◆距離にして約10km
静岡空港の暫定開港が来月4日に迫っているが、この報道を聞くたびに、何故、静浜基地の拡張案で妥協できなかったのか、という微妙な疑問が頭をよぎる。明日は、静浜基地航空祭だが、展開を予定している友人が、滑走路エンドからの距離を測ったら9.2kmしかなかったとのことだ。
静浜基地は、航空自衛隊の飛行場を有する基地としては、日本でもっとも小さな基地で、ここにはT-7練習機を運用する第11飛行教育団が展開している。滑走路は、やはりT-7の運用のみを考えているため1500㍍と短い。対して、静岡空港は滑走路2200㍍ということなので、静浜基地を大規模拡張する、という選択肢は採り得たのではないだろうか。
もともと、静岡県への空港誘致に際しては、第一に浜松基地の官民両用空港化が検討され、続いて、浜松基地と静浜基地のどちらかを共用化するという検討がなされたとのこと。このほか、静岡県には、滝ヶ原駐屯地に教育支援飛行隊富士飛行班が駐屯する飛行場があり、既に静岡県には、飛行場が三か所あることになる。
静岡空港を考える上で、大きな論点となるのは、用地買収の問題と共に、採算性の問題である。実際、中部国際空港が開港し、首都圏の成田空港とともに羽田空港への国際線乗り入れの再開、そして静岡県と首都圏・中京地区を結ぶ新幹線による移動所要時間が、静岡空港が提唱された1980年代よりもかなり早くなっており、静岡空港でなければ、という必然性は当時よりも低下しているように思う。
もちろん、既に静岡空港は建設されており、来月4日に開港されるのだから、今更考えるというのもナンセンスではあるが、静浜基地を拡張し、滑走路や地上設備を充実させたうえで、官民両用空港としてスタートした方が、採算性などのリスクは少なかったのではないか、と考える次第。また、静浜基地が拡張されていれば、戦闘機の発着も可能となり、航空祭は、一層盛り上がりを見せていたのだろうなあ、と思ったりもした次第。
HARUNA
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