大規模災害時の各施設の復旧を待たない危機対応こそが問われている

2011-03-20 10:56:37 | Weblog

 

 一昨日3月18日のブログ《施設の復旧を待ってからの物資支援では危機対応とはならない/何のための政府の存在かということになる - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之
とほぼ同じテーマの記事となるが、そこに、〈3月11日午後2時46分の激しい揺れを伴った地震発生から3分後の2時49分に直ちに津波警報が発せられた。静岡にいてもバカに長く続く揺れだな、東海地震かなと気分が悪くなったくらいで、相当な地震だと判断できたのから、被災地域住民に恐怖さえ引き起こす程の実感を与えただけではなく、「東日本全体で約6分間続いたことが、東京大学地震研究所の古村孝志教授らの解析でわかった」と「asahi.com」記事が伝えていることからして、まだ激しく揺れている間の津波警報であり、自治体からの避難命令だったことを考えると、恐怖の上に恐怖に駆られて預金通帳といった貴重品を身につけるの精一杯といった避難だったに違いない。いわば貴重品以外は着の身着のままの避難であったはずだ。〉と書いたが、《沿岸の被災地住民、津波警報察知に平均23分 民間調べ》asahi.com/2011年3月19日13時37分)が、気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)が全国約3万7千人を対象に行った地震発生時の行動調査を次のように伝えている。

 被害が大きかった青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県の回答者約7900人のうち海岸近くにいた約3800人が津波警報などを知るまでにかかった平均時間は全国平均17分に対して平均23分で、そのうち約3割がすぐに避難行動に移れなかったという。

 また、津波は約30分後に到達とされているが、〈津波の第1波の到達は地震発生から15~20分との見方もある。〉とも書いていることが事実とすると、多くが津波が来ることを知らずに襲われたことになり、昨日のブログで書いた〈まだ激しく揺れている間の津波警報であり〉云々は些か事実に反することになる。

 津波警報は地震発生3分後に気象庁から発せられ、気象庁は気象業務法に従って各関係機関に直ちに伝達、関係機関の中には都道府県も含まれていて、都道府県は関係市町村に連絡、関係市町村はサイレンを鳴らすかして住民に知らせたはずだ。

 ただでさえ沿岸沖の地震は津波がつき物で、特に三陸沿岸は1960年のチリ地震では津波が太平洋を渡って1日後に襲い、142名が死亡しているし(Wikipedia)、昨年の2010年2月のチリ地震では幸い1メートルに満たなかったようだが、カキ養殖が被害を受け、被害総額は25億にも達しているのだから、津波に対する警戒心は大きかったはずだ。

 だが、津波警報を知るまでにかかった平均時間が平均23分が事実とすると、津波警報システムが機能していたのかどうかの検証が必要になるし、海岸部に住居を構える住民側も津波警報如何に関わらず、大きな揺れを受けた際、津波を頭に浮かべたかどうかも検証し、今後の参考にしなければならない。

 地震発生から1週間経過以後、ようやく支援物資が港湾や空港等の大きな被害を受けた各施設が復旧、輸送機や貨物船による大々的な物資到着の報道を目にするようになり、一部避難先に直接届けられている様子も報道している。

 《空自松島基地に支援物資届》NHK/2011年3月18日 16時46分)

 航空自衛隊松島基地は津波被害で戦闘機やヘリコプター等28機が水没被害を受け、2本の滑走路も土砂や流木に埋もれて空港としての機能を失っていたが、復旧、18日から本格的に航空機の発着が可能となり、救援物資が次々に輸送機で運ばれてきたという。

 カップめん20万食分と飲料水45トン。今後、東北各地の避難所に届けられるという。

 大泉裕人航空自衛隊松島基地渉外室長「基地も津波で大きな被害を受けましたが、復旧作業を続けて物資の輸送ができるようになりました。救援物資が一日でも一秒でも早く、被災者のもとに届くことを願っています」

 渉外室長の「一日でも一秒でも早く」という言葉からすると、輸送機やヘリコプターの近くに配送トラックを手配、配置させておいて、降ろす荷を降ろす先からフォークリフトを使って乗せ替え、トラックの荷台が積載量に達したなら直ちに避難場所に向けて出発させるといった手際のよい物資救援措置は取らなかったようだ。

 上記記事は「16時46分」の発信だから、多分一時倉庫に保管、翌19日から配送するということではないだろうか。

 なぜ滑走路が完全復旧するまで物資輸送を待ったのだろう。完全復旧に向けた工事と併行させてヘリコプターが着陸可能か、あるいは物資投下可能な範囲のみを整備、整備が済み次第、ヘリコプターで物資を運搬するという方法を採用しなかったのだろうか。

 完全復旧して輸送機が離発着可能になるまでには相当の量の支援物資を避難先に届けることができたはずだ。

 施設が被害を受けた場合、完全復旧を先に持ってきて回復した機能に合わせた対応を行うことを一定のルールとしている。もしそうでないなら、各施設に応じた臨機応変の対応を行い得たはずであるし、不足を訴える声に少しでも応じることができたであろう。

 《海自輸送艦が接岸 食料陸揚げ》NHK/
2011年3月19日 11時27分)も同じパターとなっている。

 記事は書いている。〈宮城県内では、地震のあと、これまで、津波の被害で港までの道路が使えなかったことなどから、港に大型の船が接岸できない状態が続いていました。このうち仙台港では、自衛隊が流木などの撤去作業を続け、道路が使用できるめどが立ったことから、19日、初めて海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が入港し、接岸しました。〉

 先ず道路が流木等の残材で使用不可能の状態となっていたために自衛隊が撤去作業を行い、道路使用の目途が立ったため、海上自衛隊輸送艦「おおすみ」が入港、接岸し、物資の陸上げを開始した。他の記事によると、19日朝からの作業だそうだ。

 物資内訳は灯油200リットル入りドラム缶70本、水や米、缶詰。

 ここまで記事を読む限り、あとで伝えている佐々木俊也第1輸送隊司令の発言と矛盾するが、問題は港までの道路状況のみで、船の接岸自体は可能な状態にあった読み取ることができる。

 ではなぜ道路の復旧を待たずに接岸して物資を降ろし、倉庫に保管、道路復旧と同時に輸送トラックを手配、荷積みが終わると同時に避難先等の配達場所に走らせるといった、可能な限り時間短縮、日数短縮を図る方法を取れなかったものだろうか。

 前の記事で基地渉外室長が「救援物資が一日でも一秒でも早く、被災者のもとに届くことを願っています」と言っているが、実質的には「一日でも一秒でも早く」の臨機応変な措置を取ることができないでいる。

 では佐々木俊也第1輸送隊司令の矛盾する発言を見てみる。

 佐々木俊也第1輸送隊司令「壊れた港湾の設備が整い、輸送艦を入れることができた。今後も、できるだけの物資を運んで被災地に届け、多くの人の力になれば」――

 例え港湾の接岸可能な復旧を待っていたが事実としても、一作日のブログで、〈岸壁近くにまで接近できるなら、それが100メートルや200メートルであっても、ホースをつなぎ、タンカーの石油排出口に接続したなら、陸側のタンクローリーの注入口に接続し、タンクローリを前進させてホースがほぼ弛みなく張る状態にしてからタンカーのバルブを開いて石油を通したなら、ホースは沈まず、スムーズに石油をタンクローりに移すといったことは決して不可能ではないはずだ。〉と書いたが、40~50メートルの場所まで接近できたなら、山から伐り出した木材をケーブルに吊るして運搬する木材運搬ケーブルの要領で船と岸壁の倉庫の適当な位置にケーブルを張り、滑車を吊るしてそれを往復させれば荷卸は可能となる。

 正式の木材運搬ケーブルは3トン未満だということだが、仮設となると割り引いて2トンしか一度に吊るせないとしても、2トントラック一台分の荷を運ぶことができる。10キロ入りのコメなら200袋一度に荷卸しできる。降ろした荷を一旦倉庫に保管しておき、道路が復旧したなら直ちにトラック配送に移せば、最低でも一日分以上の時間短縮は図れたはずだ。

 今日の「NHK日曜討論」でも平野達夫とかの内閣府副大臣だかが今以て輸送に必要な燃料不足で被災地までの輸送が本格化していないようなことを言っている。

 道路や港湾、空港の復旧を待ってからの姿勢がこういった遅れの問題を引き起こしているとしたら、復旧を待たずに物資を輸送・配達する方法を創造するのがより効率的な危機管理対応となる。

 いわば大規模災害時の各施設の復旧を待たない危機対応こそが問われているということになる。

 だが、そうなっていない。なっていないばかりか、なっていないことに首相官邸は厳しく認識する姿勢を持てないでいる。

 《“燃料や食料の物流改善を”》NHK/2011年3月18日 1時1分)

 改めて内閣に復帰した仙谷官房副長官の17日夜遅くの総理大臣官邸で記者会見。

 仙谷官房副長官「菅総理大臣からは『これからは生活支援のほうにウイングを広げていかなければならない時期が来た』という言葉があった。私としても、いよいよ生活周りをサポートする態勢を作らなければならないと考えていたので、党と内閣の両方で連携を強くしていきたい」――

 菅首相は17日の時点で「これからは生活支援のほうにウイングを広げていかなければならない時期が来た」と言い、仙谷は「私としても、いよいよ生活周りをサポートする態勢を作らなければならないと考えていたので」と言って、地震発生から7日目に入ったにも関わらず、依然として続いている食糧不足・燃料不足・医薬品不足、その他の不足の解消を飛び越えて、あるいは現にある被災者の困窮・不安の解決を飛び越えて、仮設住宅や公営住宅等の準備・斡旋を言うのだろう、生活支援、生活周りのサポートを口にする認識・感覚は国民の生命・財産を守る立場の人間のものとはとても思えない。

 生活支援、生活周りのサポートを口にしたのは、支援物資の支給が解決したと見せかける詭弁以外の何ものでもない。

 このことだけ取っても、菅内閣は危機対応を満足に機能させることができなかった。機能させるだけの政治能力を発揮できなかった証明と言える。

 やはり上記紹介してある一昨日のブログに、スマトラ沖地震の際にはバイクが支援物資輸送に活用されたと書いたが、阪神大震災でも物資輸送ばかりか情報収集にバイクが利用されていたことを指摘されて、思い出した。確かボランティアとして阪神地区に駆けつけるにも道路の渋滞を考えてバイクで駆けつけたといった例もあったはずである。

 今回の地震で利用されたのかインターネットを探したが、探した限りでは残念ながら見つけることができなかった。

 もしバイクを輸送手段・情報収集手段として利用していなかったとしたら、やはり菅内閣の危機管理は問われることになるはずだ。

 各施設の復旧を待ってからの物資の輸送・情報収集の固定観念的な危機対応を転換して臨機応変の措置を取ることが真に国民の生命・財産を守る危機管理に相当することになると思う。そう信じているが、間違っているのだろうか。


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「何としてもこの危機を乗り越えていくんだという強い決意」を政治の責任の形にできていない菅首相

2011-03-19 10:06:31 | Weblog



 菅首相が地震発生1週間を受けて昨3月18日(2011年)午後8時杉から国民向けメッセージを発した。首相官邸HPから全文を引用してみる。 

 《菅総理からの国民の皆様へのメッセージ》(2011年3月18日午後8時13分)
 
 地震発生から本日で1週間が経過をいたしました。亡くなられた皆さん、そして御家族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げます。また、被災され家族が行方不明である皆さんに対しても、本当に御心配のことと心からのお見舞いを申し上げます。

 この1週間、国民の皆様はこの事態に対して冷静に対応し、家族や地域の絆を大切にして、共に助け合い、協力し合って、この事態を乗り越えようと努力をされてまいりました。そうした皆様の行動に対して心から敬意を表したい。このように思います。

 今、私たちは2つの大きな問題に直面をいたしております。それは巨大な地震、津波というこの被害に加えて、この地震、津波が原因として引き起こされた大きな原子力事故。この2つの危機に直面をいたしております。

 救援活動については多くの混乱があり、また困難があります。しかし、次第にそうした困難を乗り越え、支援物資なども被災者の皆さんに届くようになっていくと思いますし、生活再建についても、これから次第次第と前進をしてまいると思います。更には日本の復興についても、必ずやこの地震、津波の被害を乗り越えて日本全体が復興できる。このように確信をいたしております。

 その一方で、福島における原子力事故の状況はまだまだ予断を許さない状況が続いております。今、この危機を乗り越えるため、東京電力、自衛隊、警察、消防、関係者の皆様が、まさに命がけで作業に当たっていただいております。私も、この原子力事故に対して決死の覚悟で最大限の努力を尽くしております。必ずや国民の皆様とともに、そして現場を始め多くの関係者とともに、必ずやこの危機を乗り越えて、国民の皆さんに安心を取り戻したい。その決意を胸に秘めて、これからも更に努力をしてまいります。

 これまで、世界各国から本当に多くのお見舞いをいただきました。117か国の地域と国、29の国際機関、多くの支援の申し出をいただき、既に支援活動も始まっております。大変ありがたいと思っております。私たちは戦後最大のこの危機に対して、こういう全世界からの支援も含めて、くじけているわけにはいきません。何としても、この危機を乗り越えていくんだという強い決意をすべての国民が胸に秘めて前進をしていこうではありませんか。

 避難所で生活をされている皆さんは、寒い中、また食糧や水が不十分な中、またトイレの不便さの中、本当に御苦労をされていることと心からお見舞いを申し上げます。是非とも家族や地域や、あるいは見ず知らずの人であっても、避難所で行動をともにする皆さんとしっかりと助け合って、この苦しい中の避難生活を乗り越えていただきたいと思います。

 政府としては、そうした皆さんに対して食糧や毛布などを支給するだけではなくて、今後安心して生活できる環境を現在、全力を挙げて準備をいたしているところであります。どうかそうした避難生活、まだしばらくは続くと思いますけれども、是非体調に留意をされて、次の安心できるところへお移りいただけるまでの間、頑張り抜いていただきたい。このようにお願いを申しあげます。

 改めて申し上げます。まさに日本の危機、私たち日本人にとって、本当に試されている今日の状況です。日本は過去の歴史においても、この小さな島国と言われながら、奇跡的な経済の成長など、国民の力で一人ひとりの皆さんの力で、この国を築き上げてまいりました。この地震や津波によって、くじけていくわけには、絶対にあってはならないことです。もう一度、日本を改めて創るんだ、そういう覚悟でこの危機に一緒に立ち向かっていこう。どうか国民の皆様に一人ひとりがそういう思いで、家族や地域や職場の仲間や学校の仲間とともに、手と手を携え、自分たちがやれることは、自分たちができることは何なのか。そういう思いを共にして、日本の危機を乗り越え、再建に向かって歩み出していただきたいし、私もその一人として、全力を挙げていくことを改めて重ねて申し上げて、私からの震災発生1週間目における国民の皆様へのお訴えとさせていただきます。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 では、青山さん、どうぞ。

(記者)
 日本テレビの青山です。
 福島第一原発についてですけれども、周辺地域の人々のみならず、日本国民に大変今、不安を与えている事故だと思います。更に、政府の出す情報に対する不信感も一部で広がっています。日本の総理大臣として、今の現状はどれだけ危険なのか。それとも、どれぐらい安心していいのか。そして、今後の見通しをどのように持っているのか。具体的な例もできるだけ含めて我々に教えてください。

(菅総理)
 今回の原子力発電所の事故について、私や官房長官が知り得る事実については、すべてを公開してまいりました。これは国民の皆様に対しても、国際的な形の上でも、そのことは改めて申し上げておきます。

 その上で、現在の状況は、この福島の原子力発電所の事故がまだまだ予断を許さない状況にある。このことは率直に申し上げているところであります。そして、その状況を何としても解決していくために、現在、東京電力あるいは自衛隊、消防、警察、関係者が決死の覚悟でこの対応をしていただいております。

 本日は3号機に対する放水活動も行われました。こういった形で、まだ予断を許さない状況でありますけれども、そう遠くない時期には全体をしっかりとコントロールして、そういう状況から脱却できる。そうした方向に向けて全力を挙げているということを国民の皆様に申し上げたいと思います。

(内閣広報官)
 では、五十嵐さん、どうぞ。

(記者)
 読売新聞の五十嵐です。
 総理がおっしゃったように、今、地震、津波に続いて、原発事故、更には停電。そして、何より被災者支援。一つひとつ取っても大変な危機が連鎖しています。そうした中で国民は、今の政府の対応で十分なのかということについて不安を持っている方も多いと思います。

 総理は、具体的に今の態勢で十分だと思われているのか。今日、岡田幹事長が大臣を3人増やすべきだという発言をしていましたけれども、態勢を強化する具体策をお持ちなのかどうかお聞かせください。

(菅総理)
 地震発生直後から政府として即座に行動を起こし、全力を挙げてこの問題の解決、危機を乗り越えることに全力を挙げているところであります。その上で、更に体制を強化する上で、現在、与野党間で内閣を強化するための方法についても話し合いをいただいている。そうした努力も含めて、更に力を、対応力を高めて、この危機に対応してまいりたいと思っております。

(内閣広報官)
 それでは、最後の質問とさせていただきます。田中さん、どうぞ。

(記者)
 毎日新聞の田中です。

 被災地の再建について伺います。総理は先ほどのメッセージで、安心して生活できる環境を全力で準備したい、新しい場所に移っていただくということをおっしゃっていましたけれども、今の被災地というのは町の建物が根こそぎさらわれるような被害を受けているわけで、インフラの再建も含めて時間が大変かかると思いますが、その間、今、避難所で過ごされている方たちにどういうふうに過ごしていただくか、政府として検討中のことをお示しいただければと思います。

(菅総理)
 避難生活が長期間にわたることに備えて、いろいろな申し出もあり、いろいろな対応を準備いたしております。特に全国各地から自治体や、あるいはいろいろな団体、個人からも、そうした被災者を受け入れてもいいという申し出もいただき、また、こちらからもお願いを申し上げております。できるだけ厳しい避難生活が余りにも長期にわたらないように、そういった全国各地の皆様に、そうした被災者を受け入れていただけるよう、政府としても全力を挙げて努めていきたい。こう考えております。

 僅かに沈痛な面持ちの落ち着いた力強い声でメッセージを発していたが、聞こえのいい言葉を並べただけの、内容自体は相も変わらず力強いメッセージから程遠い仕上げとなっていた。生まれつきの声そのものが力強い響きを備えているから、単に力強そうに聞こえるに過ぎない。声質で得点を稼いでいる政治家といったところだろう。

 聞こえのいい言葉と響きのいい美声で市民の味方だとするポーズを獲得、市民派の経歴を誉れとしたに違いない。

 3月12日の最初の国民向けメッセージも、「地震が発生して1日半が経過をいたしました。被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げます」と言い、翌13日のメッセージも「地震発生から3日目の夜を迎えました。被災された皆さん方に心からのお見舞いを申し上げます」と言って、今回も「地震発生から本日で1週間が経過をいたしました。亡くなられた皆さん、そして御家族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げます。また、被災され家族が行方不明である皆さんに対しても、本当に御心配のことと心からのお見舞いを申し上げます」と、「心からのお見舞いを申し上げます」を繰返している。

 被災者の精神的・肉体的疲労が日が重なるにつれ蓄積し、生活上の困窮・不便、そして現在の不安、将来に向けた不安、あるいは健康不安等がなかなか解消されない状況に置かれていることに関係なしに「心からのお見舞いを申し上げます」をバカの一つ覚えのように繰返している。

 被災者以外にとってはそれでも構わないかもしれないが、被災当事者にしたら、特に被災者向けのメッセージでありながら、殆んど解決されない中で同じ言葉を聞かされて虚しく感じない者がいるだろうか。中には腹を立てる被災者も存在するかもしれない。菅首相はそんなことには想像も及ばないだろう。及ばないから繰返すことができる。

 13日の夜8時前の最初の国民向けメッセージを基に書いたブログ、菅首相の被災者の実態とかけ離れた国民向けメッセージ - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之で、「心からのお見舞いを申し上げます」の言葉について次のように書いた。

 〈生活必需品不足から空腹や寒さに耐えている被災者にとっては言葉のお見舞いよりも現に困窮している水・食料・医薬品・暖房資材等の現物のお見舞いを願いたいと多くの被災者は確実に思ったに違いない。〉

 被災者に直接届く支援が捗らないことと、捗らないことが与えている被災者の募る不安を他処に「心からのお見舞い」の言葉で済ませることができるのは被災者の心情を実感するだけの想像力を持ち合わせていないからだろう。

 持っていたなら、その想像力は効果的な支援策の構築に力を与えてくれたはずだ。不足している物資を如何に届けるかの一点に集中して効果的なアイデアを生み出したろう。

 勿論孤立している被災者の救命に考えを集中した場合も効果的な方策を導き出してくれるはずだ。

 だが、地震発生から1週間経過しても、被災現地の生活不足を他処に「心からのお見舞いを申し上げます」を繰返すこととなった。

 ここで既に国民向けメッセージは内容空疎を正体としていることを暴露している。

 このことは次ぎの発言にも現れている。「避難所で生活をされている皆さんは、寒い中、また食糧や水が不十分な中、またトイレの不便さの中、本当に御苦労をされていることと心からお見舞いを申し上げます」と被災者に強いている不便な現況に言及しているが、政治はあくまでも諸々の充足を目的とし、そのことに政治の責任を置くべきだが、現実には遅々として捗らない現状への言及で政治の責任に代えている。

 但し、政治の責任は約束はしている。「政府としては、そうした皆さんに対して食糧や毛布などを支給するだけではなくて、今後安心して生活できる環境を現在、全力を挙げて準備をいたしているところであります」――

 「今後安心して生活できる環境」は確かに今後の準備、今後の政治の責任だから約束の必要は生じるが、「食糧や毛布などを支給する」は地震発生から1週間も経過しているのだから、既に約束の段階は過ぎていて、実行の段階にあり、相当に進んでいていい充足過程にあるはずだが、現実は捗らない状況にあるのはやはり政治の責任を果たしていないことを示している。

 それを無視して、「今後安心して生活できる環境」と同様、「食糧や毛布などを支給する」にしても今後の準備、今後の政治の責任の内に入れている。これは誤魔化し以外の何ものでもない。

 支援が遅れることによって被災者に与える心情は生活や将来の不安の増殖だけではなく、特に政治に対する不信であろう。

 大体が菅首相は支持率を20%前後まで失う、国民から見た不信の状況にあった。その不信をベースとしていただろうから、被災者に限って言うと、支援遅れはなおさらの不信を募らせる契機となったに違いない。

 国民から支持を失い、信頼されていない菅首相にあって、「この地震や津波によって、くじけていくわけには、絶対にあってはならないことです。もう一度、日本を改めて創るんだ、そういう覚悟でこの危機に一緒に立ち向かっていこう」と呼びかけたとしても、困窮のさ中にあっても政治の責任を満足に果たすことができていない現状を目の当たりにして深めているに違いない政治不信をベースに耳に聞くことになるのだから、保証つきで力強いメッセージ足り得るはずはないと言える。

 政治への信頼がなければ、国民は内向きになる。国への反発によって国よりも自己中心に逃げ込むことになるだろう。政治が仕向ける自己中心化と言っても許されるはずである。

 「危機に一緒に立ち向かってい」く仲間に「私もその一人として」と位置づけているが、政治の責任を果たし得ていないままに「自分たちがやれることは、自分たちができることは何なのか」と国民への要求に重点を置いた物言いとなっているところにも政治の責任に対する意識を欠いている姿しか浮かび上がってこない。

 言うとするなら、“自分たち政治が成すべきことは何なのかを的確に判断し、自分たち政治がやれることを最大限実現していくことは勿論だが”と政治の責任を最初に持ってくるべきを、少なくともその姿勢でいるべきを、逆に国民への要求が先となっている。

 尤も“自分たち政治がやれることを最大限実現していく”とは口が裂けても言えないだろう。実現の政治責任を果たしていないことは現実が証明していることであり、テレビが日々事実として報道しているから、誤魔化しようがないからだ。

 メッセージは最後に、「日本の危機を乗り越え、再建に向かって歩み出していただきたいし、私もその一人として、全力を挙げていくことを改めて重ねて申し上げて、私からの震災発生1週間目における国民の皆様へのお訴えとさせていただきます」と締め括っているが、現実に政治の責任を満足に果たし得ていないのだから、カラ約束となることが大方予測されながら政治の責任を請合う倒錯を見せている。

 菅首相は元々「政治は結果責任」意識を欠いていた。「仮免許」発言にも現れていた。「自分はサラリーマンの息子だ」発言にも現れていたし、参院選大敗のキッカケとなった消費税発言にも現れていたし、朝鮮半島有事の際の韓国を通って北朝鮮に渡り拉致被害者を救出するとする発言にも現れていた「政治は結果責任」意識の欠如であった。

 その意識の欠如が菅首相自身の言葉を軽くしている。意識の欠如から始まっている言葉の軽さだろう。

 質疑応答に入って、記者から「国民は、今の政府の対応で十分なのかということについて不安を持っている」と政治の責任不足を指摘されたとき、本来なら断固と否定、政治の責任を果たしていることを具体的に説明すべきを、「地震発生直後から政府として即座に行動を起こし、全力を挙げてこの問題の解決、危機を乗り越えることに全力を挙げているところであります」とヌケヌケとしたことを言ってさも政治の責任を果しているかのように誤魔化している。

 「政府として即座に行動を起こし」ていたという言葉が事実であるなら、そのような政治の責任を果していながらのこの始末という逆説は説明がつかないことになる

 「何としてもこの危機を乗り越えていくんだという強い決意」を政治の責任として形にできていないのは他ならない菅首相自身である。

 勿論、リーダーシップを著しく欠いているから、こういうことになる。やることなすことがチグハグなことばかりではないか。こういった首相が任期の間に大災害に見舞われた国民は不運にも二重の悲劇に見舞われたことになる。

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各施設の復旧を待ってからの物資支援では危機対応とはならない/何のための政府の存在かということになる

2011-03-18 11:46:12 | Weblog


 
 昨17日3時23分から開始の海江田経産相の「どうも皆さんこんにちは」で始まる記者会見は酷かった。これを行います、あれを行いますと言うものの、「3月16日、出光・塩竃油槽所が在庫出荷」を開始以外はすべて今後のことでありながら、達成予定日時については遂に一言も口にしなかった。達成予定日時を計算に入れていない計画など存在しない。最低、達成予想日時ぐらいは言うべきだろう。

 海江田経産相の《ガソリン・軽油等の緊急の供給確保と輸送力強化の抜本対策》に関する記者会見の模様は経産省のHPに掲載されている。

 要約はPDF記事に画像で紹介されているが、テキスト形式で掲載してみる。
 

 《東北地方(被災地)及び関東圏でのガソリン・軽油等の供給確保》

-緊急の供給確保措置と拡大輸送ルートの設定-

東北地方(被災地)に向け着実な供給

タンクローリーを抜本的に追加投入(300台増)

○現在、東北地方でガソリン等の供給に携わるローリーは約1100台

○このうち、油槽所からSSにガソリン等を供給するローリーは、約400台

○域内供給の最大のボトルネックは、特に、この油槽所からSSにガソリン等を供給するローリーの
 不足

○石油各社が新たに関西圏等の域外からローリーを大幅に追加投入(300台追加)するよう要請し、
 700台の供給体制を確保

西日本の製油所からのガソリン等の東北地方への大量転送

○西日本の製油所の稼働率アップ(各製油所とも95%以上の稼働率の達成を目標)

○輸出抑制・需要抑制

○約2万kl/日のガソリン等を東北地方に転送

○北海道の2製油所からの供給を加え、震災前の東北地方の需要量に相当する約3.8万kl/日のガソ
 リン等の供給を確保

○鉄道による輸送ルートの確保

太平洋側の油槽所(塩竃油槽所)の早期の機能回復

○震災により停止した塩竃油槽所は、東北地方域内へのガソリン等の主要拠点であり、早期の機能回
 復が必要

○3月16日、出光・塩竃油槽所が在庫出荷を開始

○今後、タンカーが着桟可能となるよう、早期の近隣海域の掃海・海上保安庁による検査が必要

拠点SSの指定と重点供給

○以下の観点から、被災地域において特に重要な拠点SSを指定し、重点的にガソリン等を供給。

・消防、警察等の緊急車両の重要供給地点
・救援物資等の物流維持のために重要な供給地点
・避難者の生活・生活者支援のために特に重要な供給地点

灯油供給対策 ドラム缶による大量陸送による供給等

関東圏に向けガソリン・軽油等の安定供給確保

○来週後半頃に、地震により停止中の3製油所が回復し、供給不足はほぼ解消するため、それ以前の
 今後、数日間が重要。

1.概ね3日以内に、西日本の製油所の製品在庫のうち、5万klを関東圏に転送し、市場に投入す
  ることを石油各社に指示

2.稼動中の関東圏の製油所の在庫の取り崩し(約3万kl)
3.事業者間連携による円滑な供給体制(他社へのローリーの提供等)

   拠点SSの指定と重点供給(上記と同様)

 海江田経産相が達成予定日時を一言も言わないから、質疑に入る早々に記者の方から聞くことになった。

 記者「いまほどガソリンの被災地の方にとっては、あとどれくらい待てばまず来るのか、そういう観点からちょっと話していただけますか」

 海江田経産相「まず、このシステムと申しますか、これは直ちに決定しまして、それぞれのところに通知をいたしまして、タンクローリーの手配などに入るわけでございますが、一番大きな問題と思いますのは、例えば13の製油所というのは、これは機能している、そしてそれを直ちに増産をしてもらうということでございますが、これが増産をしたものがここへいくまでの間の日数がかかりますから、その意味で言うと何とかぎりぎり急いで2日後、3日後、ここにはこれがしっかりと動き出すという形にしなければいけないと思っております」

 記者は「ガソリンの被災地の方にとっては、あとどれくらい待てばまず来るのか」と被災者に物資が届くのはいつ頃かと最終到達日時を聞いた。対して海江田経産相は「何とかぎりぎり急いで2日後、3日後、ここにはこれがしっかりと動き出すという形にしなければいけない」と、「動き出す」という言葉で計画が軌道に乗るのは「急いで2日後、3日後」と答えている。

 と言うことは、計画が着実に実施され、被災者が困窮・不満を解消できる最終到達までいくにはさらに日数がかかると見ていることになる。

 大体が「ガソリン・軽油等の緊急の供給確保と輸送力強化の抜本対策」を「直ちに決定しまして」と言っているが、地震発生から6日経過しての決定である。その遅れも然ることがなら、菅政府が打ち出した物資支援計画が軌道に乗るのは「急いで2日後、3日後」、被災者に届くのはさらに遅れるとしているのだから、末端まで行き渡るには相当な日数を必要とすることになる遅さということになる。

 菅政府は何が不足しているか、何が必要かの状況把握に時間を必要としたと言うかもしれないが、普段の生活で必要とし、消費している生活物資の中から大規模災害によって何が不足し、その結果何を必要としているが逆算すれば簡単に拾い出せる。

 3月11日午後2時46分の激しい揺れを伴った地震発生から3分後の2時49分に直ちに津波警報が発せられた。静岡にいてもバカに長く続く揺れだな、東海地震かなと気分が悪くなったくらいで、相当な地震だと判断できたのから、被災地域住民に恐怖さえ引き起こす程の実感を与えただろうし、「東日本全体で約6分間続いたことが、東京大学地震研究所の古村孝志教授らの解析でわかった」と「asahi.com」記事が伝えていることからすると、まだ激しく揺れている間の津波警報であり、自治体からの避難命令だったことを考えなければならない。恐怖の上に恐怖に駆られて預金通帳といった貴重品を身につけるのが精一杯といった避難だったに違いない。いわば多くが貴重品以外は着の身着のままの避難であったはずだ。

 そして地震発生後30分程で襲ってきた大津波。《地震発生から津波来襲まで最短30分》YOMIURI ONLINE/2011年3月12日12時03分)によると既に記事題名に出ているが、岩手県大船渡市では地震発生約30分後に3・2メートル以上の津波、岩手県釜石市や宮古市、宮城県石巻市では地震約35分後に4・1~3・3メートルの津波、平野部の福島県相馬市では約1時間後に7・3メートル以上の津波が襲っている。

 巨大な津波が日本家屋の殆んどを倒壊させ、生活物資共々流出させた。テレビが津波が押し寄せる瞬間から放送していたのだから、自ずと何が不足かその日のうちに分かったはずだ。水・食糧、季節が冬なら暖房資材と暖房燃料、医薬品、その他の生活物資、車の燃料等ということになる。
 
 生活物資の殆んどを失ったということなら、それらが補充されなければ被災者を極度な不足状態に置くことになる。

 その不足を被災住民に代わってテレビが日々伝えていた。灯油が欲しい、飲料水が欲しい、医薬品がまもなく底をついてしまう、生理用品がない等々――。

 何が必要か把握していたはずなのに地震発生から6日経過してから、必要物資の確保とそれを被災地に輸送する対策を決定した、実施はこれからだと記者会見まで開いて一大臣が宣言する。

 政府は支援遅れの理由を道路の決壊、港湾の機能停止、各陸上施設の損壊等を挙げるだろうが、それらの復旧を政府自らが指示して急がせたとしても、復旧を待ってからの物資支援がいたずらに被災者の困窮を長引かせ、精神的苦痛を我慢の限界を超えるまでに与えてからの達成であるなら、国民の生命・財産を守る政府としての義務上の危機管理対応とはならないはずだし、何のための政府の存在かということになるはずだ。

 だが、菅政府は物資支援の進捗と万遍のない配布を基本的には各施設の復旧を待つ姿勢でいた。そして今後も待つ姿勢でいることは各施設の復旧に賭けていることからも分かる。このことの証明に最も象徴的に現れている上記記者会見での海江田経産相の発言を取上げてみる。

 海江田経産相「一番東北地域、とりわけ太平洋側のこの重要な輸送所でありますこの塩釜(「塩竃」という文字を使っているが、「塩釜」と表記する)、この塩釜の機能を一日も早く回復をさせなければいけないということで、いま既に塩釜の輸送所の機能としては、ここにある油が既に運び込まれております油を内陸部、中に向けた機能というのは今日から回復をしております。

 問題はこちらから例えば船で運んでいって、そして船で塩釜の輸送所に着くということ、これが残念ながら大きな地震と津波で打撃を受けましたから機能が十分果たせていないわけであります。この機能を果たすために、掃海、海をきれいにしなければいけない。とりわけいろいろな浮遊物もございますから、そういうものもとらなければいけない」

 要するに塩釜輸送所の機能を急がせて復旧させた。だが、塩釜港がタンカーが着岸できない状態になっているから、先ずは塩釜港を整備、復旧させなければならないと言っている。

 勿論、他にも様々に手を打っているだろう。だが、記者会見で公表した対策自体の殆んどがこれから取り掛かる計画を述べている内容のものであって、これから取り掛かるという姿勢が塩釜港の復旧を待つという姿勢に象徴的に現れていると見るべきだろう。

 タンカーが直接接岸できなくても、ダイバーに潜らせて海面下を調査させて岸壁近くにまで接近できるなら、それが100メートルや200メートルであっても、ホースをつなぎ、タンカーの石油排出口に接続したなら、陸側のタンクローリーの注入口に接続し、タンクローりを前進させてホースがほぼ弛みなく張る状態にしてからタンカーのバルブを開いて石油を通したなら、ホースは沈まず、スムーズに石油をタンクローリーに移すといったことは決して不可能ではないはずだ。

 空中給油の要領である。タンクローリー口近くのジョイント部分の金具をワイヤー等で固定しておけば、200メートルのホースの重みと中を通過する石油の重みでタンクローリーが後ろに持っていかれることはないし、満タンになってホースの口を外したとしても、そのホースが後に持っていかれるということはない。

 岸壁から200メートル離れたタンカーまでホースを持っていくのはヘリコプターが先端を吊るして移動すればできる。

 この方法は福島第一原発の3号機使用済み燃料保管プールへのホースを直接投入して注水することにも応用できるのではないだろう。自衛隊のヘリコプターを放射能の影響を受けない上空にホバーリングさせて先端にホースを吊り上げるフックを取り付けたロープをつなげながら地上に降ろし、地上で待ち構えていた者がそのフックにホースの先端に取り付けたリングにかけたあと、ホースを必要な高さに持ち上げながらプール上空に移動、プールにホースの先端を降ろす。

 そのロープをホースの先端から外すには補助紐を引っ張れば脱着可能なフックが存在する。ヘリコプターからそのフックを降ろすとき、ロープと同じ長さの補助紐を同時に降ろせばいい。

 二日程続けてヘリコプターの活用を書いたが、同じく道路や港湾、陸上施設の復旧を待つのではなく、ヘリコプターを活用して被災者の要望により早く応えるのも政府あっての危機管理であろう。

 昨日のブログでは2004年12月26日のスマトラ沖地震の際にはバイクが支援物資輸送に活用されたと新聞記事を基に書いたが、日本政府は被害状況だけではなく、支援方法の情報を収集し、学習していたはずで、バイクも支援方法の選択肢の一つと看做すこともできたはずである。

 バイク野郎を掻き集めて集まっただけの彼らを活用、あるいは被災地域外の白バイ警察官を招集、灯油20リットル缶の3個ぐらいは後部荷台にしっかりと括りつけて通行可能な道を探しつつ遠く孤立した避難場所まで届けさせる方法も決して不可能ではないはずで、特に通信手段が途絶えて情報交換の手段を失った地域との連絡の役目も期待できたろう。通信手段が途絶えた避難場所に彼らが顔を出したなら、元気をも与えたかもしれない。

 政府が地震発生後可能な限り早い時点でなすべきことは各施設の復旧にどのくらいの日数がかかるか、復旧後の支援開始によって被災者に届く日数、被災者の生活や医療施設がそれまでに耐え得るか正確な情報の収集と併行させた復旧への取り掛かりと同時に復旧に頼らない物資支援の可能な限りの対策の早急な模索と早急な実施であろう。

 特に後者の取り掛かりこそ、政府の存在を有意義足らしめるはずである。

 だが、現実には政府はそういった姿を取っていない。裏返すなら、何のために政府が存在しているのか分からない状態に陥っているということではないだろうか。

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鎮火に手間取った被災地製油所火災はなぜヘリコプターで消火しなかったのか

2011-03-17 10:04:18 | Weblog



 石油不足で救援物資の輸送が被災者にまでなかなか届かないことが僅かばかりの食事や寒さに耐えなければならない辛い思いをさせ、ただでさえ不安な生活を強いている上になおさら不安にしている。特に近親者を亡くしたり行方が分からない被災者の悲しみや不安を少しでも和らげるには温かい食事と暖かい居住空間が必要となるはずである。

 被災から免れた住民も東北地方では冬の間の必需品である灯油がガソリンスタンドで売り切れていて手に入らず、寒さに耐えなければならない。この辛さは冷暖房完備、毎日おいしい食事にありつける首相官邸には届くまい。

 届いていたなら、もう少し迅速で効果的な対策と実施を行っていたはずだ。

 多くの病院が手に入らない、届かないと薬品不足を訴えている。ヘリコプターで支援物資を輸送し、必要とする避難場所や病院に着地可能な場所がない場合はヘリコプターをホバーリング状態にしてロープで吊り降ろして直接投下するという発想が当初からなく、14日になって孤立生活を強いられている被災者からの困窮を訴える声に押されたからだろう、ヘリコプターからの物資投下を検討する声が防衛相や農水相から出始めた。だが、投下を開始したというにニュースはまだ耳にしない。

 どういった理由からヘリコプター投下を逡巡しているのか分からないが、勘繰るとするなら、ヘリコプター投下が成功し、物資不足をスピード解決した場合、逆になぜもっと早くから始めなかったのかという批判が起こる可能性から、計画をなしにしてしまうといった深慮遠謀を働かせているのかもしれない。

 もしそういった考えでいるなら、被災者の生命・財産を蔑ろにしするだけではなく、国民もを冒涜する行為となる。

 2004年12月26日のスマトラ沖地震では支援各国軍のヘリコプターによる食糧投下が行われたと《バイクやヘリで物資、防疫にも力 スマトラ沖地震活動例》asahi.com/2011年3月16日0時12分)が伝えている。

 〈緊急食糧支援を担当した国連の世界食糧計画(WFP)は、協力協定を結んでいた大手宅配会社から提供を受けた倉庫やトラックをフル活用し、ピストン輸送した。だが交通が遮断され孤立化した西岸地域では、港も破壊されていた。このため食糧などを積載した船を沖合に停泊させ、はしけで荷揚げし、バイクや徒歩で運んだ。

 各国軍のヘリコプターによる食糧投下も行われた。沖合に停泊した米空母を拠点に、食糧を積み内陸部などに向かった。ただ現場では食糧の取り合いになる場面も見られ、老人や女性、子供など弱者にきちんと届いたかどうか疑問の声もあがった。 〉――

 確かに欠点はあったかもしれないが、学習して複数の国連職員、もしくは各国軍の兵士が食糧投下前にローブで現地に降り立ち、平等に行き渡るように監視・指導すればより平等に行き渡るのではないだろうか。

 いずれにしてもヘリコプターからの物資投下は効率的で、その有効性を証明している。

 ヘリコプター投下に手間取るうちに刻々と時間は経過していく。当然、物資不足の解消に向けた主たる手立ては空がダメなら、陸地輸送に必要なガソリン、軽油等の石油製品不足の早急な解消ということになる。

 昨日のテレビで放送していたが、トラック協会の人間が被災地以外の地域ではトラック輸送に必要な燃料は確保できるが、被災地からの帰りの燃料の確保が保証されないとして配送を断っている事情があると話していた。

 被災地での極端な石油不足の原因の一つは東北6県唯一の製油所である仙台市宮城野区の「JX日鉱日石エネルギー・仙台製油所」が地震で火災を起こし、機能停止に陥っているからだという。その火災が一昨日の15日になってやっと鎮火した。だが、復旧には早くて2週間だというから、石油不足・燃料不足の早急な解決に役立たない。

 石油不足のもう一つの原因は石油元売りの東北地方の輸送拠点が被災して操業停止に陥っていたからだというが、「出光興産」の宮城県塩釜市の輸送拠点が復旧、今日17日から操業開始するという。《出光 塩釜の輸送拠点を再開へ》NHK/2011年3月16日 21時17分)

 〈塩釜市の輸送拠点の再開によって、宮城県内の被災地にガソリンなどを届ける時間が、これまでの3分の1に短縮され、被災地へのガソリンなどの供給を効率よく行える〉と記事は解説している。

 前田出光興産需給部長「物流手段の負担が格段に軽減されるほか、輸送効率も上がる。地域の復興に対して大きく貢献できると思う」

 記事は最後に〈ほかの石油元売り大手各社の被災地の輸送拠点は、いずれも復旧のめどが立っておらず、宮城県塩釜市の輸送拠点について「出光」は、石油元売り各社が、被災地向けの燃料の供給拠点として、共同で使えるよう各社と話し合いを進めている〉と書いている。

 今日17日から操業開始だとしても、不足緩和に持っていくことはできるだろうが、1両日に不足解消まで持っていくことができるわけではないはずだ。

 不足原因の一つとなっている被災各県の港湾の機能回復も待たれるが、仙台塩釜港のみが16日にも使用可能となる見通しだと3月15日付の日刊工業新聞が伝えている。だが、河野太郎自民党議員のツイッターに、〈都内には出荷始まってます。塩釜からも被災地に出し始めてるようです。塩釜の港に接岸できるようになれば、船で油槽所に運び入れられます。RT @takopaul 河野さん、燃料の供給の件、もう少し分かりませんか? 約16時間前 TwitBirdから〉と投稿されているが、16時間前というと16日夕方6時頃の投稿だから、その時間にはまだ再開されていないということになるのだろうか。河野氏が再開の事実を把握していないということもあるが、再開されていたとしても、本格的な稼動には相当な時間が必要になるに違いない。

 河野氏のツイッターに触発されて、次のようなツイートを私自身のツイッターに書いた。

 〈河野太郎自民議員が石油は「塩釜の港に接岸できるようになれば、船で油槽所に運び入れられます」とツイッターで言っている。中国は四川省大地震で自重30トン前後の大型重機を大型ヘリコプターで運搬。やろうと思えばヘリコプターで石油タンクローリーを吊り上げて塩釜の油槽所まで運搬できるはず。 約14時間前 webから〉 

 〈ロシアは旧ソ連時代から戦車を吊り上げる大型ヘリコプターを所有している。自衛隊のヘリコプターでは不可能だということなら、国民の生命・生活を言う以上、苦難を強いられている生活から被災者を早急に解放するため、社会生活維持するためにロシアに依頼、運搬するぐらいのことはしてもいいい。 約14時間前 webから〉

 とまあ、相変わらず私はヘリコプターの拘っている。

 ここで問題としたいのは東北6県唯一の製油所である仙台市宮城野区の「JX日鉱日石エネルギー・仙台製油所」の地震発生11日午後2時46分後火災発生から消火が、なぜ15日にまで(何時か正確には分からないが、)かかったのかということである。

 《仙台の製油所鎮火 ガソリン供給の要衝、復旧最優先》asahi.com/2011年3月16日19時53分)

 消火が手間取った理由を記事は〈地震発生後、出荷用タンクが炎上、炎と黒い煙を上げて燃え続けた。道路が遮断されて消防車が近づけず、15日に延長ホースを使ってようやく鎮火させた。〉と書いている。

 2週間かかる復旧までの代替措置として〈JXは同社の関東にある製油所が利用できないことから、西日本の製油所の稼働率を通常の80%前後から100%近くまで上げる。船で青森市、秋田市、山形県酒田市の港に運び、そこから陸路で太平洋側の被災地に運ぶ計画も進めている。〉ということだが、これも相当な時間を要して、痺れを切らしている被災者のすぐの満足に応えることは難しい。

 〈被災地ではガソリンスタンドの給油待ちが長蛇の列となり、順番待ちを巡るトラブルも発生。〉と現地の状況を伝えている。

 販売店「いつ暴動が起きてもおかしくない状態」

 にも関わらず、政府は早急・有効な手を打てないでいる。

 宮城県多賀城市現地被災者「被災者にとって食料運搬車のガソリンと避難所ストーブの灯油がとても大事。2週間とは言わず数日内に復旧させてほしい」

 これは切実な正直な思いであろう。

 「道路が遮断されて消防車が近づけず」という状況は1995年1月17日発生の阪神淡路大震災で既に学習していたはずだ。にも関わらず、同じ障害を繰返す。

 阪神淡路大震災では道路が遮断されて消防車が近づけなかったばかりか、送水機能が麻痺して消火栓が使えないという悪条件も重なったことが燃えるに任せて火災を大規模化することになった。

 当時消防車が使えなければ、なぜヘリコプターによる消火を行わなかったのかという批判が起こった。だが、消防関係者から、上空は火災による上昇熱気流が強くヘリコプターに危険、高い場所からの一度に1トン前後の水の塊を投下することによって惰力のついた水圧で倒壊家屋に下敷きになっているかもしれない被災者を圧死させる危険性があるといった理由を挙げて不可能としていた。

 例え圧死することになっても、燃え盛っている倒壊家屋下の生存の可能性は低いと見て、早い鎮火によってまだ延焼を免れている倒壊家屋下の可能生存者の1人でも多い救命に賭けるべきだと思うが、生存の可能性を言い、圧死の恐れを口にしながら、延焼に任せることによって結果的に生存の可能性を無残にも一切断ち切ることになった。

 これは意図的・間接的な殺人に当たらないだろうか。

 日本の防災関係者の多くが否定したヘリ消火だが、阪神淡路大震災前年の1994年1月17日(太平洋標準時)のロスアンゼルス地震では建物消火にヘリコプター消火が活躍し、効果を上げている。新聞記事で読んだことだが、ロスアンゼルス消防署員だと思ったが、ヘリコプターから投下した水は霧状化するために塊のまま落下するからとする圧死の危険性を否定していたことを記憶している。

 この霧状化が消火の効果点であるようなことを言っていた。この証拠としてドイツで開発され、東京消防庁、その他が導入しているという個人携行型の消火装備であるインパルス消火銃を挙げることができる。舞鶴消防署のHPがインパルス消火銃について解説している。

 《消防・防災最前線 救助活動編:災害現場の必需品 第9弾!インパルス消火銃》 

 インパルス消火銃とは、空気ボンベと消火剤容器(容量約12リットル)が一体となったドイツで開発された個人携行型の消火装備です。舞鶴消防では救助隊に1機配備されています。

 圧縮した空気の力で水の塊(約1リットル)を噴霧状に発射し消火します。水量も少ないため水損防止に優れ、特に車両火災には1~2発で消火することが可能です。

 多少の遮へい物があっても、火元に対して霧状の水が的確に到達することができ、また背負って使用する為、消防車がホースを伸ばせない、狭い現場等でも消火活動が行えます。大規模火災よりも、初期消火に威力を発揮します。 

 重量約25kg【インパルス消火銃+消火剤容器+消火剤(水)】

 このインパルス消火銃を大型化したものがヘリコプター消火ということであろう。

 だが、なぜかヘリコプター消火は活用されていない。消火に手間取り、火災が長引けば、施設の損傷も大規模化し、復旧にも時間がかかることになる。地震発生の3月11日からの火災に鎮火が15日と4日かかった結果、復旧に2週間ということだろ。

 当然、1日、2日で消火できたなら、復旧も短時間で可能となる。HP《防災とヘリコプター》(Aviation Now/航空の現代:ラジオ・インタビュー/西川渉)には、〈ヘリコプター消防のノウハウついて、消防研究所や東京消防庁などが、模擬建物を並べてヘリコプターによる大規模な消火実験をおこなうなど、消火の効果、火勢のヘリコプターへの影響、あるいはローターのダウンウォッシュの影響など、さまざまな実験データが得られています。〉と書いてある。
 
 このような実験は阪神淡路大震災の大規模な家屋火災になす術もなかったことの反省からであり、学習したからであり、教訓としたからであろう。なぜ活用して、空腹や寒さ等の困窮に耐えている被災者の要望に応えることをしなかったのだろうか。医薬品不足と満足な治療が行えない不安を訴える医療関係者の要望に応えることはしなかったのだろうか。

 「JX日鉱日石エネルギー・仙台製油所」火災の1日も早い鎮火と1日も早い復旧が各港湾の復旧や道路の復旧、石油輸送拠点の復旧、その他の復旧・回復と同様に各要望により多く、より早く応えることができる要素の一つとなることは確実に言えることなのだから、実際に確実にするためにもヘリコプター消火の活用は必要ではなかったろうだ。

 このことは今後の大規模災害についても言えることで、活用しなければならないことだと思うが、どんなものだろうか。

 この記事を校正中の9時48分、自衛隊のヘリコプターが福島第一原発3号炉の上空から最初の水を投下したシーンをNHKテレビが実況中継していた。なぜこの方式を「JX日鉱日石エネルギー・仙台製油所」火災の消火に用いなかったのだろうか。ますます腑に落ちない。

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菅内閣は地震発生直後から自衛隊機・ヘリコプターを飛ばして上空からの情報収集に当たったのだろうか

2011-03-16 10:57:46 | Weblog



 これから書くことはかなり後付けの部分があるが、政府にあっては後付けであってはならないはずだ。

 今回の東北地方太平洋沖地震はかつてない程の広範囲に亘った。政府は先ずは気象庁地震情報発表直後から被災地域の各地方自治体、その他に対する情報提供の要請によって受けた情報と要請するまでもなく相手方から提供された情報等を共々収集、分析して救援・救命の対策を練るという段取りを取るはずである。

 だが、通信手段が維持可能となっている地方自治体とは情報の交換・収集はできるが、通信手段が遮断された自治体とは情報を確保しようにも確保できない。その上、地方自治体にしても災害発生直後から正確で詳細な情報の把握は難しい。

 となると、全体的な情報把握には自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターを飛ばして上空から情報の把握に努めることがより詳しい正確な情報獲得の手段となり得るはずだ。

 阪神淡路大震災時は多くが知っているように兵庫県知事から当初自衛隊に出動要請がなく、自衛隊は自衛隊機を飛ばして情報把握に努めた。被害の甚大さに驚き、自衛隊の方から兵庫県知事に対して出動しなくていいのかと電話し、そこで初めて県知事は自衛隊に出動要請をすることになり、救出のための初動が相当遅れることになった。

 菅首相は気象庁の地震情報を聞いてから、北沢防衛相を通じて自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターの出動を要請し、上空からの偵察、情報収集を指示したのだろか。

 ネット上にその手の記事を探したが、見つけることができなかった。唯一福島第一原発の事故の報告を受けて、自衛隊に初の原子力災害派遣命令を出し、福島第1原発周辺に航空機を出動させて情報収集に当たらせたという記事のみである。《菅首相「安全確保に総力」 被災地に自衛隊8千人》47NEWS/2011/03/11 23:30 【共同通信】)

 あとの自衛隊機及びヘリコプターに関する記述は次のようになっている。

 〈官邸で首相と全閣僚による緊急災害対策本部を数回開催。自衛隊や警察広域緊急援助隊、緊急消防援助隊などを被災地に最大限派遣し、人命救助を最優先に救援活動を進めるとの基本方針を決定した。〉と、〈東祥三内閣府副大臣を自衛隊ヘリコプターで地震被害の激しい宮城県に派遣。〉の二箇所のみ。
 
 菅首相の緊急災害対策本部会合での発言。

 菅首相「政府としても全身全霊で頑張る。国民の皆さんは助け合いの精神を発揮し、落ち着いて冷静、迅速に行動してほしい」

 対策本部の決定基本方針――

 「関係省庁は情報の収集を迅速に行い、被害状況の把握に全力を尽くす」

 (1)緊急輸送路や被災地上空の航空安全の確保
 (2)ライフライン、交通機関の復旧
 (3)官民一体となった広域応援態勢の構築

 上空偵察による広範囲に亘る全体的な情報収集・情報確保については記事は一切触れていない。

 その代わり、地震発生の翌朝、菅首相自ら自衛隊機に乗り、被災地を上空から視察している。本人は「仙台、石巻、そういった地域についても、ヘリコプターの中から現地を詳しく視察をいたしました。改めて津波の被害が大きいと実感した」と言っているが、上空偵察の専門家ではないのだから、津波の恐ろしさ、被害の甚大さを表面的に解釈したのみ役立ったとしても、具体的な対策に役立つ詳しい情報を確保できたのか疑わしい。

 国民向けの自己発信力宣伝のパフォーマンスに近いように見えた。

 情報収集の偵察は一回限りでいいわけではない。数機で以て明るい間は被災地の上空を余すところなく飛ばし、尚且つ日を追うごとに状況は変化していくだろうから、地震発生後2日3日と飛ばして自衛隊基地と無線で刻々と情報を送り続ける。上空から人間の目で把えた情報の不足を補うためには映像に取って送信するといったことも行えば各地域ごとの被害状況を詳細に知らせる情報ともなり得たと考えることもできる。

 例えば偵察機もしくはヘリコプターで情報収集中に建物の屋上等に取り残された被災者を見つけたら、正確な位置と共に人数を救助ヘリに連絡、被災場所に直行させるといったことをしたら、救助ヘリが探し回る手間が省けてもっと早くに救助できたはずだ。

 首相官邸は自衛隊機からの情報提供を受けて、救援物資輸送に地域ごとの被害状況・被災状況に応じて空路、海路、陸路の振り分けを行ったなら、陸路では進めないから、あるいは輸送燃料の入手困難からトラックを手配できない等の状況を受けてから空路、海路に変えるといった後手の対応を少なくできたかもしれない。

 政府がより一貫性を持たせた救援計画を立てるためにも、各自治体が提供した情報だけではなく、自衛隊機の偵察によって上空から直接収集・確保した情報と合わせることによって被害状況のより具体的な内容を知る手立てとなり、計画立案の役に立っただろう。

 もし自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターを飛ばして詳細な情報詳細に当たらせていたというなら、支援物資配布の遅れや15日現在で自衛隊等による救助人数は2万5460人にのぼるが、津波の被害が大きい沿岸部を中心に未だにほぼ同数の2万3000人を超える孤立者が存在するといった事態からすると、菅内閣の救援態勢はとても評価できないということになる。

 《2万3000人超孤立 救助へ》NHK/2011年3月16日 3時10分)

 〈防衛省によりますと、地震発生から15日までの間に、自衛隊が救助した人の数は、津波の被害が大きい東北地方の沿岸部を中心に1万9000人に上っています。これに警察や消防、海上保安庁が救助した人の数を加えると、あわせて2万5460人に上るということです。しかし、自衛隊による捜索活動の結果、津波の被害が大きい沿岸部を中心に、いまだ2万3300人の人が孤立したままになっているとみられています。中には、沿岸近くの小島に取り残されている人もいて、自衛隊は、引き続き、捜索活動を進めるとともに救助を急ぐことにしています。〉――


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菅首相の被災者の実態とかけ離れた国民向けメッセージ

2011-03-15 11:08:51 | Weblog

 

 昨14日(2011年3月)夜になっても殆んどのテレビが孤立状態で避難生活を余儀なくされている被災者の食糧不足・水不足・暖房燃料、毛布等の暖房資材不足・医薬品不足等々を訴えていた。

 いくつかの病院も患者用食糧がまもなく切れる、医薬品が不足しつつあると訴えていた。特に人命に直接関わるゆえに緊急を要する人工透析用の生理食塩水や酸素の不足、人工呼吸器などを動かすためのポータブル発電機、滅菌精製水、幼児のミルク等の不足の訴えもあった。

 15日の朝になっても、NHKニュースは水や食糧が一度も届いていない場所があると言っていた。

 3月11日午後2時46分頃の地震発生から3日以上経過していながら、この物資不足状況は政府支援の遅滞を示す有様なのだろうか。それとも様々な事情から回避不可能な止むを得ない事態なのだろうか。
 
 菅首相が一昨日13日の夜8時前に国民向けのメッセージを発した。《首相官邸HPから》から冒頭発言の生活物資に関する言及部分のみを取上げてみる。

 菅首相地震発生から3日目の夜を迎えました。被災された皆さん方に心からのお見舞いを申し上げます。また、被災地を始め、国民の皆様には大変厳しい状況にある中で、冷静に行動をしていただいていることに対して、感謝と心からの敬意を表したいと、このように思います。

 昨日に続いて今日一日、人命の救出に全力を挙げてまいりました。これまで自衛隊や警察、消防、海上保安庁あるいは外国からの支援も含めて、約1万2,000名の方を救うことができました。本日の救援体制を少し紹介いたしますと、自衛隊は陸海空で5万人が展開し、10万人体制を準備いたしております。また、警察官は全国から2,500名を超える皆さんが被災地に入っていただいております。消防、救急隊は1,100隊を超える隊が現地に入っております。さらに災害派遣医療チームも200を超えて現地にお入りいただいております。

 食料、水、毛布などの搬送は陸路がかなり制約をされておりますので、空路、さらには海路も検討しておりますけれども、そうした搬送に力を入れております」――

  「地震発生から3日目の夜を迎えました。被災された皆さん方に心からのお見舞いを申し上げます」云々。

 生活必需品不足から空腹や寒さに耐えている被災者にとっては言葉のお見舞いよりも現に困窮している水・食糧・医薬品・暖房資材等の現物のお見舞いを願いたいと多くの被災者は確実に思ったに違いない。

 被災者となった国民の衣食住困窮の原因が例え政治の責任ではないとしても、また物資支援の遅れが回避不可能な事態だったとしても、現に困窮している状況が存在する以上、「心からのお見舞い」よりも、「陸路がかなり制約をされて」いるという回避不可能な状況を具体的に説明して、支援が届かないことの謝罪から入るべきではなかったろうか。

 だが、“陸路の制約”を言い、そのための空路・海路の検討を言うのみで、謝罪の欠けらも示さなかった。被災者の心労を心底思い遣るのではなく、「心からのお見舞い」が形式的な挨拶に過ぎなかったということだろう。

 このことは“陸路の制約”が巨大災害につき物の既定事実だとする視点を存在させていないところに先ず現れている。その視点がないから、「空路、さらには海路も検討しております」といった検討段階とすることができる。

 確かに米軍の協力を得て自衛隊の大型輸送ヘリコプターで物資の輸送等を行っているし、陸路でも自衛隊の輸送トラックが巡回して配布に努めているが、不足状況は収まらないまま現に推移している。

 次に「昨日に続いて今日一日、人命の救出に全力を挙げてまいりました。これまで自衛隊や警察、消防、海上保安庁あるいは外国からの支援も含めて、約1万2,000名の方を救うことができました」の成果発言に「心からのお見舞い」が形式的な挨拶に過ぎないことが現れている。

 「約1万2,000名の方」とはブルの屋上や建物内に孤立していた被災者の救出のことを言うのだろうが、必要な救出ではあっても、避難所で物資不足のまま避難生活を送っている被災者の命を心身共に十全な形で守ることも“命の救い”に入る国の重大な務めでもあるはずである。

 後者の成果を示すことができる状況を生み出し得ないままに、このことを抜きに孤立被災者救出の成果のみを具体的な人数を挙げてさもたいしたことを成したように言う。「心からのお見舞い」が形式的な挨拶でなければ言えない「約1万2,000名の方を救うことができました」の片手落ちとなる成果誇示であろう。

 “陸路の制約”が巨大災害につき物の既定事実だと書いた。当然、道路の寸断、渋滞等は物資支援遅滞の理由にはならない。海路輸送は余震による津波の危険性から遅れるとしても、なぜ最初から空路輸送を選択しなかったのだろうか。自衛隊の輸送トラックで通行可能な道路を探しながら進むよりも自衛隊の大型輸送ヘリコプターで孤立被災者の救出と併行させて物資輸送を行い、孤立避難場所に投下する方法を採ったなら、迅速な不足解消に役立ったはずだ。

 殆んどのテレビ局が孤立地帯に入って、被災者の不足を代弁している。首相官邸に設置した災害対策本部はどこの孤立地域に何人が避難生活を送り、何がどのくらい不足だと報告の提供を求めているのだろうか。またテレビ局も自らが得た非難状況を役立つ情報として首相官邸に報告しているのだろうか。

 こういったことの情報収集によって、ヘリコプターを飛ばして、目的地の庭や空きの上空にホバーリング状態にして必要物資をロープで吊るし降ろすことをしたら、必要量に応じた的確な配布ができたはずだ。

 だが、今までテレビが放送する場面からそういった光景を見ることはない。

 政府は14日になってヘリコプターからの食糧投下を計画したという。計画から本格的実施までに時間を要することになる。15日の今日中に実現するのだろうか。

 《食糧、毛布など搬送急ぐ 孤立地には食糧投下》
サーチナニュース/2011/03/14(月) 17:14 )

 14日、政府は緊急災害対策本部を開催。14日午前8時半現在の要緊急物資調達状況を発表。

 〈宮城、岩手、福島の物資受け入れ拠点施設への搬送を急いでいる。〉

 〈現地で孤立している住民らに対してはヘリコプターから食糧投下をして提供する手立てを始めた。〉

 孤立避難住民からのからの〈食糧・食料品(パン、おにぎり、即席ラーメン、ビスケットなど)213万4776個のうち、62万142個は輸送中、または配布拠点施設に配達済み。〉

 〈50万4000個は輸送業者を手配中〉

 〈110万4634個は入手先を手配中〉――

 これは〈必要な量の半分については手配が急がれている状況〉だと記事は書いている。

 〈飲料水については要望のあった93万7258本〉は調達済み、輸送業者を手配中。

 〈寒さをしのぐ毛布29万7187枚、おむつ1万枚など要望数を確保。〉

 〈トイレについては3821基の要望に対し、1721基は入手先を手配中。〉

 輸送中と輸送業者を手配中はトラック輸送のことを言うのだろう。どちらも時間がかかる。後者はより時間を要することになる。なぜ在日米軍にも依頼して、自衛隊の大型輸送ヘリコプター共々フル稼働させて、物資集積場所から直接ヘリコプターを飛ばして投下を選択しないのだろうか。

 不足物資の入手先を手配中となると、なおさら遅れることになる。各地方自治体は防災対策としてレトルトご飯や乾パンの缶詰等の非常食、簡易トイレ、その他の備蓄を行っているはずである。自治体の人口に応じて、かなりの量となるはずだ。自治体の中には賞味期限が近づくと、防災訓練の日などに炊き出し訓練の一環として住民に放出したりする。

 政府が後刻弁償の約束で各自治体に備蓄品の放出を求めたといったニュースは聞かない。県や市などの自治体が独自に提供を決め、独自に輸送するといった記事は存在する。だが、こういった動きにも関わらず、取り掛かったばかりといった事情といったこともあるのだろう、生活物資の飢渇状態は依然続いている。

 政府自らが被害状況を知った時点で備蓄品の放出を求め、トラック輸送に頼らずにヘリコプター輸送、ヘリコプター投下を実施してこそ、迅速な入手、迅速な配布の経緯を辿ることとなって、菅首相が言っていた「命を救うことを最優先する」の言葉が実体を持つことになる。

 だが、そういった実体を持たせもせずに、国民向けメッセージの締め括りで、「果たしてこの危機を私たち日本人が乗り越えていくことができるかどうか、それが一人ひとりすべての日本人に問われていると、このように思います。私たち日本人は、過去においても厳しい状況を乗り越えて、今日の平和で繁栄した社会をつくり上げてまいりました。今回のこの大地震と津波に対しても、私は必ずや国民の皆さんが力を合わせることで、この危機を乗り越えていくことができる、このように確信をいたしております」と、日本人の誇り、日本人の勤勉さに訴えたとしても、訴えている本人の人間的胡散臭さしか発散しないことになる。

 今日3月15日(2011年)朝、菅首相が統合対策本部を設置したことについてツイッターに投稿した。

政府と東電が統合対策本部へ http://nhk.jp/N3ui69pV 菅首相、東電側の情報の不正確・遅滞・混乱の問題に過ぎないのに自身のアイデアで「事業者である東電と政府の対策本部がリアルタイムで対応するためには両者を一体化した方がいい」と東電本店に本部設置、そこに詰めるという。 約3時間前 webから

いくら何々チームだ、何々会合だ、何々本部だの立ち上げオタクだとしても、「この危機を乗り越えるための陣頭指揮に立ってやり抜きたい」の決意表明に関係なく東電本社に詰めて問題となっている原発の事故解決に有効なアイデア提供の一体化を担えるわけではない。事故解決そのものは東電の役目。 約3時間前 webから

東電側の情報がいくら正確になった、迅速になったと情報の正常化を果たしたとしても、原子炉自体の機能が正常化を果たさないことには無意味。菅首相自身が後者に役立たなければ、本部を立ち上げたことも詰めることも無意味。理解できない菅首相の存在自体も無意味。バカな男だ。 約3時間前 webから

東電の今日午前9時前の記者会見。長テーブルの前に横一列に並び立ち、一斉に頭(こうべ)を垂れる日本式謝罪から入った。これは最早謝罪以外に逃げ場を失ったときの儀式。かなり追いつめられている証拠。 約1時間前 webから

 合理的判断能力を持ち合わせていないことから指導力を欠き、このことが致命的となって、いくら言葉を尽くそうと、すべてに亘って今ある実態とかけ離れることになる。にも関わらず、市民活動家当時からのお得意の言葉でどうにか自分を持たせようとしている。

 持たせれば持たす程始末に悪いことになるが、本人は何一つ気づいていないのだから、最悪の始末の悪さということになる。


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救急ヘリコプターは1人吊りではなく、複数吊りできないものなのなのか、教えてもらいたい

2011-03-14 09:17:41 | Weblog


 今回の地震でもテレビで見る限りそうだったが、救助ヘリコプターが着地できない場所での建物の屋上等で救助を待つ人間を救助する場合、上空にホバーリング状態でヘリを停止させて救助隊員をロープで吊り降ろして、目的場所に到達すると救助対象者に安全ベルト様の装具なのだろう、装着し、それを自身の安全ベルトに固着して上昇途中で落下させないように準備してから、画像にあるように対象者を抱きかかえて吊り上げていく手順を取っていた。

 ヘリコプターは上空で停止しているとはいえ、停車した車のように同じ場所に微動だにしない状態で停止しているわけではない。地上よりも上空の方が強い風に煽られて微妙に動き、その動きがロープに伝わって救助隊員にその救助作業を邪魔するように纏わりつく様子を今回の地震の建物の屋上からの救助の様子を伝えるテレビが映し出していた。

体重もかなりあると見える大の大人の男性に装具を装着するのに手間取り、その装具を自身の身体に固定させるのにさらに手間取った上、ヘリコプターに合図を送って静かに吊り上げていく。

 ヘリコプターまで吊り上げると、ドアを開け放した乗降口に別の隊員が待ち構えていて、身を乗り出しながらその合計体重が100キロは優に超えているだろう二人をヘリコプター内に引っ張り寄せる。 

 屋上には10人近くか、それ以上の数の救助を待つ者が順番を並んで待ち構えていた。

 1人ずつ吊り上げる上に途中で落としてしまうわけにはいかない責任の重大さから、安全対策に時間をかける。非効率この上ない救助方法に思えるが、この方法しかないから、非効率と分かっていて止むを得ず続けているのだろうか。

 ヘリコプター胴体底部にコンビニ出入口の二枚ドアの左右に開く自動扉のように電動で左右に開閉する開口部を設けて、その開口部から真上のヘリコプター内部の天井に取り付けた電動ウインチでロープではなく、ヘリコプター自体が風に煽られて動いたとしてもロープよりも影響の少ないワイヤーを取り付けて、その先端に折りたたみ式の金属製コンテナを取り付けて、箱型に組み立てた上、隊員1人が乗って目的場所まで降ろせば、安全ベルト等を装着する必要もなく、そのままの状態で3人から5人までの被災者を一度に救助でき、効率性は上がる。

 普段は折り畳んで収納しておけば、4~5個あったとしても、場所を取らない。

 コンテナはワイヤー先端から4本に分かれていて吊り上げることになるから、安定していて、少しぐらい風に煽られたとしても、人間を落とすことはない。万が一の用心にコンテナの壁部分の高さを人間の胸ぐらいの高さの物を用意すれば、自分から飛び降りるのでなければ、落ちることはない。他に注意することあるとすれば、折りたたみ式で四方の壁部分がそれぞれ独立しているから、開いた状態で外れないようにロックをしっかりと固定しておくことぐらいだろうか。

 コンテナが開口部近くに到達したとき、中で待ち構えていた隊員がワイヤーを掴んで開口部とコンテナのそれぞれの辺が合い、開口部に当たらずに室内に引き上げることができるように誘導すればいい。4本に斜めに分かれたワイヤーが開口部の何れかの辺に当たることによって逆に誘導してくれて、隊員はそれ程苦労しなくても誘導できるはずだ。

 2008年の岩手・宮城内陸地震では倒壊した建物に閉じ込められた被災者救助に福田政府は遅くなってやっと自衛隊大型ヘリコプターで中型重機を宙吊りして運搬、捜索に投入することができたが、重機を吊り上げたり、輸送トラックを吊り上げたりできるのだから、5人やそこらの人間は簡単に吊り上げることはできる。

 問題はヘリコプター胴体底部に開口部を設けることが揚力の関係で不可能かどうかである。ヘリコプターは胴体側面の乗降口のドアを開け放しで飛ぶことはできる。戦闘時、開け放したヘリコプター乗降口に腰掛けて機関銃を撃ち放している米軍兵士の映像はよく見かける。

 胴体側面の乗降口を開け放しにしておくことと胴体底部に設けた開口部を開け放しておくことと違いがあるのだろうか。誰か知っている知識者がいたら、教えてもらいたい。

 底部開口部が可能なら、予めコンテナを連凧のように3~4個フックでつなげて降ろし、降ろしておくことができるだけの場所があればの話だが、最初のコンテナを吊り上げて救助する間に降ろした分のコンテナに被災者を乗せて待てば、時間短縮ができ、なお効率は上がる。

 参考までに――
 
 《「大型ヘリによる重機運搬」に関する首相官邸・内閣官房・内閣府との不毛なやりとり(1)- 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》

 大型災害の迅速な人命救助はたった一人の国民の命であっても疎かにしない危機管理に於ける象徴作業 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》

 《岩手・宮城内陸地震-福田首相の「人命救助が一番」の危機管理は口先だけではないか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》


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菅首相は今回の地震をチャンスとして自身の情報発信力に利用しようとしている

2011-03-13 10:48:01 | Weblog



 気象庁が発生直後の会見で命名した「平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震」は2011年3月11日午後2時46分頃発生。いつ名称が変更されたのか、「東北関東大震災」と呼ばれている。

 参議院予算審議委員会の国会審議をNHKテレビで中継中の出来事だった。議事堂内が大きく揺れて、驚いて椅子の肘掛に両手をついて腰を浮かしかけた大臣もいた。菅内閣直撃の何らかの激震さながらに三陸沖を震源とした地震は気象庁HPによると気象庁は午後2時46分頃地震発生から2分後の2時48分に宮城県北部と中部で震度6強が観測されたと発表している。

 そして地震発生から3分後の2時49分に岩手・福島・宮城各県に「大津波の津波警報」を発令。だが、津波の高さは「高いところで3メートル以上」という曖昧な数値となっている。この1分後の2時50分に岩手県3メートル、到達時間は「既に津波到達と推測」、宮城県6メートル、到達時間は「11日15時00分」、福島県3メートル、到達時間「11日15時10分」、他は1~2メートル、到達時間は「11日15時30分」前後と数値を示して予告。

 3時14分には宮城県に予想津波高さ10メートル以上、岩手県6メートル、福島県6メートル、青森県太平洋沿岸3メートルと修正している。

 地震発生が午後2時46分頃。津波は少なくとも数分後から40分前後の間に東北の太平洋岸各地を襲った。各テレビが濁流となった津波が日本家屋や漁船、乗用車等を次々と押し流しながら陸地を凄い勢いで浸食していく様子を刻々と、しかも繰返し伝えた。鉄筋コンクリートの建物の2階部分までの到達を伝えてもいた。

 首相官邸はこういった情報を各被災現地から要請を含めて逐次伝達されただけではなく、自らも各県庁や国の出先機関等に要請を含めた情報収集に当り、それらを基に各地域ごとの統一的な情報に纏めるべく情報分析を急いだはずだ。

 そして翌12日午前6時過ぎ、菅首相は自衛隊のヘリコプターに搭乗、被災地と一部が自動停止した福島第一原子力発電所の視察に向け首相官邸を後にした。《首相が被災地視察に出発「きちっと状況把握したい」》asahi.com/2011年3月12日6時46分)

 出発前の簡単なぶら下がり。

 菅首相「昨日以来、政府として全力を挙げて、救済、復興に取り組んでいます。私はこれからヘリコプターで被災地を見ると同時に、福島原子力発電所に出掛けてまいります。現在、10キロ内の避難を命令したところであります。指示をしたところであります。現地で、現地の行動の責任者ときちっと話をして状況を把握したい。原子力保安院のメンバー、そして原子力安全委員会の委員長も同行しますので、必要な判断は場合によっては、現地で行うことになります。そういうことでいまから出掛けて参ります」

 何のための現地視察であり、何のための原子力発電所の視察なのか疑った。空からの被災地視察は誰の迷惑にならないかもしれないが、テレビ各局が既にヘリコプターを飛ばして各被災地の俯瞰映像を流している。原子力発電所の場合は処理に慌しい中、却って迷惑を与える可能性は誰もが考えることだろう。

 実際にも昨12日午後6時前の枝野官房長官の記者会見でこのことに質問が及んでいる。《「福島第一原発で爆発あった」枝野官房長官の会見全文》asahi.com/2011年3月12日19時44分)

 ――今朝、首相が福島第一原発を視察した。視察で東電側で説明、警備などいろいろな作業が必要。作業が遅れたことはなかったか

 枝野「そういったことは私はなかったというふうに思う。むしろ総理ご自身が現場で直接の対応してらっしゃる皆さんの認識や評価、あるいはその時点での事実関係をしっかりと把握をされて、いま対応をされているということで。むしろ対応には万全を期すために、必要なことだったのではないかと思っている」

 私自身はツイッターに次のように投稿した。

 〈首相、12日朝福島第一原発視察。説明を受けるために関係者を何人か知らないが複数引き連れて50分も時間をかけさせる。そのことで放射能物質大気放出対策に何か役立ったというのだろうか。説明を受けるだけなら、電話かファクスかメールで片付くこと。 http://t.co/gnlKSYX posted at 2011年03月12日(土) 12:51:43〉

 だが、何よりも視察が情報収集よりも自身の存在と能力を共に影が薄いことからの反動意識が仕向けることになったに違いない目立たせる目的であることは菅首相の出発前の次ぎの言葉が証明している。

 「現在、10キロ内の避難を命令したところであります。指示をしたところであります」

 菅首相が内閣内部の誰を介して福島県に伝達したのか分からない。官房長官なのか、あるいはさらに下の地位の人間であるのか、あるいは直接福島県知事に伝達したのかもしれない。

 だが、「10キロ内避難」の決定内容を誰に伝達させるにしても、決して命令事項ではなく、単なる指示事項でしかない。福島県知事に直接伝達した場合にしても、県知事に対する命令事項ではなく、指示事項であって、最終的な伝達対象である住民に対しても、決して命令事項ではなく、指示事項に相当する。

 それを「命令したところであります」と最初に言ってしまったのは、指示よりも命令の方が発する者が優越的位置に立っていることの証明となるからだろう。

 いわば自らの優越性を表現したい欲求が「命令」という行為を仮定させた。

 ツイッターに次のように書いた。〈一刻も猶予ならない緊急時に最初から「指示」という言葉のみで済ますべきを、「命令したところであります」と実体とは異なる逆の心理として自分を強い存在、力ある者に見せたい虚栄心を先ず発動させる。「指導力ない」がトラウマとなっていて、強がりの衝動を常に抱えているからだろう。posted at 2011年03月12日(土) 09:32:06〉

 菅首相は今回の地震をチャンスとして自らの情報発信力の一つに利用しようとしていたのではないだろうか。いいところを見せ、例え少しであっても支持率の底上げを狙って、カッコいいとこを見せようとした。

 ツイッターに次ぎのようにも書いた。〈菅首相にしたら、今回の災害を国民に指導力・危機管理能力あることを見せる絶好のチャンスと内心張り切っているのもかしれない。昨年10月のテレビ中継されたチリ鉱山落盤事故救出現場にチリ大統領が立ち会ったのは支持率を上げる目的からだと言われたが、実際にも支持率を上げることができたように。posted at 2011年03月12日(土) 09:33:00〉

 さらに福島第一原発1号炉のその後の事態の推移が菅首相の原発視察を無意味にしたことによって視察がマスコミを通じた国民への露出行為であったことを何よりも証明することになっている。

 第一号炉の事態推移を時系列で簡単に見てみる。

●陸上自衛隊がポンプ車2台と水タンク車2台で冷却水の注入作業に当たっていたところ12日午後3時半爆
 発。建屋の壁が崩落。
●原子炉内の温度が上昇し、冷却水が水蒸気化して燃料棒が露出し、炉心溶融が起きる。冷却させることが
 できなかった場合、最悪原子炉が入った格納容器の爆発もあり得るという。
●原子炉に海水を注入、冷却を図る方式に転換、12日午後8時から注入開始。
●海水注入の場合、原子炉を満たすのには5~10時間、格納容器を満たすのには「10日単位」の経過を必
 要とする。
●(「日テレNEWS24」冷却用タービンを三重県内の「東芝」の工場からタービンを陸路で小牧基地ま
 で運搬、自衛隊大型輸送機で12日午後9時半小牧基地を出発。福島県まで空輸。

 すべてが計画的な経過を辿った事態の展開となっているわけではなく、その場その場の追加策の形を取った展開となっている。このことは12日午後3時半爆発に対して爆発音から正式は発表が2時間後であること、「asahi.com」記事によるが、住民避難の半径10キロ内から半径20キロ内にまでの拡大指示が爆発12日午後3時半爆発から約3時間後であること、菅首相が自らの言葉で国民に伝えたのはさらにこの2時間後の午後8時半からの国民向けのメッセージによってだったことが何よりも証明している。

 いわば菅首相の福島原発視察は何の役にも立たなかったし、無意味だった。事態の悪化が図らずもそのことを暴露してしまった。

 また今後の対応策を与野党で話し合う12日午後の与野党党首会談の最中に1号機の爆発が起きていたにも関わらず、菅首相から野党党首に何ら話がなかったということも計画性を疑わせる事例となる。東京電力による原子炉に対する対策だけではなく、各方面に与える影響に対する対策や災害復興のための政府支出等に関しては野党も関わっていく問題なのだから、迅速に公表してこそ計画性を持ち得る。

 だが、逆であった。《党首会談中に福島原発で爆発 首相、野党に報告せず》日本経済新聞電子版/2011/3/12 23:12)

 〈菅直人首相が12日午後の与野党党首会談の席で、福島第1原子力発電所1号機の被災状況に関し「大丈夫」と野党側に説明していたことが分かった。1号機は会談の最中に爆発したが、首相からの報告はなかった。〉

 みんなの党渡辺喜美代表(放射性物質の濃度上昇や燃料棒の損傷について)「それはメルトダウンではないか」

 菅首相「メルトダウンとは考えていない」

 志位和夫共産党委員長(1号機の圧力容器の水位低下を指摘したうえで)「危険だ。万全な対応をしてほしい」」

 菅首相「大丈夫。上がってきている」

 菅首相は実際とはすべて逆のことを主張している。一種の情報隠蔽、もしくは情報操作に当たる。この理由を無理に考えるとしたら、自身が率先して原発を視察した手前、悪化方向への推移を認めたくなかったからではないだろうか。いい方向へ進んでこそ、視察は意味と価値を持ってくる。

 この勘繰りが当たっているとしたら、そう大きく外れていることはないはずだが、やはり自身の情報発信力が目的でマスコミに露出して間接的に国民の目に映るための視察だったと言える。

 記事は最後に次のように書いている。〈政府は首相が会談中に爆発の事実を認識していたかどうかを明らかにしていないが、志位氏は報告が無かったことなど一連の政府の対応について、加藤公一首相補佐官に電話で「無責任で怠慢な姿勢だ」と抗議した。社民党の福島瑞穂党首は「最悪の場合に備えて情報開示をしっかりし、10キロにこだわらず避難すべきだ」と主張。国民新党の亀井静香代表は会談で「いたずらに不安を醸し出すようなことをしては意味がない」と指摘した。〉

 もし菅首相が党首会談開催中だからと報告を入れなかったとしたら、危機管理上、そのことも問題となる。的確・迅速且つ正確な情報公開をも含めて、それぞれが役目上の義務と責任を果たさなければ、どのような事柄も計画性は持ち得ない。

 菅首相が今回の地震をチャンスとして自身の情報発信力に利用しようとした節は昨夜12日夜8時半頃からの国民向けのメッセージからも窺うことができる。首相官邸HPからの採録で、全文引用してみる。

 《東北地方太平洋沖地震に関する菅内閣総理大臣メッセージ》(首相官邸HP/2011年3月12日)

 地震が発生して1日半が経過をいたしました。被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、救援、救出に当たって全力を挙げていただいている自衛隊、警察、消防、海上保安庁、そして各自治体、関係各位の本当に身をおしまない努力に心から感謝を申し上げます。

 私は、本日、午前6時に自衛隊のヘリコプターで現地を視察いたしました。まず、福島の第一原子力発電所に出向き、その現場の関係者と実態をしっかりと話を聞くことができました。

 加えて、仙台、石巻、そういった地域についても、ヘリコプターの中から現地を詳しく視察をいたしました。今回の地震は大きな津波を伴ったことによって、大変甚大な被害を及ぼしていることが、その視察によって明らかになりました。まずは、人命救出ということで、昨日、今日、そして明日、とにかくまず人命救出、救援に全力を挙げなければなりません。自衛隊にも当初の2万人体制から5万人体制に、そして、先ほど北澤防衛大臣には、更にもっと全国からの動員をお願いして、さらなる動員を検討していただいているところであります。まず、1人でも多くの皆さんの命を救う、このために全力を挙げて、特に今日、明日、明後日頑張り抜かなければならないと思っております。

 そして、既に避難所等に多くの方が避難をされております。食事、水、そして、大変寒いときでありますので毛布や暖房機、更にはトイレといった施設についても、今、全力を挙げて、そうした被災地に送り届ける態勢を進めているところであります。そうした形で、何としても被災者の皆さんにも、しっかりとこの事態を乗り越えていただきたいと、このように考えております。

 加えて、福島第一原子力発電所、更には第二原子力発電所について、多くの皆様に御心配をおかけいたしております。今回の地震が、従来想定された津波の上限をはるかに超えるような大きな津波が襲ったために、従来、原発が止まってもバックアップ態勢が稼動することになっていたわけでありますけれども、そうしたところに問題が生じているところであります。

 そこで、私たちとしては、まず、住民の皆様の安全ということを第一に考えて策を打ってまいりました。

 そして、特に福島の第一原子力発電所の第1号機について、新たな事態、これは後に官房長官から詳しく説明をさせますけれども、そうした事態も生じたことに伴って、既に10キロ圏の住まいの皆さんに避難をお願いしておりましたけれども、改めて福島第一原子力発電所を中心にして20キロ圏の皆さんに退避をお願いすることにいたしました。

 これを含めて、しっかりとした対応をすることによって、一人の住民の皆さんにも健康被害といったようなことに陥らないように、全力を挙げて取り組んでまいりますので、どうか皆さんも政府の報告やマスコミの報道に注意をされて、冷静に行動されることを心からお願いをいたします。

 また今回の震災に対しては、オバマ大統領から電話をいただくことを始めとして、世界の50か国以上の首脳から支援の申し出もいただいております。本当に国際的な温かい気持ち、ありがたく思っております。

 有効にお願いできることについては、順次お願いをさせていただきたい、このように思っているところであります。

 どうか、まずは命を救うこと。そしてそれに続いては、避難政策に対しての対応、これはかつての阪神・淡路の経験を踏まえて、仮設住宅などいろいろな施策が重要になると考えております。そしてその次には、復興に向けてのいろいろな手立てを考えなければなりません。野党の皆さんも、昨日に続く今日の党首会談の中でも、特に復興については一緒に力を合わせてやっていこうという、そういう姿勢をお示しいただきました。大変ありがたく受け止めております。

 どうか国民の皆さんに、この本当に未曾有の国難とも言うべき今回の地震、これを国民皆さん一人ひとりの力で、そしてそれに支えられた政府や関係機関の全力を挙げる努力によって、しっかりと乗り越えて、そして未来の日本の本当に、あのときの苦難を乗り越えて、こうした日本が生まれたんだと言えるような、そういう取組みを、それぞれの立場で頑張っていただきたい、私も全身全霊、まさに命がけでこの仕事に取り組むことをお約束をして、私からの国民の皆様へのお願いとさせていただきます。

 どうかよろしくお願い申し上げます。

 国民が心配していることは被災者の救援・救出であり、避難生活者に対する食糧支援・居住空間の迅速な支援であり、さらに福島第一原発の推移であろう。

 こういったことの対策と実行の具体的な進捗状況の報告かと思ったら、原発視察前の記者会見で、「現在、10キロ内の避難を命令したところであります。指示をしたところであります」と自分を偉く見せる情報発信につい気を取られて、口を突いて出るはずもない「命令」という言葉を最初に使ってしまったように、自衛隊のヘリコプターで現地を視察した、役にも立たなかったにも関わらず原発を視察した、自衛隊員派遣を当初の2万人体制から5万人体制へと拡大したと、先ず自身が行ったことの説明を持ってきて自分を売っているところに地震をチャンスとして自身の情報発信力に利用しようとしている節が否応もなしに見えてしまう。

 その一方で被災者の救援・救出及び避難生活者への各支援の具体的な進捗状況に関しては、「既に避難所等に多くの方が避難をされております。食事、水、そして、大変寒いときでありますので毛布や暖房機、更にはトイレといった施設についても、今、全力を挙げて、そうした被災地に送り届ける態勢を進めているところであります」と具体的な進捗状況を伝えるのではなく、「態勢を進めているところであります」と準備段階であるかのように言う。

 勿論地震発生から30時間程しか経過していないという時間的余裕の問題もあるが、危機管理対応は初動が何よりも重要ではあるものの、初動段階を超えたなら、迅速・適切な具体的展開に重要度が移る。いわば初動に対する「結果責任」が唯一の問題点となる。「結果責任」に重点を置くべき意識を「態勢を進めているところであります」と準備段階にとどめているところに危機管理の甘さを見てしまう。

 また避難生活者への食料や暖房具等の支援は口にし、「まずは命を救うこと」と言っているが、建物の屋上等に取り残された被災者が何人程度で、全員の救出に成功したかどうかの説明を抜かしている。何よりも国民を勇気づける具体的な“結果”となったはずである。

 勿論、津波に呑み込まれた行方不明者の一人でも多くの救出も国民を勇気づける。そのことの報告を多くの国民が待ち望んでいるはずだ。

 要するにすべての成果を「結果責任」に持っていくべきを、その意識が希薄で、最初に自分が何をした、かにをしたと自慢話紛いのことを言い、締め括りに「どうか国民の皆さんに、この本当に未曾有の国難とも言うべき今回の地震、これを国民皆さん一人ひとりの力で、そしてそれに支えられた政府や関係機関の全力を挙げる努力によって、しっかりと乗り越えて、そして未来の日本の本当に、あのときの苦難を乗り越えて、こうした日本が生まれたんだと言えるような、そういう取組みを、それぞれの立場で頑張っていただきたい、私も全身全霊、まさに命がけでこの仕事に取り組むことをお約束をして、私からの国民の皆様へのお願いとさせていただきます」と立派なことを言われたとしても、自身を美しく見せ売り込む情報発信にしか見えないことになる。

 このことは政府の対応を検証する段階になっておいおいと明らかにされていくはずである。

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08年7月19日当ブログに《日本民族優越論そのままに日本人が優秀なら、竹島は韓国領有とせよ》と書いた

2011-03-11 09:49:50 | Weblog

  
 菅グループの顧問を務める土肥隆一民主党衆院議員が2月下旬、「日韓キリスト教議員連盟」のメンバーとして韓国を訪れて日本政府に対し、竹島の領有権の主張をやめることなどを求める共同宣言に署名していたということで、大騒ぎとなっている。昨3月10日(2011年)夜、いわゆる釈明記者会見を開いた。《土肥氏 政倫審会長など辞任へ》NHK/2011年3月10日 19時46分)
 
 土肥議員「こんなに大騒ぎになるとは思わず、心から国民、関係者におわびしたい。政治家としてたいへん不注意であった。不見識と言われても申し開きできない」 

 「竹島は、歴史的な経過から見ても固有の領土であることは間違いない。内閣の考えと一致した意見を持っている。ただ、韓国で生まれ、複雑な植民地時代の生活を経験している者として、『韓国』は重い課題だ」

 岡田幹事長「極めて遺憾だ。民主党の国会議員としては、到底認められない共同宣言だ。ただ、本人も『軽率だった』と深く反省しており、責任を認めて、けじめをつけたということだと思う。政治倫理審査会の会長の辞任については、国会対策委員会に速やかに手続きを取るよう指示した。党の常任幹事会の議長については、あす両院議員総会を開いて後任を決めたい」――

 竹島の領有権の主張をやめよう求める共同宣言に韓国のキリスト教議員連盟議員共々署名しながら、その行動が大騒ぎされると、「竹島は、歴史的な経過から見ても固有の領土であることは間違いない」と一転させるのだから、他の記事から見ても、どうも何らかの確固とした主張・信念に基づいて行動したというわけではないようだ。

 他の記事では既に名前が印刷されていて、署名自体はしていないと言っているが、名前が載っているのを承知していた上に共同宣言発表記者会見に出席もしていたというのだから、同調行為と見られても仕方がない。

 土肥議員が言っているように「竹島は我が国固有の領土だ」が実際の姿勢であるなら、問題は自らの主張・信念に従うのではなく、周囲の状況・大勢に引きずられてそのときどきの同調行為に走る貫く姿勢の不在であろう。この点、菅グループの顧問に位置しているだけあって、親分の菅首相から受け継いだ姿勢なのか、あるいは類は友を呼ぶ親近性からかグループを成すことになったのか、似た者同士となっている。

 菅首相が市民運動家だと言いながら、似ても似つかない現在の姿となっていることが貫く姿勢の尻切れトンボを何よりも証明している。 

 私自身も2年半以上前に当ブログに竹島の韓国領有を提案する記事を書いている。勿論、批判を受けて然るべき主張となるが、土肥議員が批判を受けている関係から、黙っているわけにいかず、ここに改めて再掲載することにした。
 

 《日本民族優越論そのままに日本人が優秀なら、竹島は韓国領有とせよ》2008-07-19 08:15:00)">

 文部科学省が中学校の新学習指導要領の解説に竹島は「日本固有の領土」とする文言を明記する方針を固めたところ韓国の反発を受けて、どう記載するか福田総理大臣の判断に一任した。国家の領土に関する問題だから、一行政機関の判断よりも内閣総理大臣の判断の方が韓国に対して効き目があるとでも思ったのだろうか。

 結果として「日本固有の領土」とする表現の明記は避けて、次のような記述となったという。

 ≪中学校学習指導要領解説 社会編≫(文科省HP)

 <「領域の特色と変化」の中の「領域」とは,領土だけでなく,領海,領空から成り立っており,それらが一体的な関係にあることをとらえさせることを意味している。

 「特色と変化」とは,「我が国の海洋国家としての特色を取り上げる」(内容の取扱い)とあることから,例えば,我が国の領土はたくさんの島々からなり,それらは弧状に連なっていることや,他の国々と国土面積で比較したり,領海や排他的経済水域を含めた面積で比較したりするなど,我が国の海洋国家としての特色を様々な面から取り扱うことを意味している。

 また,我が国は四面環海の国土であるため直接他国と陸地を接していないことに着目させ,国境がもつ意味について考えさせたり,我が国が正当に主張している立場に基づいて,当面する領土問題や経済水域の問題などに着目させたりすることも大切である。

 その際,「北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること」(内容の取扱い)とあることから,北方領土(歯舞群島,色丹島,国後島,択捉島)については,その位置と範囲を確認させるとともに,北方領土は我が国の固有の領土であるが,現在ロシア連邦によって不法に占拠されているため,その返還を求めていることなどについて,的確に扱う必要がある。

 また,我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ,北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。>・・・・・・

 非常にさりげない表現となっているが、まず「北方領土はわが国の固有の領土」の言葉を先に持ってきて、「北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。」と竹島を北方領土同様の扱いにしているのだから、例え「日本固有の領土」という直接的な表現はなくても、言っていることは誰が読んだとしても「竹島は日本固有の領土」としているのと同じである。

 首相官邸での「学習指導要領の解説書」に関する町村官房長官記者会見(平成20年7月14日(月)午後/「首相官邸」HPから)

 <大変ご関心をお持ちの方々も多いようでありますが、学習指導要領解説書における領土の扱いでございます。これにつきましては詳しくは文科省の事務方の方から事前の若干のブリーフがあったことと思いますけれども、お手元に文書はもう伝わっているのかな、まだですか。伝わっておりますね。はい。そういうような表現にしたところでございます。韓国は、言うまでもございませんが、日本にとって大変に重要な隣国でもあります、特に今年は2月の李明博大統領就任の際の福田総理の訪韓、或いは4月の大統領の訪日によりまして、シャトル首脳外交が軌道に乗り、日韓、二国間関係の強化のみならず、両国が国際的な課題にも共に取り組んでいこうという取組みが始まって、いわゆる日韓新時代を切り拓いていく、そういう動きが始まったところでございます。今後、日韓関係がギクシャクをするようなことになりますと、この新時代に向けた積極的な動きが頓挫するだけではなくて、6者会合プロセスであるとか、或いは拉致問題を含めた日朝間の諸懸案の解決にも悪影響を及ぼしかねないと考えております。加えて、現在の韓国のおかれました政治状況などを踏まえて、政府の中で、主管大臣である文部科学省を中心に外務省、そして私(官房長官)を含めて調整をしてきたところでございますが、今回、別添のような記載にしたところでございます。そういうことで、私共としては韓国への配慮を含め、また他方これまでの教育基本法の改正、またその後の中教審の答申等々を尊重して、その間の文部科学大臣の発言、国会でのご審議、国民の動き等を総合的に、主体的に判断をして、今回のような結論に立ち至ったということでございます。私(官房長官)からは以上です。>・・・・・・・

 「韓国への配慮」「主体的判断」が導き出した場面が駐日韓国大使の一時帰国命令、事実上の召還措置(≪新学習指導要領:「竹島」問題の中学校解説書記載 韓国、大使を召還’≫ 「毎日jp」7月15日(08年))であり、これは「01年4月の歴史教科書問題を巡る摩擦で崔相龍(チェサンヨン)大使(当時)が10日間帰国して以来」(同記事)のことだそうだが、米国産牛肉輸入反対デモから変じた在韓国日本大使館への抗議デモ(「17日昼までに鶏卵200個余りが大使館の建物に投げつけられたが、参加者は総計約1200人と小規模だった」毎日jp)、そして「韓国国会は15日、『独島守護・歴史歪曲対策特別委員会』を新たに設置して、国会議員が抗議のため集団で訪日することを決めた。」(≪韓国議員、訪日し抗議へ 大使館前で集会続く)47NEWS/2008/07/15 22:09【共同通信】)、さらに韓国駐日大使による「竹島問題で日本が是正措置を取らなければ、拉致問題やエネルギー支援など6カ国協議での日本への協力姿勢を変更する可能性の示唆」(≪「竹島」学習指導要領解説書記載 韓国大使、6カ国協議での姿勢を変更する可能性示唆≫FNNニュース/07/17 20:59)といった頭を「主体的」に捻りに捻った「配慮」にふさわしい日本政府が回避意図した「日韓関係がギクシャクしない」を裏切る「日韓新時代を切り拓いていく」に違いない数々であったらしい。

 このことに関する自民党の伊吹文明幹事長の言動を「MSN産経」記事(≪【竹島問題】伊吹幹事長「国際司法裁判所で解決を」≫2008.7.15 11:19)が次のように伝えている。

 <自民党の伊吹文明幹事長は15日午前の記者会見で、中学社会科の新学習指導要領解説書の竹島に関する記述に韓国が反発していることについて「事実関係を淡々と書いており、韓国にもそのことをよく説明しなければならない」と述べ、韓国側に冷静な対応を求めた。

 その上で伊吹氏は「(竹島の領有権を明らかにするため)国際司法裁判所に提訴し、ここで解決するのが国際的なルールだ」と語り、提訴に応じない韓国側を暗に批判した。>・・・・・・・

 確かにさりげなく「淡々と書いて」いる。日本だけの「事実関係」ならそうも言える「淡々」さだが、あいにくと日本だけで済ますことができる「事実関係」ではない。だからこそ、「国際司法裁判所に提訴し、ここで解決するのが国際的なルールだ」と言っているのだろう。日本だけの「事実関係」でないのに「淡々と書いて」いると言える神経はさすがに自民党政治家の中で幹事長だ閣僚だと出世できる才覚の持主だけのことだけのことはある。

 韓国に提訴に応じるように説得して両国共に国際司法裁判所に委ねた判断に従うべきが順序であるはずが、伊吹自身は順序を逆にしていることに気づいていない。

 どちらの領土か決着が先決であるはずが、それをせずに「こっちの領土だ」と一方的に新学習指導要領に記載したからといって向こうは向こうで「こっちの領土だ」と言っているのだから、無事で済むはずはないし、勿論「実効支配」が韓国側から日本側に移行するわけでもない。

 それとも韓国のナショナリズムを刺激するのは承知していて、それと響き合わせる形で日本のナショナリズムをも刺激し、支持率沈没寸前の福田内閣浮揚の奇策にでもしようとしたといった魂胆だったのだろうか。

 だとしたら、差引き計算が問題となってくる。生活上の腹の足しに直接的に結びつかない領土問題と腹の足しに常に関係してくる経済格差(収入格差)や医師不足、介護費、年金、物価等の問題とどちらが恒常的に把えられるかである。

 ナショナリズムは個人を国民の位置に立たせるが、生活上の問題は個人を生活者の位置から離さない現実問題として横たわることになるから、後者の方が恒常性はより強いはずである。

 政治とはより自由でより十全な人間活動を保証する社会を様々な制度や法律によって創造し、構築していく能力のことを言うなら、何よりも生活上の問題解決を政治に於ける最優先課題としなければならないし、そういった点からも、領土問題で刺激を受けたナショナリズムは長続きしないに違いない。

 そのことは上記「毎日jp」記事(≪新学習指導要領:「竹島」問題の中学校解説書記載 韓国、大使を召還’≫ )が伝えている「01年4月の歴史教科書問題を巡る摩擦で崔相龍(チェサンヨン)大使(当時)が10日間帰国」しただけで帰任した過去の事実が証明してもいる。

 いわば学習指導要領解説に新たに付け加えた記述を削除しようがしまいが、竹島領有権問題は未解決なまま推移することになるだろう。削除せずに済ますことができたとしても、平行線を辿っていることに変化はない以上、日本側の自己満足で終わる可能性が生じる。記述自体が目的と化す自己目的化へすり替わらない保証はない。

 例え生徒に「竹島は日本固有の領土」と教えてそうであることを信じ込ませることができたとしても、韓国も領有を主張している関係からそれが日本人のみの知識となった場合、単に縄張りを主張するセクショナリズムの側面を抱えかねない。

 当ブログ『ニッポン情報解読』by手代木恕之・《パレスチナの取る道――世界を領土とせよ/かつてのユダヤを倣う≫(2006.4.1)で竹島問題も取り上げている。再度ここに掲載してみる。

 <世界は急速にグローバル化している。グローバル化に応じて、国境を自由に跨ぎ、世界を一つ舞台とした人間の往来と活動が激しさを増している。領土はもはやその絶対性を失いつつあり、国家の管理と自由な相互関係との二重性を持つに至っている。多くの人間がそのことに留意しないだけである。その流れを利用して、領土の分割を超え、世界全体を機会実現の領土とする、いわば領土の従来的性格の相対化を図るべきではないか。

 ユダヤ人はその逆をいって、イスラエルを獲得した。ならば、パレスチナ人はさらにその逆をいって、現在のグローバル化と同調し、世界を領土とすべきだろう。現在のパレスチナの土地から比べたら、世界は無限の広さと可能性を持つ。

 現在パレスチナ人の多くが自国で仕事を得ることができずに、イスラエルやアラブ諸国に出稼ぎに出ている。その送金はパレスチナGDPの相当部分を占めるというが、多くは単純労働で得た稼ぎだという。しかし、祖国に仕送りしたそのカネを優先的に子どもの教育に投資し、国もその予算の多くを教育政策に割き、小中教育の設備を整備充実させて、まずは子どもたちの知識・教養を高め、一定の年齢に達したなら、単純労働ではなく、さらに上の技術や学問を目指して留学や研修の形で海外に出すことを国の政策とする。

 他に誇ることのできる技術や知識を獲得した者がその国の企業に職を得るのもよし、研究所に勤務するのもよし、その国の国籍を獲得するのもよし、自国に戻って、パレスチナの発展に尽力するのもよし。それぞれの選択にかかっているが、世界を領土とする目的から言ったら、海外を恒久的な活躍の場とすることの方が優先事項とされるべきだろう。頭脳流出といった側面も弊害として生じるだろうが、100人が100人帰国しないわけではないだろうし、海外成功者は祖国の子どもの教育に何らかの手を差しのべる援助を慣行としたなら、教育投資の循環が教育そのものへの意識を継続的に高めて、次に続く者の教育意欲を刺激し、そのようにして得た教育の質がパレスチナ人一人一人の生産活動とその生産性を良質なものにしていくことに役立つに違いない。

 あるいは教育産業をパレスチナの一大重要政策として、各種研究所や大学といった教育機関、国際機関等を外国から誘致し、海外進出者のUターンの場とすることで、パレスチナ人頭脳流出の防御壁とすることも考えられる。

 勿論時間はかかるが、軌道に乗ったなら、1948年の第一次中東戦争からの現在までの時間を無駄に過ごしたことに気づくのではないだろうか。世界のグローバル化がインターネットの普及などによって情報の加速度的な伝達と流通にも及んでいて、その広範囲・迅速さの恩恵を受けて、従来以上のスピードでパレスチナ人の才能の底上げは可能となるに違いない。1975年のサイゴン陥落前後から始まった南ベトナム人難民の海外で教育を受けた年少者の少なくない者が高々30年の年月を経ただけで、その国で高度な職業に就くに至っている。

 かつて紀元前に国を失ったユダヤ人は流浪の民と化して世界各地に散り、「十九世紀なかばに西欧諸国でユダヤ人の解放が行われるまで、周知のように金貸しが彼らに許されたほとんど唯一の生業だった」(『ヒトラーとは何か』セバスチャン・ハフナー著・赤羽龍夫訳・草思社刊)が、多分そのことが幸いして、手に入れたのが歓迎されざる資産家の地位であったとしても、カネの価値に代わりはなく、他国人の仲間に入れない埋め合わせを金貸しの利子で得たカネをふんだんに使ってユダヤの仲間同士で、あるいは個々に読書や音楽、絵画や彫刻といった芸術鑑賞・趣味で肩代わりさせて自らの生活を充実させ、金貸しの裏に併せ持ったそのような私生活を親から子へ、さらに孫へと代々受け継いで2000年近くに亘った流浪の年月を満たしてきたのだろう。その成果が各種才能への開花を促し、単なる金貸しからの大いなる発展をもたらしたのではないだろうか。

 「おおざっぱにいって、十九世紀なかば以降、ユダヤ人が一部は天分により、一部は、否定できないことだが、彼らの強い結びつきにより、多くの国々の多くの分野で指導的な地位を占めるようになったのが顕著に認められた。とくに文化のあらゆる領域で、それにまた医術、弁護士業、新聞、産業、金融、科学および政治の分野でもそうであった」(同『ヒトラーとは何か』)

 ユダヤ人の「天分」は決して民族的に生来的なものではなく、幾世代にも亘る学問や芸術に対する継続的な親しみによって培われた才能であろう。食うや食わずの生活環境であったなら、読書や芸術に親しむ余裕は生まれない。才能を開花させる機会に恵まれるためには親しむ余裕を十分に持てる資金(カネ)をつくり出すことから始めなければならない。

 ただでさえ差別や迫害を受けていたユダヤ人がナチスドイツのホロコーストを受けて、シオニズム思想に則った自国領土所有への意識(国家建設への意識)が高まったことは理解できるが、現在のグローバル化の世界にあって、領土を世界に向けた発信基地と考えた場合、領土は世界に於ける単なる一時的滞在地と化す。領土の相対化である。

 自国から一歩も出ない人間であっても、外国の生産物の(工業製品や農業製品だけではなく、映画や書物、絵画といった創作品まで含めて)恩恵を受けている。

 領土の相対化という観点から考えると、日本と韓国の間の竹島領有権の問題、中国との間の尖閣列島の領有権も問題も、小さく見えてくる。

 もし日本が自らの才能・技術に自信があって、日本の領土を超えて世界を舞台に活動できる力を持っているなら、すべてを譲れとは言わないが、二分割するとか、共同領有とする選択肢も可能ではないだろうか。だが、海外での活躍はインド人や中国人に見劣りがするのは、その伝統性から言っても、如何ともし難いようだ。>――――

 日本は暗記教育を知識授受の基本としていたとしても高等教育制度が充実し、その恩恵を受けて教育文化の高度な蓄積を果たし、世代から世代へと受け継いでいる。

 竹島を韓国領有とすることは日本の排他的経済水域といった問題にも関わってくるが、日本人が自ら信じている「日本民族優越論」そのままに日本人が優秀なら、竹島放棄によって招く様々な経済的利益の損失を世界を活躍の領土・機会実現の領土とすることによって補い、失う経済的利益に優る経済的利益、と同時にインド人や中国人に見劣りしない海外での活躍という名誉の獲得を目指す道の選択こそが日本人を大きく見せることになって得策ではないだろうか。

 「Wikipedia」によると、中国人科学者銭学森氏は(1911年12月11日~ 2009年10月31日)は1935年に公費留学生として渡米し、マサチューセッツ工科大学に入学、共産主義者として軟禁されるが、1955年に軟禁を解かれて朝鮮戦争の米軍捕虜と交換で中国側に引き渡されたのち、中国のロケット開発に貢献、「中国宇宙開発の父」と呼ばれるようになったということだが、少なくとも精神的には中国という領土に拘らずに世界全体を機会実現の領土とした結果の中国に於ける成果ということができるはずだ。

 そして往々にして世界中の多くの人間から特にアメリカは機会実現の領土として憧憬の対象とされていて、実際に利用もされている。成功者にとって、地理学上の領土は相対化を受け、従来の固定観念を薄めることになるはずだ。

 竹島に関しては二分割するとか、共同領有、あるいは韓国領有としたとしても、その代償として日本人の多くが、特に将来を担う日本の若者が「世界全体を機会実現の領土」とする理念を自らのものとし、多くがその理念を体現すべく日本の領土を超えて世界に羽ばたき、体現した才能・経験を日本に持ち帰って政治や科学、産業等のそれぞれの分野に役立て、日本の発展・国力向上に貢献した場合、竹島で失う領土上の損失の代償は理念体現の代償と差引きして決して劣ることはあるまい。

 日本に帰国するパターンが少なくても、諸外国で活躍する日本人の姿が日本人全体に与える自信は日本の発展・国力向上を約束する期待要素となり得る。

 北方四島に関しては歴史的に原住者であったアイヌ民族の領土とすべきだと主張している。

 参考までに(《北方四島返還の新しいアプローチ/先住アイヌ民族と現住ロシア人との共同独立国家とする案 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》

 日本民族はアイヌ民族を差別・虐待し、その土地を奪い、結果的に人口抑制にまで手を貸したはずだ。北方四島をアイヌ民族に返還することによって、これまでの歴史的に長い時間かけた収奪に対する日本民族の代償となるはずである。少なくともその努力をすべきだと思う。

 尖閣諸島に関して言うと、ナショナリズムからではなく、純粋に政治的な意味で日本領土であることを主張している。日本の政治・外交はアメリカに対して追随的姿勢しか維持できない。中国が日本以上に大国となることによって、対米追随姿勢が大国中国に対する日本の姿勢として反映されていいわけはない。政治・外交全般に亘る日本の対中姿勢は中国も領有権を主張する尖閣に関わる日本の対中姿勢が試金石となって反映されるはずである。

 だが、菅内閣は昨年9月の尖閣問題では毅然とした態度を取ることができず、対中追随の姿勢に終始した。このことが日中首脳会談開催要請にも反映されて、開催をお願いする態度に終始したため、結果的に中国を上に置き、日本を下に置く上下関係を構築することになった。

 一事の関係が万事に於ける関係へと恒常化しない保証はない。多くの場合この逆の力学が働き、一事の関係が万事に於ける関係へと恒常化していく。

 例え相手が日本よりも政治的・経済的に大国であっても、最大限対等の関係でなければならない。中国との対等関係構築は偏に尖閣問題に於ける日本の対中姿勢にかかっているはずだ。相互反映としてある対等関係でなければならない。

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メア発言:日本政府は仮定事実として距離を置き、米政府は事実として動く

2011-03-10 11:40:38 | Weblog



 3月8日午後の枝野官房長官記者会見のメア米国務省日本部長発言に関する枝野発言を取上げてみる。言っていることは先にブログで取上げたことと同じことの繰返しで、「沖縄の人々の心情を踏まえて」と言いながら、アメリカとの相互理解に齟齬を来たすことだけを恐れる余り積極的に問題解決に動く意思を持たず、自らの手による事実確認に腰を重くすることになっている。

 その結果アメリカ側の対応のみに期待して問題解決を図ろうとする事勿れな他力本願が常に日本政府をしてアメリカ側に立たしめ、その反動として沖縄を問題解決の場外に置く沖縄差別を行っている。

 そのため政府が待ちの姿勢でいる間に県議会や名護市議会で抗議決議が着々と成立することとなっている。

 この記者会見を窺うだけでも枝野を筆頭に菅内閣が如何に詭弁と誤魔化しに満ち、事勿れに終始しているか知ることができると思う。

 以下、トンチンカンな解説は青文字で最小限に抑えて、記者会見の冒頭発言と遣り取りを記載。注意すべき発言と思われる箇所のみマーカーをつけることにした。冒頭発言はテキストから採取。

 《2011年3月8日午後官房長官記者会見》

 枝野「ルース駐日大使と電話で対談をいたしましたので、そのご報告をいたします。

 先程、15時25分頃より約15分間、メア(米)国務省日本部長の発言とされる報道に対して、ルース在京米国大使と電話会談を行ないました。この中で私(官房長官)からは以下のようなことを申し上げました。

 『昨日、大使館が迅速に声明を出され、それを拝見をいたしました。報じられている内容が米国政府の公式な見解とは全く異なるという点には理解をしました。また、私(官房長官)自身、報道されているような内容が米国政府の考え方を反映したものではないと信じております。しかし、万が一報道されているメア(米国務省日本)部長の発言が事実だとすれば、オフレコかどうかに関わらず、国務省日本担当責任者の発言として極めて不適切であり、沖縄県民のみならず日本人の心情を著しく傷つけるものであり、容認し難いものであります。

 また、そもそもこのような報道が出ること事態、極めて遺憾であり、日米同盟のマネージメントの観点からも極めて好ましくありません。アメリカ側として、沖縄の人々の心情を踏まえた上で、今後の対応を然るべく取られるようお願いをしたい』と。以上のことを申し上げました。

 これに対してルース大使からは、私(官房長官)が述べた点について、『自分としても、大使としても、全く同感でありこのような報道により、沖縄県民の心情を深く傷つける深刻な事態になってしまったことを極めて遺憾に思う。報道の内容は聊かも米国政府の公の立場を反映したものではないし、米国、そして大使ご自身も沖縄の人々に対し深い敬意を抱いている。米国は沖縄とは永く深く幅広い関係を有しており、今後もその発展のために努力をしていく。また、米国として、今回の報道により生じてしまった状況を克服するべく、誠心誠意努力をしていきたい」と。以上のようなお話をルース大使の方からいただきました」

 (枝野は報道が出たことを問題としている。)

 《質疑応答》

 記者「日本テレビの倉本(?)ですけれども、その件に関しまして、その、メアさんに直接にですね、あの、事情を聞くとか、そういった、その発言があったか、もしくは枝野さんがそういったことを要請したと言ったことはあったでしょうか」

 枝野「あのー、おー、ま、具体的にはアメリカ、政府の、日本担当部長の、おー、ことでございますので、私からは先程申しましたとおり、沖縄の人々の心情を踏まえた上で、今後の対応を然るべくされるよう、お願いを申し上げました。

 えー、事態を、おー、おー…、重視、してですね、受け止めていただいているというふうに思っております。電話での遣り取りでですね。

 えー、従いまして、私のこうした発言に対してですね、しっかりとした対応を取っていただけるものと、あー、思っております」

 NHK記者「えーと、電話会談の中で、あの、アメリカ側からですね、その、メア部長の発言が真実あったかどうかについての言及があったのでしょうか」

 枝野「あのー、そのことについての具体的な言及はありません」

 (尋ねもしなかった。事勿れな姿勢がどの程度か窺うことができる。)

 NHK記者「今回のこうした事態がですね、今後沖縄の基地問題に対してどのような影響を与えるとお考えでしょうか」

 枝野「あのー、こうした報道が出ていること自体ですね、沖縄県民の皆さんの心情を大きく害するものであります。えー、しっかりとしたですね、特に米国側のですね、対応を取っていただきませんと、おー、こうした国民、特に県民、特に県民のみなさん、おー、感情ということでは、あー、影響が出ることが懸念をされると、いうふうに思います。

 しかし米国政府に於いてですね、あの、しっかりとした対応をしていただけるものと思っております

 記者「あの、この会談はどちらが呼びかけたものですか」

 枝野「えっ?これはルース大使のほうから、あの、話をしたということで、えー、お話がありました

 記者「(声がはっきりと聞こえないが、枝野官房長官の参議院予算委員会での答弁と7日の記者会見の発言、さらにルース大使との電話会談での発言ではメア発言の受け止め方が変わっているようだが、何か理由があるのかといった質問。)」

 枝野「あのー、きのうの段階では、あのー、報道があった、ということにとどまるものでございます。そして、あのー、それを受けてですね、ま、現実にその報道で、エ、沖縄の、みなさん始めとするですね、あのー多くの県民、そして日本国民、心情が傷つけられている。そのことは、あのー、今日も、このこと自体を考えるということを伝えましたけども、おー、そういった意味では報道が、加味されてる状況が理解が変わっているということだと思っております」

 女性記者「今日の電話会談はルースさんの方からということなんですが、あの、まあ、沖縄の県民が傷ついている、そういった意味では、日本人の尊厳が傷つけられているというふうに理解できると思うんですが、日本政府側から、その、米側に、あのー、電話をしたのですか。ではなくて、という報道にならなかったのはなぜですか」


 枝野「あの、これは、えーと、事務レベルで、こちら側の、懸念と遺憾の意は米国大使の方で、その前に伝えております。これを踏まえてですね、えー、大使の方から、あー、直接私と話しをしたいと、いうことであって、こういう経緯でございます

 女性記者「その事務レベルいうのはいつ、どなた、名前で、どなた宛に」 
 
 枝野「えーと、今、メモを貰います」

 事務方からメモが届く。

 枝野「先程の件でございます。今日の午前、昨日ですね、ハイ。今日の時点で外務省の、課長レベルで、えー、在京大使館の課長にこうした、まあ、懸念と遺憾を伝えております。

 それを踏まえて、まあ、午前中から、あのー、どこかで、私と話をしたいということで、調整がありまして、えー、ま、国会その他の状況で、3時25分ということで、いう経過です」

 女性記者「関連で、あの、まあ、昨日と今日とで状況が変化したことで、あの、長官の発言も変わられているという説明があったと思いますけども、その変化の一つで、沖縄の県議会で、抗議決議が出されたという、あの、県議会で決議がされましたが、改めて県議会の決議、どのように受け止めておられますか」

 枝野あの、報道されているような発言が事実だとすれば、あー、沖縄県民の皆さんの思われている、受け止められている思いというのは私も、当然のことだと、いうふうに思いますし、そうしたことを踏まえて、沖縄県議会のみなさんがそうした対応をされたことについては、十分理解ができるところでございます」

 ま、その上で、えー、米国政府、としてですね、あの、然るべく対応していただきたいと、私からも申し入れましたし、エ、それについてはしっかりと、真摯に受け止めて、対応していただくことによってですね、ま、県議会の決議、イー、の、背景にある県民のみなさんの、思いというものに、米国政府としても、きっちりと、応えていただけると思いますし、日本政府としてもですね、そのことに向けて米国政府に対しての関係、えー、で、様々な連絡を取らせていただきたいと思っております」

 記者「毎日新聞の景山です。米国政府は然るべき対応をしてほしいというのは中には当然、・・・・(早口になり聞き取れない。)メア発言の事実確認も含まれるということでよろしいでしょうか」

 枝野「あのー、これはもう、ルース大使と私の話の中でのですね、ルース大使の事態を、あの、重視して、あの、受け止めておられますし、あのー、沖縄県民の、おー、心情、おー、が、あの、現に害されている、ということについて、あの、深刻に受け止めて、極めて遺憾に思っているということもいただいておりますし、具体的にどういう対応を取っていただくかということは、ま、一義的にはあー、ルース大使、初め大使館のみなさん、そして米国国務省に於いて、えー、対応をしていただく、こう考えておりますが、あー、適切に対応されることを期待しておりますし、信頼もしている」

 時事通信記者「えーと、昨日の会見で、その、官房長官は事実と異なる報道だと思われるというふうにおっしゃいましたけども、現時点ではメアさんの発言は少なくとも事実である可能性があるというふうに、あの、お考えになっているということでしょうか」

 枝野「あの、昨日も、あの、質問していただいたので、そこできちんとお答えしたかと思いますが、事実、でないと、メアさんが思ってらっしゃると想像される、発言、報道ぶりであって、そういう趣旨のことは申し上げました。

 つまり、こういう発言があった、あー、という報道があって、それに対してメア部長の、えー、コメントが載っていた。その報道の見る限りでは、あー、メア部長は事実ではないというふうに受け止めてらっしゃるようだと、想像できるということを、申し上げたということでありまして、それに対してどう対応するのかと、いうことについては、一義的には、あー、メア部長なり、イー、米国側で、えー、お考えになるとことだと、このことを申し上げたのであって、この報道さていることが、事実であるかどうかについて、現実では私のところ、あるいは日本政府としての材料を持っておりませんので、何ら、評価できるものではありません。

 但し、こうした報道がされていること自体、そのことによって沖縄県民、そして日本国民、の心情が害されていること自体遺憾であるというふうに思っておりますし、そのことはルース大使にも、アー、お伝えいたしました」

 (ルース大使は発言を事実としているから電話会談を行った。事実としていなければ、「報道は事実でない」とする声明を発表すれば済む。だが、多くの大学生が耳にしていることで否定できないために、事実として行動を取ることになったのだろう。にも関わらず、枝野はメア自身の発言否定を優先させている。)

 記者「そしてですね、あのー、昨日の会見の中で、日米間の関係の中で、報道の書いてあるだけで、クロだと言うのはある意味問題だと。これ聞きようによっては、そのー、日米関係を重視すれば、こうした発言は無視しても構わないというふうに聞こえますけども、現時点で、今の時点で、昨日の発言は適切であったとお考えですか

 枝野あのー、私が申し上げたのは、、報道にも色んな報道がありますし、それによってその報道を、どう受け止められるか、という色々なケースがあります。あのー報道といっても、そのー、色んなものがりますからね。というようなことで、単に報道されたということだけを以って、えー、だけでは、あー、ということで昨日の発言を申し上げました。

 現に、イー、沖縄のみなさん初めですね、日本人の多くがその報道を見てですね、えー、恐らくその発言が真実の可能性高いと、多くの、特にみなさんが受け止められて、沖縄の県議会では決議を纏めるという事態に至ったんだというふに思います。

 それはそういったことで事実を踏まえて、しっかりと対応すべきだと思います」

 (政府は「事実を踏まえて、しっかりと対応」していない。)

 記者「沖縄の動きを以って、政府は思い腰を上げたというふうに見られますが、政府の対応はこの間、十分だとお考えになるでしょうか」

 枝野「あのー、敢えて申し上げれば、あのー、当然予想される対応であるというふうに思えますし、思っておりましたし。えー、しかしですね、それはまさに、これは申し訳ないんですが、報道機関のみなさとの関係に於いては、報道だけで、えー、テープが、公式に、イー、動いていたかどうか、ということは、これはまた、別の問題だ、というふうに思っております。

 えー、報道や、それが与える影響、あるいは報道が、実際に、イー、報道の、おー、ユーザーのみなさんから、どの程度真実性を以って受け止められるか、ということ、それによって様々な、社会的影響が出る、ということを踏まえないとですね、あのー、繰り返しますが、報道にはいろんな種類がございますので、えー、報道だけで、えー、聞かれたり、報道だけで対応を求めたりするということはなかなか困難だと、その趣旨を申し上げました

 (だったら、率先垂範して積極的に報道が事実かどうかの確認に動けばいいが、それをせずにいつまでも報道だけの問題だと取り扱う誤魔化しを働いている。)

 記者「政府の対応は問題なかったということですか」

 枝野「それは問題なかったという風に思っております」

 記者「それとですね、報道が出たこと自体が問題だというふうなことであれば、メア部長はこの後も続けることは適任だとお考えでしょうか」

 枝野「それは一義的には、あの、米国政府から任命されている方でいらっしゃいますので、あー、一義的には米国政府が、あー、考えることだと思います」

 記者「テレビ朝日の――です。直接の対応を求めるということなんですけど、そんなに調べるのに時間がかからないと思いますが、どのくらいまで事実関係を調べられるのか。それで事実であれば・・・・・(聞き取れない)」

 枝野「あのー、これは、あのー、二国間関係のことでありますし、米国政府の公式な立場、ルース大使の、大使としての、責任ある立場でのご発言、えー、このこと自体ですね、受け止めていただいているということを前提にして、おります。その前提のことでですね、具体的な対応、しっかりと取っていただくことをお願い申し上げたし、しっかりと対応すると言っていただいておりますし、その具体的な中身については、これ二国間の、相手の国のことでございますので、一義的にはルース大使を始め、米国の国務省に於いて適切に対応していただく、ということだと思っています」

 記者「産経新聞の小田(?)ですけども、えーと、その日本部長なんですけども、米国の本部長という役職は、ま、要職にあるとお考えですか。つまり要職でない人の発言であったなら、問題にもならないでしょうし、要職だと把えているから問題だと把えてるんでしょうか」

 枝野「一義的にですね、他国の、外交関係者のポジションを、要職であるとか要職でないとか、ということを、まあ、そのアメリカから見れば、相手国である日本の立場から申し上げるのは、いずれにしても失礼だろうというふうには思っております。

 えー、ただ、あー、国務省の、日本部長という立場の方が、報道されていることが事実だとすれば、こうした発言をされることは、アー、容認し難いと申し上げております

 記者「ルースさんと電話会談したのは、・・・(枝野がどういう立場で行ったのか聞いたらしい)」

 枝野「あのー、敢えてですね、えー、どの立場であるということは申し上げませんでした。あの、外務大臣の臨時代理、であり、官房長官であり、沖縄担当大臣であるという三つの立場を私は今兼務しておりますので、あのー、その立場、三つの立場を兼務しているという立場で、えー、米国政府の日本における代表者であるルース大使と、電話でお話をさせていただいたということです」

 (どの立場かを話すのに長々と。)

 時事通信記者「再度メアさんの話に戻るんですけども、そこでその、メアさんの適格性について、一義的には米政府が考えることだとおっしゃいましたが、そのある意味、沖縄がこれだけ反発している中で、政府の発言としては他人事のような響きに聞こえますけども、その、メア氏は今後、米国政府が続投させた場合ですね、あのー、日本政府としては、そのー、普天間移設に関与するということについては、異論がないということなのでしょうか」

 枝野「あのですね(笑いながら)、アメリカ政府の、おー、職員の、おー、人事のことで、ございます。えー、もし、例えば日本の外務省の何とか局長は的確でなかったら替えろ、と、どこか第三国からですね、日本政府が言われたら、それは、ま、いわゆる広い意味での内政干渉に当然なるんだろうと、いうふうに思います。

 従いまして、直接に、イー、その部長がどうこういうについて日本の政府として申し上げるべきではないというふうの思っています。

 ただ、あー、今おかれている客観的な状況については、あー、今日、私、ルース大使と電話でお話をいたしまして、ルース大使もしっかりと共通した認識をお持ちだというふうに思っておりますので、そのことを前提に適切に対応されるものと、いうふうの思っています」

 (沖縄の反発に目を向けていない。勿論普天間の沖縄県内移設に絶対反対を貫くだろうが、その他の交渉でもメア発言が拒否する理由となる。)

 記者「あの、それとですね、これだけ報道されて時間が経っている中で、米政府、あるいはメア氏が、この内容を否定できないということについてどのようにお考えになっているのでしょうか」

 枝野「そうしたことを含めてですね、先ずは一義的には米国政府としてですね、これ米国政府も米国外務省もですね、日本や沖縄との、おー、関係をですね、えー、悪化させてはいけないと、おー、おー、そして、えー、米国政府も、考えというものを持ってですね、えー、沖縄に、みなさんに対する思いとかですね、えー、そういったものが誤解された形のままではいけないと、いう思いは、ルース大使始め、当然、アメリカ国務省も、アメリカ政府も、共有していただいているというふうに私は思います。

 そのことは先程のルース大使との電話会談でも、確認できたことだということだと思っております。そのことを大前提とした上で、あの、米国政府としてですね、えー、日米関係、あるいは沖縄のみなさんの心情、そういったことに対してですね、しっかりと踏まえた、対応していただくことを、日本政府としては、あのー、申し入れたということでございます。そうした対応をしていただけるものと、期待をしております」(以上)

 (日米両政府が話し合って、善後策を講じ、沖縄側が納得する内容で善処させるといった主体的取り組みができない。最後まで他力本願のアメリカ任せ。

 今朝の「YOMIURI ONLINE」が、米政府が沖縄県民について「ごまかしとゆすりの名人」などと発言したと報じられていた国務省のケビン・メア日本部長を更迭する方針を9日固め、日本政府に伝えたと報じている。アメリカ側は発言を事実として手を打つ行動に出ている。

 だが、日本側はこれまで発言を仮定事実だと距離を置き、アメリカ側の対応に期待するだけで、自身では何ら手を打とうとしない。)


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