■首都展開
観艦式(予行)の乗艦予定時刻は早朝であるため、特に首都圏在住の人を除き、当日展開という選択肢はあまりにも投機的である。
首都圏へ前日までに展開することは、翌朝の桟橋到着時刻への投機性を下げると同時に、1830時からの夜間電飾を撮影する機会に恵まれることを意味する。小生は、これを撮影するためだけに重く嵩張る三脚を持って首都圏に展開したのであるし、逆に言えば三脚を持ってきた以上、これを撮影しないということは選択肢になかった。特に本年四月に舞鶴基地での集合訓練に際しての夜間電飾の写真が本ブログでは既報だが、その幻想的な情景は他に観れるものではない。
■秋葉原ヲタ街散策紀行
観艦式に遅れぬよう、前日展開を行うべきとは既に述べた。
しかし、である、早く着きすぎた。小生一行が利用した夜行列車ムーンライト長良は東京駅到着が0442時、そのまま横須賀に行くわけにも行かず、致し方なく早朝の秋葉原に展開した。というのも、列車の隣に、自称宇宙人を名乗る怪しい中年が座っており、UFOを作る為に農協に5000億円借りにいって断られたとか、サイバーテロ対策にメールの代替として10km先からでも投函できる超巨大ポストを作っているとか、夜通し独り言をいうので眠れなかったのである。
特に風体が怪しく、食料なのか20kg入お徳用ドックフードを台車に載せて運搬しており、京都から山形へ行くという割には何故か靴はゴム長、寒いといっては防寒用に透明の巨大ゴミ袋を被って寝ており、同行のShin氏などは気になって一睡も出来なかったという。ビニールで二酸化炭素の自給自足でもしているかと思いきや空気穴はしっかり。チッ。で、寝不足の小生一行はとりあえず仮眠を取るべく秋葉原のネットカフェに展開した。
ネットカフェというのは小生は初めてで、案外寝心地が良く、カプセルホテルに代わって終電を逃した会社員などが利用しているという。布団が敷いてあり、確かに仮眠には最適かもしれない。その後、秋葉原を知り尽くしているShin氏に案内され、いろいろと回ったが、安いとはいえ中古のTop社製64式小銃を買って翌日観艦式に行くわけにも行かず、小物を買ったに留まった。エッ?何の小物って?、・・・・・・。スンマセン、僕もヲタでした!某研究所にインターンしてたころ結構アキバ行ってて・・・。
アキバ名物(Shin氏談)秋葉原駅改札踏絵、これが踏めるか踏めないかでヲタか否かの分水嶺に、なるらしい。とはいえ、そこまでヲタではない小生には、新作のようだがD.C.~ダ・カーポ~のデフォルメにしか見えなかった。白河ことりのベレー帽無いバージョンと朝倉音無のベレー帽バージョンにしかみえないしね、どんなアニメかご存知の方が見えたらコメントでお教えいただければ、と。この他、駅前のヨドバシカメラではソフトバンクのキャンペーンで予想GUYこと野口五郎氏が名刺配っていたりいろいろあった。
■神保町古書店街散策
小生も院生、従って常に研究というものが頭の片隅にあることはいうまでもない。
首都圏に展開した場合、ほぼ確実に展開するのは神保町である。規模はここ十年で大きく縮小してしまったが、神保町の古書店街は規模として日本最大であり、160軒ほどの古書店が御茶ノ水駅から靖国通り沿いに集中している。特に修士論文構想報告会に備えての資料収集が、実は観艦式と並ぶ重要な目的である。外交関係、政治関係、法律関係、軍事関係、それぞれの専門古書店があり、決して安価とはいい難いがここでしか得られない書籍があるのも確かである。
しかし、何よりも空腹感が先にあった。Shin氏は秋葉原名物の牛丼店を提案したが、朝食も他があいてなかったので牛丼、流石に遠出して牛丼二連は御免であり、ここで別行動とし、インターンの際に土曜日毎週行っていた神保町の店へ展開した。靖国通りをはさんだ向かい側にある地下の寿司居酒屋“いろは”、鮪、鮭、ハマチ、蛸、イクラが程よく載ったちらし寿司に茶碗蒸、吸い物が付いて850円という価格と懐かしい味を久々に満喫した。この他寿司ランチなども充実しており、古書買出しの際には皆さんにも一度お勧めしたい。
さてさて、書籍調達である。小生の研究分野は軍備管理、それもわが国においては先行研究が乏しい通常兵器分野である為、必然的にその先進地域である欧州が対象となる。ここで、ヘルシンキ宣言やストックホルム文書、欧州通十戦力削減条約の資料を探したが、“戦後世界軍事資料”という五巻からなる書籍を見つけ、やや高価ではあったが調達した。戦略問題研究会のもので、この他に鴨武彦の著書などを調達したが、残念ながら探していた小生未読の進藤榮一氏の著書にはありつけなかった。
その後、所用にて飯田橋に寄った後、いよいよ横須賀である!が、なんとJRが止まっているではないか!なんでも大船から東京まで東海道線がトラックの踏切事故により全面運休であるとのこと、急ぎ京浜急行への乗り換えを決意、横須賀に最も近いのはJRの横須賀駅であるが、不通では致し方ない、やや遠いが汐入駅よりの徒歩を決意し、京浜急行の、何故か青色の快速特急に飛び乗った。しかし何で青なんだろうか、通常は名鉄と同じ赤、事情を知られる方がいればお教えいただきたい。
■横須賀展開
JR東海道線上下とも不通、予想GUYデス・・・。ともあれ、京浜急行、途中から普通に乗り換え汐入駅に到着した。
横須賀である!横須賀サマーフェスタ以来久々の横須賀である!、しかし急いで撮らねば帰りのこともあるし、何よりも夜間電飾が終わってしまう。何となれ踏切事故など予想だにしなかった為、品川駅での乗り換えなどで手間取った結果、横須賀到達時間は大幅に遅れており、Shin氏からも現状を知らせよとの旨のメールが届いていた。急ぎ重い荷物をコインロッカーに押し込むと、三脚とカメラを手にウェルニー公園を横須賀基地へ急いだ。
夜間電飾の一番手前の艦は、172と見える為、舞鶴の第63護衛隊ミサイル護衛艦“しまかぜ”であろう。その一つ奥は127㍉砲と艦橋前のCIWS、続くVLSの形状から“たかなみ”型、その向こうのひときわ高いマストは、頂点がNOLQ-2ESM装置であることから“こんごう”型イージス艦、更に続いてURN-25航法装置を頂くマストの形状から“むらさめ”型乃至“たかなみ”型、末端に見えるのが特徴的な格子状のOPS-11対空レーダーを装備していることから“たちかぜ”型ミサイル護衛艦とおもわれる。
米軍基地側に海上自衛隊の潜水艦が二隻停泊していた。こちらは夜間電飾を実施していない模様。やや後方に傾いている艦橋の形状や、涙滴状の船体と比べた場合やや角ばった船体形状から、“おやしお”型潜水艦と思われる。なお画面右方に見える高層建築物はショッピングモールで、ここのレストランは横須賀基地を一望することが出来る。小生一行は横須賀サマーフェスタの際にはここで談話中にイージス艦“きりしま”の帰港を発見した。
こうして一通り撮影した後、小生は横須賀を去った。実は横須賀を見下ろせる高台の住宅地へ行く道がJR横須賀駅の裏手よりあり、私道でもないようで昨年は登って撮影したが、夜でもあったし断念した。聞くところでは、近傍の小学校の先からも撮影できるとのことだが、こちらは崖もあるとのこと。夜景撮影に行かれる際には皆さん、充分足元にご注意を。
HARUNA
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