■在来型戦争への備え
シリアのISILへの有志連合は、パリ同時多発テロを受けてのフランス主導による各国への有志連合形成の呼びかけがその強化を大きく進めようとしています。
東部ウクライナ紛争とクリミア半島併合による欧州とロシアの激しい外交対立が、ISILという顕在化した新しい国際テロリズムの脅威への多国間合意形成と協調介入の基盤構築への大きな障害となってきたわけですが、欧州地域へのテロ脅威現実化という実害へ展開した為、東部ウクライナ紛争問題を一時棚上げし有志連合を形成する動きへ転換したかたちです。しかし、この動きは我が国防衛政策と防衛力へ、少なくない影響を及ぼすかもしれません。
対ISIL有志連合の形成と我が国防衛政策への影響、と言いますと、やはり自衛隊もF-2支援戦闘機とE-767早期警戒管制機を中東に派遣してイラクのISILを空爆すべきだろうか、あたご型イージス艦を派遣して5インチ砲で艦砲射撃すべきだろうか、と短絡的に勘違いされる方がいるかもしれませんが、そうではなく、我が国同盟国であるアメリカが無人機等非対称戦争への対応能力を更に進めることがあるならば、在来型戦争への対応能力が低下する可能性があるでしょう。
非対称型戦争、つまり国際テロや過激派勢力による破綻国家形成が国際社会への悪影響を及ぼす事への実力での対処、その能力を強化する趨勢は2001年の9.11同時多発テロ以降、アメリカの国防政策へ大きな影響を及ぼしました、結果、在来型戦争への対処能力優先度が下がりまして、具体例を挙げますと陸軍ではMRAP耐爆車両の大量生産によりFCS将来戦闘車両体系計画の白紙撤回、海軍では沿岸哨戒と海洋監視重視のLCS沿海域戦闘艦重視と予算配分偏重によりDD21ズムウォルト級駆逐艦等大型水上戦闘艦体系の根本的見直し、空軍でも無人機偏重とF-22戦闘機配備計画縮小やF-35統合打撃戦闘機計画遅延、など。
この命題は、世界で最も在来型戦争発生の蓋然性が高いとされる北東アジア地域でのアメリカ軍の在来型戦争遂行能力が相対的に低下する事を意味し、この補完的措置を何れかの国が担う必要がある、という事に帰結します。特に、我が国は、憲法上の制約があるため、打撃力を基本的にその戦力投射という選択肢に含めず、我が国への有事には打撃力をアメリカ軍に依存する基本政策をとっています、専守防衛とは国土を戦場として出血強要を図り撃退するという凄惨な覚悟が必要で、専守防衛は相手以上に我が国民の出血を覚悟しなければなりません、故にアメリカ軍の打撃力に依存し相手策源地を無力化するか、着上陸と同時に水際撃破する防衛力強化が求められるのです。
従って、我が国としては同盟国の在来型戦争への対処能力が低下しており、その傾向が対ISIL有志連合による長期的な戦闘継続とともに、より長期化するという視座が防衛計画画定の際への配慮が必要となります、即ち自衛隊の在来型戦争の対処能力を高める必要性があり、その上で予算措置や予算配分への考慮、為政者の意識として、有権者の理解として、同盟国の防衛力に関する転換が結果的に進んでいる事を忘れるべきではありません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
シリアのISILへの有志連合は、パリ同時多発テロを受けてのフランス主導による各国への有志連合形成の呼びかけがその強化を大きく進めようとしています。
東部ウクライナ紛争とクリミア半島併合による欧州とロシアの激しい外交対立が、ISILという顕在化した新しい国際テロリズムの脅威への多国間合意形成と協調介入の基盤構築への大きな障害となってきたわけですが、欧州地域へのテロ脅威現実化という実害へ展開した為、東部ウクライナ紛争問題を一時棚上げし有志連合を形成する動きへ転換したかたちです。しかし、この動きは我が国防衛政策と防衛力へ、少なくない影響を及ぼすかもしれません。
対ISIL有志連合の形成と我が国防衛政策への影響、と言いますと、やはり自衛隊もF-2支援戦闘機とE-767早期警戒管制機を中東に派遣してイラクのISILを空爆すべきだろうか、あたご型イージス艦を派遣して5インチ砲で艦砲射撃すべきだろうか、と短絡的に勘違いされる方がいるかもしれませんが、そうではなく、我が国同盟国であるアメリカが無人機等非対称戦争への対応能力を更に進めることがあるならば、在来型戦争への対応能力が低下する可能性があるでしょう。
非対称型戦争、つまり国際テロや過激派勢力による破綻国家形成が国際社会への悪影響を及ぼす事への実力での対処、その能力を強化する趨勢は2001年の9.11同時多発テロ以降、アメリカの国防政策へ大きな影響を及ぼしました、結果、在来型戦争への対処能力優先度が下がりまして、具体例を挙げますと陸軍ではMRAP耐爆車両の大量生産によりFCS将来戦闘車両体系計画の白紙撤回、海軍では沿岸哨戒と海洋監視重視のLCS沿海域戦闘艦重視と予算配分偏重によりDD21ズムウォルト級駆逐艦等大型水上戦闘艦体系の根本的見直し、空軍でも無人機偏重とF-22戦闘機配備計画縮小やF-35統合打撃戦闘機計画遅延、など。
この命題は、世界で最も在来型戦争発生の蓋然性が高いとされる北東アジア地域でのアメリカ軍の在来型戦争遂行能力が相対的に低下する事を意味し、この補完的措置を何れかの国が担う必要がある、という事に帰結します。特に、我が国は、憲法上の制約があるため、打撃力を基本的にその戦力投射という選択肢に含めず、我が国への有事には打撃力をアメリカ軍に依存する基本政策をとっています、専守防衛とは国土を戦場として出血強要を図り撃退するという凄惨な覚悟が必要で、専守防衛は相手以上に我が国民の出血を覚悟しなければなりません、故にアメリカ軍の打撃力に依存し相手策源地を無力化するか、着上陸と同時に水際撃破する防衛力強化が求められるのです。
従って、我が国としては同盟国の在来型戦争への対処能力が低下しており、その傾向が対ISIL有志連合による長期的な戦闘継続とともに、より長期化するという視座が防衛計画画定の際への配慮が必要となります、即ち自衛隊の在来型戦争の対処能力を高める必要性があり、その上で予算措置や予算配分への考慮、為政者の意識として、有権者の理解として、同盟国の防衛力に関する転換が結果的に進んでいる事を忘れるべきではありません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)