■EH-101マーリン海上自衛隊仕様
九月七日の北大路機関記事(※)にCH-101飛行試験開始を報じたところ、違う反響が多く寄せられたのには驚いたが、本日はCH-101飛行試験の続報である。
CH-101は、南極観測に用いる砕氷艦“しらせ”の艦載輸送ヘリコプターS-61の後継機として試験が進んでいる機体で、砕氷艦と昭和基地など、観測施設の為の各種物資輸送、また、もともと救難機としても運用された機種であり、日本国内を初めとする災害派遣任務にも充てられる機体だ。
現行のS-61は、最初に調達された機体が老朽化の為用途廃止となり、原型が同じ哨戒ヘリコプターHSS-2Bから対潜器材を下ろし輸送仕様としたS-61を運用しているが、こちらも老朽化が進んでいる。こうして新しい輸送ヘリコプター、CH-101が納入に向けて、急ピッチで運用試験を行っている。
EH-101は、人員輸送の場合であれば陸海空自衛隊で輸送、掃海、救難と使用されたV-107よりも多くの人員が搭乗でき、更に同じエンジン三発機である岩国基地の掃海ヘリコプターMH-53Eと比較した場合、双発機を三発機とした野に対し、EH-101は最初から三発機として設計されており、整備性が高い。
また日本で運用する場合、原型が同じMCH-101の場合、川崎重工により直輸入からノックダウン生産、三号機以降ライセンス生産としており、有償軍事供与(直輸入)であるMH-53Eよりも良好な支援を付与させることができる。
機体の特色として、新鋭機であるので、操縦席がグラスコックピットであるのはもちろん、英ウエストランド社が開発した先端が特殊な形状の五枚ローターブレードを採用しており、通常形状よりも約三割揚力が上がっているほか、複合素材が多用されている。更に操縦系統には光ファイバーを用いたフライバイライト方式が用いられている。
こうした機体の新機軸の他にも、CH-101は、例えば流線型の胴体など、あきらかに高性能を予感させるものであり、MCH-101と併せ、更に用途が広がってゆくことを期待したい。なお、MCH-101は現在、岩国基地において運用試験中であるが、このCH-101の部隊配備先は、千葉県の館山基地である。
HARUNA
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