■戦闘基盤を支える空輸能力
戦闘機の分散運用、これには作戦輸送と業務輸送の区分が必要となる。
航空部隊の分散運用と弾道ミサイル及び巡航ミサイル攻撃による基地機能喪失からの基地機能回復には、空輸による作戦能力の維持が必要となります、従って自衛隊は戦闘機数を維持する程度で増勢せずとも航空優勢確保は可能である水準とは考えるのですが、輸送機部隊と空中給油輸送機部隊等については幾つかの理由から現在の水準で充分とは言い切れません。
現在の航空自衛隊輸送機はC-1輸送機26機、C-130輸送機15機、KC-767空中給油輸送機4機、B-747特別輸送機2機、となっています、C-1輸送機は最大搭載量が少ない点からC-130よりも一段小型の輸送機と考えられがちですが、C-1は飛行速度を大きくすることで時間当たりの輸送量を増強させる一種新幹線的発想に依拠する設計思想に則り開発された機体で、実のところ作戦輸送能力は低くは無く、自衛隊の空輸力は一応高いものです。
しかし、自衛隊の任務として南西諸島での航空優勢確保への航空部隊分散運用を念頭に必要輸送量を想定しますと、残念ながら自衛隊の現状の空輸能力では根本的に不足するものがあります、F-15戦闘機を筆頭に航空自衛隊の装備は戦闘行動半径と長射程誘導弾運用能力を高く有する反面、その分多くの後方支援を要します、これはF-15が米空軍において運用される状況下では問題となりませんが、自衛隊の場合はこの限りではない。
南西諸島防空を考える場合、まず、冷戦期の北海道のような分散運用を行う場合、例えば千歳基地の他に北海道には函館空港や帯広空港に旭川空港と釧路空港がある他、札幌の丘珠空港は陸上自衛隊が運用していますし、八雲分屯基地のように緊急時に代用滑走路として運用できる施設がありました、那覇空港のほかに沖縄県には多くの空港がある事はこれまでに幾度も示しましたが、基本的に離島であり、陸路での輸送が基本的にできません。
島嶼部の空港を防空作戦の上からは活用せざるを得ない、北海道であれば地上支援設備や弾薬と燃料などを車両により補助飛行場を迅速に開設することが出来るのでしょうが、離島の場合は沖縄本島に様に補給設備と資材を蓄積しておかなければ対応できない、すると空輸か海上輸送により支えるほかないのですが、このためには輸送機か輸送用船舶を確保しなければなりません、結果、現在の水準では輸送機が不足するのです。
輸送機は増勢されます、C-1輸送機が新型のC-2輸送機へ代替される事で、空輸能力は最大8tの搭載能力から37tの搭載能力と大幅に増勢されることになりますし、空輸能力を持つKC-767空中給油輸送機も増勢される計画ですので、全体の空輸能力の拡大はそれなりに大きなものとなります、特にC-2輸送機はA-400M大型輸送機と並び、C-17に準じる空輸能力を持ちますので、C-1を完全に置き換えた場合の空輸能力は世界有数の規模となる。
しかし、必要となる空輸能力は更に上となりますし、航空自衛隊の作戦輸送に加えて、南西諸島は陸上自衛隊の駐留も多くは無い為、航空自衛隊の輸送機には陸上自衛隊の支援任務が加わり、更に弾道ミサイル防衛部隊の空輸、南西諸島有事の場合には国民保護のための陸海空統合任務部隊としての沖縄救援隊が編成され、こちらの輸送支援も求められるでしょう、すると、作戦輸送部隊と業務輸送部隊を明確に分ける必要が出てくるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
戦闘機の分散運用、これには作戦輸送と業務輸送の区分が必要となる。
航空部隊の分散運用と弾道ミサイル及び巡航ミサイル攻撃による基地機能喪失からの基地機能回復には、空輸による作戦能力の維持が必要となります、従って自衛隊は戦闘機数を維持する程度で増勢せずとも航空優勢確保は可能である水準とは考えるのですが、輸送機部隊と空中給油輸送機部隊等については幾つかの理由から現在の水準で充分とは言い切れません。
現在の航空自衛隊輸送機はC-1輸送機26機、C-130輸送機15機、KC-767空中給油輸送機4機、B-747特別輸送機2機、となっています、C-1輸送機は最大搭載量が少ない点からC-130よりも一段小型の輸送機と考えられがちですが、C-1は飛行速度を大きくすることで時間当たりの輸送量を増強させる一種新幹線的発想に依拠する設計思想に則り開発された機体で、実のところ作戦輸送能力は低くは無く、自衛隊の空輸力は一応高いものです。
しかし、自衛隊の任務として南西諸島での航空優勢確保への航空部隊分散運用を念頭に必要輸送量を想定しますと、残念ながら自衛隊の現状の空輸能力では根本的に不足するものがあります、F-15戦闘機を筆頭に航空自衛隊の装備は戦闘行動半径と長射程誘導弾運用能力を高く有する反面、その分多くの後方支援を要します、これはF-15が米空軍において運用される状況下では問題となりませんが、自衛隊の場合はこの限りではない。
南西諸島防空を考える場合、まず、冷戦期の北海道のような分散運用を行う場合、例えば千歳基地の他に北海道には函館空港や帯広空港に旭川空港と釧路空港がある他、札幌の丘珠空港は陸上自衛隊が運用していますし、八雲分屯基地のように緊急時に代用滑走路として運用できる施設がありました、那覇空港のほかに沖縄県には多くの空港がある事はこれまでに幾度も示しましたが、基本的に離島であり、陸路での輸送が基本的にできません。
島嶼部の空港を防空作戦の上からは活用せざるを得ない、北海道であれば地上支援設備や弾薬と燃料などを車両により補助飛行場を迅速に開設することが出来るのでしょうが、離島の場合は沖縄本島に様に補給設備と資材を蓄積しておかなければ対応できない、すると空輸か海上輸送により支えるほかないのですが、このためには輸送機か輸送用船舶を確保しなければなりません、結果、現在の水準では輸送機が不足するのです。
輸送機は増勢されます、C-1輸送機が新型のC-2輸送機へ代替される事で、空輸能力は最大8tの搭載能力から37tの搭載能力と大幅に増勢されることになりますし、空輸能力を持つKC-767空中給油輸送機も増勢される計画ですので、全体の空輸能力の拡大はそれなりに大きなものとなります、特にC-2輸送機はA-400M大型輸送機と並び、C-17に準じる空輸能力を持ちますので、C-1を完全に置き換えた場合の空輸能力は世界有数の規模となる。
しかし、必要となる空輸能力は更に上となりますし、航空自衛隊の作戦輸送に加えて、南西諸島は陸上自衛隊の駐留も多くは無い為、航空自衛隊の輸送機には陸上自衛隊の支援任務が加わり、更に弾道ミサイル防衛部隊の空輸、南西諸島有事の場合には国民保護のための陸海空統合任務部隊としての沖縄救援隊が編成され、こちらの輸送支援も求められるでしょう、すると、作戦輸送部隊と業務輸送部隊を明確に分ける必要が出てくるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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