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熊本地震災害派遣総括【後篇】:自衛隊と消防・警察・海上保安庁・協力団体・在日米軍の活動

2016-06-27 21:20:42 | 防災・災害派遣
■災害派遣情報最終報
 今回は5月30日、6月6日、記事に続いて熊本地震災害派遣の総括、その最終報を掲載します。

 自衛隊災害派遣と共に政府は被災地へ4月17日から25日までに食糧204万食を供給しており、パンおにぎりパック飯96万食、カップ麺52万食、レトルト食品14万食、ベビーフード1万食、介護食品1万食、缶詰20万食、栄養補助食品12万食、ビスケット9万食、が供給されていまして、加えて、米116t、水24万本、清涼飲料水2万本、粉ミルク2tが供給されました。5月6日までこの支援は継続され59 万食が更に供給されました。

 政府の物資支援は、肌着下着ソックス20万枚、マスク170万枚、ハンドソープ13万個、手指消毒液2万個、ウェットティッシュ16万個、ボディーシート6万個、化粧水シート2万個、ガスコンロ0.2万台、ガスボンベ0.4万本、ビニールシート0.8万枚、土嚢袋1万枚、簡易トイレ20万個、仮設トイレ0.1万個、トイレットペーパー7万ロール、と細部に至り実施、こちらは過去の災害派遣の教訓が戦訓として活かされたといえるでしょう。

 熊本地震は全ての省庁が支援へ展開しました。警察は熊本県警災害警備本部と警察庁災害警備本部が4月14日2131時に世設置され警察災害派遣隊体制としまして熊本県警察では本部長以下最大時2200名が対応にあたりました、警察庁からの応援を受けての最大時 派遣体制は2751名で4月19日に実施され、救出救助捜索活動、航空警察活動、交通警察活動、生活安全、地域警察活動、検視、捜査活動、機動通信活動、にあたっています。なお、熊本県警による災害対応は今後も警備強化などの面で継続される事は云うまでもありません。

 消防機関は最大活動時の人員は熊本県968名、大分県378名が4月16日に出動しました消防団を含めますと熊本県と大分県両県の消防団最大活動時人員9200名に上り、緊急消防援助隊は出動部隊総数20都府県1400隊で、ヘリコプター18機が全国から支援へ展開しました。緊急消防援助隊は京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の各派遣隊が人命救助等消防活動にあたりました。

 海上保安庁は、第十管区海上保安本部に地震災害対策本部設置、日本航行警報、NAVTEX航行警報発出し航行警戒情報を出すと共に、巡視船巡視艇等のべ373 隻が港湾での支援に当たりました、内訳は三管区11隻、五管区9隻、七管区103 隻、八管区 10 隻、十管区240隻です。更に航空機のべ91機が派遣され、固定翼18 機、回転翼73 機が出動、加えて特殊救難隊のべ18名、機動救難士のべ90名、潜水士のべ22名が災害派遣に当たっています。

 加えて、DMAT合計51チームが熊本に展開し、日本医師会16チーム、日本歯科医師会2チーム、日本看護協会16チーム、日本赤十字社3チーム、DPAT14チーム、が現地での医療支援や巡回医療と避難所での健康管理などに対応、加えて全国からドクターヘリが最大9機、展開しました。医療設備の損傷などにより、目の前の建物に機材があるにもかかわらず使用できない、という状況へ対応したものです。

 今回の熊本地震では、米軍輸送機による輸送支援が4月18日から23日に掛け実施されたことも特筆されるもので、UC-35用心輸送機1機とC-130輸送機が延べ4機、更に海兵隊のMV-22可動翼機が延べ12機輸送支援として参加しまして、輸送実績としまして自衛隊員22名と車両8両、更に生活支援物資36tを輸送しています。MV-22はフィリピンにて訓練中の機体が転進したもので、米軍の緊急展開能力の高さが端的に見る事が出来た、ともいえるのでしょう。

 災害派遣は自治体と自衛隊の通信方式や物資集積の認識と共通化、平時手続きと有事の切替や、医療設備及び自治体庁舎の全壊や通常医療患者という大規模災害では見落とされがちな医療支援が長期の余震活動により急患以上の切迫性を帯びる、また、海上輸送能力への課題や充分というには上限がない航空輸送能力、復旧手続の民間協力企業の平時手続きと有事手続きの東日本大震災以降の非常手続き制度整備の不備、災害という有事における有事法制の不備や手続きの面での課題が残りました。

 教訓としては、自治体庁舎機能の予備施設という視点,非常時における通信確保と情報の意思疎通の問題への認識、避難施設での情報収集基盤の効率化、港湾施設及び道路施設の復旧と暫定復旧の区分の必要性など、挙げる事が出来ます。最後になりましたが、熊本地震は多くの被害と犠牲者が事態となり、その爪痕は今も残ります、熊本地震により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。

北大路機関:はるな くらま
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