◆海上自衛隊回転翼固定翼航空機・米海軍機
江田島基地より艦艇へ候補生課程修了者が乗艦を完了しつつあるところ。
その時をかさねるころに、エンジン音が幾重にも重なり当方の撮影する江田島基地の対岸まで響いてきました。航空機か、機影を求め上方を眺めると稜線を越えて哨戒ヘリコプターの編隊が江田島基地上空へ飛行し近づきつつある様子が見えてきました。
海上自衛隊が誇るSH-60K哨戒ヘリコプターの編隊です。前型のSH-60Jとともに150機が生産され、現在も生産は継続中です。大湊航空基地、厚木航空基地、館山航空基地、舞鶴航空基地、小松島航空基地、大村航空基地、鹿屋航空基地へ配備されています。
海上自衛隊の哨戒ヘリコプターは草創期のHSS-1の時代より吊下ソナーを搭載し、米海軍では空母艦載機として運用された大型のHSS-2を護衛艦上で運用、SH-60も海上自衛隊仕様のSH-60Jでは吊下ソナーを装備し、諸外国のSH-60は基本的に艦載電子機器の延長として運用されるなか、我が国では独立した対潜装備体系を構築し今に至る。
艦載ヘリコプターとしては機体規模に余裕があるS-70系統の機種を採用したことから、吊下ソナー、ソノブイ、磁気探知装置、対水上レーダ、データリンク器材、K型からは対艦誘導弾とその運用能力を有しつつも比較的長い飛行時間を有し、哨戒任務に当たることが可能です。
T-5練習機、小月航空基地へ集中装備される海上自衛隊の固定翼練習機で、P-3C哨戒機など海上自衛隊の運用する固定翼練習機の要員養成にあたる機体です。約50機が生産され、生産が一時完了しましたが再開された航空機で、生産しているのは富士重工、航空自衛隊のT-7練習機とエンジンなどは同系統のもの。
この練習機の興味深い点は操縦席をT-7練習機のような前後に着席する方式ではなく、通常の旅客機のように左右に搭乗する並列方式を採用し、後部座席と併せ四名が搭乗可能です。このあたり、海上自衛隊の航空機が並列型操縦席を採用している点に考慮されているのでしょう。
TC-90練習機、徳島航空基地へ約30機が集中配備されている機体で、海上自衛隊の連絡機LC-90の派生型に当たる航空機、操縦の基礎を学ぶのがT-5練習機ですが、海上自衛隊の航空機は基本的に長距離飛行を行いますので、この為の訓練を行うのがこのTC-90練習機です。
長距離飛行において必要とされるのは計器飛行能力で、固定翼航空機回転翼航空機問わず基礎課程を経た飛行幹部候補生は徳島航空基地にて計器飛行課程に臨みます。徳島航空基地へ行かなければ中々編隊飛行を見ることが出来ない航空機と言えるやもしれません。
そして大型航空機の編隊が近づいてきます。既に三機編隊飛行で三編隊が航過飛行を行ってきているのですが、江田島の卒業式、といいますと練習艦隊の入港を様々な基地や港で撮影してきましたが、正直此処までの航空機の編隊が一斉に祝賀飛行を行う事とは知りませんでした。
練習艦隊と航空部隊、考えてみればある意味当然のことで、海上自衛隊は護衛艦部隊が外洋航行を想定した大型水上戦闘艦の保有規模で米海軍に続く世界第二位の規模を有していますが、改めて考えれば大型哨戒機100機を調達するなど、洋上航空部隊の規模でも米海軍に次ぐ規模を有していますから、ね。
P-3C哨戒機の三機編隊です。電子装備と探知装備を複合多用し高度な潜水艦索敵能力と洋上哨戒能力を備えている反面、一機でフリゲイト一隻に匹敵するという高価な哨戒機で、事実導入開始当時の一機当たりの調達費用は同時期に調達された護衛艦いしかり型と同額だったものですが、対潜哨戒能力の重要性を第二次大戦中に身をもって知っている我が国は実に101機を調達しました。
海上自衛隊では90年代中期に哨戒任務の機体を80機へ抑えると共によ上記を以てEP-3電子偵察機、OP-3画像情報収集機、UP-3C実験機、UP-3D電子戦訓練支援機に充当し、能力の強化を続けています。配備基地は、八戸航空基地、厚木航空基地、下総航空基地、岩国航空基地、鹿屋航空基地、那覇航空基地など。
米海軍のP-3C哨戒機、嘉手納基地か三沢基地からの参加でしょうか。哨戒機の海上自衛隊の保有数は80機ですが、欧州全体での哨戒機数が40機、米海軍が世界に展開させる規模が170機、ロシアで30機、中国は現在試作機を試験中ですので、この80機という数は物凄い。
旋回するP-3Cの編隊、海上自衛隊は現在、後継機として国産のP-1哨戒機を技術試験中で、大型の電子機材とより大きな航続距離と進出速度に飛行高度を有する機体として完成しています。能力の大きさとともに日本の航空機開発への次の技術への寄与も期待される航空機と言えるでしょう。
海上自衛隊のP-3CはP-1哨戒機へ置き換えが始まりますが、対して米海軍はボーイング737を原型とし、対潜哨戒の他に海洋共同交戦能力の航空端末と無人機母機としての性能を有するP-8A哨戒機を開発、一昨日に初の海外配備として嘉手納基地への配備が開始されました。
航空部隊の装備はどんどん近代化されていますので、近い将来は日米のP-3C哨戒機が、そのまま日本の最新型P-1哨戒機とアメリカの最新型P-8A哨戒機による編隊飛行となるのでしょうか、祝賀飛行の眼下ではいよいよ練習艦隊の出航がはじまります。
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