東北地方太平洋沖地震を機に国策で脱原発・達燃料電池

2011-03-25 10:09:21 | Weblog


  
 燃料電池の開発はどれくらい進んでいるのだろうか。燃料電池とはご存知のように水素と酸素で成り立っている水(H2O)を水素(H)と酸素(O)に分離する電気分解の原理を逆利用して、水(H2O)を水素(H)を化学反応させて電気をつくる発電装置を言う。

 水(H2O)と水素(H)を化学反応してもとの水(H2O)に戻るから、排出するのは水(H2O)のみで、排気ガスの流出はゼロでクリーンエネルギーと言われている。但し現在小規模ながら普及している家庭用燃料電池は都市ガスやLPガス等から取り出した水素と空気中の酸素を利用しているために排気ガスは少し出るらしい。

 家庭用燃料電池が各家庭に普及した場合、発電所や送電線が不要となり、膨大な省資源の実現につながると既に久しく言われている。勿論、発電所の中には原子力発電も含まれている。

 今回の東北地方太平洋沖地震は原子力発電に対する安全対策が自然災害の前に如何に脆弱であるかを証明した。地震列島日本に立地している以上、他の原子力発電所も同じ運命にあると言える。

 今後どれ程に膨らむか分からない福島原発事故や計画停電、さらに放射能汚染農産物や畜産農家の原乳等に対する被害額は計算に入れていない地震のみの被害総額は16兆~25兆円と政府試算は弾き出している。

 計画停電が与える経済活動に与える損失一つとってもバカにならないに違いない。

 今後30年前後以内の東海・南海同時地震も予想されている。政府も開発に力を注いでいる燃料電池を原発に替える安全エネルギー・温暖化防止エネルギーとして早急に「脱原発・達燃料電池」を図る必要に迫られているはずだが、そういった姿勢が見えないのはその姿勢に至っていないということなのだろうか。

 どこに大規模地震と地震に伴う大津波が襲ってもおかしくない地震列島を立地としている原子力発電所の危険性を排除し、地球温暖化の元凶でもある二酸化炭素の排出防止を伴う可能な限りのクリーンなエネルギーに持っていくためには燃料電池の普及以外に道はないはずである。

 車も原子力や水力や火力といった発電所が作り出した既存の電気を充填させて走行させる先行的に発展途上にある電気自動車と違って、既存の電気を不要とし、自ら電気を作りながら走る燃料電池車を理想のクリーンカーとして開発が進んでいる。

 2010年03月26日のネット記事――《月額84万円:水道水で車が走る?!》(<bBLOGOS>/2010年03月26日08時23分)が既存の電気エネルギーから燃料電池への転換を謳っている。(文字強調は筆者)

 〈木村剛
金融コンサルタントであり、株式会社フィナンシャル代表取締役社長、ナレッジフォア株式会社代表取締役社長、日本振興銀行株式会社取締役会長を勤める。

 皆さん、こんにちは。木村剛です。「ただいま満席!日替わり定食Blog」さんが「先日、新聞を読んでいると、驚くべきニュースに出会いました。なんと、「水道水で車が走る!?」のだそうです…ホントです。」と伝えてくれました。

 ホンダの米研究開発子会社は、究極のエコカーとされる「燃料電池車」に、燃料の水素を家庭で補充できるよう、小型のソーラー水素ステーションを開発し、公開した。すでに実証実験を始めており、早期の実用化を目指す。ホンダの燃料電池車、「FCXクラリティ」の後部にある水素補充口を開け、水素を送るホースをつなぐ。あとは、ガソリンスタンドの給油機と同じような形の水素ステーションのボタンを押すだけで、水素が補充されていく。ガソリン車の給油とほとんど同じ操作だ。家庭用ソーラーパネルで発電した電気を使って、水道水を電気分解し、水素を作り出す。化石燃料などは一切使わず、車の走行時にも水しか排出しない。・・・

 これって「産業革命」以上の「エネルギー革命」といえる、大きな歴史的出来事ではないでしょうか…。何しろ、家の水道水で車が走ってしまうのですから…。もう、ガソリンスタンドはいりません。そして、これを家庭や工場に応用すれば、自宅や工場に太陽光発電パネルと燃料電池さえあれば、水道水でエネルギーを賄うことができ、電気代・ガス代は不要!ということになります…。鳩山首相が主張する「CO225%削減」も、家庭・企業・車などに燃料電池を導入すれば、たちまち達成されることでしょう…。ま、問題は、この燃料電池車「FCXクラリティ」の製造コストが高くて、リース料が月額84万円!ということです…。ちょっと、買えないかなあ…。しかし、量産化のメドがつけば、トヨタのプリウスなどのHV、日産リーフなどのEVを押しのけ、たちまち普及していくでしょう。

 これってすごい技術ですよね。でも見方を変えれば、月額84万円でこの「水道水カー」を利用できるのであれば、宣伝用に買ってみたいと思う企業は出てくるんじゃないでしょうか。年間1000万円で「エコ」を宣伝できるんだったら安いものだという考え方もあるでしょう。

 実際は、車以外にインフラの部分もいるでしょうから、コストはもっとかかるのでしょうね。それにしても、ホンダは凄い。私みたいな文系人は、こういう発明を実現してしまう理系の方々を素直に尊敬してしまうのです。〉――

 「小型のソーラー水素ステーション」で水道水を使って家庭で水素を作ると言っているが、現在普及している家庭用燃料電池が都市ガスやLPガスを配管・注入して水素を取り出す方式となっていることに対して、理想の形は水道菅をつなげて水道水を注入、電気分解させて水素と酸素に分離、それを再度化学反応させて電気をつくる方式ではないだろうか。

 この方式は「小型のソーラー水素ステーション」を燃料電池に直接組み込むことによって可能となると思うがどうだろうか。

 私自身も2009年4月11日当ブログ記事――《安倍会長「電柱議連」発足/時代は無電線化の方向に向かうべき - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之
で、電線の地中化にカネを使うなら、電線・電柱を不要とする燃料電池の普及を図るべきではないかという趣旨で書いている。

 問題は普及である。普及は常に価格に関わる。価格の中には耐用年数も条件として入る。耐用年数が短いほど、実質的価格は高くなる。

 上記ブログ記事に、〈東京ガスが水素を利用した家庭用燃料電池を開発し、既に07年4月に1号機を首相公邸に導入し、今年度から一般販売を予定しているという。

 現在1台200万円以上する価格を量産効果などによって60万円程度に引き下げる計画・・・〉云々と書いた。 

 07年度から一般販売を予定。コストダウンをどれ程に図ることができ、普及台数はどれ程までにいったのだろうか。

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「燃料電池・水素技術開発ロードマップ2010」を策定、昨年の2010年7月16日にPDF記事で公表している。あくまで開発に関わるロードマップだが、その概要版を見てみる。

 ロードマップ概要版

 《固体高分子形燃料電池(PEFC)ロードマップ》(定置用燃料電池システム)

     現在(2010年頃)  2015年頃  2020年頃   2030年頃

発電効率  約33%~37% 約33%~37%  約33%~37% >約36%~40%

耐久性    4万時間    6万時間       9万時間    9万時間
             (起動停止4千回)   (同4千回)  (同4千回)
最高 作動温度 約70℃     約90℃        約90℃    約90℃

価  格  200~250   約50~70     約40~50   <40       
(単位万円)

 では現在どのくらいの価格で、どのくらい普及しているのだろうか。2009年01月29日のネット記事――《東京ガスなど6社、家庭用燃料電池「エネファーム」発売へ。価格は実質200万円前後》は「200万円前後」の実態を、〈販売価格は346万5000円。ただし導入コストの2分の1(上限140万円)は国からの補助でまかなえる〉結果の「200万円前後」だと紹介している。

 勿論、初期的普及は国のエネルギー政策、温暖化防止政策に深く関わるのだから、補助は当然と言える。但しより早い時期に国の補助なく安価に家庭に普及していく状況をつくり出さなければならないことも当然であろう。

 記事は普及の現況と温暖化防止に関して、〈稼働台数は2008年度末までに3307台で、2009年度の販売目標は1500台。2030年までに累計250万台の普及を目指す。1世帯あたり年間で1.2tのCO2削減ができ、250万世帯に普及した場合、年間300万tのCO2が削減できる見通し。これは東京都の2.5倍に相当する5600平方キロメートルの森林が1年間に吸収するCO2量に匹敵するという。 〉と書いている。

 最新の記事を探してみた。《低炭素社会への切り札、家庭用燃料電池普及のカギとなるのは?》IBTimes/2011年2月28日 06時00分 更新)

 〈世界で初めて商品化されたのが2009年、家庭用燃料電池は「エネファーム」の愛称で一般消費者にも随分浸透した感がある。これは、市場に出る1年も前からCMなどを通じ、PRされた結果でもあるが、実際の設置台数は2009年度が約5200台、2010年度は約6000台(見込)と、まだまだ導入期を脱したとは言えないのが現状だ。一刻も早く普及期に到達するべく、現在多くの企業の間で、高効率で低コストの製品の開発競争が盛んに行われている。〉――

 価格については、〈このPEFCタイプの「エネファーム」は既に第2世代に突入している。4月1日から発売される新製品はパナソニックと東京ガスが共同開発したもので、従来よりも価格を70万円下げ、世界最高の定格発電効率をさらに向上させたものだ。〉 

 70万円下げた価格が「276万1500円」だそうだ。これは上記国の補助金「上限140万円」を抜いた初期的な「販売価格346万5000円」から70万引いた「276万1500円」ということであろう。

 国からのは補助金については平成22年度実績で最大130万円だそうで、最大130万円を引くと、〈140万円程の商品金額、そして工事費やメンテナンス費用などの個人負担があり、一般消費者の導入にはまだまだハードルが高い。耐用年数10年と言われる燃料電池のコストを償却できない現実は、普及のブレーキになっていることは間違いない。〉と普及が進まない状況を解説している。

 普及しないから価格が下がらない、価格が下がらないから普及しないという一般的な悪循環に囚われた姿がここにあるが、果して国は最大限の努力、エネルギー革命の最大の目標としているのだろうか。

 地震列島日本に住みつつ原子力発電所の危険、放射能の危険と背中合わの状態で今後とも10年、20年と運命を共にするのか、次世代、次々次世代の国民に遠い将来に亘って危険と運命を共にさせるのか、地震列島日本から原子力発電所をなくして放射能の危険と背中合わせの状態を脱すべく地球温暖化防止にも大きく役立つ燃料電池の開発とコストダウン、さらにその普及に向けて国策として取り組むのか、今回の東北地方太平洋沖地震を機にはっきりさせるべきときが来たのではないだろうか。

 勿論、燃料電池以外に原子力発電の危険性、放射能の危険性が回避可能な、地球温暖化防止にも最大限貢献するエネルギーが存在すると言うのなら話は別である。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする