北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

イギリス海軍45型防空駆逐艦デアリング東京港を親善訪問 PowerShotG-9撮影速報

2013-12-01 23:32:38 | 世界の艦艇

◆ROYAL NAVY HMS DARING YOKOSO JAPAN!

 本日、イギリス海軍45型防空駆逐艦デアリングが親善訪問のため東京港へ初寄港しました。

Hmsimg_5041 45型防空駆逐艦は2009年より就役が始まった最新型のミサイル駆逐艦で、1976年より14隻が建造された42型防空駆逐艦の後継として開発されました。本日東京に入港したデアリングは、その一番艦にあたり、6隻が建造、本年42型防空駆逐艦が完全退役し、艦隊防空の主力としての交代を果たしています。

Dg_img_4913 ホストシップとして派遣された護衛艦てるづき。当方は、始発新幹線にて上京し、ゆりかもめへ乗り換え、台場へ展開、潮風公園からの撮影へ臨みました。晴海埠頭での撮影は恐らく曳船が横に写り込むと考え断念、台場公園から東京タワーを背景に撮影、と考えたのですが、撮影位置と角度が限られることから安全策を取ることに。

Dgimg_4923 レインボーブリッジから撮影したかったのですが、遊歩道が開放されるのは1000時からと知り、ホストシップの入港はデアリングの1030入港よりも30分前、と聞いたので断念しました、夏季だと0900時から開放されるとのことですので、残念ですが、これは仕方ない。

Hmsimg_4930 デアリング、その特徴的な姿がうっすらと見えたときには感慨深いものがありましたね。実は、11月に45型防空駆逐艦が入港すると報じられ、9月30日のヨーク公アンドルー王子と第一海軍卿来日を迎えての安倍総理挨拶でも、デアリング来日について語られた時から、物凄く楽しみにしていました。

Dg_img_4935 デアリング。シーバイパー防空システムを搭載する最新鋭艦の姿だ。マストが塔状になっており、上部の球体には対空捜索とミサイル誘導を行うサンプソンレーダーが搭載、球体そのものが回転する方式を採っており、四本の避雷針と共にくるくると回っている様子には知識として知っていたものの実物を見ますと少々度胆を抜かれましたところ。

Hmsimg_4952 G-12がCCD部分に塵が付着し修理行きとなっているためG-9を投入したのですが、粒子荒れが酷く、そろそろ当方も次期コンパクトデジタルカメラ選定、所謂C-X選定を開始しなければならないと考えているところ。最有力機種はFUJIfilmX-20とPowerShotG-16です。

Dgimg_4964 さて、この45型防空駆逐艦の艦隊防空システムですが、その基幹はシーバイパー戦闘システムの有する最大1000目標の識別追尾能力と12目標への同時交戦能力、そしてサンプソンレーダーの有する250kmの探知距離により構成されています。そしてVLSには射程120kmのアスター30が搭載され、多数の目標による同時攻撃にも対応可能、この能力は非常に高い水準にあるといえるでしょう。

Hmsimg_4973 45型防空駆逐艦は、欧州共通駆逐艦計画通称ホライズン計画として英仏伊共同開発が目指されたのですが、武装や主機選定で難航しイギリスが脱退、結果、イギリスは独自設計によりこの45型駆逐艦6隻を就役させ、フランス海軍はホライズン計画として仏伊協同にて設計したフォルバン級ミサイル駆逐艦を2隻、イタリア海軍はアンドレアドリア級ミサイル駆逐艦2隻を完成させています。

Hmsimg_4994 撮影位置をレインボーブリッジ遊歩道に移動し、東京スカイツリーとともに、デアリング、てるづき、の二隻を。45型防空駆逐艦は満載排水量7450tで、イギリス海軍が保有する水上戦闘艦では最大の大きさとなっています。あきづき型護衛艦てるづき、は満載排水量6800tですので、一回り大きいことになります。

Hmsimg_4998 デアリングは、満載排水量7450t、全長152m、幅21.2m、機関は統合電気推進方式を採用し、ガスタービンとディーゼルに電動機を各2基搭載、総出力は54400馬力です。防空駆逐艦としてサンプソンレーダーとともにアスター30艦対空ミサイルを48セルのVLSに装備し、このほか114mm単装砲一基、20mmCIWS二基、30mm単装機関砲二基と航空機1機を搭載しています。

Dgimg_5014 てるづき、は満載排水量6800t、全長151m、幅18.3m、機関はガスタービン四基の64000馬力、艦隊防空は大型のイージス艦に任せ、その支援に当たる護衛艦として計画され、127mm単装砲一基、20mmCIWS二基、90式艦対艦誘導弾四連装発射筒二基、Mk41VLS32セル、三連装短魚雷発射管二基、航空機一機を搭載し、射程50kmの発展型シースパローを多目標同時対処能力を有するFCS-3により管制する。

Hmsimg_5020 撮影位置は続いて日の出桟橋より東京ビッグサイト行き水上バスに乗り換え撮影へ。晴海埠頭に並ぶ二隻を一枚に。少々見えにくいのは撮影の主力があくまでEOS-7Dで、G-9は単なる補助用として持ちているため、最高の撮影位置ではどうしてもEOS-7Dの方で撮影するのですよね。

Hmsimg_5022 45型防空駆逐艦の一番艦は2009年就役のデアリング、二番艦は2009年就役のドーントレス、三番艦は2011年就役のダイヤモンド、四番艦は2011年就役のディフェンダー、五番艦は今年2013年就役のドラゴン、そして六番艦は今年2013年末か来年初旬に就役予定のダンカン、です。

Hmsimg_5031 撮影位置は最後に東京駅からバスに乗り換え晴海埠頭へ。少々都内の道路状況が混雑していましたので、思いのほか時間がかかってしまいましたが、晴海埠頭客船ターミナルにて間近まで迫っての防空駆逐艦デアリングの撮影へ。ちょうどユニオンジャックが風に翻るのが嬉しい。

Dgimg_5032 45型防空駆逐艦について、防空能力の高さもさることながら居住性の高さでも知られ、士官は個室、下士官は二人部屋、水兵も太平洋フェリーS寝台相当のプライバシーを確保し、長期航海への対応能力を高めているほか、欧州艦ならではの装備としてバーがあり一杯やるのも出来るとのこと。

Dgimg_5038 甲板ではL-85小銃を携行したイギリス海兵隊艦隊防護部隊に所属するコマンドーが警戒に当たっていました。イギリス艦は、23型フリゲイトを横須賀で撮影したことがあるのですが、あの時は距離がありましたので、当方がL-85小銃を見たのは、今回が初めてだったかもしれません。

Dgimg_5034 てるづき、長崎で建造中の時から見ている一隻です。イギリスは一つのサンプソンレーダーを艦上で最も高い塔型マスト上で回転させる方式を採っていますが、我が国は比較的高い位置へ四面に配置し、同時に全周の航空目標への対処を主眼としているもの。高い位置の方が遠距離の低空目標を探知できますが、一基では全周捜索へ一瞬の時間を要する、このあたりの設計思想の相違が面白いですね。

Dgimg_5042 イギリス海軍ですが、3隻のインヴィンシブル級軽空母後継に65000tのクイーンエリザベス級空母2隻を建造、更に艦載機としてF-35Bの主開発国として参加すると共にユーロファイターEF-2000戦闘機の主開発国となり、この巨額の開発費が開発遅延により膨らんだ際に欧州通貨危機が勃発し、財政難は塗炭の苦しみとなっています。

Hmsimg_5027 このため、将来的に現在主力の23型フリゲイトの除籍を進め水上戦闘艦は45型防空駆逐艦6隻、計画中の26型フリゲイト10隻、23型フリゲイト近代化改修型の合計20隻以下という水準に収まる可能性が指摘されています。あの大英帝国海軍が、と感慨深い印象を受けると共に、我が国はまだましなのだなあ、と思いつつ、出来れば毎年親善訪問を重ねてほしい、とも期待し帰路に就きました。出港は火曜日の予定です。

北大路機関:はるな

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コメント (3)
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