◆防衛省発表
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に対する自衛隊の活動状況(08時00分現在)
平成23年4月19日
防衛省
※数値等は速報値であり、今後変わることがある。
※下線部は、前回からの変更箇所
1 災害派遣要請元及び要請日時岩手県知事 3月11日14時52分 宮城県知事 3月11日15時02分
茨城県知事 3月11日16時20分 福島県知事 3月11日16時47分
青森県知事 3月11日16時54分 北海道知事 3月11日18時50分
千葉県知事 3月12日01時00分
2 防衛省・自衛隊の対応(1) 派遣規模
人 員 : 約106,550名
(陸災部隊:約70,000名、海災部隊:約14,500名、空災部隊:約21,600名、原子力災派部隊:約450名)
航空機 : 503機
(回転翼186機、固定翼317機)
艦 船 : 50隻 が活動中
※3月14日、東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊を編成
(2) 主な対応状況
ア 大規模震災災害派遣
(ア)関係命令
3月11日14時50分 防衛省災害対策本部設置(本部長:防衛大臣)
3月11日18時00分 大規模震災災害派遣命令
3月16日11時58分 予備自衛官及び即応予備自衛官の災害等招集命令
3月17日22時00分 大規模震災災害派遣命令の一部変更命令
(イ)活動内容
航空機による情報収集、被災者の救助(19,247名)、人員及び物資輸送、給食支援、給水支援、入浴支援、医療支援、道路啓開、瓦礫除去、ヘリコプター映像伝送による官邸及び報道機関等への情報提供、自衛隊施設(防衛大学校)における避難民受け入れ、慰問演奏
イ 原子力災害派遣
(ア)関係命令
3月11日19時30分 原子力災害派遣命令(12日09時20分廃止)
3月12日09時20分 原子力災害派遣命令
3月17日03時00分 原子力災害派遣命令の一部変更命令
3月19日01時00分 原子力災害派遣命令の一部変更命令
4月15日18時25分 原子力災害派遣命令の一部変更命令
(イ)活動内容
避難支援、給水支援、人員及び物資輸送、原子炉冷却のための放水、モニタリング支援、ヘリコプター映像伝送による官邸及び報道機関等への情報提供、上空からの撮像、集じん飛行支援
ウ 現地調査団等の輸送支援
・ 政府調査団(第1陣:宮城県)の現地派遣
・ 経済産業副大臣及び原子力安全・保安院職員等の現地派遣
・ 総理大臣の現地視察(福島第1原発及び宮城県被災地上空等)
・ 政府調査団(第2陣:岩手県及び福島県)の現地派遣
・ DMAT(災害派遣医療チーム)の輸送支援
・ 防衛大臣現地視察(統合任務部隊編成)
・ 防災担当大臣現地視察
・ 防衛大臣現地視察(原子力災害派遣部隊現地調整所)
・ 防衛大臣現地視察(海災任務部隊、被災地、松島航空基地)
・ 総理大臣の現地視察(宮城県石巻市、東北方面総監部、松島航空基地)
エ その他
3月18日(金)東北地方太平洋沖地震による被災地域において、自衛隊の部隊が実施する救援活動等に係る予備費の使用を閣議決定(約54億円)
(3) 自衛隊の活動
○陸自
(4月18日)
07時00分 第9師団各部隊 陸前高田市等において捜索活動開始
07時50分 第50普通科連隊 河北町等において捜索活動開始
07時55分 第12施設群 気仙沼市において捜索支援、瓦礫除去等開始
08時00分 第13施設隊 南三陸町において捜索支援、瓦礫除去等開始
08時00分 第6特科連隊及び第6高射特科大隊 東松山市等において捜索活動開始
08時00分 第1特科団各部隊 石巻市等において捜索活動開始
08時00分 第8普通科連隊 捜索活動開始
08時30分 301坑道中隊 捜索支援、瓦礫除去等開始
08時33分 第14特科隊 石巻市等において捜索活動開始
08時40分 東北方面特科隊 捜索活動開始
09時10分 第46普通科連隊 捜索活動開始
09時15分 第1戦車群 捜索活動開始
09時30分 第17普通科連隊 捜索活動開始
11時00分 第12旅団各部隊 30km圏内捜索のため各集結地を出発
13時09分 中央即応連隊 広野町一帯における捜索開始
○海自
(4月18日)
10時00分 第2航空群、八戸地区被災者に対する受け入れ支援終了
14時25分 「くにさき」、渡波地区被災民43名に対し入浴支援実施
14時25分 「くにさき」、渡波地区被災民に対し健康相談及び物資(灯油、食糧、日用品等)提供実施
16時00分 「ちくま」、大島被災民32名に対し入浴支援実施
16時26分 「さわゆき」、大島被災民36名に対し入浴支援実施
16時56分 「ゆら」物資輸送作業終了(陸自大型トラック×2、軽油ドラム缶×96)
17時00分 横須賀警備隊、宮城県石巻市中央市営駐車場にて被災者163名に対し、入浴・シャワー支援実施
○空自
(4月18日)
06時56分 松島基地が捜索救難開始
07時00分 松島基地が給水支援開始
07時06分 松島基地が物流管理支援開始
07時27分 北空派遣隊(山田)が瓦礫除去等開始
07時35分 北空派遣隊(山田)が炊き出し開始
07時40分 北空派遣隊(山田)が物資輸送開始
08時00分 新潟救難隊U-125×1機が捜索救難のため離陸(12時58分 松島着陸)
08時00分 松島基地が環境整備(成瀬第2中学校)開始
08時12分 新潟救難隊UH-60J×1機が捜索救難のため離陸(12時53分 松島着陸)
08時30分 松島基地が環境整備(大曲地区清掃)開始
08時30分 北空派遣隊(山田)が捜索開始
09時00分 中空派遣隊(松島)が瓦礫除去等開始
09時12分 松島基地が医療支援開始
09時30分 松島基地が瓦礫除去開始
09時53分 第1輸送空隊が救援物資輸送開始
11時11分 入間ヘリCH-47 救援物資輸送のため石巻総合グラウンドから清崎運動公園まで空輸
11時20分 松島基地が給食支援開始
12時53分 新潟救難隊UH-60J×1機が捜索救難のため離陸(17時03分 松島着陸)
12時58分 新潟救難隊U-125×1機が捜索救難のため離陸(16時57分 松島着陸)
13時51分 第2輸送航空隊C-1が救援物資(食糧)を福岡から松島へ空輸
14時49分 第1輸送航空隊C-130Hが救援物資(食糧、給水袋等)を名古屋から松島へ空輸
○原子力災害派遣による活動
(4月18日)
08時30分 偵察航空隊RF-4×1機 原発の航空偵察(写真撮影)のため百里を離陸(09時01分 百里着陸)
◆NHK報道
4月18日の情報
集中廃棄物処理施設 工事終了
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、復旧作業の妨げとなっている高濃度の汚染水の移送先となる「集中廃棄物処理施設」の水漏れを防ぐ工事が終わり、東京電力は、経済産業省の原子力安全・保安院による確認を受けたうえで、できるかぎり早く汚染水の移送を始めたいとしています。
福島第一原発では、タービン建屋の地下や、建屋の外にあるトレンチと呼ばれるトンネルに原子炉から出たとみられる高濃度の放射性物質に汚染された水が大量にたまり、復旧作業の妨げとなっています。
このため東京電力は、2号機のトレンチにたまった高濃度の汚染水の一部を復水器に移すとともに、およそ3万トンの水をためられる集中廃棄物処理施設に高濃度の汚染水を移送する準備を進めていました。
その結果、壁のひび割れをセメントで埋める作業や地下水の流入を防ぐ対策など、汚染水が周囲に漏れ出るのを防ぐための工事が18日に終わったということです。
東京電力では、原子力安全・保安院による確認を受けて、できるかぎり早く高濃度の汚染水の移送を始めたいとしています。
4月18日 23:14更新
▲ページトップへ4号機建屋地下 深さ5mの水
東京電力福島第一原子力発電所の4号機の原子炉建屋の地下に、深さ5メートルの水がたまっているのが確認され、東京電力は、放射線の量や、水がどこから流れてきたのかなどを調べることにしています。
東京電力によりますと、14日に4号機の原子炉建屋の地下の状況を調べていたところ、深さ5メートルの水がたまっているのが分かったということです。
4号機では、先月31日に地下に降りる階段付近で水がたまっているのが見つかり、表面からは高いところで1時間当たり100ミリシーベルトの放射線が検出されています。
4号機は、地震発生当時は定期検査中だったため、建屋内の使用済み燃料プールには第一原発の中で最も多い1535本の核燃料が入っており、12日にプールの水温を調べた結果、およそ90度と、通常の2倍以上の温度になっていることが分かりました。
17日に公表された事故の収束に向けた工程表には、4号機のプールを支える建屋の壁に損傷があるため、プールの冷却機能を復旧させる前に建物を補強する工事が必要だとしています。
東京電力は、新たに見つかった水が、こうした工事に影響を与えるかどうか判断するため、放射線量や水がどこから流れてきたのかなどを調べることにしています。
4月18日 23:14更新
▲ページトップへ2号機取水口 高濃度ヨウ素
東京電力福島第一原子力発電所の周辺の海水から検出される放射性物質の濃度は、下がる傾向にありますが、2号機の取水口付近では17日、国の基準の5300倍に当たる放射性ヨウ素が検出されました。
東京電力は、引き続き注意深く監視していくことにしています。
東京電力によりますと、福島第一原発の2号機の取水口付近で17日朝に採取した海水を分析した結果、ヨウ素131が1cc当たり210ベクレルと、国の基準の5300倍の濃度で検出されました。
ここは「ピット」と呼ばれる施設から高濃度の汚染水が流れ込み、基準の750万倍のヨウ素131を検出した場所で、海水中の濃度はいったん1100倍まで下がったものの、15日に再び6500倍まで上がっていました。
同じ場所で採取した海水の放射性セシウムの濃度は、前の日よりも上昇し、セシウム137は基準の1100倍に、セシウム134は1600倍となっていました。
このほか一部を除いて、周辺の海水から検出される放射性物質の濃度は下がる傾向にあり、ヨウ素131の濃度が基準を最も上回ったのは、5号機と6号機の放水口の北30メートルの地点で、16倍でした。
東京電力は、取水口付近に設置した「シルトフェンス」と呼ばれる特殊なフェンスや、「止水板」と呼ばれる金属の板が、汚染水の流出にある程度効果を上げているとみていますが、引き続き注意深く監視していくことにしています。
4月18日 23:14更新
▲ページトップへ2号機のタンク 高濃度汚染水
東京電力・福島第一原子力発電所の2号機の使用済み燃料プール近くのタンクの水から高濃度の放射性物質が検出され、東京電力で原因を調べるとともに、今後の作業に影響を与えないよう対策を取ることにしています。
高濃度の放射性物質が検出されたのは、福島第一原発2号機の原子炉建屋内にある「スキマーサージタンク」と呼ばれるタンクの水です。
このタンクには使用済み燃料プールからあふれた水がたまることから、東京電力で、燃料プールの水の状態を調べるため、このタンクにつながる配管の水を16日に採取して分析しました。
その結果、いずれも1cc当たりの値で、▽セシウム134が16万ベクレル、▽セシウム137が15万ベクレル、▽ヨウ素131が4100ベクレル検出されました。
震災前の2月の検査ではセシウム137がごく微量検出され、セシウム134やヨウ素131は検出されなかったということです。
採取した水の表面の放射線量は1時間当たり3.5ミリシーベルトで、東京電力では、周辺で作業をする場合には放射線を遮る措置を取るほか、汚染水から放射性物質を取り除く処理をすることにしています。
東京電力は「2号機の使用済み燃料は、去年11月の運転停止から日数がたっているので、半減期がおよそ8日と短いヨウ素131が検出されることは考えられず、燃料プールの燃料の破損が原因とは断定できない。震災直後の先月13日から原子炉を覆う格納容器の圧力を下げるため、ガスの放出を行ったが、そのガスに含まれていた放射性物質がプールの水に混入したのではないか」と話しています。
4月18日 21:30更新
▲ページトップへ原子炉建屋内の状態 明らかに
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、冷却用の重要な機器が集まっている原子炉建屋の中の状態が、無人ロボットを使った調査で、事故後、初めて明らかになりました。
17日に公表された工程表に沿って事故を収束させるためには、原子炉建屋内部での作業が不可欠で、東京電力はロボットによる建屋内の調査を急ぐことにしています。
ロボットによる調査は、福島第一原発の1号機から3号機で事故のあと原子炉建屋周辺の放射線量が高く、作業員が近づけない状態が続いていたことから、内部の状態を把握する目的で、17日と18日に行われました。
事故後、原子炉建屋の内部の状態が明らかになるのは初めてで、建物内部の放射線量や温度などのデータが公表されました。
東京電力によりますと、このうち1号機では、17日午後4時40分ごろから50分ほど調査が行われ、1階北側の2重扉から中に入り、40メートルほど直進しながら調べたということです。
放射線量は、最も高いところで、今回の事故で臨時に引き上げられている緊急時の被ばく限度量の250ミリシーベルトに5時間余りで達する1時間当たり49ミリシーベルトを計測しました。
一方、3号機でも、17日、2時間ほど調査が行われ、1階南側の2重扉から中に入りましたが、障害物があって、ほとんど前に進めなかったということです。
内部の放射線量は、最も高いところで1時間当たり57ミリシーベルトだったということです。
放射線量以外のデータでは、温度は1号機が28度から29度、3号機が19度から22度で、酸素濃度はともに21パーセント程度と、作業するには差し支えない値だということです。
東京電力によりますと、原子炉建屋の1階には「残留熱除去系」と呼ばれる原子炉からの水を海水で冷やすための熱交換器や配管など、原子炉の冷却に欠かせない機器が設置されているということです。
17日に公表された工程表でも、今後3か月程度を目安にしたステップ1で熱交換機能の回復は原子炉の安定的な冷却にとって重要な対策の一つと位置づけられ、今後、原子炉建屋内での作業は不可欠になります。
東京電力ではロボットによる調査を急ぎ、人が作業できる場所を特定するとともに放射性物質を取り除くなど作業環境を改善し、工程表どおり作業を進めたいとしています。
4月18日 20:40更新
▲ページトップへ炉の冷却・抑制室修復が課題
17日に東京電力が発表した福島第一原子力発電所の事故の収束に向けた工程表について、経済産業省の原子力安全・保安院は、1号機と3号機では水を循環させて原子炉を冷やす方式の確立が、2号機については壊れた圧力抑制室の修復が当面の課題になるという見方を示しました。
原子力安全・保安院の西山審議官は、18日の記者会見で、東京電力が公表した工程表の内容や課題などについて認識を示しました。
1号機と3号機については、原子炉を覆う格納容器を水で満たして、炉内の核燃料が常に水につかっている状態にすることが基本だと述べました。
そのうえで、核燃料を持続的に冷やす手段として、満たした水を循環させ、新たに設置した空気による冷却装置で冷やす方法が有力だという見方を示しました。
事前の準備としては、耐震安全性や格納容器を水で満たすことによる計器類への影響を調査すること、それに冷却装置の設置に向けて、現場の放射線量を詳しく調べる必要があるとしています。
一方、格納容器とつながる圧力抑制室の一部が壊れて高濃度の放射性物質に汚染された水が漏れ出している2号機については、汚染水の処理と圧力抑制室の修復が大きな課題だとしています。
汚染水については、「集中廃棄物処理施設」に移して放射性物質を取り除いたうえで、核燃料を冷やす水として原子炉に戻すというサイクルを確立させることが基本だと述べました。
圧力抑制室の損傷か所はセメントで埋める方法を検討中で、これが完了したあとに1号機や3号機と同じように格納容器を水で満たして核燃料を冷やすとしています。
しかし、圧力抑制室の周辺は漏れ出した汚染水の影響で放射線量が高くなっていることが予想され、損傷か所を修復する具体的な方策が固まっておらず、実施する時期の見通しは立っていないということです。
最も多い1535本の核燃料が入っている4号機の使用済み燃料プールについては、建屋に損傷があることから、冷却システムの復旧の前にプールを支える工事をする必要があるとしています。
西山審議官は「循環式の冷却の形をいかに早く作れるかがポイントだ。これまでのロボットによる放射線量の測定結果を見ると、作業が決定的に妨げられるという認識はなく、工夫しながらやっていくことになる」と述べ、現時点では工程表に沿った収束を目指す考えを示しました。
4月18日 20:40更新
▲ページトップへ東電 飛散防ぐ樹脂本格散布へ
東京電力は3か月程度をめどに福島第一原発の敷地内の放射性物質の飛散を防止することを示した工程表に沿って、がれきやちりについた放射性物質が風などで飛散しないよう今月26日から原子炉建屋の周辺などで水溶性の合成樹脂を本格的に散布することを決めました。
東京電力が散布する水溶性の合成樹脂は「エマルジョン」と呼ばれる乳剤の状態で、通常は土木作業の造成地などで砂ぼこりが舞ったりするのを防ぐために使われています。
東京電力は、この合成樹脂を敷地内にまくことで、原子炉建屋の爆発で飛び散ったがれきやちりに含まれている放射性物質が風などで流れ出るのを防ぎたいとして、今月1日から使用済み燃料を保管する共用プールの周辺などに試験的に散布していました。
その結果、散布した樹脂が固まっているのが確認でき、敷地内の放射線量も比較的低い値で安定しているため、一定の効果があるとして今月26日から本格的に散布することを決めました。
東京電力は、原子炉建屋の周辺は来月末まで、それ以外の敷地には6月末までにまき終えたいとしています。
17日公表された事故に収束に向けた工程表には、3か月程度をめどとした「ステップ1」の目標として、建屋や敷地にある放射性物質の飛散を防ぐ飛散防止剤を散布することが挙げられています。
東京電力は、この工程が終わりしだい、原子炉建屋を特殊なフィルターなどを備えた巨大なカバーで覆い、放射性物質の飛散を防ぐことにしています。
4月18日 20:40更新
▲ページトップへ3号機で57ミリシーベルト
東京電力福島第一原子力発電所で原子炉建屋の内部に無人のロボットを使って放射線量を測定した結果、3号機は最大で1時間に57ミリシーベルトであることが確認されました。
17日に公表された工程表に沿って事故を収束させるためには、原子炉建屋の内部で作業をどう進めるかが課題で、東京電力は18日もロボットを使いながら作業できるスペースの放射線量などの測定を進めることにしています。
東京電力は、17日、福島第一原子力発電所の1号機と3号機の原子炉建屋の1階のフロアにアメリカ製の無人ロボットを入れ、放射線量や温度、そして酸素濃度などを測定しました。
その結果、1号機の放射線量は1時間当たり49ミリシーベルトから10ミリシーベルト。
3号機は1時間当たり57ミリシーベルトから28ミリシーベルトになっていたということです。
最も高い1時間当たり57ミリシーベルトという放射線量は緊急時の原発作業員の被ばく量の限度としている250ミリシーベルトを4時間半で超える高い値です。
また、温度は1号機で28度から29度、3号機で19度から22度。
酸素濃度は、ともに21パーセント程度で、作業をするには差し支えない値だったということです。
東京電力は、18日も2号機の原子炉建屋でロボットを使った放射線量などの調査を行うことにしていて、得られたデータを基に建屋の内部でどのような作業をすることができるか検討することにしています。
一方、2号機では「トレンチ」と呼ばれるトンネルで、18日も汚染水の水位が上昇しているのが確認されています。
2号機では、「トレンチ」にたまった高濃度の汚染水の一部、およそ660トンが「復水器」に移され、いったんは水位が8センチ低下しました。
しかし、その後、上昇し、18日午前7時の時点で地上にある出口まで82センチと、移送前よりも9センチ高くなっているのが確認されました。
東京電力は2号機の「ピット」という施設で今月6日に汚染水の海への流出を止めた結果、行き場を失なった汚染水がトレンチに流れ込んでいる可能性があるとみて移送を急ぐことにしています。
東京電力は汚染水を今週中にも敷地内の「集中廃棄物処理施設」に移送したいとして、18日も施設の水漏れを防止する工事と点検を進めています。
4月18日 13:20更新
▲ページトップへ工程表どおり進むか未知数
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、今後6か月から9か月程度を目標に原発を安定化させ、放射性物質の外部への放出を抑えるという工程表が発表されましたが、損傷が比較的大きいとされる2号機で、作業の長期化が懸念されるなど予定どおり進むかは未知数です。
専門家は、作業がどのように進んでいるか情報を十分に公開することが重要だと指摘しています。
事故の収束に向けた工程表は、国が示すよう指示していたもので、東京電力が17日、記者会見して発表しました。
今後、3か月程度を目安にする「ステップ1」と、今後、6か月から9か月程度を目安にする「ステップ2」に分けて、「原子炉の冷却」や「放射性物質の放出の抑制」など達成すべき目標と具体的な対策を示しています。
このうち「原子炉の冷却」については、ステップ1で「1号機と3号機」の原子炉を安定的に冷却するとして、▽原子炉の核燃料の高さまで格納容器を水で満たすことや、▽汚染水を浄化して再び原子炉に戻すこと、それに▽熱交換器を設置して原子炉の熱を取り除く機能を回復させることなどを挙げています。
一方、格納容器の一部が損傷している「2号機」については、原子炉への水の注入量を最小限に抑えながら冷却し、損傷箇所をセメントなどで修復したうえで、1号機と3号機のような対策を取るとしています。
これらの作業は、現場の放射線量が高いことや2号機の格納容器の損傷で汚染水の流出が多いことから長期化するおそれがあるとしています。
そのうえで、ステップ2で核燃料を100度以下にする「冷温停止状態」にするとしています。
周辺住民にとって気がかりな「放射性物質の放出」については、水処理施設を設置して、高濃度の汚染水を減らすとともに原子炉建屋を巨大なカバーで覆う応急措置で、ステップ2までに大気中への放射性物質の放出を抑制したいとしています。
「周辺環境のモニタリング」については、ステップ1で計画的避難区域や緊急時避難準備区域などにも調査範囲を広げ、ステップ2で、家屋や土壌などに付着した放射性物質を取り除く除染などを行い、これらの区域の放射線量を十分に低減させるとしています。
原子力が専門の東京大学大学院の岡本孝司教授は「余震など、想定外のトラブルに直面するおそれもあり、工程表に書かれていないさまざまな選択肢を排除することなく柔軟に対応し、作業がどのように進んでいるか情報を十分に公開することが重要だ」と指摘しています。
4月18日 6:45更新
▲ページトップへ高い放射線量 ロボットで測定
東京電力が示した工程表に沿って福島第一原子力発電所の事故の収束を目指すにあたり、当面、最大の課題となっているのが、放射線量の高い場所での作業をどう進めるかです。
東京電力は、原子炉建屋の内部で、遠隔操作のロボットによる放射線量の測定を進めるなどして作業員が入れるスペースを徐々に広げたい考えです。
福島第一原発の1号機から3号機では、原子炉の冷却機能が失われ復旧が急がれていますが、原子炉建屋内部の放射線量が高く作業員が入れない状態が続いています。東京電力が16日に行った調査では、原子炉建屋の入り口にある二重扉の外側での放射線量は、いずれも1時間当たりの最大値で、▽1号機で4ミリシーベルト、▽2号機で2ミリシーベルト、▽3号機で2ミリシーベルトでした。
また、内側の扉の外から原子炉建屋内部の放射線量を測定した結果は、いずれも1時間当たりの最大値で、▽1号機で270ミリシーベルト、▽2号機で12ミリシーベルト、▽3号機で10ミリシーベルトとなりました。
特に1号機では、緊急時の原発作業員の被ばく量の限度とされている250ミリシーベルトを1時間で超えることになります。
こうしたことから東京電力は、原子炉建屋内部の状態を詳しく把握する必要があるとして、無線で遠隔操作するロボットを入れて放射線量などを測定する調査を、17日、1号機と3号機で初めて行いました。
東京電力は、2号機でも18日以降調査を行って結果を詳しく分析したうえで、それぞれの原子炉建屋でどのような作業が可能なのかを検討し、作業員が入れるスペースを徐々に広げたい考えです。
また、1号機から3号機では、放射性物質に汚染された水がタービン建屋や「トレンチ」と呼ばれるトンネルにたまり、周辺での作業の妨げとなっています。
特に濃度が高い2号機のトレンチの水は、水位の上昇が続いていて、東京電力は、汚染水があふれ出るのを防ぐためにも早く水を移す必要があるとして、移送先となる「集中廃棄物処理施設」で水漏れを防ぐための工事や点検を進めています。
一方、1号機と2号機では、「サブドレンピット」と呼ばれる施設に集められた地下水の放射性物質の濃度が、今月13日の調査で1週間前と比べて急に上昇したことから、東京電力は16日も調査を行いました。
その結果、1号機から6号機のいずれも濃度はほぼ横ばいか低下したということで、東京電力は、高濃度の汚染水が地下水に漏れ出ている可能性は低まったとしたうえで、今後も監視を続けることにしています。
4月18日 6:45更新
▲ページトップへ原子力安全委 専門家を派遣
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、国の原子力安全委員会は、技術的な助言をする専門家について、東京で対応にあたるとしてきましたが、事態収束の長期化が予想されるなか、現地で情報収集などにあたる必要があるとして、事故から1か月以上たった17日、2人を福島市に派遣しました。
原子力安全委員会は、原子力災害が起きたとき、技術的な助言をする専門家として「原子力安全委員」や「緊急事態応急対策調査委員」を国や地方自治体の対策本部などに派遣することが防災基本計画で定められています。
しかし、今回の福島第一原発の事故では、東京にある政府の原子力災害対策本部や関係省庁などから発生直後から数多くの助言を求められたなどとして、専門家を福島県に派遣していませんでした。
こうしたなか、原子力安全委員会は、事態収束の長期化が予想され、現地で情報収集などにあたる必要があるとして、事故から1か月以上たった17日、「原子力安全委員」の小山田修氏と「緊急事態応急対策調査委員」を務める日本原子力研究開発機構の野口宏氏の2人を福島市にある政府の現地対策本部に派遣しました。
これについて、原子力安全委員会事務局の加藤重治審議官は、記者会見で「防災基本計画では委員を現地に派遣することになっていて、本来ならそうすべきだった。
委員会として現地での情報収集や状況の調査に務め、役割を果たしたい」と述べました。
4月18日 6:25更新
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