろう。

 これまで質問取りや国会答弁で時間外の長時間労働を官僚に強いてきたという。官僚の居酒屋タクシーもこういったことで起こったさもしいタカリ行為と言えるだろうが、民主党政権が「ムダ遣いの徹底排除」を掲げながら官僚に長時間残業の時間とカネのムダ遣いを強いる「質問取り」を行わせるのは自分たち国会議員の不勉強から官僚依存の無為・無策の上に胡坐をかいているからだと把えられても仕方があるまい。

 国会議員だけではなく、県会議員から市町村議員まで、日本全国津々浦々で役人作成の政策づくり、議会答弁づくり、さらに国内外視察の報告書づくりまで行われていることを考えると、その時間とカネのムダ遣いとさらに上は国から市町村の下までの議員と称する者たちの不勉強の総合計は空恐ろしくなるくらいの天文学的数字を示すのではないだろうか。

 民主党は麻生太郎と同様にギリギリまで踏ん張るということを知らないようだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする