北大路機関

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陸上防衛作戦部隊論(第三八回):装甲機動旅団編制案の概要 旅団飛行隊の小規模な編成案

2015-11-18 22:51:35 | 防衛・安全保障
■旅団飛行隊
装甲機動旅団編制案の概要について、ここまで長く掲載してきましたが、まず概要をふれたうえで今回の命題の議論としましょう。

装甲機動旅団、人員4900名、戦車41両・装甲戦闘車90両・特科火砲30門・MLRS16門を基幹とし、編成は以下の通り。旅団司令部、司令部付隊 、普通科連隊、普通科連隊、普通科連隊、戦車大隊、偵察隊、特科連隊、特殊武器防護隊、高射特科大隊、施設大隊、通信大隊 、飛行隊、後方支援隊、音楽隊、この編成案に沿って今回は飛行隊の編成案について提示します。

飛行隊は、旅団として一定水準の航空機を運用する、という範疇に留めます。航空機は必要ですが充分な規模を広範に配備する予算上の余裕はありませんので苦肉の策というもので、具体的には多用途ヘリコプターと観測ヘリコプターを若干数、もしくは観測ヘリコプター能力を多用途ヘリコプターに集約する新型機を7機から8機程度配置する、という水準です。

理想からは、OH-1観測ヘリコプターとUH-X多用途ヘリコプターを各5機から6機装備する事が望ましいのですが、特にOH-1は空対空戦闘能力がありますし、ミリ波レーダー運用試験を実施し情報伝送能力も能力近代化改修により付与される装備です、が、当初計画ではOH-1は250機が生産される計画であったものが、冷戦後の予算縮小と任務増大に伴う予算配分変化により大幅縮小となり、OH-1の大量配備は現実的ではありません。

現在の師団飛行隊の規模が多用途ヘリコプターと観測ヘリコプターを合わせて10機弱という水準ですから、師団を装甲機動旅団へ改編史、戦車や装甲戦闘車を集約し特に装甲戦闘車などは明らかに増強するという施策を提示した一方、ヘリコプターについては現状よりも若干縮小する、という案でして、これには後継機選定と航空機動旅団への集約という事情も含むもの。

装甲機動旅団は戦車と共に攻撃前進をするうえで戦闘ヘリコプターによる空地一体の支援は実際のところ不可欠です、現代戦は情報優位が戦闘優位に直結するものですから、空からの監視の目は絶対に必要であり、ミリ波レーダー等デジタル索敵手段を有する航空機により包囲突破迂回等各種攻撃機能を選定するに必要な情報の収集手段がなければ対応できないのです。

一方、高付加価値目標となってしまうため、これら航空機は自衛手段を具備する事が望まれますので、必然的に戦闘ヘリコプターが先頭に立って情報優位に資する協同行動を執る必要があるのです、が、戦闘ヘリコプターは取得費用が大きく、同時に装甲機動旅団と共に広域師団を構成するもう一つの旅団、航空機動旅団にも戦闘ヘリコプターが必要であることはいうまでもありません。

戦闘ヘリコプターが必要だ。しかし、航空機動旅団と装甲機動旅団がその編成上どちらかに戦闘ヘリコプターを必要としているかについての優先順位が必要になり、結果的に装甲機動旅団は戦車を情報優位に資する運用が可能で、併せて普通科連隊の軽装甲機動車中隊を情報優位への先遣部隊に対応させることができる一方、もう一つの航空機動旅団は装甲装備を多数装備できない編成上、航空機動旅団の方がより戦闘ヘリコプターが不可欠となる点が分かるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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