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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第二〇回):航空防衛力、機動戦闘施設部隊増勢の必要性

2015-11-01 22:01:15 | 防衛・安全保障
■日本版シービーの必要性
基地分散運用へは、単純に戦闘機を中隊ごとに分散する指揮命令系統だけではなく、基地機能そのものを分散させる枠組みが必要となります。

航空自衛隊には航空方面隊毎に航空施設隊が置かれています、基地業務隊施設隊という編成が戦闘機部隊である航空団や航空隊毎に置かれていますが、航空施設隊は機動運用部隊となっていまして、建機と除雪機材を中心とした装備は航空祭の装備品展示などでも並んでおり、装備を見ることが出来ます。航空攻撃などに際しては既知復旧の骨幹戦力となる事は云うまでもありません。

この観点から、例えば日本版シービーの必要性について、戦闘機部隊分散運用の面から考える必要が出てくるかもしれません。Seabee、海軍建設隊というアメリカ海軍の作戦部隊で、元々は第二次大戦前夜の時期に艦艇基地の前線施設工事や航空攻撃などにより損傷した飛行場施設の復旧と平時における施設建設、部外工事も含む組織です。特筆すべきは近接戦闘任務御含まれており、前線工事中に襲撃を受ければ歩兵としての役割も担う。レッドホースとしてアメリカ空軍の機動施設部隊がありますが近接戦闘部隊としての位置づけが違います。

航空施設隊を大幅に増勢し、必要ならば基地防御を行う前線部隊として対応する案でして、場合によっては海上自衛隊のミサイル艇部隊や艦艇基地の復旧を統合任務部隊に参加する事で対応する事も視野に含む案で、航空団の分散運用を行う上で展開する民間飛行場を臨時に暫定分屯基地へ拡張する際の工事、更に物資調達や有事における民有地借地に関する会計業務を含む機動業務隊としての任務も含み考えるべきでしょう。

その必要性についてですが、近年、大陸からの巡航ミサイル脅威が着実に増大しているほか、我が国を射程に収める中距離弾道弾の脅威も増加していますので、現状のままでも航空施設部隊は充分とはいえません。一方で航空施設隊をそのまま群編成の拡張という形で改編するのではなく、日本版シービーとしたのは機動運用を自走だけではなく輸送機や輸送艦等による機動展開に適した小型車両などを中心とする視点です。

航空施設隊の歴史は非常に長いものがありまして、1961年に創設、最初に創設された部隊は北部航空施設隊で除雪作業任務にあたりました、この他基地とレーダーサイトなどの分屯基地に撃おける土木工事とボイラーや空調施設工事を担ってきまして、北部航空施設隊は2個作業隊、中部航空施設隊は3個作業隊、西部航空施設隊は3個施設隊、南西航空施設隊は1個作業隊を隷下に置いています。

航空自衛隊の航空施設隊は、平時には基地施設補修と建設を担っていますが実戦部隊でもあり、例えば空爆からの基地復旧訓練としまして、演習場に模擬滑走路を構築し500ポンド爆弾数発分相当の爆薬を設置し実爆により模擬滑走路を破壊、そこから滑走路を復旧し基地機能を回復する実戦的な訓練も行っていますが、巡航ミサイル脅威と中距離弾道弾脅威が着実に増大している現状からみても部隊規模は充分とは言えません。

北大路機関:はるな くらま
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