メア発言:日本政府は仮定事実として距離を置き、米政府は事実として動く

2011-03-10 11:40:38 | Weblog



 3月8日午後の枝野官房長官記者会見のメア米国務省日本部長発言に関する枝野発言を取上げてみる。言っていることは先にブログで取上げたことと同じことの繰返しで、「沖縄の人々の心情を踏まえて」と言いながら、アメリカとの相互理解に齟齬を来たすことだけを恐れる余り積極的に問題解決に動く意思を持たず、自らの手による事実確認に腰を重くすることになっている。

 その結果アメリカ側の対応のみに期待して問題解決を図ろうとする事勿れな他力本願が常に日本政府をしてアメリカ側に立たしめ、その反動として沖縄を問題解決の場外に置く沖縄差別を行っている。

 そのため政府が待ちの姿勢でいる間に県議会や名護市議会で抗議決議が着々と成立することとなっている。

 この記者会見を窺うだけでも枝野を筆頭に菅内閣が如何に詭弁と誤魔化しに満ち、事勿れに終始しているか知ることができると思う。

 以下、トンチンカンな解説は青文字で最小限に抑えて、記者会見の冒頭発言と遣り取りを記載。注意すべき発言と思われる箇所のみマーカーをつけることにした。冒頭発言はテキストから採取。

 《2011年3月8日午後官房長官記者会見》

 枝野「ルース駐日大使と電話で対談をいたしましたので、そのご報告をいたします。

 先程、15時25分頃より約15分間、メア(米)国務省日本部長の発言とされる報道に対して、ルース在京米国大使と電話会談を行ないました。この中で私(官房長官)からは以下のようなことを申し上げました。

 『昨日、大使館が迅速に声明を出され、それを拝見をいたしました。報じられている内容が米国政府の公式な見解とは全く異なるという点には理解をしました。また、私(官房長官)自身、報道されているような内容が米国政府の考え方を反映したものではないと信じております。しかし、万が一報道されているメア(米国務省日本)部長の発言が事実だとすれば、オフレコかどうかに関わらず、国務省日本担当責任者の発言として極めて不適切であり、沖縄県民のみならず日本人の心情を著しく傷つけるものであり、容認し難いものであります。

 また、そもそもこのような報道が出ること事態、極めて遺憾であり、日米同盟のマネージメントの観点からも極めて好ましくありません。アメリカ側として、沖縄の人々の心情を踏まえた上で、今後の対応を然るべく取られるようお願いをしたい』と。以上のことを申し上げました。

 これに対してルース大使からは、私(官房長官)が述べた点について、『自分としても、大使としても、全く同感でありこのような報道により、沖縄県民の心情を深く傷つける深刻な事態になってしまったことを極めて遺憾に思う。報道の内容は聊かも米国政府の公の立場を反映したものではないし、米国、そして大使ご自身も沖縄の人々に対し深い敬意を抱いている。米国は沖縄とは永く深く幅広い関係を有しており、今後もその発展のために努力をしていく。また、米国として、今回の報道により生じてしまった状況を克服するべく、誠心誠意努力をしていきたい」と。以上のようなお話をルース大使の方からいただきました」

 (枝野は報道が出たことを問題としている。)

 《質疑応答》

 記者「日本テレビの倉本(?)ですけれども、その件に関しまして、その、メアさんに直接にですね、あの、事情を聞くとか、そういった、その発言があったか、もしくは枝野さんがそういったことを要請したと言ったことはあったでしょうか」

 枝野「あのー、おー、ま、具体的にはアメリカ、政府の、日本担当部長の、おー、ことでございますので、私からは先程申しましたとおり、沖縄の人々の心情を踏まえた上で、今後の対応を然るべくされるよう、お願いを申し上げました。

 えー、事態を、おー、おー…、重視、してですね、受け止めていただいているというふうに思っております。電話での遣り取りでですね。

 えー、従いまして、私のこうした発言に対してですね、しっかりとした対応を取っていただけるものと、あー、思っております」

 NHK記者「えーと、電話会談の中で、あの、アメリカ側からですね、その、メア部長の発言が真実あったかどうかについての言及があったのでしょうか」

 枝野「あのー、そのことについての具体的な言及はありません」

 (尋ねもしなかった。事勿れな姿勢がどの程度か窺うことができる。)

 NHK記者「今回のこうした事態がですね、今後沖縄の基地問題に対してどのような影響を与えるとお考えでしょうか」

 枝野「あのー、こうした報道が出ていること自体ですね、沖縄県民の皆さんの心情を大きく害するものであります。えー、しっかりとしたですね、特に米国側のですね、対応を取っていただきませんと、おー、こうした国民、特に県民、特に県民のみなさん、おー、感情ということでは、あー、影響が出ることが懸念をされると、いうふうに思います。

 しかし米国政府に於いてですね、あの、しっかりとした対応をしていただけるものと思っております

 記者「あの、この会談はどちらが呼びかけたものですか」

 枝野「えっ?これはルース大使のほうから、あの、話をしたということで、えー、お話がありました

 記者「(声がはっきりと聞こえないが、枝野官房長官の参議院予算委員会での答弁と7日の記者会見の発言、さらにルース大使との電話会談での発言ではメア発言の受け止め方が変わっているようだが、何か理由があるのかといった質問。)」

 枝野「あのー、きのうの段階では、あのー、報道があった、ということにとどまるものでございます。そして、あのー、それを受けてですね、ま、現実にその報道で、エ、沖縄の、みなさん始めとするですね、あのー多くの県民、そして日本国民、心情が傷つけられている。そのことは、あのー、今日も、このこと自体を考えるということを伝えましたけども、おー、そういった意味では報道が、加味されてる状況が理解が変わっているということだと思っております」

 女性記者「今日の電話会談はルースさんの方からということなんですが、あの、まあ、沖縄の県民が傷ついている、そういった意味では、日本人の尊厳が傷つけられているというふうに理解できると思うんですが、日本政府側から、その、米側に、あのー、電話をしたのですか。ではなくて、という報道にならなかったのはなぜですか」


 枝野「あの、これは、えーと、事務レベルで、こちら側の、懸念と遺憾の意は米国大使の方で、その前に伝えております。これを踏まえてですね、えー、大使の方から、あー、直接私と話しをしたいと、いうことであって、こういう経緯でございます

 女性記者「その事務レベルいうのはいつ、どなた、名前で、どなた宛に」 
 
 枝野「えーと、今、メモを貰います」

 事務方からメモが届く。

 枝野「先程の件でございます。今日の午前、昨日ですね、ハイ。今日の時点で外務省の、課長レベルで、えー、在京大使館の課長にこうした、まあ、懸念と遺憾を伝えております。

 それを踏まえて、まあ、午前中から、あのー、どこかで、私と話をしたいということで、調整がありまして、えー、ま、国会その他の状況で、3時25分ということで、いう経過です」

 女性記者「関連で、あの、まあ、昨日と今日とで状況が変化したことで、あの、長官の発言も変わられているという説明があったと思いますけども、その変化の一つで、沖縄の県議会で、抗議決議が出されたという、あの、県議会で決議がされましたが、改めて県議会の決議、どのように受け止めておられますか」

 枝野あの、報道されているような発言が事実だとすれば、あー、沖縄県民の皆さんの思われている、受け止められている思いというのは私も、当然のことだと、いうふうに思いますし、そうしたことを踏まえて、沖縄県議会のみなさんがそうした対応をされたことについては、十分理解ができるところでございます」

 ま、その上で、えー、米国政府、としてですね、あの、然るべく対応していただきたいと、私からも申し入れましたし、エ、それについてはしっかりと、真摯に受け止めて、対応していただくことによってですね、ま、県議会の決議、イー、の、背景にある県民のみなさんの、思いというものに、米国政府としても、きっちりと、応えていただけると思いますし、日本政府としてもですね、そのことに向けて米国政府に対しての関係、えー、で、様々な連絡を取らせていただきたいと思っております」

 記者「毎日新聞の景山です。米国政府は然るべき対応をしてほしいというのは中には当然、・・・・(早口になり聞き取れない。)メア発言の事実確認も含まれるということでよろしいでしょうか」

 枝野「あのー、これはもう、ルース大使と私の話の中でのですね、ルース大使の事態を、あの、重視して、あの、受け止めておられますし、あのー、沖縄県民の、おー、心情、おー、が、あの、現に害されている、ということについて、あの、深刻に受け止めて、極めて遺憾に思っているということもいただいておりますし、具体的にどういう対応を取っていただくかということは、ま、一義的にはあー、ルース大使、初め大使館のみなさん、そして米国国務省に於いて、えー、対応をしていただく、こう考えておりますが、あー、適切に対応されることを期待しておりますし、信頼もしている」

 時事通信記者「えーと、昨日の会見で、その、官房長官は事実と異なる報道だと思われるというふうにおっしゃいましたけども、現時点ではメアさんの発言は少なくとも事実である可能性があるというふうに、あの、お考えになっているということでしょうか」

 枝野「あの、昨日も、あの、質問していただいたので、そこできちんとお答えしたかと思いますが、事実、でないと、メアさんが思ってらっしゃると想像される、発言、報道ぶりであって、そういう趣旨のことは申し上げました。

 つまり、こういう発言があった、あー、という報道があって、それに対してメア部長の、えー、コメントが載っていた。その報道の見る限りでは、あー、メア部長は事実ではないというふうに受け止めてらっしゃるようだと、想像できるということを、申し上げたということでありまして、それに対してどう対応するのかと、いうことについては、一義的には、あー、メア部長なり、イー、米国側で、えー、お考えになるとことだと、このことを申し上げたのであって、この報道さていることが、事実であるかどうかについて、現実では私のところ、あるいは日本政府としての材料を持っておりませんので、何ら、評価できるものではありません。

 但し、こうした報道がされていること自体、そのことによって沖縄県民、そして日本国民、の心情が害されていること自体遺憾であるというふうに思っておりますし、そのことはルース大使にも、アー、お伝えいたしました」

 (ルース大使は発言を事実としているから電話会談を行った。事実としていなければ、「報道は事実でない」とする声明を発表すれば済む。だが、多くの大学生が耳にしていることで否定できないために、事実として行動を取ることになったのだろう。にも関わらず、枝野はメア自身の発言否定を優先させている。)

 記者「そしてですね、あのー、昨日の会見の中で、日米間の関係の中で、報道の書いてあるだけで、クロだと言うのはある意味問題だと。これ聞きようによっては、そのー、日米関係を重視すれば、こうした発言は無視しても構わないというふうに聞こえますけども、現時点で、今の時点で、昨日の発言は適切であったとお考えですか

 枝野あのー、私が申し上げたのは、、報道にも色んな報道がありますし、それによってその報道を、どう受け止められるか、という色々なケースがあります。あのー報道といっても、そのー、色んなものがりますからね。というようなことで、単に報道されたということだけを以って、えー、だけでは、あー、ということで昨日の発言を申し上げました。

 現に、イー、沖縄のみなさん初めですね、日本人の多くがその報道を見てですね、えー、恐らくその発言が真実の可能性高いと、多くの、特にみなさんが受け止められて、沖縄の県議会では決議を纏めるという事態に至ったんだというふに思います。

 それはそういったことで事実を踏まえて、しっかりと対応すべきだと思います」

 (政府は「事実を踏まえて、しっかりと対応」していない。)

 記者「沖縄の動きを以って、政府は思い腰を上げたというふうに見られますが、政府の対応はこの間、十分だとお考えになるでしょうか」

 枝野「あのー、敢えて申し上げれば、あのー、当然予想される対応であるというふうに思えますし、思っておりましたし。えー、しかしですね、それはまさに、これは申し訳ないんですが、報道機関のみなさとの関係に於いては、報道だけで、えー、テープが、公式に、イー、動いていたかどうか、ということは、これはまた、別の問題だ、というふうに思っております。

 えー、報道や、それが与える影響、あるいは報道が、実際に、イー、報道の、おー、ユーザーのみなさんから、どの程度真実性を以って受け止められるか、ということ、それによって様々な、社会的影響が出る、ということを踏まえないとですね、あのー、繰り返しますが、報道にはいろんな種類がございますので、えー、報道だけで、えー、聞かれたり、報道だけで対応を求めたりするということはなかなか困難だと、その趣旨を申し上げました

 (だったら、率先垂範して積極的に報道が事実かどうかの確認に動けばいいが、それをせずにいつまでも報道だけの問題だと取り扱う誤魔化しを働いている。)

 記者「政府の対応は問題なかったということですか」

 枝野「それは問題なかったという風に思っております」

 記者「それとですね、報道が出たこと自体が問題だというふうなことであれば、メア部長はこの後も続けることは適任だとお考えでしょうか」

 枝野「それは一義的には、あの、米国政府から任命されている方でいらっしゃいますので、あー、一義的には米国政府が、あー、考えることだと思います」

 記者「テレビ朝日の――です。直接の対応を求めるということなんですけど、そんなに調べるのに時間がかからないと思いますが、どのくらいまで事実関係を調べられるのか。それで事実であれば・・・・・(聞き取れない)」

 枝野「あのー、これは、あのー、二国間関係のことでありますし、米国政府の公式な立場、ルース大使の、大使としての、責任ある立場でのご発言、えー、このこと自体ですね、受け止めていただいているということを前提にして、おります。その前提のことでですね、具体的な対応、しっかりと取っていただくことをお願い申し上げたし、しっかりと対応すると言っていただいておりますし、その具体的な中身については、これ二国間の、相手の国のことでございますので、一義的にはルース大使を始め、米国の国務省に於いて適切に対応していただく、ということだと思っています」

 記者「産経新聞の小田(?)ですけども、えーと、その日本部長なんですけども、米国の本部長という役職は、ま、要職にあるとお考えですか。つまり要職でない人の発言であったなら、問題にもならないでしょうし、要職だと把えているから問題だと把えてるんでしょうか」

 枝野「一義的にですね、他国の、外交関係者のポジションを、要職であるとか要職でないとか、ということを、まあ、そのアメリカから見れば、相手国である日本の立場から申し上げるのは、いずれにしても失礼だろうというふうには思っております。

 えー、ただ、あー、国務省の、日本部長という立場の方が、報道されていることが事実だとすれば、こうした発言をされることは、アー、容認し難いと申し上げております

 記者「ルースさんと電話会談したのは、・・・(枝野がどういう立場で行ったのか聞いたらしい)」

 枝野「あのー、敢えてですね、えー、どの立場であるということは申し上げませんでした。あの、外務大臣の臨時代理、であり、官房長官であり、沖縄担当大臣であるという三つの立場を私は今兼務しておりますので、あのー、その立場、三つの立場を兼務しているという立場で、えー、米国政府の日本における代表者であるルース大使と、電話でお話をさせていただいたということです」

 (どの立場かを話すのに長々と。)

 時事通信記者「再度メアさんの話に戻るんですけども、そこでその、メアさんの適格性について、一義的には米政府が考えることだとおっしゃいましたが、そのある意味、沖縄がこれだけ反発している中で、政府の発言としては他人事のような響きに聞こえますけども、その、メア氏は今後、米国政府が続投させた場合ですね、あのー、日本政府としては、そのー、普天間移設に関与するということについては、異論がないということなのでしょうか」

 枝野「あのですね(笑いながら)、アメリカ政府の、おー、職員の、おー、人事のことで、ございます。えー、もし、例えば日本の外務省の何とか局長は的確でなかったら替えろ、と、どこか第三国からですね、日本政府が言われたら、それは、ま、いわゆる広い意味での内政干渉に当然なるんだろうと、いうふうに思います。

 従いまして、直接に、イー、その部長がどうこういうについて日本の政府として申し上げるべきではないというふうの思っています。

 ただ、あー、今おかれている客観的な状況については、あー、今日、私、ルース大使と電話でお話をいたしまして、ルース大使もしっかりと共通した認識をお持ちだというふうに思っておりますので、そのことを前提に適切に対応されるものと、いうふうの思っています」

 (沖縄の反発に目を向けていない。勿論普天間の沖縄県内移設に絶対反対を貫くだろうが、その他の交渉でもメア発言が拒否する理由となる。)

 記者「あの、それとですね、これだけ報道されて時間が経っている中で、米政府、あるいはメア氏が、この内容を否定できないということについてどのようにお考えになっているのでしょうか」

 枝野「そうしたことを含めてですね、先ずは一義的には米国政府としてですね、これ米国政府も米国外務省もですね、日本や沖縄との、おー、関係をですね、えー、悪化させてはいけないと、おー、おー、そして、えー、米国政府も、考えというものを持ってですね、えー、沖縄に、みなさんに対する思いとかですね、えー、そういったものが誤解された形のままではいけないと、いう思いは、ルース大使始め、当然、アメリカ国務省も、アメリカ政府も、共有していただいているというふうに私は思います。

 そのことは先程のルース大使との電話会談でも、確認できたことだということだと思っております。そのことを大前提とした上で、あの、米国政府としてですね、えー、日米関係、あるいは沖縄のみなさんの心情、そういったことに対してですね、しっかりと踏まえた、対応していただくことを、日本政府としては、あのー、申し入れたということでございます。そうした対応をしていただけるものと、期待をしております」(以上)

 (日米両政府が話し合って、善後策を講じ、沖縄側が納得する内容で善処させるといった主体的取り組みができない。最後まで他力本願のアメリカ任せ。

 今朝の「YOMIURI ONLINE」が、米政府が沖縄県民について「ごまかしとゆすりの名人」などと発言したと報じられていた国務省のケビン・メア日本部長を更迭する方針を9日固め、日本政府に伝えたと報じている。アメリカ側は発言を事実として手を打つ行動に出ている。

 だが、日本側はこれまで発言を仮定事実だと距離を置き、アメリカ側の対応に期待するだけで、自身では何ら手を打とうとしない。)


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