北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

オバマ大統領来日、明日東京で安倍総理との日米首脳会談 TPP交渉と対中政策に重点

2014-04-23 22:45:55 | 国際・政治

◆太平洋挟む同盟関係の強化へ

 今夕、オバマ大統領がVC-25エアフォースワンにて東京の羽田空港へ到着しました。

Abimg_5476 安倍総理とオバマ大統領は、今夜夕食会を東京にて、続いて明日日米首脳会談を行い両国関係の強化を話し合うと共に、天皇陛下との謁見と宮中晩餐会に臨みます。日米間は太平洋を挟む重要な同盟国同士であり、防衛協力と経済協力関係の強化を軸に両首脳は会談に臨むこととなるでしょう。

Img_9085_1  他方で、日米関係はその重要性について、世界第三位の経済大国と世界最大の経済大国同士の関係、太平洋を挟む最も重要な同盟関係として挙げられるわけですが、日米両国の政治課題は必ずしも一致しない、言い換えれば微妙なずれがあるため、この点への両国の会談に大きな関心事が集まります。

Bs_img_1997 それはアメリカが最も重視しているのは2001年の9.11以降でのアフガニスタン介入以降、イラク戦争などを経ての長い戦費負担後、大きく衰退した経済力の復興が求められ、TPP環太平洋パートナーシップ協定を軸とし環太平洋地域の成長力を取り込むことにより経済再興を目指す事が、最も重要で、医療保険制度改革など福祉重視を掲げるオバマ政権にはその歳入に繋がる経済再興が求められているところ。

Mimg_2066 我が国が最も重視するのは、経済成長には一定の目処が立ちつつあるなかで、その安全保障面でのアメリカとの協力関係の強化です。特に南西諸島に対しての中国による軍事圧力の増大は我が国が戦後初めての武力攻撃を受ける蓋然性が非常に高まりつつあり、戦争を防ぐためへのアメリカの協力を求めている。

Bimg_1326 アメリカにとり、中国は巨大な市場です。遡れば太平洋戦争そのものについても中国市場への我が国の専有がもたらす自由主義経済への悪影響に起因する部分がありました、その政治的発言力の強化は兎も角として中国は将来的に民主化させ自由主義経済へ転換させるべき重要なパートナーの一国です。

Img_90_00 一方で我が国は直接軍事脅威を受けているわけですので、公益関係での重要な中国市場の位置づけには無視できないものがありつつも、直接軍事力を突き付けられ領域の一部へ圧力を掛けられる状況下では、看過できるものでは無く、アメリカと日本との中国観は必ずしも一致しません。

Gimg_3563 日本が求める防衛協力についても、GDP比での防衛費負担はアメリカの対テロ戦争期の負担よりは遙かに軽く、一見充分に防衛努力を行わない我が国のアメリカへの防衛協力強化を求める施策は奇異と受け取られるかもしれません。我が国としては憲法上防衛努力には限界があるための、対米協力要請なのですが、憲法観は当事者日本とアメリカとでは根本から異なる事、言うまでもないでしょう。

Bs_img_8428 TPPについても、我が国が食料自給率を過度に考慮する背景には憲法上の専守防衛と重なり、最悪の場合食料は自給しなければならないという切迫感が食料安全保障という概念に繋がっているため、この点での日米の一致は、より深化した部分での積み重ねが必要となります。

Img_0859 この点で、拙速であっても経済復興を成し遂げなければならないアメリカと、南西諸島への脅威を受け、その周辺での情勢変化がシーレーン途絶に繋がりかねない我が国では、重要項目とその達成へ残された時間的余裕が異なってきます。少なくともアメリカにとり中間選挙という期限までの成果が求められるのですから。

Himg_3859  一方、ブッシュ政権下のアメリカは必要であれば即座に軍事力投入に躊躇がありませんでした、これが是とすべき可否とすべきかは議論は残るところではありますが、地域大国間の軍事行動などを抑制する大きな効果はありマスタがオバマ政権ではこの部分に非常に慎重です。

Mimg_7237  この慎重な姿勢が、一種アメリカの対外的な発言権を低下させていると錯覚させるものがあり、実質国際公序を画定し国際システムを構築する能力を制度化したアメリカの能力は今なお世界で比類なく最も有力な国なのですが、対外的にこの地位が転換しつつあるとの錯覚を与えています。更に内政での混乱が拍車を掛けているようにも見えるでしょう。

Himg_3501  日米首脳会談は異なる二つの国が抱える異なる背景から当然ながら課題が残ります。もちろん、総論一致となりましょうが、各論では課題が残されています。他方、こうした部分での相互理解と認識を共有できなければ、同盟関係の深化には限界が生じるわけですので、この点の踏み込んだ議論を期待したいところです。

北大路機関:はるな

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コメント (3)
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