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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

来年度防衛予算概算要求発表は間もなく 防衛装備体系の大きな転換点

2013-08-19 12:11:12 | 国際・政治

◆八月末の宿題とRQ-4&AN/AAQ-33&MV-22

 八月末に発表される防衛予算概算要求まで僅かとなりました。一応、インフレ率等を含め2.8%の増額が予定されているもようです。

Gimg_6610 防衛予算は、民主党政権下での経済政策を欠いたばらまき政策に無計画な震災復興予算が加わり、此処に金融政策の欠如による過度な円高と代替案なき原発全停止による化石燃料大量輸入が国際価格の高騰を招いたことで、国債依存が強まり、我が国財政赤字は記録的悪化、ここに外交政策の欠如が安全保障環境を悪化させ、有事に日本を近づけたという現状、なんともなりませんがなんとかせねばなりません。

Nimg_8657_1 来年度予算の関連では、2014年度以降いよいよ高高度無人偵察機RQ-4グローバルホークの導入が開始されるとの報道がありました。RQ-4は攻撃力こそありませんが旅客機高度よりもさらに上空を30時間以上飛行し滞空監視するもの。特に東日本大震災における福島第一原発偵察などに威力を発揮したRQ-4の自衛隊導入は今後の南海トラフ地震などを含め、自衛隊情報優位獲得の転換点となるでしょう。

Img_1267 このほか、航空自衛隊はF-2支援戦闘機用照準ポッド選定にAN-AAQ-33スナイパーポッドを選定、ノースロップグラマン社製ライトニングとの選定の結果で、同種の装備は国産開発も行われていましたが、レーザーJDAMのような精密誘導爆弾との連接関係上海外製装備を取得することとなりました。米空軍のF-16にも近年搭載され、岩国などで地上展示されていましたが、この装備を航空自衛隊も導入することとなりました。

Timg_70820 このほか、MV-22の調査費用も計上されるとされ、文字通り百花繚乱というところでしょうか。しかしその反面、予算は十分確保できるのか、という素朴な疑問がわいてこないでもないところです。MV-22は導入するならばF-35と同じ取得費用であり、RQ-4は機体価格よりも地上情報伝送設備が高く、必要な装備とはいえ実行すればヘリコプター搭載護衛艦よりも高い費用を要するでしょう。

Img_4423 我が国の防衛を考えた場合、師団旅団通信体系の刷新、護衛艦の老朽化に伴う代替、戦闘機一部の深刻な老朽化、早期警戒機の代替、対戦車ヘリコプターの代替が急務であり、現状の輸送ヘリコプター代替や普通科部隊の装甲化、新輸送機と新哨戒機の取得、新戦闘機国際共同開発の展開、国産戦闘機技術実証機の開発、新自走砲の開発、課題は多々に渡るところ。

Himg_4858 こんなところで、MV-22を導入するくらいならば現在陸上航空自衛隊が運用している70機のCH-47を100機に増勢し、“百機のチヌーク”、という水準を示した方が抑止力にはなりますし、RQ-4も必要でしょうが、MQ-9のような汎用性の高い航空機を揃えたほうが良いのではないか、とも考えます。

Img_3638 防衛装備調達は文字通り冬の時代で、護衛艦の延命予算に加え哨戒機の延命予算が過去数年順次計上されていますが、このままで推移した際には場合によっては除籍戦車の延命と重装甲車転用や一部装甲車両の延命予算計上なども考えてゆかなければならなくなるかもしれません。

Eimg_3230 ただ、現代戦の革新点というべき情報共有に関する設備投資をここ数年間の厳しい防衛予算から基盤を整備し、技術研究を進めてきましたので、この結果、防衛予算には正面装備への充当できる部分への負担は多少なりとも緩和される部分が考えられるようになってきました。

Gimg_6136 他方で、圧縮されたとはいえ、その分延び延びになっている既存装備の代替予算は先送りになった分、分かりやすく例えるならば八月三十一日の宿題状態となっており、山積した装備品の調達を如何にして行うか、というのならば、実際には新装備として取得する装備は予算を上乗せするか、思い切ったコンパクト化を行うのかが大きな課題となるでしょう。

Img_1244 防衛装備体系の大きな転換点、と銘打った表題ですが、防衛力を起きく向上させる革新的な装備が導入される、という期待感が予算増額に裏打ちされていなければ、装備種類が大きくなりすぎ必要な数量を全ての装備で調達できなくなり、防衛力破綻へ転換する点ともなり得る、こういう意味も含んでいる、ということ。

Jimg_0903 年末には新しい防衛計画の大綱が画定する方針であり、他方でコンパクト化を進めた場合、従来型有事の可能性や巨大災害への政府対処能力の重要な位置を担う自衛隊の役割を考える際に、どう対応するのか、という疑問にも打開策は考えられません。こういう意味でも難しい判断を強いられることとなりますが、この八月末の宿題、旧式装備刷新と新装備取得に将来任務への対応、大きな関心を持って見守りたいところです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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