北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北朝鮮 日本海へ向け弾道ミサイル七発を発射

2006-07-05 21:42:23 | 国際・政治

■事実関係

 報道などによれば、七月五日、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)は早朝から日本海ロシア沿海州沖に向け弾道ミサイルの発射実験を実施した。

 0332時、第一のミサイルが北部のキテリョンミサイル基地より発射され、約三十分後に日本海のロシア沿海州沖に着弾した。政府は0400時までに官邸に対策本部を設置したが続いて0404時、同じくキテリョンミサイル基地より第二のミサイルが発射された。

 0455時、第三のミサイルがキテリョンよりも南方にあるムスダンリミサイル基地より発射され、長射程のテポドンミサイルと思われる。射程や赤外線放出量から多段方式ミサイルのブースター点火に失敗したとの見方もあり、米ABCニュースでは捕捉後42秒で落下したと報じているが現行では確認のしようが無い。

 0631時には小泉首相が官邸に到着し0700時より防衛庁長官や外務大臣の到着を待って安全保障会議を開いたが、その直後の0713時、再び第四のミサイル発射が生起し、引き続き0731時に五発目のミサイルが発射された。0817時には第六のミサイルが発射されたが、ほぼ同時に実施された官房長官声明として北朝鮮の行為を批難した。

 1722時、第七のミサイルが発射されたが、本記事を執筆中の2130時時点で新しいミサイル発射の情報は無い。他方、再度発射の可能性もあり、警戒が続いている。

 0455時に発射されたテポドンミサイル以外は、ノドン、若しくはスカッドC(B?)であると見られているが、詳細は目下不明である。

■日本国内の反応

 政府は経済制裁の一環として、貨客船マンギョンボン号の半年間の入港を禁止する声明を発表した。同船は修学旅行生の下船を人道上の特別配慮として新潟港に入港させ下船のみを実施、1640時までに出港している。

 国内航空旅客路線は日本海上空を飛行航路から外す配慮を行い、日本海において操業中の漁船や定期航路船舶に対して国土交通省から注意が呼びかけられている。また、日本海で実習中の山口県の実習船が急遽稚内港に入港している。

 市場への反応は冷静ではあったが、地政学的リスクとして株価、為替、債権に影響が出ており、東証平均株価は15500円を下回り114円の下落となったが、ここ数日間の変動の調整幅内との冷静な見方が大勢を占めている。外国為替では円が0.44円安となり、短期金利・長期金利にも影響が出ている。株価に関してはロンドン市場、フランクフルト市場、パリ市場も1%程度のマイナスとなっており、調整幅内ということもできるが、弾道ミサイル発射が契機と成った事は否めないものの、懸念された程の変動には至らなかった。

 海上自衛隊はハワイ海域において訓練中のイージス艦“きりしま”(横須賀第61護衛隊)を急遽帰投させるとともに、太平洋側に“ちょうかい”(呉第64護衛隊)、日本海側に“こんごう”(佐世保第62護衛隊)を配置し警戒を継続しているとされる。なお、画像偵察機OP-3や国内各所の警戒群も任務に当たっている事が予測される。

■米軍の反応

 米空軍は嘉手納基地よりRC-135電子偵察機を即座に離陸させ、0827時頃にはリベットジョイント電子偵察機を離陸させている。

 小樽港に1日より寄港していた第七艦隊の空母キティーホークは公表された日程に従い1000時頃出港し、横須賀基地へ向かったものと見られている。

 一方、ロシア海軍との親善及び訓練の目的でウラジヴォストーク海軍基地に入港している第七艦隊旗艦ブルーリッジは計画通り7日まで寄港すると発表されている。

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