小沢一郎「新報道2001」出演、菅内閣のマニフェスト修正を語る(1)

2011-01-21 11:11:59 | Weblog


 1月16日(2011年)日曜日、小沢一郎元民主党代表がフジテレビ「新報道2001」に出演、政治倫理審査会出席問題やマニフェスト修正問題、二大政党制や小選挙区制、その他を話した。多くが視聴したと思うが、記憶に残しておくために前半部分の政治倫理審査会出席問題とマニフェスト修正について語った箇所まで文字化してみた。

 読めば理解できることで、必要がないために解説を一言も加えないことにした。

 アナウンサーは須田哲夫アナ、吉田恵あな、コメンテーターに平井文夫フジテレビ報道局専任局長。そして脳科学者の茂木健一郎。

 その前に昨1月20日(2011年)の夕方のNHKニュースがアメリカのルース駐日大使を始め、各国の大使を集めて行ったという菅首相の「歴史の分水嶺に立つ日本外交」と題した外交演説を伝えていた。

 どうせいつも言っていることの繰返すに過ぎないと見ていたら、「平成の開国」だ、TPPだ、「日米基軸」だ、案の定ほぼ同じ繰返しに過ぎなかったようだ。招待を受ければ断るわけにいかず出席し、既に情報とし手に入れていたこととたいして変わらないことを聞かされた各国大使にしたら、コーヒータイムだ、トイレットタイムだと称して席を立つこともできず傍迷惑したのではないだろうか。

 2010年9月24日午後(日本時間25日未明)の国連総会演説では前のオバマ大統領の演説では立見まで現れ、びっしりと壁を覆って見えなくする程に大勢がその演説を聞き入ったが、次の菅首相の順番になると、逆に壁を覆っていた大勢ばかりか席に座っていた大勢も立ち上がって、コーヒータイムなのかトイレットタイムなのか議場をガラガラにしたが、今回の外交演説ではそういった自由行動ができる自由な雰囲気は許さなかったろう。

 なぜなら国連総会の場合はオバマ大統領との比較で止むを得ない、あるいは当然とすることはできても、今回は演説者は菅首相一人でそれが効かないことと、国連総会の場合は自発的出席だが、今回は招待された出席で、招待した側に時間と行動がほぼ拘束されることが原因の退場なしといったところで、出席者を相当な我慢を強いられたに違いない。

 NHKテレビは普通は通常国会の施政方針演説の中で外交所信を述べることになっているが、現職の総理大臣がこういった形で外交演説を行うのはあまり例がなく、その理由として尖閣諸島沖の衝突事件などで国民に広がった外交手腕への懸念を払拭する狙いがあったのではないかと解説していた。

 これは菅首相の合理的判断能力を欠いていることからきている相変わらずの勘違いだろう。所詮演説など、能書きに過ぎない。外交手腕に懸念を持たせたのは外交問題に遭遇した現実の場面で一国のリーダーとしての毅然たる態度を示して将来に亘って国益に添うと思わせる外交処理を施すことができなかった本人の外交能力の適格性であって、演説の能力とは関係しない。

 その懸念を払拭するには不完全な処理に終わった現実の外交問題をより完全な処理へと修正していく外交手腕を同じく現実の外交場面で発揮できるかどうかにかかっているのであり、さらには新たな外交問題に遭遇したとき、同じ過ちを繰返さない的確な外交処理を行う外交手腕の発揮にかかっているのであって、現実の外交の場面から離れた場所で行う演説の能力とはやはり関係しない。

 このミスマッチは外交能力の国民向けの発信は現実の外交場面で示す外交手腕、外交姿勢そのものが国民向けの発信となっているであって、記者会見や演説、講演で外交はどうあるべきかを発言することが国民向けの発信だと勘違いしていることから生じているミスマッチであろう。

 いくら各国大使を集めて日本の外交方針を話そうと、尖閣問題やメドベージェフ大統領の国後島訪問で日本国民や国際社会に植えつけることとなった菅首相の外交能力・外交手腕に対する国民評価も国際的評価も払拭することはできない。言葉が問われるのではなく、常にお手並み拝見が問われることになるからだ。

 では、「新報道2001」に入る。

 須田アナ「改造内閣のお話を伺う前に先ずはですね、こちらの言葉、ご紹介したしましょう――」

 『座右の銘 百術不如一誠』と書いたフリップを示す。

 須田アナ「実はこの言葉、小沢さんの座右の銘、いうことでよろしいですね」

 小沢元代表「はい」


 須田アナ「策をいくつも弄しても、一つの誠意には及ばないという、こういう意味だそうですが、小沢さん、この言葉がお好きな理由とはなんですか」
 
 小沢元代表「僕自身、色々とみなさんからご批判をたくさんいただいていますけれども(笑いながら)、自分は自分の正しいと思ったこと、またやるべきことはただひたすら、あのー、誠意を尽くすものを、尽くす、努力する、ということで貫いてきたんで、え、その言葉が私の大好きな言葉なんです」

 吉田恵アナ「さて、術と言いますと、一昨日内閣改造が行われました。こちらに新しい菅内閣の顔ぶれが並んでいるわけなんですが、官房長官に枝野さん。そして経済財政担当大臣に与謝野さんなど新たに入閣した閣僚は4人。留任や横滑りなど13閣僚が閣内に残ったということですが、平井さん、今回の改造内閣のポイント、どの辺りでしょうか?」

 平井文夫「あのー、菅さんは仙谷さんを更迭したので、これは挙党一致の助けになると思ったんですが、後任が枝野さんなので、小沢さんいらっしゃいますけども、脱小沢路線というのは恐らく続くということ。

 もう一つは与謝野さんが入ったということで、恐らくマニフェストの修正が進むと。小沢さん、この二つを見るとですね、なかなかこの挙党一致というってのは難しいんじゃないかと思うんですが、それよりも第一に菅さんがですね、小沢さんに対して裁判にもしかしたら専念した方がいいんじゃないかと、これはつまり党を出てってくれ、あるいは議員をやめてくれと言っているように聞こえるんですが、あのー、こう仲間からそういうことを言われるっていうのは、腹が立ったりしませんか」

 小沢元代表「(笑いながら)別に。あの、菅さんがですね、何をおっしゃっても、別に私は腹を立てたりしませんけれども。いずれにしても、あの、今一つ人事の話、ですけれども、人事はね、あのー、総理、総裁で代表の専権事項ですから、それはお好きなようにね、えー、おやりになればいいことだと思います。

 あと、それについて党員やね、議員がとやかく言う筋合いではないと、オー、評価は、あとは、この内閣が適正なものか公正なものか、その評価は主権者の国民が判断することですから」


 須田アナ「これは前から疑問に感じたんですが、挙党一致という言葉、これは菅総理が今回、何度もおっしゃっています。そして、小沢さんにも皆さん、これ、挙党一致が重要だという言葉を使っていながら、何か、あの、民主党の集まりを見ても、一枚岩には見えない。挙党一致の把え方の意味が違うんですかね」

 小沢元代表(軽く笑いながら)「いや、そんなことはないと思いますよ。みんな、やっぱりね、少なくとも、大多数の人は、折角国民のみなさんがね、えー、大変勇気を持って、政権を変えたわけですね。ですから、その熱い期待と言いますか、思いと言いますか、その国民のみなさんの、思いを、おー、我々は何としても、おー、現実の政治の上で、えー、成功させなくちゃいけない。

 だから、民主党政権ちゅうのは、まあ、いわば60数年ぶりに本格的な戦後初めての政権交代ですから、その意味で是非とも、民主党政権を成功させようと、いう思いはね、まあ、大多数の人は、同じだと思います」

 須田アナ「まあ、共有していると思いますけど」

 小沢元代表「はい。その意味で、あの、挙党一致っていうことは、その通りだと思っていますが、ただ、色んな、あー、手法や遣り方については、人それぞれありますからね、はい」

 茂木健一郎「小沢さんはね、小沢さんは古いタイプの政治家だって言う人もいるんですけど、僕はむしろ小沢さんを古いって言って、今、脱小沢と言われて、いこうとしている人たちって、挙党一致だとか、脱小沢っていう、この言葉が古く感じています。

 そこには、日本をどうしていったらいいのかっていうビジョンは、ないんですよね。だから、こういう言葉で日本の政権が語られちゃうって不幸じゃないですか、これ」

 小沢元代表「ですから、僕は、とにかく今は、あー、いつもとやかく言われている対象、それは私自身がやっぱり戦後の、特に体制、今までの自民党中心の体制を、おー、変えなくちゃいけないと、いう思いで、自民党を追ん出て、そしてようやく16、7年かかって本格的な政権交代になったんですから、ですから、そういう意味で私は、あー、国民のみなさんに約束したとおり、思い切って、古い体制、このシステム、制度そのものを、変革しなくちゃいけない、変えなくちゃいけない、ふうに信じてますので、その意味では旧体制のみなさんから批判を受けるのは止むを得ないことで、その一点を乗り越えていかないといけないなーと――」

 茂木健一郎「小沢さん、一誠は百術に勝ちますか?現代日本で」

 小沢元代表「絶対正義は勝つと、真心で勝つと、正義は勝つと、最後の勝利を得ると、いうふうに信じて――」

 茂木健一郎「今、どっちかと言うと、それ疑問ですね」

 小沢元代表「いや、僕はいつも使うんですけどね。ちゃんと、何事もお天道さまが見ていると。オー、天が見ていると。おー、ですから、夜陰に乗じてこそこそ術策を弄しても、必ず明るい朝が来るし、お天道さまがみているから、あ、正しい判断がいついつあると、まあ、そう信じてやってきていますから(静かに笑いながら)」

 平井文夫「あのー、古いとおっしゃったけど、確かに、菅政権が脱小沢しか言わないみたなとこがあって、これにちょっと国民が飽きてるかっていうかね、こう、やることちゃんとやってくださいって思ってると思ってるんですね。

 ただ一方で、やはり国民がちょっと小沢さんに対して怒ってるところもあってですね、ま、色々な政治資金なども色々ありますけれども、そこを、まあ、説明すべきなのか、ちゃんと謝るべきなのか、あのー、必ずしもその脱小沢と言っている人たちがおかしいじゃないような気もするんですけども、その辺りはどうですか」

 小沢元代表「ですから、今日、あのー、政策論議ということでお招きいただいたので、政策論議やその類いにはあの、なるべく、後の機会にしたいと思っていますが、『政治とカネ』って言うこと自体が僕はよく分からないんですね。みんな『政治とカネ』、『政治とカネ』ちゅう言葉遣いしますけれども、いわゆる、何を指して言っているのか、何が問題なのか、そういう議論はさっぱりないわけです。

 ですから、私は、あのー、そのことで言えば、1年以上に亘って、国家権力による強制捜査を私の後援会に関連して受けて、その結果、何もないということで、えー、捜査当局から、2度も不起訴になっていますから、事実は、何も不正なことしておりませんし、疚しいことはありませんので、何を言われても、その点は、あのー平気ですけれども。


 だが、あるいは、(この話を話を続けても)いいですか?ちょっと政治倫理審査会の話が、あのよく説明したらっていう話がありますんで。私はあの、政倫審に出ないとは一度も言ってないわけでしてね。ただ、あのー、検察の2度に亘って不起訴の処分出ましたけど、検察審査会という、仕組みの中で、もう一度公判でそれを明らかにしろと、そういう結論になったわけですね。

 ま、検察審査会というのは秘密のベールに包まれていて、どなたがどういう議論したのか全く分かりませんが、いずれにしろ、そういうことにシステム上なったと。ですから、司法の手続きがもう進んでいるわけです。そうしますと、おー、同じような問題で、えー、立法府で並行的に議論するのが、あー、本当にいいんだろうかと。憲法の三権分立(ぶんりゅう)のこともありますし、えー、公判に僕がもし出るとすれば、その公判廷に立つ立場の人権の尊重ちゅうこともあります。

 ですから、本来は司法の場に至ったら、直接司法の場で説明し、明らかにして、えー、ゆくというのが筋道だと、思って。

 ただ僕は、あの、政治家ですから、あの、その意味で、僕が国会で、えー、政治倫理審査会に出て、それで、何らかの政治的な効果、あるいは国民のみなさんが納得するとか、国会運営がスムーズに行くとか、いう何らかの政治的な効果があるとするのであれば、僕は政治家として、それは出席しますよと、いうことを去年暮れに岡田幹事長にも伝えましたし、それで政治倫理審査会の土肥委員長にも伝えました」

 須田アナ「文書なんか、出した」


 小沢元代表「文書で伝えました。それで、今言ったように、え、基本的には、筋道としては司法の場で明らかにする、――論争なんですが、政治家として、えー、みんなのお役に立つ、国会運営がスムーズに行く、私のことで国会運営が障害が来たりしちゃあ、それは申し訳ないと、ま、そのときはもうすぐ冒頭にも出私は出席しますよ。

 そうでない場合は、何と言ったって『国民生活が第一』と民主党は言ってきたんですから、良くも悪くも予算ちゅうのは国民の生活に一番密接、不可分のことですから、だから、僕のことよりも先ず予算の通過に、成立に全力を挙げて、その後に私が出席、いつでもしますと、いうふうに、まあ、私の意向を伝えました」

 須田アナ「少しここで、あの、政倫審の話でもう少し二三、お聞かせください。あの24日から通常国会始まるっていうことが一応決まりました。その政倫審に、えー、国会前に政倫審に出席する可能性っていうのは岡田幹事長も以前言っておりました」

 小沢元代表「だから、何で出席しなければならないのかちゅうのかなあ。だから、今言ったように筋道で言えば、憲法の精神から言っても、三権分立で司法で呼ばれようとしているところですから、立法府でお前のことを議論するというのは必ずしも妥当でない。筋道としては司法の場合は司法でやればいい。

 だけど、政治家だから、政治的に何らかの、役割を果たすことができるなら、私はあの、常会で出席しますよと。あのー、休会中に出席する理由、理由はちょっと」

 須田アナ「常会というのは開会されてからということですか?」

 小沢元代表「通常国会――」

 須田アナ「通常国会ですね」

 小沢元代表「委員会だだって何だって、原則的には国会開会中にやるわけですから」

 吉田恵アナ「24日に召集されるいうことになりますけれども、25日出席するとか、そういうことも――」

 小沢元代表「今申し上げたでしょう。メモ、見てください。僕が、その、早く出ることによって、国会運営がスムーズに行くとか、あるいは――、国民が色んな意味で納得するとか、そういう類いの状況であれば、私は、あの、冒頭でも、出席しますよと。そうでなけりゃあ、予算審議が先でしょうと。それは国民にとって一番大事なことだから」

 茂木健一郎「あの、脳科学者として思うことがあって、やっぱ小沢さんて、強面(こわもて)のイメージがあって、損してるんですよ。今おっしゃってることって、実は英語に直して、そのまま聞いても、国際的に通用するようなことをおっしゃっているんですよ、実は。プリンシプルなこと(原則的なこと)、ずうっとおっしゃってるんですよ。民主主義とは何か。三権分立(ぶんりゅう)とは何か」
 
 須田アナ「原則的なこと――」

 茂木健一郎「原則的なこと。そうだ、日本て、細かいことばっかり議論するんですよね。それこそ国会前に、政倫審に出るのかどうかとか。だから、僕、ずうーっと配してるのは、小沢さんのその強面のイメージで一術が、あの、百術がですね、一誠に勝っちゃうんじゃないかという。

 結果何か、細かい話ばかりして、あの、僕思うんですけど、日本の政治で、国民生活大変なんですよ。その中で、色々議論すべきことってありますよね。消費税の問題だとか、セーフティネットの問題だとかありますよね。どうやって少子高齢化を乗り越えるとか。

 その日本の政治課題の、まあ、自家相続の中で、はっきり言って、小沢さんが政治倫理審査会に出るかどうかってことって、1%もないんですよ、1%とか、そればっかりを議論して、何か人質に取られちゃってるって思いが強いんですよね。

 要するにどうでもいいって言っては申し訳ないんですけども、もっと議論すべきことってあると思うんですよね。地方分権の問題だとか」

 須田アナ「茂木さん――」

 小沢元代表「今日のテーマは政策論ですけども、現実にそのー、あのー、野党も、私のことは、あのー、勿論言いますけども、だけど、私の問題が、でもって、審議がどうのこうのというふうには野党も多分考えていないと、思うんですね。

 ですから、その意味で私が出ることによって、結果的に、あのー、いい効果があるときであれば出るし、その時期は、あのー、今言ったように優先基準で言えば、予算の論議、成立するのが一番大事じゃないんでしょうかっていうことです」

 須田アナ「それから改造内閣。この話に行きたいと思うんですが。その前にもう一点聞かせてください。

 あのー、強制起訴、という言葉、強制起訴が今月中にあると、言われているわけなんですが、強制起訴された場合、一部、これ、執行部の中にですね、離党勧告、これをすべきであるという意見もあるんですが、これについては如何ですか」

 小沢元代表「ですから、そういう類いのことは今日のテーマじゃないと伺ってましたから、その、人それぞれですから、あー、どなたがどう考えても、あのー、結構ですけれども、いわゆるさっき申し上げましたように、私は検察当局の1年以上の強制(捜査)を受けて、何もなしということになった。

 たまたま検察審査会という制度があって、それはあのー、これは、あのー、司法なのか行政なのか、よく分からないんですけれども、いずれにしても、11人の、1億人以上の中から、11人の審査委員が選ばれる。どうやって選ばれて、誰なのか、どうやってやるのかも、全く分からない。それから――、どういう議論をしたのかも全く、全部秘密のベールの中に閉ざされているんですね。

 だから、民主主義国家として非常に、あのー、特異な制度だと思うんですけれども、そいう中で、制度は制度ですから、結論が、あのー、公判の場で、裁判の方で、もう一度明らかにしようという結論が出たんですから、そこに従いますけれども、おー、いわゆる捜査当局による起訴とは全く異質のものでございますし、それから、あのー、政治家がそういう形で、強制起訴という形でもしなれば、今初めてのことでございますから、そういう意味で、私は制度がある以上は、そういう結論が出たい上は、それに従いますけれども、そのことは、あの、政治家も国民のみなさんも、おー、本当にこの際みんなで、えー、考えるべき問題だろうと思っています」

 《小沢一郎「新報道2001」出演、菅内閣のマニフェスト修正を語る(2)》に続く


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小沢一郎「新報道2001」出演、菅内閣のマニフェスト修正を語る(2)

2011-01-21 10:43:26 | Weblog

  
 須田アナ「では、政策の話にこここらで移りますが、マニフェストの見直し、修正ということはですね、今、民主党の菅総理始めとした幹部から出てまいりました。見直しを進めること、正式に党大会でも幹部は表明したわけなんですが、この動きについて、小沢さん、どういうお考えですか」

 小沢元代表「あの、今政権を担って、党運営を担っているのは、、あの、菅総理、代表以下、方々ですから、その方がどう考えるかちゅうことは、それはまたそれぞれのご自由ですけれども、あのー、多分、党内の多くの人も、あのー、一昨年8月総選挙でマニフェストを掲げて、それを約束して、政権を任されたわけですから、私は、あの、マニフェストに書いてあること全部、あるいは約束していたこと全部が、1年や2年で全部実現できると、言うことはね、そりゃあ、あのー、現実問題として、あの、難しいこともたくさんあると思います。

 ただ、約束したんですから、その約束を少しでも、一歩でも二歩でも前進させると、言う努力はやはりしなければいけないし、現実に、非常に難しい、厳しい。俗に言えば、あー、おカネがない、財政上厳しいという、すぐそういう反論が出ますが、そういう議論があることは、分かりきってることなんですから、最初から。

 分かっていても、それは今のシステムを変えることによって、そしてムダなおカネを、オー、税金の使われていたものを、おー、ムダを省いて、そして財源に充てようと、国民みなさんに言ったわけですから、私はその努力をもう少し、継続して、全力でやるべ気じゃないかと思っています」


 須田アナ「そういうことはマニフェスト見直し、修正と同時に声が上がった解散・総選挙で信を問うべきという声は、まだまだ以ての外ですか」

 小沢元代表「いやいや、そうじゃなくて、民主党そのものが、全員がやっぱり、これはもう変えちまうんだと、いうことになると、なればですよ、全員が。僕はそう思ってませんが。なれば、それは、あの、国民のみなさんにもう一度信を問うような、あのー大きなは問題だろうと、いうことの意味じゃないですか」

 平井文夫「小沢さん、あのー、参院(ママ、衆院選の間違い)の、確かおととしの、マニフェスト実現すべきだと。ただ、去年の参院選の結果を見ると、ですね、このー、有権者はマニフェスト修正してもいいという、ふうに考えてるんじゃないかと思うんですけども、その辺りは如何ですか」

 小沢元代表「ですから、それはあんまりつまらない議論ですが、あのー、修正する、しないも、勿論いいんですよ。そう今言ったように、マニフェストを出して、約束したからって、そりゃあ、1年や2年でぜーんぶが実現できるつうわけではない、現実には。

 だから、それもここはちょっと、また難しいですとか、もう少し努力しますとか、それはいいんですよ。だから、その中で、修正という意味もそれに含まれるとすれば、それでいいんですよ。それはそれで。

 ただ、だけど、難しいつうのは今言われている、難しいちゅうのは、何が難しい、何が障害かちゅうと、財源がないとかつう類いの話でしょ?それはだから、最初から分かっていたことでしょ?

 それで旧来からの、役所の積み上げの方式で予算をつくってたら、財源がないに決まってるんですよ。各役所が全部自分のシェアを確保しようと思って、手を変え品を変え、えー、名前を変え、エー、お化粧し直して、全部自分のシェアを確保して、出してきたなら、余分な財源ないに決まってるんですよ。

 だから、我々が言ったのは、政治主導で、ここ役所でいくら出してきても、これは、あのー、今、不即必要なものではありませんとか、優先順位はこちらですと、いうふうに我々自身が判断して、そういう意味での、おー、ムダも省いて、そして財源、新しい我々の、政策の財源にしようと、ま、こういうことでやってきたわけですから、その努力をもっと、もう少ししなくてはいけないと思います。


 平井文夫「けど、財源だけの問題なんですかねー。例えば、子ども手当にしても、まあ、あの、国民は政権交代を、その熱狂的に受け入れましてけれども、いざ、政権交代してみたらですね、例えば子ども手当一つとっても、色々問題もあることが分かってきた、じゃないでしょうか。財源だけの問題でないような気もするんですけどね」

 小沢元代表「いや、今言われているのは財源でしょう。それから政策の中身についは、また別の議論でしょう。だから、ごっちゃにして話しちゃダメですよ。何でもすぐごっちゃになっちゃうからいけないんでね。

 そのー、子ども手当も、おー、政策そのものもいいと言う人もあれば、悪いという人もありますよ、それは。当たり前なんですよ、そんなことは。
 
 だけども、例えばヨーロッパでも、フランスは十何年前から、フランスも、あのー、ドイツも子ども手当ちゃんと出してますよ、日本より多い。

 そしてそれによって、出生率も高まっていますよ。

 結果としておカネだけじゃないとは、あのー、思いますが。だから、そういうことも踏まえながら、我々は訴えたわけですから、だから、それをできるだけ実現すると、いうことが我々の姿勢です」


 須田アナ「これはいいですか、茂木さん」

 茂木健一郎「小沢さん、言ってらっしゃること、僕さっき言いましたように、まともだと思うんですけど、やっぱり言い方が怖いんだよね、ちょっとね。それは、『つまらない議論』だとか、それで損をしていること随分きっと色々あると思うんですが」

 須田アナ「議論が必要なとこがあるんで、他の政策も含めて、次のコーナーでまた進めてみたいと思います」

 小沢一郎が自民党で大臣等要職に就いた父親の小沢佐重喜と共に親子二代で実現に向けて努力し、この大で実現させた二大政党制と小選挙区制の話題に移る。

以上だが、菅執行部が小沢氏に対して政倫審出席を求めていたことについて一言。自民党や公明党の野党が政倫審出席、あるいは証人喚問への出席を求めているのは小沢氏を追い詰めるためではなく菅内閣を追い詰めることが目的なのは誰の目にも明かなことだが、菅首相は小沢氏を追い詰める目的で人事に於ける脱小沢、政倫審出席、あるいは証人喚問出席をちらつかせたり、離党勧告、議員辞職をさもカードとするような動きを見せているが、なかなか解決しないで問題が長引いていることは菅内閣を追い詰めようとしている野党にとっては好都合なことであり、そのような問題の長引きが逆に菅首相と内閣を追い詰める自縄自縛の罠に絡め取ることとなっている。愚かしい限りである。


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江田五月「霞ヶ関の不十分な情報提供がマニフェスト実現の障害」だと言う無責任と説明責任不履行

2011-01-20 07:44:07 | Weblog

 
 江田五月が昨年9月の民主党代表選で菅側の選挙対策本部長を務めていたから、菅首相みたいな指導力ゼロ、合理的判断能力ゼロの人間を担ぐには同じく指導力ゼロ、合理的判断能力ゼロの相互反映としてある神輿(みこし)でなければできないことだ、類は友を呼ぶと思っていたが、この判断に一部の狂いもないことが分かって一安心した。と同時に、激しい怒りが湧いてきた。こんな手合いが国会議員を務めて何様顔を曝している。

 《法相 政権公約修正に柔軟姿勢》(NHK/2011年1月18日 13時30分)

 一昨日1月18日の閣議後の記者会見。民主党の政権公約=マニフェストについて。先ずは後半の発言から。

 江田五月「政権を担当してまもなく2年になるが、いろいろな経験や知識のほか、世の中の状況の変化を踏まえて、マニフェストについて一度きちんと点検し、より成熟させていく部分があればそういうことにして、国民の皆さんにしっかりと説明すればいい」

 記事はこの発言を、マニフェスト〈修正に柔軟な考えを示しました。〉と書いている。

 菅首相を始め枝野、仙谷、岡田、前原、玄葉と既にマニフェスト修正で共同歩調を取っている。いわば企業ぐるみならぬ内閣ぐるみの修正陰謀となっている。江田五月が新たに執行部に加わった一員として共同歩調に参加、その共同歩調の補強・陰謀に動いたと言ったところだろう。閣議で内閣全員で共同歩調を取るようにとの申し合わせがあったのかもしれない。一人修正に反対するような異質者が存在しては困る。閣内不一致だ何だとマスコミが騒いで、国民が閣内不一致を情報としないとも限らない。いつ何時支持率が再下降線を辿りかねない危機的状況にあるのである。

 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と同じで、内閣一体で全員して修正の声を上げれば、それがいつしか正論となって国民にも伝わると考えていたのかもしれない。

 江田は法務大臣の肩書きを持った執行部の新参者として同じマニフェスト修正の共同歩調を取るにしても特別に気の利いた議論を展開しなければならないと考えたのかもしれない。合理的判断能力ゼロの人間が往々にして陥る落とし穴である。

 江田五月「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供していただいていないなかで、『こうじゃないか』ということで作った部分がある。そのまま実現させるには隠れた障害があったのではないか」

 合理的判断能力を全く欠いた、ゼロに等しい見事なご都合主義の詭弁となっている。菅首相を筆頭に枝野、岡田、仙谷、与謝野、玄葉、そして江田と、詭弁家がこうまでも雁首を揃えるのは珍しい現象だ。まさしく類は友を呼んで、詭弁好きの同好会をなすの様相となっている。

 これまでも菅首相以下、様々にマニフェスト修正の自己都合な詭弁を繰返して来ているが、江田の場合はいかがわしいばかりのマニフェスト不完成度自己容認の新説の披露となっている。

 この男が民主党最高顧問兼倫理委員長の肩書きを持っている。「倫理」とは人として守るべき道、道徳を言い、倫理観は強固な責任意識によって支えられる。政権党の倫理委員長を名乗っている以上、ダイアモンド以上の強固さを備えた、如何なる状況に於いてもびくともしない責任意識を備えていなければならない。

 マニフェストとは政権を取れば、国民との契約(書)となる。また、契約とは約束したことを一言一句違えてはならない制約を受ける。一言一句でも違えたなら、契約としての体裁を失う。契約行為はそれ程までにも厳しい約束事となる。江田五月も元弁護士だそうだから、このことぐらい承知していたはずだ。

 マニフェストに掲げた各政策を政権を取った場合に備えて国民との契約(書)とするためには何としてでも十分な情報を確保して、その情報を精査・検証の上に精査・検証を重ねて万全を期して政策構築を行い、これで十分だと、対立政党の各政策に優越する政策だと国民に胸を張って約束できる、あるいは国民との契約(書)足り得ると自信を持った上で国民に提示するのが政治の責任、各政党の責任であるはずである。

 当然、十分な情報提供を怠った霞ヶ関に責任があるのではなく、十分な情報提供を遂行させる努力を怠った、あるいはその能力を発揮できなかった民主党側に責任があることになる。

 このことは官僚を使いこなす能力にも関係していくことにもなる。政権党という権力の虎の威を借りなければ官僚を使いこなせないでは、その指導力は時と場所と立場を選ぶこととなって、元々の指導力は確固とした姿を取っていない甚だ頼りないものとなる。

 それをあとになって、 「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供していただいていないなかで、『こうじゃないか』ということで作った部分がある」では、マニフェストを国民との契約(書)に持っていく責任遂行の使命からして、余りにも杜撰、余りにも無責任ではないか。

 不十分な情報提供のもとでマニフェストを作成されることが許されるとしたら、国民との契約意識を欠いていたときでなければならない。いわば江田五月は、国民との契約意識を欠いていた状況下で民主党のマニフェストを作成したと言っているに等しい。何といういかがわしいばかりの責任意識なのだろうか。

 これが民主党の最高顧問兼倫理委員長の責任意識である。人間自体がいかがわしくできているから、いくらでもいかがわしいばかりに無責任になれる。

 実際にマニフェストを「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供していただいていないなかで、『こうじゃないか』ということで作った部分がある」としたら、マニフェストの修正部分を「国民の皆さんにしっかりと説明」する前に、不十分な情報に基づいて国民との契約(書)となるマニフェストを作成した無責任を先ず最初に謝罪すべきであろう。

 だが、江田は無責任の謝罪には一切触れずに、修正を国民に説明すればいいとのみしている。この責任感もさすが民主党の最高顧問兼倫理委員長だけのことはあると感心しないではいられない。

 勿論謝罪するに関しては、提供を必要としながら、どの政策にどのような情報が提供されなかった、さらに「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供」がなかったことでどの政策にどのような障害が生じたか、国民に対する具体的且つ懇切丁寧な説明責任を負うことになったのだから、その説明責任を果たした上での謝罪でなければならない。

 いわばマニフェスト修正を国民に認めさせるために「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供していただいていないなかで、『こうじゃないか』ということで作った部分がある」と発言するだけではなくて、どの政策にどのような情報が提供されなかったかの説明責任を果たした中での修正発言でなければ、政権党としての責任を果たしたことにはならないということである。

 だが、江田は民主党の最高顧問兼倫理委員長を勤めているだけあって、修正の説明だけで政権党の責任を果たせると思っている。さすが菅首相のお追従子分にふさわしい責任意識ゼロ、合理的判断能力ゼロと言える。

 江田五月の名言は《江田法相「マニフェストは(野党時に)心眼で作った」見直しへ》(MSN産経/2011.1.18 12:38)が伝える名言と少し違っている。

 江田五月「マニフェストは、われわれが政権にいないときに、霞が関(の官僚)が民主党には十分な情報を提供していただいていない中で、『心眼で見るとこうじゃないか』ということで作った部分がある。実現するには、いろんな隠れた障害があった。実際に政権を担当して、いろんなことが分かってきている。世の中の状況の変化もあり、マニフェストについて一度きっちりと点検をし、より成熟させる部分があればそうしていく」

 責任意識ゼロ・合理的判断能力ゼロの政治家が「心眼」とは恐れ入る。

 【心眼】「物事の真実の姿をはっきり見抜くことができるような心の働きを目に見立てた語」(『大辞林』三省堂)

 心眼を獲得できるような人間はそうザラにはいないはずだ。私などはどちらかと言うと、鈍眼人間に出来上がっている。ましてや責任意識ゼロ・合理的判断能力ゼロの政治家である江田五月が心眼など獲得しようがない。

 それを「心眼」なる言葉を使う。責任意識ゼロ・合理的判断能力ゼロだけあって、傲岸不遜そのものである。何様と思い上がったのか。

 法務大臣に就任した途端、急に偉い人間になったとでも過信したのだろうか。

 いずれにしても先ずは江田五月に、提供を必要としながら、どの政策にどのような情報が提供されなかった、さらに「霞ヶ関から民主党に十分な情報を提供」がなかったことでどの政策にどのような障害が生じたか、国民に対する具体的且つ懇切丁寧な説明責任を果たしてもらおう。


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菅首相は「政権をとればカネなんて出てくると言った」と小沢氏を批判するなら、小沢氏に政権を任すべき

2011-01-19 09:09:38 | Weblog


 「プレスクラブ - ビデオニュース・ドットコム」インターネット放送菅首相生出演記事、菅首相の言いたいことを言わせて終わらないインターネット動画「日本ビデオニュース」出演(1・2) - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之の続き。

 前回は宮台社会学者が、「政治家はマックスウエーバーによれば、場合によっては市民の法を踏み越えることがあったとしても、そうした政治共同体、つまり日本なら日本の国民、乃至(ないし)国家の運命を切り拓くことが政治家の課題であると、田中角栄はまさにそれをやろうとしていた」と、田中角栄に仮託して小沢擁護論に見える議論を展開していことに象徴的に現れている「政治とカネ」の問題であったが、今回はマニフェストの実施状況と国民への説明について論じている。 

 神保代表「じゃあ、もう一点。これも出してください。(最初に「説明不足」と書いた画帳を出す)説明不足のところって言うところですね、もう一つこれは。やっぱりみなさんに聞いたところ、是非これだけは聞かせてください。

 その、やっぱり民主党は、その、今09年の選挙で、あのー、まあ、過半数を、衆議院で過半数を取って、それで今民主党政権もある、菅さんもそれで総理やられているわけですよね。で、その09年のマニフェスト、09年のマニフェスト以外にもありますけども(『政権交代』の文字を大書し、鳩山前首相の顔を写したマニフェストをカメラに向かって示す。)、これについて、これが、扱いが今どうなっているのか。勿論、衆議院も解散しておりませんから、勿論、これ生きてるんでしょうけど、それがどうなっているかについて、例えばこれは、もう、いざ政権取って見たら、事情が違ってダメでした、ってことで、勘違いでした、あるいはこれは今経済状況が云々なんで、少し伸ばしただけですとか、何かその、そういう説明がないまま、かなりのものが――」

 宮台社会学者「少しね、少しね、確かに子育て支援とか、ですね。つまり、子ども手当とか、高速道路の無料化とか、できてるんだけど、中途半端、なのかなっていうのか、ありますが、そのほかに大事なのは暫定税率廃止とかね、歳入庁を設置するとかね、後期高齢者制度を廃止するとかね、年金を一元化するってこととか、そういう問題っていうのは結構みなさん関心を持って、なる程って思って、2009年、総選挙で投票する、かなり動機づけになっている。僕は信じますけどね。

 これらについて、これは挫折してしまったのか、それともスケジュール、つまり、実際政権を取ってみたら、思ったほど簡単ではなかった、ので、目標は全く変えていないけど、プロセスの手順についてはね、組み替えさせてもらうって話であるのか。それがね、分からないので、多くの方はですね、じゃあ、マニフェストはないって話なのかよって、いうふうに思って、諦め観を持ってらっしゃるんですよね」

 神保代表「はっきり引いちゃってる――」

 宮台社会学者「うん」

 神保代表「それはだから、今、どういうふうになってるんですか」

 宮台社会学者
 
 菅首相「然ることはですね(笑いながら)伝え切れていないのは大変残念なんですが、そのマニフェストについて、相当程度は進んでいます。例えば子ども手当ですね、初年度は、確かに半分でありますけれども、半分スタートしました。

 それから来年度は、3歳までは2万円というところまでスタートしました。あるいは農業の戸別補償にしても、おー、スタートしました。高速道路の無料化は実験取組みでありますが、部分的にスタートしました。高校の無料化も、スタートしました。

 それから、特に私は非常に大きいのはですね、一括交付金、つまりは役所別に補助金を、こう、箇所付けでつけた。これはですね、これは役所にとって物凄い権限なんですね。これを一括交付金という形で、各県に一定の基準で配分する。これも来年度早く5千億円余り、最初、ほーんと、少ししか出てこなかったんですが、大分――、威してとか言うですかね(笑いながら)役人を威して、出てきました。

 ですから、確かに、、暫定税率の廃止と言ったことは、あー、財政的にできませんでしたが、かなりの部分は、あの、現在も進行しています。

 ただ、じゃあ、それで、当初の通り、全部が全部がやれるか、まあ、もう半年経つと、2年目になります。やはりそこでですね、もう一回、どこまでやれそうか、どこまではどう理由でやれないか、と言うことは、もう一回やらなければいけないとは思います。ただ、それはぜーんぶがダメになったとかではなくて、今言ったように、かなりの部分はやったけど、それからさらに進むにはですね、このマニフェストは二つの要素があるんですね。

 つまりこれをやるという要素と、このー、その部分から、あー、ムダなり、不合理なおカネをおー、なくして、そのなくしたもので、えー、これに賄うと。

 で、まあ、当時もですね、エー、例えば、以前のときは、一律5%から3%、その消費税を上げると言った。おー、代表で選挙を戦ったこともありましたが、小沢代表の元ではですね、それはしないでも、何とかなると、いう、その、うー、政権を取ればですね、そういうムダなり、なんとかできると、そういう…、一つの見通しを持って、スタートをして、ま、それなりにやってきました。

 例えば初年度、3兆円あまりですね。しかし全部ができるかと言われたら、その、出と入りの問題で言うと、なかなか厳しいと。ま、そういう意味でえー、暫定税率が初年度できなかったのですが、そこはですから、かなりの部分はできているけれども、一部できないことについてはきちんとですね、もう一度見直して、こういうふうにみなさんにトータルでなくてはいけない、トータルで、あのー、示さなければいけない、こういうふうに思っています」

 神保代表「ムダ省きが当初思った程、簡単にいかなかった、ことなんですか、それは」

 菅首相「あのー、かなりですね、例えば埋蔵金とか、色んなものでは、例えば今回も鉄道の関係のことで、1兆円以上のですね、えー、おカネがまあ、溜まってたと、一部官僚は知ってたかもしれませんが、我々も知らなかったとかですね、そういうものはかなり、あのー、見つけ出したり、かなり変えました。

 そして今言った、そのー、一括交付金に変えていくというのもですね、これがうまく機能すれば、あー、少なくとも、県なり、市が自分で判断できればですね、従来100のものではなくても、80ぐらいでも十分ですね、やれるという見方もあります。

 ですから、そこは、まだ努力はします。仕分けも含めて。しかし――」

 神保代表「途上ということですか」
 
 菅首相「途上です。しかし、じゃあ、パーフェクトに全部できるかと言われると、この1年半の中でやったところから見ると、パーフェクトに全部できることはなかなか難しい。そこは玄葉大臣が、これは政調会長でもありますが、あの、そこのところを中心にですね、えー、最終的にどういうところまでやれるか、やれないか、ということの見通しを、つけて、いこうと、見直しの最後にはいっています」

 菅首相の言っていることには相変わらず自己都合と詭弁と矛盾が大分混じっている。「マニフェストについて、相当程度は進んでいます」と言っている。だが、「伝え切れていないのは大変残念なんですが」と、笑っていられる状況ではないにも関わらず、たわいもなく笑いながら言っている。

 進んでいる政策は子ども手当、高速道路の無料化の実験取組み、高校の無料化のスタート、地方への一括交付金等々。一括交付金については役人を威して5千億円余り出させたと自慢しているが、1月12日(2011年)の両院議員総会でも、「一括交付金の話も出たが、28億円しか補助金を一括交付金に変えるものを出してこない。名前を出せと叩いたら、5000億円余りの一括交付金が出た」と自慢していた。この自慢は当分続くかもしれない。

 しかし子ども手当は自身は「初年度は、確かに半分でありますけれども、半分スタートしました」と簡単に片付けているが、約束半分である。約束半分では、約束を果たしたとはとても言えない。

 では、再来年度はその約束が半分から全部満たされるかと言うと、全額支給となると15歳以下の子供に月2万6千円を約束しておきながら、3歳までは約束不足の2万円、4歳以上15歳以下は1万3千円の約束半分が続く。

 「高校の無料化のスタート」に関して言うと、確かに高校生以下の子供を抱えている家庭では、その子供が高校に在学中は公立で言うと、年間10万円余、月に直して1万円前後の授業料分の可処分所得が増えることになり、月1万円程度の家計(=家庭経済)の助けとなるが、子ども手当をも含めて国民の約33%を占める年間所得300万以下の家庭に関して言えば、生活に余裕を与えるところまではいかないはずだ。ましてや子供が成人に達した年収300万円以下の所得層にとっては無縁の可処分所得である。

 18歳以上の国民で車を所有する国民にとっては暫定税率の廃止でガソリンを1リットル当たり約25円安くするとした公約が可処分所得を増やすはずだったが、その果たされない約束とプラスマイナスすると、社会全体で見た場合は約束半分とは言えないまでも、約束3分の1程度に下げることになる。

 いわば仔細に公約の全体を眺めてみると、「相当程度は進んでいます」と自慢できる程の進行状態ではないということである。にも関わらず菅首相が自慢できるのは公約を全体的に関連づけた社会的貢献の面で把握するのではなく、政策の個別的実現度を個別的に把握して成果とする近視眼的判断しかできないことが理由となっているのだろう。

 要するに何をしました、これをしましたと言っているに過ぎない。だから、1月12日の民主党両院議員総会で、「民主党を中心とした政権がやってきた1年半、あるいは7カ月の方向は大きくみて間違っていなかったと国民に言える。例えば来年度の予算、雇用と成長を中心に12月に予算案をくみ上げることができた。いよいよこれを成立させて実行することにとって雇用や成長を前進させることができると思っている」(MSN産経)と、まだ予算案が成立しないうち、「予算案をくみ上げることができた」段階で、「雇用や成長を前進させることができると思っている」とその実効性も考えずに安直に約束することができる。

 内閣府が発表した去年12月の消費動向調査では消費者の購買意欲は6か月連続で低下、この春4年制大学卒業予定の学生の就職内定率は68.8%、12月1日時点での就職内定率が70%を切ったのは統計を取り始めた平成8年以降初めて。この春卒業する高校生の就職内定率は去年11月末の時点で70.6%で、前の年より2.5ポイント上がったものの、依然として低い水準にとどまってる(いずれも「NHK」記事から)といった景気の現況からすると、自民党政策を引き継いでエコカー減税やエコ家電ポイント制度を民主党政権は実施したが、余裕所得層には貢献したかもしれないとしても、社会全体の景気の点で言うと、この1年半の民主党政権の経済政策は景気回復に殆んど貢献していなかったと言える。

 このような経緯から判断すると、当然、菅内閣の景気回復を目的とする雇用促進政策、経済成長政策が目的どおりの予定調和に到達するとは限らないことになって、まさに安直な約束と言える。

 また、国民が菅内閣に何を期待しているのかを見ると、菅首相の「マニフェストについて、相当程度は進んでいます」が的外れな判断に基づいた安っぽい楽観論に見えてくる。

 NHK世論調査で見てみる。

 昨年の12月13日(2010年)発表調査。 

 菅内閣に最も期待することは、

 ▽「年金や医療などの社会保障政策」――23%
 ▽「景気・雇用対策」       ――17%
 ▽「税金の無駄遣いの根絶」    ――17%

 1月11日(2011年)発表調査。

 菅内閣に最も期待することは、

 ▽「年金や医療などの社会保障政策」――26%
 ▽「景気・雇用対策」       ――21%
 ▽「税金のむだ遣いの根絶」    ――15%

 菅首相が「マニフェストについて、相当程度は進んでいます」と言って自慢していることとかなり懸隔がある。

 約1カ月の間に「年金や医療などの社会保障政策」が3%増加、「景気・雇用対策」が4%増加へと進行している。これは生活の不安解消への欲求の表れとしてある調査結果であるはずである。この欲求は人口の33%を占める年収300万以下の家庭にとってはより切実さを帯びているはずである。

 いわば子ども手当にしても高校無償化にしても個別的には大きな意味を持つとしても、全体的な生活安定にとっては、あるいは安定社会の構築にとっては肝心なこととなっていないということである。個別が全体に波及していないと表現することもできる。

 こういった面に目を向ける判断能力を持たずに、一括交付金の資金に「役人を威して5千億円余り出させた」といった見当違いな自慢をする。常々言っているように、これもあれも菅首相が合理的判断能力に欠けるからなのは今さら断るまでもない。

 菅首相はマニフェストに掲げた公約とそれを実現する財源について次のように発言している。

 「このマニフェストは二つの要素があるんですね。

 つまりこれをやるという要素と、このー、その部分から、あー、ムダなり、不合理なおカネを、おー、なくして、そのなくしたもので、えー、これに賄うと。

 で、まあ、当時もですね、エー、例えば、以前のときは、一律5%から3%、その消費税を上げると言った。おー、代表で選挙を戦ったこともありましたが、小沢代表の元ではですね、それはしないでも、何とかなると、いう、その、うー、政権を取ればですね、そういうムダなり、なんとかできると、そういう…、一つの見通しを持って、スタートをして、ま、それなりにやってきました」

 このことは昨年(2009年)9月1日の民主党代表選での菅・小沢共同記者会見でも言っている。

 菅首相「今回の選挙は、先ほど申し上げましたように、次の総理大臣にいずれの候補者がふさわしいかという、私はそれが国民の皆さんにとっての最大の判断の、まさに争点だと思っております。その中で私ども昨年政権交代を実現してから、私も副総理として、そして現在は首相としてマニフェストの実現に全力を挙げてまいりました。マニフェストには2つの面があります。つまりは、「子ども手当」をはじめ、これとこれをやりますという約束と、もう一方で、それに必要な財源はこういう形で捻出しますという、こういう中身になっております。
 このマニフェストを作られた当時、小沢さんが代表でありまして、私も、例えば従来の5%の消費税から、3%プラスしようという議論が以前はありましたけれども、それをやめて5%のままでいくといった議論がありましたので、本当に財源は大丈夫ですかということをいろんな関係者にお尋ねをいたしました。そのときにお答えは、大丈夫だと。政権をとれば、カネなんて出てくるんだからと。こういうふうにお答えをいただいたと思っております。私たちもそう考えて徹底的に事業仕分け等を進めてきております。しかし、初年度においては、必ずしもすべてのお約束を実行するまでの財源に至りませんでしたので、そこでガソリン税については、その理由を当時の鳩山(由紀夫)首相のほうから説明をされて、現状の税率にとどめたということもあるわけであります」(MSN産経記事から)

 両発言とも小沢元代表が財源問題についてさも安請け合いしたかのような批判的な言及となっている。小沢代表は常々、ムダの削減だけではなく、政治主導で予算に優先順位をつけて不要不急の予算は後回しにするといった予算の組替えによって浮かした財源を公約の実施にまわすといったことを言っている。

 だが、政治主導による優先順位づけた予算の組替えは見えてこない。もし優先順位による予算の組替えを行っていたなら、自慢好きの菅首相だから、それがこれまで見てきたように大抵が見当違いの自慢であっても、これだけの予算を浮かしたと自慢するだろうから、それがないところを見ると政治主導を発揮して予算を組替えたといったことは実施に移していないのだろう。
 
 このことだけを見ても、菅首相自身は政治主導はかなり進んでいると言っているが、その逆の官僚主導に身を委ねていると言える。なぜなら、政策遂行には予算の問題、財源の問題が何よりも肝心・重要な要素だから、この点について政治主導が発揮されなければ、政治主導の意味を成さないからだ。

 当然、予算の組替えも行わずに「政権をとれば、カネなんて出てくるんだ」との小沢元代表に対する批判は正当性を失って不当な批判となる。

 自身が政治主導を発揮して優先順位付けによる予算の組替えができないなら、批判する前に、「あなたが政権をとれば、カネなんて出てくるんだと言ったのだから、あなた自身で内閣を運営して、マニフェストを忠実に実行してもらいたい」と政権を委ねるべきだろう。「自分には予算組替えを行う程の政治主導は発揮できませんから」と。

 予算組替えの政治主導は発揮できない、にも関わらず小沢元代表を批判するのはお門違いというものである。尤も能力のない人間程、不当、見当違いの批判を行う。

 予算の組替えは活用次第では総予算の縮小にもつなげることができ、悪化した財政の改善に転用することもできるはずだ。

神保代表「では、当初の約束どおりにできなかった部分をについては、どこかで、ま、ここまでしかできなかったということを言われるし、それからマニフェストについても、もう一回、できたこと、できないこと、あるいは、もうやめるのか、先延ばしするのかというのは、どこかで精査されて、やはり、あのー――」

 菅首相「やはり、あのー、まあ、今1年前、政権交代果たしましたから、まだ、そのあと、折り返し点の、2年目辺りにでも、それを行いたいと思います」

 優先順位づけによる予算の組替えを行わず、いわばやるべきことをやらずに財源が足りないからマニフェストを見直すの姿勢でいる以上、菅首相が財源について何をどう言おうとも、最早蛇足でしかない。

 いや最初から徹頭徹尾、蛇足でしかなかった。

 宮台社会学者「段々時間がなくなってきたんでね、申し上げたいことが一つあるんだけど、菅さんの話を伺っていると、政権の中にいる方としての、具体的視座から見た場合のリアリティー、よく分かりました。しかし、あの、政権の外、あるいは、あるいは政治を外から見ている、その外部からの視座が見たリアリティー、との間の、やっぱりかなり乖離があると思うんですね。

 今説明聞いて、一部分かったもんもあると思うんですが、先程申し上げたように、先ず、民主党として何がよい社会だって言うのは変わっていないし、そもそもマニフェストでやろうとしたことの大目標も変わっていないが、しかしマニフェストの個別の項目については、手段的な合理性が欠けたものがあるので、組替えていく必要があるし、見捨てる必要もあるんだっていうふうに国民に伝えないと伝わらないんだけど、それが、まあ、伝わっていないって言う面がありますよね。

 国民はやっぱり一方的に裏切られた感というものを持っている。あるいは小沢さんの問題もそうで、あの、何が不透明なのかっていうことについてのですね、あの、説明がはっきりしないので、そのいわゆる権力闘争に見えてしまうんですよね。

 で、もしかしたら、本当にそういう面もあるかもしれないけれども、こーんなふうに国民が窮状に陥っている状態に、権力闘争かよみたいなね、外から見たときのイメージでも、あるんですよね。何かそんなイメージングコントロールがね、うまくいっていないようない印象がありますが――」

 やるべき予算の組替え問題を抜かして、「マニフェストについて、相当程度は進んでい」るが、「伝え切れていない」、だから支持率が低いという思いを裏側に隠した菅首相の見当違いな発言を受けて、宮台社会科学者も説明不足について言及している。ここで宮台氏が「組替えていく必要がある」と言っているのは、あくまでもマニフェスト変更に添った文脈での個別的政策の作り替えのことで、そのことの国民への説明を言っているのであって、優先順位づけによる予算の組替えのことではない。

 当然、「手段的な合理性が欠けた」は、現在ある財源問題から見た場合の十分に賄えないことの「合理性」の欠如を言っているのであって、予算の組替えを念頭に置いて、そのことを試みない「手段的な合理性」の欠如を指摘しているわけではない。

 単に説明不足が公約違反に見せ、小沢問題が権力闘争に見せているから、イメージングコントロールがうまくいっていないのではないかと、その説明不足に注意を促した議論展開となっている。

 この宮台社会学者発言に対して、菅首相は「今話題になっていないんですが」と、トンチンカンな方向の「政治家と官僚の問題」にシフトし、トンチンカンな発言を展開する。

 これ以降の遣り取りは字数の問題もあり、別の機会にしたい。


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菅首相は自身が先見能力を欠いているからか、政策構築に先見能力は必要ないと言っている

2011-01-18 09:38:39 | Weblog


 最初に断っておくが、誰もが弁えているように「先見能力」とは「将来のことを予め見通す能力」のことを言う。勿論、将来のことを見通すには様々な学者その他の知識人・有識者、あるいは各種マスメディアが提供する将来の事象に関わる統計や予見等の情報を参考にする。

 だが、菅首相はその先見能力の存在を否定した。そうとしか解釈できないWEB記事に出会った。

 菅首相自身が自らに先見能力を存在させていないから、如何なる他人も先見能力を存在させていないと思い込んでいるのか、人間と言う生きもの自体がそもそもから先見能力を存在させていないと思い込んでいるのか、本人に聞いてみないと分からない。

 情報解釈の間違いと受け取られないように全文を参考引用しておく。但し、元記事を読みやすいように適当に改行と名前の太字化等、一部手を加えてある。

 《一体改革 民主案の調整難航も》NHK/2011年1月18日 4時33分)

 菅総理大臣が目指す社会保障と税制の一体改革を巡って、この問題を担当する与謝野経済財政担当大臣が民主党案に難色を示していることについて、党内では、政権公約に掲げた案を安易に変えるべきではないという指摘が出ており、調整が難航することも予想されます。
この問題を巡って民主党は、先の政権公約=マニフェストで、月額7万円の最低保障年金を創設し、財源は全額消費税で賄うとした案をまとめています。

これについて菅総理大臣は、内閣改造後の記者会見で「5年ぐらい前にいろいろ議論したが、この5年間の人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化を考えるとその前提でいいのか」と述べ、マニフェストの修正に含みを持たせました。

そして、政府でこの問題の取りまとめに当たる与謝野経済財政担当大臣「全額、税方式となると、膨大な金も掛かる。税方式にすれば未納入の問題が解決するという点もあるが、すべての制度に一長一短がある」と述べ、民主党案に難色を示しました。

これに対し、岡田幹事長は17日、記者会見で「与謝野大臣は民主党政権の一員となったのだから、民主党の考え方も十分踏まえて国会で答弁してもらいたい」と述べたほか、

細川厚生労働大臣「民主党がマニフェストで約束した最低保障年金を創設し、その財源を税で賄う方式を基本としたい」と述べ、政権公約に掲げた案を安易に変えるべきではないという考えを示しました。

 菅総理大臣は、6月ごろまでに一定の結論を得られるよう、近く、関係閣僚による会合を開いて議論を本格化させることにしていますが、民主党案の取り扱いをめぐる考え方の違いが表面化しており、調整が難航することも予想されます

 菅首相は言っている。

 「5年ぐらい前にいろいろ議論したが、この5年間の人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化を考えるとその前提でいいのか」

 要するに民主党がマニフェストに掲げた社会保障政策は5年後10年後を見通した議論でないということになる。5年ぐらい前の議論は以後の「5年間の人口構成の変化」を先見しない(先を見通さない)議論だったと。

 だから5年前の議論は現在の「人口構成の変化」を受けた現況に於ける議論の前提、あるいは政策決定の前提とはならないと。まるきり参考にはならないと

 さらに「10年先の変化を考えると」、5年前の議論はとてもとても参考にはならない、それを前提とした政策は無理な話だと、「10年先の変化」を見通した議論ではないと否定し、否定することによって先見能力を存在させること自体を否定している。

 だとすると、菅内閣は与謝野馨が自民党時代の経済財政担当相時代に自らが主導して08年11月に纏めた「社会保障国民会議」の最終報告書を踏襲して税と社会保障一体改革の政策参考とするそうだが、この報告書自体にしても、「10年先の変化」についていけず、今後の社会保障政策構築の前提とならないとしなければならないことになるが、そうだとはしていない。矛盾そのものである。

 菅首相は2009年9月、民主党代表代行、副総理、農林漁業再生本部顧問の立場で『林業再生への提言~21世紀は緑のエネルギーで生きる』なるプランを作成、その中心である農林業に関わる「民主党の4つの目標」を発表している。

(1 )木材自給率の向上(10年後5000万m=50%)
(2) 林業、木材産業、住宅産業等地域産業の活性化
10年後木材生産で現在の3倍の6300億円、木材関連産業全体で現在の2倍に
(3) 中山開地域の雇用の拡大(10年後木造建設等々含む本材関連産業で100万人

 最後の「10年後木造建設等々含む本材関連産業で100万人」の雇用創出は2009年から10年後の「人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化を」先見しないで計画立てたプラン、目標だったしなければならないし、目標だったことになる。

 断るまでもなく、菅首相は如何なる議論もそれを纏めた時点での議論は5年後、10年後の「人口構成の変化」やその他の社会変化に対しての前提とならないと言っているのだから。

 つまり、如何なる議論にしても5年後、10年後を先見して議論を構築する必要があっても、その先見性を排除した、いわば先見能力を発揮しない結論が導かれていることになる。

 菅首相は副総理だった9年10月11日日曜日、朝日テレビの『サンデープロジェクト』に出演して、ヨイショジャーナリスト芸人の田原総一郎を相手に得々と喋っている。

 菅副総理「民主党は林業再生プランというものを出して、直接雇用が10万、切った木を使った雇用まで含めると、一応100万というものを2年前に出している」

 この「100万」は「民主党の4つの目標」で掲げている「10年後木造建設等々含む本材関連産業で100万人」の10年後の「100万人」と言うことであろう。

 菅首相のこの発言にしても、「人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化を」先見しない発言としなければならない。

 実際には様々な研究機関、組織が10年後20年後を先見した統計予測と予測研究を行っていて、多くがそのような情報を参考に自らの先見性を交え、あるいは自らの先見能力を発揮して必要とする議論、必要とする情報を組み立てている。

 菅首相が言っている「人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化」の一例としてインターネット上から参考にした2006年9月27日作成の研究例の冒頭部分を挙げてみる。

 《今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~》 

 「1.高齢者人口の推移

 ○ 平成27(2015)年には「ベビーブーム世代」が前期高齢者(65~74歳)に到達し、その10年後(平成37(2025)年)には高齢者人口は(約3,500万人)に達すると推計される。(図1)」・・・

 2006年に約20年後を先見した高齢者人口推移を研究しているのである。また20025年まで先見した様々な日本の人口動態研究・統計も存在する。あるいは少子化・高齢化に伴って、日本の経済が縮小に向かっていくという研究もある。

 必要とするなら、この種の様々な研究・統計を参考にして、且つ自らの先見能力を交えて5年後、10年後を見通して、あるいは見据えて政策の構築にかかるのが国会議員であろうと地方議員であろうと、自らの使命であり責任であるはずである。

 勿論、現実の状況変化に応じて少しの手直しは生じるだろう。

 それを菅首相は「5年ぐらい前にいろいろ議論したが、この5年間の人口構成の変化や、さらに5年10年先の変化を考えるとその前提でいいのか」と、「5年10年先の変化」を先見した議論ではなかったと言う。何ら先見能力を交えた議論ではなかった言う。

 最初の議論の全面的な変更は多くの場合、人口構成の変化やその他の社会の変化が理由ではなく、社会を先見する能力を欠いていたことからの変更、あるいは社会の実態を把握する能力を欠いていたことが原因であろう。

 あまり手前勝手なことを言うなと腹立たしくさえなる。自分の都合がいいようにあるべき経緯、あるべきプロセスを平気で捻じ曲げる。大体が詭弁を専ら用いる人間はご都合主義と来ているが、菅首相がこれ程までにご都合主義をは驚きである。

 野党を税と社会保障一体化改革の議論に引き入れて菅内閣の延命を図るために民主党の政策を節操もなく変更するのだと正直に言うべきである。

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菅首相の各種最新世論調査から見る与謝野馨の人間性に対応した人間性

2011-01-17 08:57:01 | Weblog


 朝日新聞世論調査・NHK世論調査・読売新聞世論調査・毎日新聞世論調査を見てみたいと思う。WEB記事に記載してある範囲内での評価となる。

 菅内閣支持率

     「支持する」   (前回)      「支持しない」  (前回)

(朝日) 26%    (+5ポイント)      54%    (-6ポイント)

(NHK) 29%    (+4ポイント)       59%    (+1ポイント)

(読売) 34%     (+9ポイント)       55%    (-10ポイント)

(毎日) 29%    (+5ポイント)       49%     (-7ポイント)

 新たな再出発を国民に印象づける、いわば新規巻き直しの内閣改造でありながら、再出発と言える程の印象も、新規まき直しと思わせる程の印象も与えていないと見ることができる僅かな上昇で終わっている。菅首相としたら、仕切り直しだ、さあやるぞと意気込んだろうが、自身が意気込む程にはその意気込みが国民には殆んど伝わっていない、空回りしているといったところか。

 だが、支持率・不支持率を侮ってはいけない。菅首相は「私はこの1年半前からの政権交代後に民主党あるいは民主党政権でやったことは、大筋間違ってはいなかったと思っております」と世論の判定を否定しているが、菅内閣が間違っていることを認めたくないための思い込みに過ぎないかもしれないし、例え思い込みでなくても、世論は春の統一地方選挙にも影響するし、ねじれ国会運営にも影響していく。


 (朝日)    「支持理由」     「不支持理由」  

首相が菅さん     19%        2%           
民主党中心の内閣    6%         11%        
政策の面       23%          27%         

(NHK)           「支持理由」      

「ほかの内閣よりよさそうだから」  50%、
「支持する政党の内閣だから」    20%

               「不支持理由」

「実行力がないから」       42%、
「政策に期待が持てないから」    38%

 因みに「時事ドットコム」の「支持・不支持理由」

「支持理由」

「他に適当な人がいない」 9.4%
「だれでも同じ」     5.0%、
「首相を信頼する」    3.8%

「不支持理由」

「期待が持てない」     36.0%
「リーダーシップがない」  34.5%
「政策が駄目」         2.0%

 「朝日」のみが積極的支持として「政策の面」が23%に達しているが、しかし不支持理由としても「政策の面」で支持以上に27%に達している。その他はほぼ情緒的、あるいは消極的支持で終わっている。実行力、リーダーシップとなると、菅首相に対する評価としてこれまでの世論調査を通して一貫して欠けていると受け止められている。一国のリーダーとしてこれは致命的な欠陥となる。

 菅首相に対する今後の期待感。

 (朝日)(択一)
大いに期待する     6 (±0ポイント)
ある程度期待する    29 (+1ポイント)
あまり期待しない    40 (-3ポイント)
まったく期待しない   23 (+1ポイント)

 読売

「政策面で実績を上げられると思うか」

「思う」    22%
「思わない」  70%

 (支持率と対応する期待値なのだから、当然の数値であろう。政策面や指導力の面からの支持ではなく、情緒的・消極的支持者の中には今後の期待となると否定的評価を与えるケースも存在するに違いない。

 人事

 (朝日)

 仙谷官房長官交代

「評価する」   47%
「評価しない」  34%

 枝野官房長官起用
 
「評価する」   41%
「評価しない」  39%

 菅首相の社会保障・消費増税への姿勢

「評価する」  39%のうちの与謝野氏起用評価

「評価する」   42%
「評価しない」  45%

「評価しない」  48%のうちの与謝野氏起用評価

「評価する」   26%
「評価しない」  60%

 全体としての与謝野氏起用評価

「評価する」   31%
「評価しない」  50%

 (読売)

 仙谷官房長官交代

 「適切だ」  67%

 (毎日)

 仙谷官房長官交代

 「評価する」  53%
 「評価しない」 39%

 枝野官房長官起用

 「評価する」   44%
 「評価しない」  46%

 仙谷官房長官の交代はどの世論調査でも評価がかなり上回っている。但し枝野官房長官起用は評価が割れていて、ほぼ拮抗した肯定・否定の判断となっている。

 だが、私自身は枝野氏をこれまでの発言から人間的に口達者な詭弁家の印象しかなく、信用していない。

 既にブログに取り上げたが、昨年の参院選中、まだ選挙結果が確定しないうちから、幹事長の立場から他党との連携を呼びかけた。各種世論調査は民主党の過半数獲得に対して悲観的状況を示していた。絶望的と言ってもよい。

 敗北を予想したからこその連携の呼びかけであったはずだ。過半数獲得の勝利を予想できる状況にあったら、連携は必要としない。

 枝野「参議院選挙が終わったら、政策が一致したり、近い部分では、どの党とも協力できるところは協力できる。・・・・みんなの党とは、行政改革や公務員制度改革のかなりの部分で一致している。政策的な判断としては、いっしょにやっていただけると思う」

 この発言は当のみんなの党からばかりではなく、他の党からもマスコミからも批判を浴びた。厭、党内からも批判を受けた。

 参院選敗北後、謝罪している。

 枝野「(みんなの党に連携を持ちかけたと)そう受け取られたことに対しては責任を感じています。言ったことは、例え民主党が過半数を取ろうと、過半数を割ろうと、どの党とも協力できる党とは協力して政権運営していくということを言ったのであって、過半数を割ることを予測した話ではなかった。協力できる党の一つの例としてみんなの党を挙げたのだが、あの当時みんなの党が、みんなの党がと騒いでいて、さもみんなの党と連携すると言ったかのように取られた。そのように受け取られたことに対しては反省しています」

 過半数獲得が予想できたなら、誰が他党に連携など呼びかけるだろうか。詭弁を用いた薄汚い弁解に過ぎない。「みんなの党とは、行政改革や公務員制度改革のかなりの部分で一致している」と言っておきながら、「あの当時みんなの党が、みんなの党がと騒いでいて、さもみんなの党と連携すると言ったかのように取られた」と、そう受け止めた側に責任をなすりつけている。

 尖閣沖中国漁船事件後の中国対日圧力に関しての発言も物議を醸した。

 枝野「中国との戦略的互恵関係は、外交的な美辞麗句だ。中国は悪しき隣人でも隣人は隣人だが、日本と政治体制が違う。

 政治的システムや、法治主義、人権に対する考え方を見ると、日本と米国のような同盟関係を中国との間で期待することは間違っている。法治主義が通らない国だという大前提でお付き合いしないといけない。

 中国に進出する企業、取引をする企業はカントリーリスクを含め自己責任でやってもらわないと困る」

 日本企業の中国進出、中国との貿易取引、観光客訪日等で日本の国そのものが利益を受けているだけではなく、国民の生命・財産を守る国としての義務と責任を無視して、「カントリーリスクを含め自己責任でやってもらわないと困る」などと言う。責任放棄そのものであろう。

 枝野新官房長官は内閣改造後の記者会見で「中国悪しき隣人」論について次のように発言している。

 枝野「(あしき隣人」と呼んだことについて)当時の私の発言そのものを見れば、特定の国を名指ししたという認識はない。中国との間にいくつもの解決すべき問題があるのは間違いない。譲れない国益はしっかり主張し、共通の利害では協力関係を進める。」(時事ドットコム

 「中国」と言う言葉を用いていながらの、それを平気で無視して「特定の国を名指ししたという認識はない」とするのだから、これは詭弁家であることを通り越して、もはやウソつきである。

 ウソをつくとは人を騙すことである。閣僚がウソをつくということは勿論国民を騙すことになる。当然ウソつきと言うだけではなく、国民を騙す人間と言える。

 中国が枝野官房長官就任に警戒感を示したと言うことだが、ウソは国益にも関係することになる。

 こういった枝野官房長官のマイナスの人間性からすると、官房長官就任は否定的評価となってもそさそうだが、相半ばしている。政治家として実力者として名を上げるにしても口達者な詭弁とウソの使い回しでのし上がったに違いない。決して過去の言動を忘れずに記憶に残しておき、厳しい監視の目を向けなければならないはずだ。 

 このように人間が信用できない点に於いて、与謝野も多くの国民がそう思っているであろうように枝野と変わりはない。

 昨日のブログ記事にも取り上げたが、1月15日のツイート。

 『民主党が日本経済を破壊する』という本を出した与謝野馨を菅内閣に入閣させたということは、民主党の経済政策が日本経済を破壊すると認めたということなのか。本来なら破壊しないこと、逆に日本経済を発展させることを証明しなければならない立場にあるからだ。いわば与謝野経済理論の軍門に降った。posted at 11:06:00

 要するに菅内閣の経済政策は日本経済を破壊する、破壊してはならないから、与謝野馨を菅内閣の経済財政担当相に迎え入れたということなのだろう。

 菅首相の与謝野評価はそうなっている。

 菅首相「私なり、民主党の考え方とも大きな流れとしてはかなり共通性の高い政治家だとこのように、これまでも認識していたし今でも認識している」(Bloomberg.

 いわば民主党の経済政策(=菅内閣経済政策)は日本経済を破壊するとの共通認識に従来から立っていた。

 実際には野党を社会保障と税の一体改革議論の同じ土俵に引き入れるための与謝野起用だろうが、菅首相は愚かにも与野党攻守所を変えて丸呑みさせられる立場に立たされる可能性も考えずに1998年金融国会で参院で野党の立場で自由党、公明党と共に多数派を占めることとなっていた民主党が金融再生法を与党自民党に丸呑みさせたことをねじれ国会乗り切りの例として挙げたが、例え野党を同じ土俵に引き入れたとしても、その土俵は与党としての主体性も与党案の主体性も許さない、いわば与党主導ではない、野党主導の妥協、あるいは丸呑みを強いる力学が否応もなしに働く土俵となることは1998年金融国会そのものが教えている。

 ただ菅首相は合理的判断能力を欠いていたから、そのことに気づかずにねじれ国会乗り切りの例に挙げることができた。

 「朝日」の「全体としての与謝野氏起用評価」が枝野の相半ばする評価と違って、「評価する」――31%、「評価しない」――50%と否定的評価が大きく上回るのは、09年総選挙選挙区落選、比例区当選の立場にありながら、自民党を離党、新党を立ち上げ、その新党を離党して直ちに散々に批判してきた民主党の菅内閣入閣といった離れ業に見る与謝野氏の人間性、人物、言動を多くのマスコミが枝野に関するよりもより頻繁に報道していることの影響があるに違いない。

 多くの国民の与謝野馨に関する眠っていた記憶を呼び覚ましたか、改めて思い起こさせたといったところだろう。

 だが、このような人物の起用は菅首相自身の人間性をも炙り出さないではおかない。与謝野馨という人間にも見ることができるなり振り構わないという無節操・ご都合主義の人間性の菅首相に於ける現れである。内閣を改造しながら、大きく支持率を伸ばして不支持を上回る逆転状況をつくることができなかったことはこういったことも関係していた国民の評価に違いない。

 勿論、なり振り構わない無節操・ご都合主義の人間性は指導力欠如・リーダーシップ欠如と相互反映した人間性でもあるはずである。


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Twitter抜粋(2011年1月10日~2011年1月15日)

2011-01-16 05:45:14 | Weblog


2011年01月10日(月)

Reading:NHKニュース 就活サイト 1人で100社超 学生たちの就活にかけるこの必死さは、「これまでは仮免許だった」などと言っている菅首相には伝わるまい。情けない男が日本の首相になったものだ。

NHKニュース 岡田氏 沖縄の負担軽減策検討 日米同盟はアメリカにとっても必要なのだから、一時的に壊れてもいつかは修復される、そう考えて一事壊れるのを覚悟で国外・県外を押し通せばよかったが、それができなかった。アメリカの主張に屈した。

岡田幹事長、沖縄訪問。「普天間の危険性を除去するためには日米合意しかなかった。そういう答えしかなかった」。「私が一番必要だと思うのは、沖縄の皆さんの声に耳を傾けることだ。何度か通ってしっかり現場を見たい」(沖縄タイムズ)。矛盾した発言。沖縄の声を無視したからできた日米合意

2011年01月11日(火)

NHK世論調査。内閣支持率29%。驚くなかれ前回+4ポイント。但し不支持率前回+1ポイントの59%。不支持理由、「実行力」否定の42%、「政策に期待」否定が38%。この2項目は支持理由の中に入っていない。以上からすると、退任前のご祝儀相場、ローソクが燃え尽きる前の一瞬の輝きか。

チュートリアル:福田さん急性膵炎で入院。(毎日jp)某若手美人女優が変装して病院に見舞いにといった芸能週刊誌のスクープを期待。福田、期待を裏切るなよ。

西岡幹事長の菅首相年頭所感批判。日本の将来的なあるべき姿、あるべき方向性に対しての首相自身の考えを述べる機会であるのに、それとは関係のない小沢問題を取り上げたり、質問要旨の24時間前提示を求めたりしている、何を考えているのか分からない。要するに頭が悪いのじゃないかと言うこと。

西岡参院議長の問責決議に対する考え。要は内閣不信任案は憲法に明記、法的根拠があるのに対して参院の問責決議は法的根拠はないにしても、決議に明記された辞任要求を賛成多数で可決した事実に根拠があると言っている。それは同じ法的根拠はない衆院閣僚不信任案と同等だと。

菅首相、ぶらっと書店へ 政権批判の文芸春秋など購入自民党最後の首相麻生太郎も09年6月21日に書店で本を購入している。奇しくも場所は同じ八重洲ブックセンター本店。麻生元首相はそれから2ヶ月ちょっとして首相職を失う。菅首相は何ヶ月後か。

普天間の県外移設「再度は政府試みない」 岡田幹事長 岡田「政府は再度、試みることを考えていないと思う」は仙谷の「甘受せよ」と心理的に同じ。政府の無能を沖縄に押し付けるな。

2011年01月12日(水)

菅首相、代表選で負けたときは「代表代行を務めたり、私なりに党の代表を支えて頑張ってきたつもりだ」。だから小沢氏も協力すべきだと言うのか?小沢氏を副総理という名誉職に追いやろうとした。実力者の小沢氏にとっては閑職。いわば遠ざけようとした。代表選を戦った相手に対する敬意すらなかった。

民主党両院議員総会。菅首相「私は最も挙党態勢を望み、最も願っている一人である」。ノーサイド、412人内閣、何と言おうと挙党態勢が実現できていなければ、言葉で終わっているということ。言葉で言ったに過ぎなかったと言うこと。実現能力ゼロ。自身の無能に気づかないからできる犬の遠吠え。

菅総理、民主党国会議員に対して。「自信を持とうじゃありませんか」。支持率を上げるよう要請すべし。自信の糧となる、明日のエネルギーの源、心地よい晩酌となる。

生活保護、過去最多141万世帯 2010年10月 菅首相の「1に雇用、2に雇用、3に雇用」の掛け声倒れの有言実行生活保護過去最多141万世帯は日本の勲章。
NHK 政府予算案“評価”は20%。20%のうち「大いに評価する」は2%。内閣支持率1%になっても石に噛り付いてでも首相の座にしがみつくと言っているのだから、予算案評価が0%にならない限り、景気の本格回復に役立つと言い続けるに違いない。

菅首相、中国漁船尖閣対応で支持率を下げると、「5年、10年後にきちんと評価されると確信している」と国民の目を近視眼的と否定、今回のNHK世論調査内閣支持率4ポイント上昇に最大限のニコニコ顔で「まああの、しっかり頑張ると、それにつきます」。 一転国民の目を信頼のご都合主義。

実際にNHK記事が伝えた発言。菅首相「外交上の問題、特に領土問題はその国の国民の感情を強く刺激するものだ。5年、10年後に振り返ったときに、自分の内閣が冷静に対応したことはきちんと評価されると確信している」

2011年01月13日(木)

菅首相、党大会で内閣改造は「より強い最強の体制にするため」、「一部に言われているように問責が出されたからではありません」。誰にでもウソと分かるウソをつくから、益々信用を失い、信用と共に支持率も下落。そこに気づくだけの謙虚さがない。あるのは強がりだけ。それだけが残されている。

菅首相の悪口ばかり書いていて、思わず自分で笑ってしまった。

菅首相、与謝野を一本釣り。「財政の健全化や社会保障などに取り組まれており、そういう考え方では民主党とは大きな流れでかなり共通性は高いと認識している」。これ口実。衆議院3分の2獲得のために一人でも頭数が欲しいだけ。小沢氏グループの2、3人が反旗を翻せば、3分の2は崩れると言うのに。

岡田外相、NHKクロ-ズアップ現代出演、「民主党は自民党よりもたくさんのことを国民のためにやってきた。ただ、やってきたことを伝え切れていない」。09年総選挙のときは、何をやるか十分に伝えきれたから、国民が政権交代に向けて動いた。ここにきて伝えきれないというのはどういうことなのか。

菅首相が枝野を仙谷の後任に据えるのは国会質疑の要所要所で答弁を代って貰うに都合がいい、仙谷とは性格は異なるものの、同じ口達者だからだろう。仙谷に劣らない詭弁家。

菅首相、税制、社会保障の一体改革で超党派協議を呼び掛け、「野党がいろいろな理由をつけて参加しないなら、歴史に対する反逆行為だ」。馬鹿なことを言う。政策遂行のバックアップとなる参議院の頭数を自ら失っておいて、手前勝手な理屈をつける。自民党は政権奪回の最大チャンスと見ているのである。

自民党が、「さあ、民主党さん、政権を維持してください」と協力してくれると手前勝手にも思っているのだろうか。政権奪回のチャンスを削ぐような協力をするはずがないじゃないか。すると思っているとしたら、手前勝手なだけではなく、考えが単純過ぎる。

14日に内閣改造 菅首相「最も強力な体制つくる」 既に一度お手並みを拝見済み。強力な体制をつくる指導力があるなら、ねじれ国会を迎えた改造内閣でつくっていたはず。相変わらず口先だけ勇ましい。

政府 戦略的広報目指す方針 菅首相、「平成の開国」、「最小不幸社会」の実現、「不条理を正す政治」のテーマに基づいた広報を目指すとしているが、スローガンどおりにいかないのが現実社会な上、指導力がないときている。実現との乖離を見せつけるだけ。

民主、菅首相抜きの新ポスター 重点政策テーマに6種 政権の顔とは誰がリーダであり、その業績を誇示する表徴。菅首相自身に見るべき業績がないから、顔外しと相成った。

菅首相夫人「でき得ることをやって玉砕するのはいいが、支持率が低いと批判されて辞めることはない」。玉砕とは大義の為に殉ずることを言うが、現実の場面ではそのことで全体的な失地回復は望めない極めて不利な状況下の意味もない自殺行為となっている。菅首相の自殺行為に国民をつき合わすつもりか。

菅首相夫人の亭主玉砕論。戦前の玉砕を持ち出すとは愚かしいばかりに大仰な女だ。玉砕とは有利な状況下では行う必要のない行為である。有利な状況を引き出し得ていないことが既に菅首相の敗北を予感させる。尤も参院選敗北で始まっていたこと。お互いに気づかない頭の悪いところが似た者夫婦か。

官房長官、枝野氏で調整 与謝野氏入閣も検討 仙谷官房長官は中国人船長釈放に政治介入して中国のご機嫌を取った。「中国は悪しき隣人だ」と言った枝野も、その不用意な発言のために中国とうまくやるために何らかのご機嫌を取ることになるだろう。

民主、マニフェスト見直し表明 財源の捻出限界に 09年総選挙前は自民党政権のマニフェスト達成率が低い、政権担当能力がないと散々攻撃していた。裏返すと民主党は達成率を高くすることができるとの宣言。それが2年も経たないうちに見直し。

前原外相ら、外遊短縮・見送り 内閣改造方針受け 潰れる内閣のために帰ってこなくていい。アメリカに亡命せよ、日本のために。

たちあがれ日本・与謝野氏が離党 政権入りへ 与謝野、たちあがれ結党当時、「反民主・非自民を貫く」と言ってたはずだが。「反自民ではないが、自民にあらず」の近親性を持たせていた。自民の感情を害することは確か。菅直人と有言不実行兄弟。

2011年01月14日(金)

Reading:NHKニュース 警察官の拳銃200丁に亀裂 えっ!菅内閣と国民との間の亀裂が影響したんだって?この亀裂、大きいからなあ、あっちこっち飛び火してるかもよ。

Reading:NHKニュース 枝野長官“バランス取れた布陣” 枝野「老壮青のバランスの取れた『実務強力推進内閣』だ」。好き勝手にどこに当てはめても一枚の絵となるジグソーパズル内閣。

『朝日』社説 〈内閣改造―「問責交代」慣例にするな〉だと?自衛隊は暴力装置だを自らの認識としたり、野党議員からの電話をあったことも内容も記憶していないとする頭の機能性を問題視せざるを得ない閣僚の存在自体が問題。

与謝野氏と議席争った海江田氏「不条理だな」 改造内閣 菅首相自身が「不条理を正す」と言っていながら不条理を作り出して周囲にだけではなく国民の間にも配る不条理プレゼンター。

在日米軍撤退なら「中国、より強引に」 米国防長官講演 在日米軍が撤退すれば「北朝鮮の軍事的挑発が激化し、中国の近隣国への強引な行動が強まりかねない」。そりゃそうだろう。「柳腰外交」という名の弱腰外交の手の内を既に見せてしまったのだから。

ロシアのメドベージェフ大統領も菅と仙谷の「柳腰外交」に一安心して国後訪問を決めた一因ともなっているだろうから。

2011年01月15日(土)

昼寝公認で学力アップ 福岡・明善高、健康にも効果 日中も時間・場所構わずにうつらうつらするようになったが、これも体にいいことなのかと聞いたら、それは年齢的に棺桶に片足を突っ込んだことによるこの世からあの世へ向かう眠り効果だと言われた。

枝野(マニフェストを)「理念、哲学の方向性自体を変えるなら国民に信を問わないといけないが、検証してスピードや内容について修正する余地がある」。詭弁野郎が早速詭弁を用いた。「国民生活が第一」の理念に変化なしの理屈ですべての政策内容を変えることができる。

【沖縄タイムス】 日米合意推進を懸念 名護市長 方針変更望めず 頑張れ、反沖縄基地勢!!

『民主党が日本経済を破壊する』という本を出した与謝野馨を菅内閣に入閣させたということは、民主党の経済政策が日本経済を破壊すると認めたということなのか。本来なら破壊しないこと、逆に日本経済を発展させることを証明しなければならない立場にあるからだ。いわば与謝野経済理論の軍門に降った。

「シングルで再出発します」離婚報告はがき発売 中には再々出発、再再々出発、再再再々出発の男性、or女性もいるに違いない。友人の中には同じ男性、or女性から何枚も離婚報告葉書を受け取ることになるかも。再出発という言葉の響きは素晴らしい。

普天間移設「期限設けぬ」 米国務次官補、先送りを容認 キャンベル氏「我々は昨年普天間に焦点を当てすぎたために日米間の多くの課題を進展させることが困難になった」。菅首相の内閣延命策が世界一危険な普天間継続使用を担保させることとなっている。

Reading:NHKニュース 菅第2次改造内閣が発足へ 菅首相自身の指導力のなさ、政策に期待が持てない、ご都合主義、責任転嫁、言葉の軽さを改造できないままの第2次改造内閣って、一体何のための改造内閣なのだろうか。

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菅首相は消費税増税議論と言ったなら、誤解を生むアンフェアな質問だと言っているが、事実なのか

2011-01-15 07:43:53 | Weblog

 菅首相が菅第2次改造内閣発足を受けた記者会見を昨14日(2010年1月)の夕方6時から首相官邸で行った。NHKテレビが大相撲中継終了と共に記者会見の中継に入ったから、そのまま視聴したものの、両院議員総会や民主党大会挨拶で言っていたこととたいして変わりはないと見ていたところ、実際にほぼ同じことの繰返しであった。

 両院議員総会や民主党大会の発言自体が以前言っていたことの繰返しだから、常に新鮮味を感じない発言となる。

 ほんの僅かの違いは与謝野入閣を持続可能な社会保障制度の議論を国民的な議論に高めたいとからだとその理由を話していたが、国民的な議論に高めたいは前々から言っていたことで、果してそれができるかどうかは今後の推移をお手並み拝見とばかりに眺めるしかない。

 ただ言えることは、昨年の参院選前の消費税発言で参院選大敗北という大失敗をやらかした羹に懲りて膾を吹く反動からだろう、消費税問題を与謝野に丸投げしたとも受け止めることができないわけではない。いわば万が一の国民の批判が自身に直接届かないための緩衝材用の抜擢ではないかと言うことである。

 野党時代、「沖縄に米海兵隊はいらない、米本土に帰ってもらう」と言っていながら、それを果たす努力を放棄したことや、「政権が発足してからの半年間は、仮免許の期間」といった発言、「これまでは発信力不足だった」等々の発言から窺うことができる菅首相の責任回避性格からすると、どうしても緩衝材用の任命ではないかとの解釈となってしまう。

 但し菅首相と与謝野馨とは消費税増税に向けた意志は一致している。

 一つ奇異に感じたのは記者の消費税増税時期の質問に対して、強く非難する口調で、誤解を生む質問で、フェアではないと厳しく反論したことだった。

 その前に一昨日13日(2010年1月)の民主党大会で言っていた、今回の改造内閣は問責決議とは関係ないとの発言をこの記者会見でも記者の質問を受けて同じ理屈を繰返しているが、昨日のブログ記事の中で取り上げる予定が抜け落ちてしまったので、多くが同じ受け止め方をしているものの、改めて触れてみる。

 1月13日の党大会での挨拶。

 菅首相(改造内閣の目的について)「一部に言われているように問責が出されたからだとかではありません。今申し上げたような日本の改革を推し進めるために、そのためにどういう体制を作るのが最も強力な体制になるかの一点で、新たな体制を作って参りたいと考えています。内閣の改造に加えそれに伴う党人事の変更も行いたいと思いますので、ぜひとも新たな体制については私、代表にご一任をお願いしたい」

 昨1月14日の首相記者会見。

 記者「北海道新聞の山下です。

 総理は昨日の民主党大会で、今回の内閣改造は問責を出されたからではないとおっしゃいました。昨年9月に改造したばかりの有言実行内閣をたった4か月で変えるのは非常にわかりにくいと思います。問責がなくても仙谷官房長官を枝野さんに交代させるつもりだったのでしょうか。また、これまで法的根拠の問題というのがありましたけれども、今回の人事が、閣僚が問責されれば辞任するという慣例を作ることにつながらないでしょうか。」

 菅首相「先ほど申し上げましたように、この内閣の改造と党の体制は、これは大会でも申し上げましたが、民主党の危機を超えるためではなくて、日本の危機を超えるためという観点から行ったもの、あるいは行おうとしているものであります。その理由については、今、申し上げたように、今、日本が抱えている危機の大きな課題を超える上で、例えば与謝野さんの参加といったものも必要だと考えたわけであります。

 同時に党の方のいろいろな活動も更に大きくしていかなければなりません。例えばシンクタンク、あるいはいろいろな『新しい公共』と呼ばれるようなNPOグループとの連携。そうしたことは内閣だけではなかなかできません。こういう活動に大きく幅を広げていく上で、仙谷さんは大変有能な力を持っておられると思っております。そういった意味で、全体のことを考えた中で、日本の危機を超えていく上で、最強の体制をつくる。そういう考えで推し進めたものであります。

 また、何か一部のグループでやったのではないかという趣旨のことを言われますが、それは全く当たりません。9月の代表選挙で私が党員サポーター、全地方議員、全国会議員に申し上げたわけです。クリーンでオープンな政治をやりたい。そして、私がその皆さんによって代表に選ばれたわけです。ですから、その公約を実現することに協力をしていただける方であれば、それはだれでも全員参加でやりましょう。例えばオバマ大統領が誕生すれば、オバマ大統領の公約を実現する上で協力する人が集まっていくのは当然であります。そういった意味で、私の代表選の公約あるいはそうした考え方を中心にして、党がまとまって、この日本の危機に飛び込んでいく。そういう立場でこの改造や党人事についての強化を行う、あるいは行おうといたしております」

 党大会挨拶では直接的な言い回しで問責改造内閣ではないと否定しているが、記者会見では直接的な言い回しでの否定の形は取らずに、「民主党の危機を超えるためではなくて、日本の危機を超えるためという観点から」の改造内閣だと党大会挨拶と同様に体裁のいいことを言っている。

 なぜ体裁のいいことなのかと言うと、民主党の危機を乗り越えずに日本の危機を乗り超えることは不可能だからだ。日本の危機の克服には時間がかかる。その間に民主党政権がポシャッたなら、当然日本の危機克服の担当者から外れることになる。

 例えば苦戦が予想されている春の統一地方選挙で全国的に敗北したなら、菅首相の責任問題が浮上する。例えどうにかこうにか首をつなげることに成功したとしても、求心力の低下を極端に招くことになって、ただでさえない指導力を全く失うこととなり、日本の危機の克服どころではなくなる。

 維持できるのは菅首相の口先だけの強がりのみであろう。いわば日本の危機の克服は政権担当政党である民主党の危機克服を前提としていると言うことである。足許を固めずに何ができると言うのだろう。体裁のいいことを言うだけでは何も克服できないことになる。

 菅首相は西岡参議院議長と会談したりして仙谷続投をあれこれ模索した。だが、逆に西岡参議院議長から引導を渡されて、交代に踏み切った。問責改造内閣以外の何ものでもない。例え問責決議を受けたら閣僚辞任という慣例をつくることになったとしても、「問責を受けて交代させる機会を把えてより強力な内閣をつくろうとしたのです」と正直に答えたなら、国民から受ける印象もよくなるに違いない。なぜなら、菅首相がどう言い繕おうとも、誰の目にも問責をキッカケとした改造内閣なのは明らかだからだ。それを問責が理由ではないと言えば言う程、嘲笑われることになる。こういったことに気づかないほど、菅首相は合理的判断能力を欠いている。

 春の統一地方選挙に備えてだろう、6種類のポスターを1月28日から全国一斉に張り出すそうだ。《民主、菅首相抜きの新ポスター 重点政策テーマに6種》(47NEWS/2011/01/13 13:49 【共同通信】)

 地方分権、社会保障、子育て支援、雇用・成長戦略、農業、税金の無駄遣い一掃等の政策テーマを掲げ、2011年度予算への反映や事業仕分けなどの実績を訴える内容のポスターだそうだが、記事題名にもあるように菅首相の顔写真抜きとなっているという。

 民主党政治を主導するリーダーの顔が写っていないポスターとは菅首相の不人気を先取りした措置だろうが、党大会挨拶や記者会見での発言の強気とは裏腹の弱腰(柳腰?)な姿勢は何とも情けない。一国のリーダーがすべきことだろうか。

 党大会挨拶では、「私はこの政権交代は大きな意味で民主党が進めてきたことは間違っていなかったという自信を持って申し上げることができます」と堂々の宣言を行っている。ここには言っていることとやっていることの矛盾がる。

 では、消費税増税時期を尋ねた問題の箇所を見てみる。

 記者「産経新聞の阿比留と申しますが、今回の改造で与謝野さんが経済財政担当相に入りまして、藤井さんが官房副長官になられました。消費税率上げに向けた布陣が敷かれたとも言えると思います。

 ただ、民主党は平成21年の衆院選マニフェストで、行政の無駄遣い削減や、埋蔵金活用で16.8兆円の財源が生み出せると言いました。そして、それを信じて多くの有権者が政権交代を選んだ経緯もあります。総理も昨年7月の参院選前に、消費税率を上げる時期は、次の総選挙で国民の了解があった段階だと明言されております。

 民主党は、今回、マニフェストの見直しを表明しましたけれども、そうであるならば、ここは衆院解散でもう一度信を問うのが筋ではないでしょうか」

 菅首相「ただいまの質問について、私は非常に誤解を生むような質問だと申し上げざるを得ません。私たちが申し上げているのは、今の社会保障制度がこのまま維持できるのか、あるいは更に充実することができるのか、そのことをしっかりと議論しよう、そのときに合わせて当然ながら維持していくための財源の在り方、現在のままで十分なのかどうなのかということを議論しようとしているんです。それを、何か消費税引上げのための議論、そういうふうに決めつけて、すり替えて質問されるのは、私はフェアではないと思っております。

 先だっての記者会見のときにも申し上げたように、例えば現在の消費税を国税分については、高齢者の医療・介護・年金に振り向けるという、そうした税制の基本的考え方が平成11年に決まっておりますけれども、平成11年においては、約7兆円が消費税の国税分でありました。国の歳入分でありました。必要な費用は約8兆5,000億程度でありました。ですから、確かに高齢者の医療・介護・年金について、消費税の国税分でほぼ賄えてきたわけですが、平成22年においては、収入は7兆円が変わらないのに対して17兆円の支出を既にしているわけです。では、その差額の10兆円はどうしているかと言えば、それは実質的には赤字国債で、借金で埋めているわけであります。

 こういう状態が持続可能なのかという議論を社会保障の議論としてしっかりしよう。そういうふうに申し上げているときに、社会保障の社の字も言わないで、何か消費税の議論をしようとしているように言われるのは、私は大きく国民の皆さんに間違ったメッセージを与えると思いますので、あえてこのことを申し上げ、お答えとさせていただきます。

 菅首相はこの記者会見の冒頭発言で次のように述べている。

 菅首相「特に1月4日の記者会見で私は、平成の開国を行わなければならない、また、最小不幸社会を目指したい、不条理な政治を正していきたい、この3つの理念を申し上げました。そしてこれを更に具体的に申し上げれば、今、大きな課題としてあるのは、これから安心できる社会保障制度、これは制度の在り方と同時に持続可能なその財源をいかにしていくのか。この議論が必要であります」…

 持続可能な社会保障構築に向けた財源確保の議論とは消費税増税を主として行う財源確保に狙いをつけた議論であろう。いわば消費税増税を前提とした社会保障の持続可能性の確保である。

 それとも持続可能な社会保障の担保に消費税以外の財源が存在するというのだろうか。あるなら、菅首相のことだから、得意になって言いふらすだろう。ないから、言えない。ないということなら、消費税増税を前提としてのみ成り立たたせ可能な社会保障議論となる。

 とすると、持続可能な社会保障の議論とは消費税増税の議論そのものだと言っても過言ではない。持続可能な社会保障の議論と言うことで、選挙や支持率への悪影響を考えて、消費税増税に煙幕を張っているに過ぎない。

 菅首相は2010年参院選マニフェスト発表記者会見で次のように言っている。

 菅首相「強い財政、強い社会保障をつくる、こういう道筋に持っていくために、消費税について、これまでも議論を長くタブー視する傾向が、政治の社会でありましたが、ここでは思い切ってですね、このマニフェスト、今申し上げたような形で、書かせていただいたところであります」…

 ここではっきりと消費税増税議論は「強い財政、強い社会保障をつくる、こういう道筋に持っていくため」だと、その目的を明言しているのである。その上で政権与党のリーダーでありながら、政策をリードするのではなく、増税率を野党「自民党の10%を参考にする」とその数字の根拠を示しもせずに安易に相乗りした姿勢が批判を受け、菅首相が愚かしくも「天の配剤」だと言っている参院選大敗を招き寄せた。

 菅首相が自ら言っていたようにまさしく持続可能な社会保障の議論とは消費税増税の議論以外の何ものでもない。このことは社会保障議論と消費税議論とは一体を成していると言うこともできる。消費税増税の前提なくして、持続可能な社会保障は存在しない。

 大体が記者の質問に答えて言った「平成11年においては、約7兆円が消費税の国税分で」で、「必要な費用は約8兆5,000億程度」、それが「平成22年においては、収入は7兆円が変わらないのに対して17兆円の支出」云々自体が既に社会保障と消費税を一体とさせた発言となっている。

 自身が一体の発言をしていながら、「何か消費税引上げのための議論、そういうふうに決めつけて、すり替えて質問されるのは、私はフェアではないと思っております」などと言うのは、「すり替え」でも何でもなく、悪質・不当な言いがかりとなる。

 また、「社会保障の社の字も言わないで、何か消費税の議論をしようとしているように言われるのは、私は大きく国民の皆さんに間違ったメッセージを与える」にしても、社会保障議論と消費税議論が一体である以上、例え「社会保障の社の字も言わな」くても、消費税増税議論を指しているのであって、決して「大きく国民の皆さんに間違ったメッセージを与える」と言うことにはならない。

 逆に「持続可能な社会保障」議論の名の元、消費税増税議論をカモフラージュすることの方が本質的には国民に対する「間違ったメッセージを与え」、菅首相の方こそが誤解を生む、フェアでない態度を取っていると言える。 
 
 菅首相は昨年9月の代表選前に当選1回生新人議員と意見交換会を行い、8月24日午前の2回目の19人との会合で次のように自身をアピールしている。

 菅首相「今までの古い体制や官僚の省益を優先する仕組みを壊す力が、自分にとって一番強いメッセージだ」

 菅首相「おかしいところをおかしいと思って立ち向かう姿勢と、物事を作り替える上で必要になる壊すことに対しては、自分は相当力を持っている」

 持続可能な社会保障議論にしても、この議論と一体をなす消費税増税議論にしても、従来の社会保障制度、従来の消費税を「壊」して、新たに「物事を作り替える」作業であり、そういったことに対して「自分は相当力を持っている」と言った。

 これが口先だけの言葉でないなら、消費税増税による財源確保が持続可能な社会保障に必要だと、具体的内容と共に国民に説明して事に当たるべきだろう。

 だが、他の数々の発言同様に口先だけの言葉となっている。

 言っていることとやることがこうまでも違う首相は珍しいだけで片付けることはできない。2010年参院選マニフェスト発表記者会見でギリシャの危機まで持ち出して 強い財政と強い社会保障をつくるには消費税議論が必要だと言っていながら、消費税発言が原因となって参院選を大敗すると、それ以降そのことに触れずに先延ばしする態度のブレを見せたように、何かの障害が生じた場合、再び態度のブレを見せない保証はない。特に指導力なし、責任回避意識の強い菅首相に限って言うと、その危険性が高い。

 大根首相の大根政治を見せつけられること程、国民にとっての悲劇はない。大根首相は早々に舞台から退場して貰うに限る。

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菅首相党大会挨拶/歴史に対する反逆行為を犯した者は歴史の反逆を受ける

2011-01-14 10:08:59 | Weblog


 昨1月13日(2011年)午後、民主党大会菅代表の挨拶。自己都合に満ちた自分勝手な論理が延々と展開され、指導力のない政治家の哀れな姿を曝した。

 挨拶の内容は「MSN産経」記事――《【菅首相党大会あいさつ詳報】》(2011.1.13)の《(1)「党の危機より日本の危機だ」》《(2)「画期的な政策に胸を張りたい」》《(3)「遠慮してたが、これから大きな声出す」》《(4)「野党が議論参加しないなら歴史への反逆行為だ」》の各記事を参考にした。

 《(1)「党の危機より日本の危機だ」》のリンクのみ貼っておく。 

 先ず国民新党の亀井代表、社民党福島党首、経団連米倉会長等の来賓の激励を交えたものなのだろう、挨拶、さらに一昨日1月12日の全国幹事長会議、両院議員総会、さらに今日は地方代議員会議で出された意見、と言うよりも批判、突き上げの方が多かったはずだが、そういった直接、あるいは間接に出された声を「これからの民主党の運営、さらには政権運営に必ずや生かして参りたい。このように申し上げたいと思います」と述べている。

 誰の声であろうと、それを生かす創造力と実現可能能力を元々身につけていたなら、既にそれらの能力を自然発生的な自動性で発揮することとなって生かしていたはずで、当然国民の信頼を得ることができ、それは支持率となって撥ね返ったはずだが、国民の声を含めて如何なる声も生かすことができなかった何よりの証明となっている現在の低支持率が今後とも生かすことはできない何よりの担保となるに違いない。

 橋を造ってくれという地元の声に、「よし、予算を取ってきてやる」といった利益誘導能力ではなく、全体的な国民の生活向上に役立つ政策づくりには声を生かす能力は決して欠かしてはいけない政治家の資質であろう。

 菅直人はかつて「沖縄には米海兵隊はいらない、米本土に帰ってもらう」と沖縄県民の声を汲み取ることができた。だが、できたのは汲み取るまでのことで、その声を生かす政策上の創造力は遂には発揮できなかった。政策を創造する能力がなければ、当然その政策を実現させる実現可能能力も持ち合わせないことになる。

 そんな政治家が、「現在置かれている状況、私がこの民主党の危機をどう乗り越えるかでなく、日本の危機をどう乗り越えるのか、それに向かって私たち民主党がどう立ち向かえるのか」と言ったとしても、奇麗事にしか聞こえない。

 大体が民主党の危機と日本の危機を同列上に置く状況判断能力自体からして、どこか狂っている。日本の危機は民主党がつくり出した危機ではないと言うかもしれないが、危機が進行するのを手をこまねいて傍観するしかなかった政権獲得ができずに野党の状況に甘んじさせた無能力は責められてもいいはずだ。

 また、民主党の危機は菅首相自らがつくり出した。その危機を修復する力さえ持っていない無能な政治家が日本の危機にどう対処しようと言うのだろうか。

 民主党の危機は決して小さな問題ではない。日本の危機に真正面からぶつかって対処するためには民主党の強力なバックアップ、国民の強力なバックアップを土台として成り立ち可能となるスケジュールとなるからだ。両者を欠いた場合、国会運営に四苦八苦するだけのことで、日本の危機にまで手が届かないことになる。

 とすると、菅首相に必要なことは「日本の危機をどう乗り越えるのか」ではなく、先ずすべきは「民主党の危機をどう乗り越えるか」であろう。だが、民主党の危機を自らつくり出しただけあって、修復する力はないときている。所詮、現在の状況が示すように立ち往生するしか残された道はないように思える。

 このことは次の発言が証明してくれる。「最近『デフレの正体』という本を買い求め、読んでみました。私は団塊の世代の入り口でありますが、その人口の波がどんどん労働力人口として参入することが経済を大きく引っ張っていく、しかしその波がどんどん少なくなると経済が低迷していく。ある意味では予測可能であった事象であることです」・・・

 こんなことは10年も20年も前から言われていたことであって、政権党議員であろうと野党議員であろうと経済低迷の「予測可能」は明白過ぎる既定事実として、そこから一歩踏み出して日々対策を練っていなければならない問題であったはずだ。それを今さらのように『デフレの正体』を買ってきて読んだと言い、「予測可能」が新発見であるかのように言い触らす。

 大体がデフレ問題とかインフレ問題とかは国政を担う政治家の常識としていなければならない情報であり、日々それらの情報を新たにし、蓄積していく義務と責任を負っているはずだ。当然、特別な出来事ではあってはならないにも関わらず、本を買ってきて読んだとさも特別な出来事としている。

 合計特殊出生率が人口横ばいのを2に遥か届かない1.5以下で長年推移し、2025年には15~64 歳の「生産年齢人口」が1350万人減とまで言われている。この1350万人を埋めるとしたら、経済構造を画期的に変革するか、現在の経済構造のままなら、外国人労働者の移入しかない。

 最近の新卒大学生就職難で問題となっているのはリクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査」によると、11年3月卒の大卒求人倍率が統計上は全員就職可能の1.28倍であるにも関わらず、従業員規模が5千人以上だと0.47倍と就職可能が半分以下となり、従業員規模300人未満だと4.41倍(AERA:2010年12月27日号)の逆転現象の求人難となるミスマッチだと言われている。

 大学生が大企業志向を変えないなら、従業員規模300人未満の中小企業に外国人労働者入れ、今から2025年の15~64 歳の「生産年齢人口」1350万人減に備えたなら、中小企業発の日本の国力回復が可能とならないだろうか。

 今さらながらに『デフレの正体』の本を買ってきて読んだということよりも、有効な政策を立てる立場にあるはずだ。その対策に「従来の政権が何もしなかったのに対し、新たに子ども手当という制度を導入したのは私は歴史的に画期的な政策と胸を張っても構わないと考えているところであります」と言っているが、あと15年かそこらで1350万人を埋めるまでに近づく政策となるのだろか。しかもスタート早々約束半分の政策実現、中途半端な政策となっている。

 打ち上げた政策は「歴史的に画期的な政策」かもしれないが、実現可能性から言うと約束半分である以上、「歴史的に画期的な政策」と胸を張るよりも反省を示すべきであろう。

 子ども手当の次に農業戸別所得補償政策を自慢しているが、予定しているTPPに参加した場合の貿易自由化と農業自立の両立政策を示さないうちの農業戸別所得補償政策の自慢は早トチリ、時期尚早としか言えない。

 戸別補償のみで貿易自由化を乗り切れると言うなら話は別であり、事実そうであるなら、そうであることを宣言すべきである。どこかが抜けているというよりも、まるきり抜けているように思えて仕方がない。

 このまる切り抜けているところは次の発言に早々に現れている。

 「一つひとつの課題を申し上げるときりがないが、あえて具体的に申し上げますと、例えば地方で選挙をされる方にとって、(沖縄県石垣市の)尖閣の問題でリーダーシップがないと抽象的に批判を受けていると。私自身も多く国会で批判を受けていますので、十分に予想できますし、皆さんのご苦労はいかばかりかと思う。しかし、例えばこの千葉で、神奈川で東京で特に大都市で、待機児童をゼロにしていくと、熊谷市長のお子さんが生まれると、この千葉でも待機児童がゼロになるようにどうしていくか」

 外交姿勢と待機児童問題を対等に扱って、前者のリーダーシップ欠落を後者の内政で補おうとする間抜け振りを見せている。一国のリーダーは外国に対しても国内の国民に対しても国益を守る使命を負う。どちらのリーダーシップが欠けていいということにはならない。

 この発言は待機児童問題を持ち出して尖閣問題でのリーダーシップ欠如を自分から免罪しようとする意図を持たせたものであろう。このように自己に甘い、厳しさのないリーダーに一国を任せることができるだろうか。

 この一事を以てしても、一国のリーダとしての資質も資格もないことが分かる。

 大体が待機児童問題にしても、「来年、再来年、そして最終的には欧米、北欧の水準にして、ほぼ待機児童がなくなるようにする。その第一歩が進んだんだと、このことをぜひ有権者に訴えていただいてほしい」と自身が言っているようにまだ最終的な成果を見ないうちの発展途上にある政策である。発展途上の政策を外交の失敗の埋め合わせにしようとした。

 菅首相は地方へ移す自由裁量の一括交付金の支出を一つの自慢して、「一生懸命やって出てきたものがわずか28億円にしかなりませんでした。そこで一体誰がこの程度の数字しか出してこないのか、それぞれの役所の官房長なのか局長なのか名前を私に伝えてくれと申し上げて、片山(善博総務)大臣を中心にがんばっていただいた結果、5100億円を超える一括交付金が来年度の予算に計上できるところまで、実際に物事が進みました」と言っているが、「プレスクラブ - ビデオニュース・ドットコム」のインターネット動画に出演したときは、「最初、ホーント、少ししか出てこなかったんですが、大分、ウー…、威して、とか言うですかね(笑いながら)、役人を威して出てきました」と、金額の増額よりも役人を威したことに重点を置いて、さも自分が人を言うことを聞かす力があるかのように自慢していたが、党大会とインターネット動画では言っていることが違う。

 場所によって言うことに違いがあるのは消費税年収別税還付方式を打ち出したはいいが、遊説の行く先々で言う年収に違いがあったことが既に証明している、人間が信用できない一つの有力な証拠となるばかりである。

 大体が威して出させる指導力とは一体何を証明するのだろうか。菅首相が望む議論に野党が応じないと盛んに言っているが、だったら野党を威して言うことを聞かせればいいじゃないか。

 リーダーシップとは人を威して言うことを聞かす能力のことではない。合理的な判断能力に基づいた合理的な説得によって成し得る能力のはずだ。役人にしても威されれば、ヘソを曲げて、なおさら出さないことだってある。元々合理的判断能力を欠いているから、「役人を威して」などと自慢ができる。

 菅首相は前進させたとする政策を次々と挙げてから、再び尖閣問題に戻って、自己正当化することを忘れない。

 「あの尖閣の問題でもいろいろありましたけど、少なくとも尖閣列島は日本の固有の領土であって、この領土問題は存在しないという立場は一切変わっていませんし、実効支配も一切変わっていないわけであります」

 ここに菅首相の合理的判断能力の質・程度が如実に現れている。

 日本の立場が変わっていないこと、実効支配が変わっていないことが問題ではなく、それが脅かされたとき、毅然とした態度を示して対処することができずに様々に妥協し、関係修復を求めて首脳会談を一方的にこちらから願い出た卑屈な態度を取ったことが問題となったのである。何が問題となったか把握できずに、中国に「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土」だと言わせている中国側の事実がさも存在しないが如くに無視して、あるいは様々な妨害・圧力を好きにさせたことを棚に上げて、日本側の事実だけを言っている考えも何もないご都合主義は素晴らしい。

 次の発言は物の見事な無責任極まりない自己免罪、あるいは自己弁解のこじつけ、誤魔化しとなっている。

 「野党の批判を切り返す機会あれば、多く切り返したいと思ったのですけど、(昨年の臨時国会は)最初の国会でありましたので、できるだけ熟慮の国会ということで、遠慮をずっとしてきたのです。なんだか菅さん元気がないねと言われましたが、(昨年)12月3日に国会が終わってからは、これからは大きな声でと方針を変えて今日のこの場に臨んでいるところであります」

 国会対応はテレビ中継がされて、世論に影響する。野党のどのような追及も的確に切り返してこそ、菅首相の判断能力、状況対応能力の優秀さが現れて、支持率に撥ね返るはずだ。それが逆だったから、指導力がない、人柄に期待が持てないといった国民の失望を買った。

 また、政治家である以上、特に一国のリーダーとなった以上、敵対勢力の攻撃に対してはその攻撃を上回る反射的な反撃能力を本能にまで高めていなければならないはずだ。でなければ、敵対勢力を撃退できない。与党としての優越性を維持も誇示もできない。いわば温存すべきではない反撃能力を温存したと言っている。バカじゃないのか。

 この発言は臨時国会終了後に言った「これまでは仮免許だった、これからは本免許だ」と同じ趣旨の自己免罪、自己弁解であろう。政権を担当する前から、政権担当に備えて政策を勉強し、練り上げてきた政策勉強期間である野党時代を長いこと過ごしているのである。それを首相就任後僅か7カ月だからと言って許されるはずもないにも関わらず、「仮免許だった」と言い逃れする。この卑怯な弁解は何を意味するのだろうか。

 大体が日本の現在の停滞が人口減少、少子高齢化、地方の衰退等を含めて回復方向ではなく、悪化方向に進行しつつある状況にあって「これまでは仮免許だ」と言う感覚は首相としての資格・資質を欠く発言以外の何ものでもない。

 さらに言うと、あとの発言と矛盾する発言となっている。民主党政権が取り組んでいる政策の議論に「もし、野党の皆さんが積極的に参加しないならば、私はそのこと自体が歴史に対する反逆行為であります」と批判している。

 2007年の参院選挙で民主党が第一党を獲得以後、数の力を恃んで、自民党が国民の生活に直結することだから予算の審議に応じよと言っても、政局で動いて既に「歴史に対する反逆行為」を犯していたことを棚に上げた議論参加の要請となっているが、議論に参加しないことが「歴史に対する反逆行為」であるなら、なぜ臨時国会で野党の批判を切り返し、押さえ込んで政策議論に持っていかなったのだろう。

 要するに野党が批判に任せるばかりで、政策議論にまで持っていくだけの指導力をそもそもから所持していないから発揮できなかったといったところが実態の国会状況だったのだろう。

 それを「野党の批判を切り返す機会あれば、多く切り返したいと思ったのですけど」とか、「できるだけ熟慮の国会ということで、遠慮をずっとしてきたのです」と薄汚く誤魔化す。この潔さを欠いた資質は責任回避意識へとそのまま直結する。責任意識は何よりも潔さを必要条件とする。

 民主党は参議院で数の力を獲得すると、その優越性を背景に問責決議を提出、審議拒否も行い、予算案国会通過に抵抗を示した。問責決議の場合は衆院内閣不信任案可決と同等と主張して、決議を受けた閣僚の辞任を激しく求めた。既に歴史に対する反逆を犯していたのである。

 それが参議院の数の力を野党に奪われて問責決議を受け、受けた閣僚が辞任しなければ審議拒否に出ると要求され、予算案国会通過を果たせたとしても、関連法案の行方は不透明な状況となる歴史に対する反逆を受けることとなった。

 いわば天に唾し、その唾が自分の顔に落ちてくる天に唾する者を演じることとなった。

 勿論、政権を獲得するために政局がらみでの政治行為を悪いとは言わない。政局行為も政治能力の一つとまで考えている。ただ、自分たちが政局で動いて、今度は相手から政局で動かれたからと言って、それを批判するのは片手落ちだということである。

 政局行為を阻止するためには選挙を疎かにしないことである。例え参議院選挙の敗北であっても、直近の民意であることに変わりはないのだから、潔く衆院を解散して政権担当の民意を問うべきだろう。

 一般的には総選挙で敗北するだろうが、衆参両院がそのことによって勢力の整合性を得ることができる。ねじれ解消である。

 だが、菅首相は責任に潔くないリーダーに出来上がっているから、参院選敗北の責任を満足に果たしさえしなかった。
 
 最後に菅首相は次のように発言している。

 「最後に申し上げます。今、誰の目にも日本という国は本当にこれから元気な国になっていくのか、それとも若い人が海外留学に出ていかなくなった内向きに内向きになってしまって、東洋における小さな存在になるのか。まさに明治の開国、そして昭和20年、敗戦後の開国に続く平成の開国を自らの手でやるのか、それとも最終的な国際的な機関に強制的な開国を押しつけられるのか。ぶざまな日本になってしまうのか。まさに日本としての試練がやってきています。私は必ずや、日本人の手でこの日本の現状を自らの手で開国する決意をこの2011年度のこの大会の最後に皆さんとその意思を決意を確かめ合って、このあいさつの締めくくりとしたい。ともにがんばりましょう」

 事実そうなりかねない日本の状況にある。だが、このような日本の行く末を託すには合理的判断能力を十二分に備えた、あるいは合理的な状況対応能力を持った、さらに結果責任に対して潔い態度が取れる責任意識に満ちたリーダーが必要であろう。

 菅首相はこれらすべての能力を欠いている。


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菅首相の言いたいことを言わせて終わらないインターネット動画「日本ビデオニュース」出演(1)

2011-01-13 12:11:22 | Weblog


 菅首相インターネット動画出演、「第508回 菅首相生出演 総理の言葉はネット届くのか」の続き。前の議論に続いて、「政治とカネ」の問題についての遣り取りが行われた。

 ――だが、もう少し好きに言わせるのを抑えられなかっただろうか――


 神保哲生「日本ビデオニュース」代表「菅さん、あのね、今の追加なんだけど、この三つの・・・・

 (《菅政権の三つの柱 「平成の開国」 「最小不幸社会」 「不条理を正す」 何のために?》のフリップを前に出す。)

 これ全部やれるか分からないけど、時間があるか。例えば、この『不条理』の中に菅さんの中には『政治とカネ』の問題を、まあ、挙げられたと。自分の原点としてロッキード裁判、ロッキード事件というのがあったということを言われたと。そこで、僕が決定的に説明が足りないと感じたことはね、実は事前にメモをいただいているんだけど、じゃあ、菅さんが考える『政治とカネ』のあるべき姿、つまり政治家にとってカネというのはどのような形が菅さんの理想とするものなのか、ということを僕は、僕らは総理からまだ聞いていないと。

 つまり、宮台さんがさっき言ったみたいに、金額を、クリーンな意味でですがね、金額を兎に角非常に厳しく制限すること、おカネをたくさん持っている人間が政治力を持つような状況が良くないのか、それとも、やあ、まあ、オバマさんがね、小口のおカネを、600億集めたとかありますけども、おカネをたくさん集めて、それを政治活動に使うのは間違っていないんだと。

 今の、例えば政治資金規正法には色々問題がある、あって、その、そういうことを直したいんだったら、本来であれば、小沢さんのその、単に政倫審問題だけじゃなくて、政治資金規正法の改正ということが本来出てこないと、おかしいんじゃないかっていうふうに思うんですがね」

 菅首相「それはやってきたんです、この30年間色々な。私が最初に携わった市川房江さんの選挙っていうのは、カンパとボランティアというのが、ま、一つのスローガンで、また、当時、イー…一千数百万のカンパが集まった。今考えてみると、当時としてはかなりのおカネだったと思います。ですが、私は例えば、オバマ大統領がですね、大統領選挙で確か5億ドルぐらい、えー、日本円で言うと、500億円近く集めてますね。

 確かそれは個人個人の人がですね、自分の政治信条の中で、市川房江さんを応援したい、オバマ候補を応援したい。そういうことでおカネが集まって、それを政党にですね、それこそテレビコマーシャルで使うのは私は全く問題ないと思っています。

 そういうことではなくて、ですが、そのためにですね、えー、色んな制度をこの間変えてきています。例えば1993年に、なぜ小選挙区制をするかって言う大議論がありました。で、それは中選挙区時代には2人、3人出ますから、政策議論では差がないですね。同じ政党ですから。そうすると結局は、そのー、色んなサービス合戦を、それが派閥の次元でですね、えー、サービス合戦をする。その派閥がたくさんのおカネを持っていればですね、えー、そこに注ぎ込む。

 そうすると、おカネのまあ、何て言うか、かかり方がどんどんエスカレートする。そういう同じ政党が2人も2人も選挙区に出るというような、中選挙区制度はおカネの問題が解決できないということで、それで導入されたのが、あー、その当時私は小さな政党でしたが、小選挙区制が小さな政党に必ずしもプラスではないんですけども、考え方としてはですね、エー、小選挙区中心にした方がおカネの問題と同時に、えー、政権の交代の可能性が出ると。

 それともう一つ同じときの改革、政党助成金です。確かに個人献金でオバマ大統領のように集まるのが理想でなんですが、なかなか現実の日本社会では、それができない。そこで、まあ、一人300円とかですね、250円というものを半ば強制的に寄付をして貰う形で、えー、財源を、税金の中から、あの、得票割とか議席割で配分すると。

 で、実際今の民主党の中で、え、そんなお金持は例外的に二、三おられるだけで、殆んどはサラリーマンや自営業者の娘や息子ですから、そういう制度になったからこそ、今の民主党は存在できてるんです。

 もうご存知の方もたくさんおられると思いますけども、そういう制度がなければですね、やはりかつての自民党の派閥制度のように、どっかから、あのー、そういうおカネをですね、えー、集める力のある人が集めたものを、おー、受け取らないと、ですね、選挙を戦えなかったですね。ですから、そういう意味では私は、かなり、少なくとも30年前に比べれば、あの、進んできていると思います」

 しかし、自民党敗北、民主党勝利の政権交代を決した決定的要因は選挙区制度ではなく、世論である。菅首相はこの点を抜いている。元々合理的認識能力・合理的判断能力がゼロに近いから、こういった手前勝手な、支離滅裂なことが言える。

 1994年の衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)が導入された(「Wikipedia」)ということだが、政権交代は2007年の参院選与党自民党大敗、野党民主党大勝に続く、2009年衆院選野党民主党大勝まで、13年間待たなければならなかった。中選挙区、小選挙区と言った選挙制度を乗り越えて、世論が力となったのである。

 菅首相が言っているように小選挙区制度となって集金能力のある人間が一つの党を支配する政治メカニズムが力を失ったからでもなかった。そのことは自民党が最後まで党内最大派閥の森派のボス森喜朗が選挙でも人事でも力を発揮していたことが証明している。

 菅首相は「私が最初に携わった市川房江さんの選挙」と言っているが、最早市民派を原点とすることは許されない。例えその選挙がカンパとボランティアをスロ-ガンとしていたとしてもである。特に沖縄基地問題に関わる過去の言動を首相に就任以来180度転換、沖縄県民だけではなく、沖縄県民を支援する立場から沖縄の米軍基地に反対する、あるいは少なくない数の基地撤去望んでいる本土の多くの市民を裏切って国家権力の意志を優先させているからだ。「国民参加の外交」が聞いて呆れる。

 ここにも菅首相の狡猾さが現れている。

 菅首相は「政治とカネ」の問題の悪例として中選挙区制度を取り上げて、「中選挙区時代には2人、3人出ますから、政策議論では差がないですね。同じ政党ですから。そうすると結局は、そのー、色んなサービス合戦を、それが派閥の次元でですね、えー、サービス合戦をする。その派閥がたくさんのおカネを持っていればですね、えー、そこに注ぎ込む」から、金権選挙になるようなことを言っているが、ここにも誤魔化しがある。

 確かに同じ政党なら、「政策議論では差がない」。但し自民党の候補者同士のみの選挙、他の政党の候補者が存在しない選挙ならそのように言えるが、民主党も社会党、1996年社民党に名称を改称してからは社民党も、共産党も、あるいは公明党も候補者をすべての選挙区ではないにしても、いずれかの野党が殆んどの選挙区で立候補していたはずだから、「政策議論では差がない」ということはなかったはずだ。

 それをさも自民党の候補者のみの選挙であったかのように説明している。

 要するに中選挙区制度というのは自民党の中の派閥同士の戦いであると同時に政党同士との戦いを兼ねた二面性を持っていたということであろう。それとも民主党も自民党に右へ倣えで同じ派閥・金権選挙を行っていたというのだろうか。

 だとしても、政党同士の選挙でもあるのだかだから、政策議論で差があったはずだ。

 要するに集金能力のあるボスのカネを受け取らなければ資金的に選挙が戦うことができなかったとしても、それが通用したとしても同じ政党の他候補限定であって、他政党との戦いに関してはカネの力が部分的に通用したとしても、政策議論の違いが勝敗の主たる決定要因となったはずだ。

 もしカネの力が他政党の政策を無力にしていたというなら、殆んどの有権者がカネで動いたことになる。 

 また、「個人個人の人がですね、自分の政治信条の中で、市川房江さんを応援したい、オバマ候補を応援したい。そういうことでおカネが集まって、それを政党にですね、それこそテレビコマーシャルで使うのは私は全く問題ない」なら、中間選挙区制度であろうと、小選挙区制度であろうと、選挙法と政治資金規正法に触れない範囲内であったなら、例えそれが小口の個人献金であろうと、大口の企業献金であろうと、どれだけのカネをどう使おうと間違っていないことになる。

 菅首相は法に触れる触れないを無視して、さもカネを使う選挙はすべて悪であるかのように歪曲して議論を進め、自分の発言がさも正しいかのような狡猾な誘導を行っている。

 菅首相は、「今の民主党の中で、え、そんなお金持は例外的に二、三おられるだけで、殆んどはサラリーマンや自営業者の娘や息子ですから、そういう制度になったからこそ、今の民主党は存在できてるんです」とも言っているが、世論の一部が一般家庭からの出身者を対象に支持が集中していることが可能とした現在の民主党の存在性であって、それが金権的纏わりに対する忌避の反動からの傾向であったとしても、それが継続的に通用する、あるいは価値を維持するのは民主党が提示する政治が大多数の国民の利益に適うかどうかにかかっている。

 適わなければ、サラリーマンの娘や息子あろうと自営業者の娘や息子であろうと、意味も価値も一切失う。自身をサラリーマンの息子だと出自に価値観を置いている菅首相自身が既にそのことを証明している。それが気づかない愚か一辺倒の菅首相となっている。

 神保代表「進んできた、きたけれども、まだ『政治とカネ』の問題があるということなんですか。菅さんの考え方として」

 菅首相「ですから、かなり少なくなってきたと思うんです。もう私の気持の中では、もうそろそろですね、少なくとも政治の大きな、あのー、問題に、その問題になる時代は、もう終わっていると思うんです。早く終わって欲しいなということなんです」

 神保代表「ここにね、ちゃんと説明して欲しいって(視聴者の声が)あるのは、やっぱり、その小沢さんの『政治とカネ』の問題の、そのー、一体何が、本質は何なのか、ということをね、ちゃんと聞いていないという声を結構あるわけなんですね。

 まあ、検察が捜査をしたけども、基本的には起訴になったけど、検察審査会って形で。今まだ続いていますけどね。そうなると、なぜ、ここで、『政治とカネ』の説明が必要かについて、ただ一般的に世の中のみなさんが、あのー、世論調査をすると、説明しろって言っているからだけでは、如何にも説明不足じゃないかっていう声が僕は強いと思うのですけども」

 菅首相の言いっ放しにさせずに執拗に食い下がる。

 要するに菅首相は選挙でカネを使うのはすべて悪だと誘導することで、集金力のある小沢氏がさも不正なカネを不正に使って選挙を不正に操作しているかのような印象を与えて、小沢氏を悪者にすることに成功している。

 菅首相「ま、これはですね、ま、例えば政治団体が、あの土地を買うと、確かに今の法律では、あのー、おー、今変わりましたけども、新たに買えなくなりましたけども、ですから、そういうふうにですね、あのー、政治活動に、イー…、サポートするための、政治団体ですから、あの、別にそれで収益を上げたりする団体じゃありませんから、ま、そんな色んな課題があります。

 あるいは党の運営の資金をですね、どういうルールでみんなに配分するか、ま、それによってでもですね、えー、そのー、党全体のことを考えて、ルールの元に、公平と言っていいのか、適正と言っていいのか配分するよな、ことがきちんとできない。

 ですから、私が代表選に出たときには、クリーンでオープンな政治ということを代表選で言ったのは、そういうことが、アー、頭にあって言ったことです。ですから、そういう形で、民主党という政党はほぼなっているんです。ですけれども、若干問題があるとすれば、それをですね、早くクリアして、えー、次の時代に進んでいきたいと、ま、こういう思いです」

 菅首相は政治団体は収益を上げたりする団体ではないと言っているが、小沢氏の政治団体の土地購入問題は検察の聴取を経て不起訴処分となっていることから、利益団体ではないとの根拠を持ち出して、さも収益を上げているかのように見せかけ、ここでも小沢悪者論への狡猾な誘導を図ろうとしている。

 実際に収益を上げているのかどうか知らないが。例え収益を上げても、それが最終的に政治活動に活用されるなら、不法行為とは言えないはずだ。善良な人間ふうにニコニコ笑ってはいるが、その笑顔の下で人を嵌めようとする陰険な意図を働かせている。さすがはエセ元市民派だけのことはある。

 神保代表「でもね、政治団体の不動産取引なんか、あるいは組織運営費のね、その不透明な使途っていうようなことは、これ、まあ、民主党の中で、まあ、これはやめるべきだっていう措置を取るべきか、あるいは事実関係を追及するか、あるいは政治資金規正法を改正して、政治団体は不動産取引はもうすべきでないってことで、すれば、いいという――」

 菅首相「もうできなくなっています」

 神保代表「今はね」

 菅首相「新たにです」

 神保代表が言ったのは、民主党の中で処理するか、政治資金法を改正するかで解決すべきではないかと手続きを提案したのである。それを単純に土地購入の法律問題でのみ受け止めて、「もうできなくなっています」、「新たにです」と答える理解能力しか示すことができない。

  《菅首相の言いたいことを言わせて終わらないインターネット動画「日本ビデオニュース」出演(2)》に続く


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