北大路機関

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新防衛大綱(25大綱)・中期防衛力整備計画閣議決定、航空防衛力整備の基本点を総括する

2013-12-19 23:54:10 | 国際・政治

◆新型機・平時警戒増大、難題に挑む航空自衛隊

 25大綱では、航空自衛隊は平時と有事における境界線というべきグレーゾーン事態への対応を重視し、既存の有事への情勢対処能力を整備してゆくこととなります。

Adimg_1950 航空自衛隊は特に平時の警戒管制能力について、平時における多方面からの同時対領空侵犯措置任務に対応するべく、長期間の警戒監視管制能力強化を図る方針が明示されています。即ち、平時における警戒監視の継続的実施へ大きな課題であった数的充実へ着手される、というかたち。

Img_8934 警戒監視能力ですは、まず現在警戒群と警戒隊に区分されているレーダーサイト、防空監視所の態勢が全て警戒隊へ統一されます。他方、警戒航空隊は一個航空隊を維持しつつ三個飛行隊を基幹とする編成となり、早期警戒機部隊の運用体制が見直されることとなるもよう。

Nimg_8199_1 戦闘機部隊は一個飛行隊が増勢され、現在の12個飛行隊より13個飛行隊へ拡充されます。その反面、航空偵察部隊の専従部隊が廃止されるとのことですが、これは旧式化するRF-4偵察機の老朽化に伴う後継機RF-15開発の技術的中断が背景にあり、今後航空偵察は無人機と既存機への偵察ポッド搭載により実施されるようになるのかもしれません。

Yimg_8901 戦闘機整備は中期防衛力整備計画の五年間でF-35A戦闘機が28機改修されるとともにF-15Jの近代化改修も26機が実施されます。既にF-15の近代化改修は金d内化改修対応可能な機体についてかなり進んでいますので、これを継続している、というものなのでしょう。

Bimg_1502 空中給油輸送機を運用する飛行隊の増設も今回明示されており、現在の1個飛行隊から2個飛行隊へ増勢、これは戦闘空中哨戒など既存戦闘機部隊の空中給油の実施による長時間の警戒飛行を実施できる体制構築に向けての実施、と考えられるでしょう。

Img_8109 作戦航空機は従来の340機から360機へ、戦闘機定数は260機から280機へ、僅か20機ではあるものの、旧式戦闘機の代替を踏まえればかなりの負担となる航空部隊整備が行われます。他方、航空輸送部隊は3個飛行隊のまま、地対空誘導弾部隊は6個群の維持のまま、変更はありません。

Himg_31850 新型航空機ですが、空中早期警戒機の代替が開始されます。航空自衛隊は大型のE-767早期警戒管制機と、旧式化しているE-2C早期警戒機を、それぞれ4機と13機を運用していますが、このうちE-2Cについては早期警戒機ではなく早期警戒管制機へ代替される方針が示されました。

Img_7243 新中期防衛力整備計画で4機が導入される新型機は早期警戒機ではなく新早期警戒管制機とされていますので、早期警戒機であるE-2CはE-2Dへ、という近代化ではない模様で、しかしE-767のAPY-2レーダ装置が生産終了していますので、E-737AEWの改良型か米空軍E-3後継機と歩調を合わせるのか、関心事と言えるところ。

Img_3631 しかし、E-2C後継機は、現在一個飛行隊を構成している機体を二個飛行隊に分化する以上、最低でも8機程度を取得する必要があり、更に警戒飛行時間と情報処理能力が大きい早期警戒管制機が導入される方針ですので、その取得費用は大きくなることでしょう。航空自衛隊はE-767について、かなりの費用を継続的に投じてその能力強化に充てていますので、新型機がどう運用されるのか、これも関心事といえるもの。

Adimg_9824 空中給油輸送機は新型機が導入されます、恐らくボーイング767系統の新型機、米空軍の新空中給油輸送機と同等のものとするのでしょう。これは二個飛行隊が整備される方針ですが、中期防衛力整備計画において3機が導入される方針となっています。

Img_7046 小牧基地で集中運用されるのか、もしくは空中給油機の任務が最も大きい那覇基地へ前進配備するのかもしれません。このほか、航空救難団へ、ヘリコプターへの空中給油能力を有するKC-130の配備が継続されるのかは、第一線航空救難能力の整備への面から、やはり興味がわいてきます。

Img_1025 輸送機についてはC-1輸送機の後継機として新輸送機C-2の10機が中期防衛力整備計画において盛り込まれており、これは毎年2機程度の調達が見込まれていることとなります。C-1輸送機は初飛行から40年以上が経過しているため、新型機の導入は重要な課題です。

Img_4807 南西諸島への緊急展開任務には、特に戦闘機部隊の支援器材の空輸等で必要ではありますが同時に李雨情自衛隊の統合輸送任務においても必要な装備であるため、早い話が有事の際にどれだけ輸送機があっても空輸能力は充分ではありません。これが今後の展開としてどの程度取得されるのか、他の装備との均衡も関心事といえます。

Bimg_1402 このほか、滞空型無人機が陸海空協同運用として導入が開始され、中期防衛力整備計画において3機の取得が実施されます。全般的に無人機の部隊導入が大きく、その上で課題となっていた早期警戒機後継機、戦闘機不足、給油能力の強化、という指針が今回の中期防衛力整備計画において進められるようです。

北大路機関:はるな

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コメント (3)
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