■新砕氷艦搭載用
海上自衛隊では、現行の砕氷艦“しらせ”の後継として、文部科学省予算による12500t型砕氷艦の建造を計画している。この新砕氷艦はユニバーサル造船舞鶴工場において建造される予定とのことだ。本日掲載するのは、その艦載ヘリコプターCH-101である。
現在、砕氷艦には輸送ヘリコプターとして旧式化が進むS-61輸送ヘリコプターが二機搭載されており、予備機を含め三機が館山航空基地において運用されているが、1号機2号機が1965年に就役、3号機が1975年に就役と、比較的古く老朽化が指摘されている。
この為海上自衛隊では砕氷艦搭載用新輸送ヘリコプターとして選定を進め、平成16年度予算において掃海輸送ヘリコプターとして装備化が進められているMCH-101の輸送型を新輸送ヘリコプターCH-101として採用を決定し予算に盛り込んだ。
砕氷艦は基本的に南極観測任務に際しての航空輸送を主眼としたものである為、機体には寒冷地飛行用に所要の改良を施している。購入は文部科学省予算、運用は海上自衛隊ということだが、MCH-101とCH-101は共通点も多く整備上の利点なども多くあるものと考えられる。
機体はイギリス・イタリアの合弁会社であるアグスタウエストランド社より、川崎重工がエンジン及び機体の技術導入を受け製造している。そもそも、原型となったEH-101は、イギリス海軍・イタリア海軍向けの基本型である対潜型シリーズ100と、多用途型シリーズ400、そして民間仕様の旅客輸送型、シリーズ300と貨物輸送仕様のシリーズ500があり、海上自衛隊のMCH-101と、写真のCH-101は双方ともシリーズ400型の派生型である。
軍用型は、海上自衛隊の採用時にイギリス、イタリアに加え、日本、カナダ、デンマーク、ポルトガルが約130機を発注しており、その後、米大統領専用機マリーンワンとしても採用が決定、特殊戦用ヘリコプターとしても有力視されている。
CH-101は、エンジンがイギリス海軍仕様のロールスロイスチュルボメカ製RTM-332を三基搭載しており、胴体長19.5㍍、機体後部及びローターを折畳むと15.6㍍、全備重量は14.6㌧。機内には人員35名を収容でき、貨物輸送時には機内に5.9㌧、スリング輸送時の搭載量は4.5㌧である。
海上自衛隊では、掃海輸送ヘリコプターMCH-101を11機、輸送ヘリコプターCH-101を3機、計14機の調達を計画しているが、個人的な意見として、機体の性能や規模から航空自衛隊の救難ヘリコプターUH-60Jや、陸上自衛隊の方面航空隊用多用途ヘリコプター候補に、このCH-101が提案される可能性もあるのではないだろうか。
HARUNA
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