北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

73式大型トラック(3t1/2)を考える 米海兵隊MTVR-XL-Mk27と並べ

2011-04-24 23:03:39 | 防衛・安全保障

■備忘録として

 本日も備忘録です。実は先日、写真は載せられないので恐縮ですが米軍のトラックを見る機会に恵まれまして、大きさに驚きました。

Img_6048  大きさだけでしたら、岩国日米友好祭などで見ることもできるのですけれども、その時は近くに73式大型トラックも駐車されていましたので、違いは鮮明でしたね、米軍のトラックは大きい。そのトラックは七トン搭載の中型戦術車両MTVR-XL-Mk27ということなのですが、ボンネットトラックということでかなり大きく感じました。全幅2.5mと日本の道路交通法に対応している車両です。聞いてみましたらば重量は13.7t、全長9.6m、全幅2.5m、全高3.6m、燃料は295lを搭載可能とのことで、独立懸架方式を採用し、タイヤ空気圧とエンジンと変速機は電子制御方式、不整地突破能力を高めている車両ですが、民生品の派生型とのこと。

Img_6300  73式大型トラック、自衛隊では正式名称を十年ほど前から3トン半としているのですが、なじみがあるので73式という呼称をここでは使いますが、こちらは全長7.15m、全幅2.485m、全高3.18mで重量8.57t、搭載重量は6t。米軍のMTVR-XLはボンネット方式のエンジン配置ですが、自衛隊の車両はエンジンの上にキャビンが載っているキャブオーバー方式を採用しています。そこで、MTVRですが、まあ、中型戦術車両後継型を略してMTVR,日本の大型トラックよりも大きいのは置いておいて、キャビン上部に機関銃座を配置していたり、キャビン部分に自衛隊のトラックよりもかなり重厚な防弾板を配置していたりして、見た目は文字通り軍用、迫力がありました。

Img_6312 迫力だけですべてを考えてはいけないのでしょうけれども、車高がかなりあり、実は少しだけ触らせてもらったのですが乗るには苦労しそうなキャビン位置、これは演習場などでは仮設敵に発見されやすい、という難点を含むのでしょうけれども懸架装置が大きさの面などで余裕を持っているので、それだけ不整地突破能力が高くなるということを示しています。陸上自衛隊のトラックにも機関銃を搭載しているのは見かけるのですが、それでも荷台部分に応急的に搭載しているものが多く、対して米軍の車両は銃座を取り付けています。吸排気筒はキャビン上まで出ているのでかなりの水深まで入っていけることを示していますし、これが数台並んでいるだけでかなりの威圧感。

Img_6316 陸上自衛隊のトラックは今回の東日本大震災などの災害派遣を見た限りでは不整地t突破能力に問題は生じていないのですけれども、今後の大規模災害派遣や、そして国際平和維持活動を含む海外での活動を考えた場合、73式大型トラックの防御力や火器搭載能力、それに不整地突破能力が十分であるかについては、議論を始めたほうがいいやもしれません。そういうのも、すべてのトラックを火力と不整地突破能力に優れた車両で代替してはどうか、というものではないのですが、イギリス軍などの編成を見ますと緊急展開部隊用には特別なトラックを配置している、という事例がありますし、ドイツ軍やフランス軍でも、空輸に適しているとか、防御力の面などで差異はあるのですが全てのトラックを規格化して統合しているわけではないのですよね。

Img_6648 陸上自衛隊の場合、73式は各種装備の運用基盤になっていますので、キャビン部分の大きさは確保しなければなりません、またあまり車高が大きくなれば地対空ミサイルなどの運用車両は生存性にも関わってきます。しかし、大型トラックで外国製のような73式をベースとした車両以外の車両導入は航空自衛隊が行っており、特に不整地突破能力、防御力や自衛火力搭載の面で問題がなければ新型に置き換えることもできるのかな、とも。防御力が向上すれば、国際平和維持活動以外にも74式特大トラックを基本とした中砲牽引車や架橋機材運搬用車両、73式を基本とした対空ミサイルや道路障害作業車の場合は、部隊の能力が向上することにもなりますから、このあたり重要です。

Img_6378 もちろん、車高が大きすぎるトラックは日本で運用されれば前述のとおり目立ちすぎ、日本に侵攻した国が使用すれば携帯無反動砲の格好の標的になるくらいでしょうけれども、他方で今後自衛隊が海外での活動を継続してゆくのでしたら、トラックについてはより高性能であるものを国産開発して導入してもいいのでは、と思いました次第です。整備と防御を考えた場合、キャブオーバー型がいいのかボンネット型が理想なのか、むしろ強度的に73式にももっと強力な防弾板をつけられるのではないか、実はゴツイだけで、見た目が普通の73式にもMTVR-XLと同程度の不整地突破能力があるのかもしれないですが、基本設計は70年代の要求に基づいた車両、そろそろ12式大型トラック、的な新装備を見てみたい気もします。

HARUNA

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コメント (15)
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