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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

C-2輸送機美保基地配備開始!最新鋭機,第3輸送航空隊へ2020年度までに10機配備予定

2017-03-28 22:59:06 | 先端軍事テクノロジー
■最新C-2輸送機実戦配備開始
 飛行開発実験団の岐阜基地から実戦部隊の美保基地へ、C-2輸送機、遂に実戦部隊配備開始です。

 C-2輸送機の美保基地への配備が開始されました。航空自衛隊の次期輸送機として岐阜基地において開発されていましたC-2輸送機は2010年1月26日に初飛行を果たしましたが、静強度加圧試験等での不具合が発生し、地上試験では後部扉が圧潰するなど胴体部分の設計に問題が生じていました。しかし、補強改修を元に部分再設計を行い完成に至りました。

 美保基地へは2020年までに10機のC-2輸送機が配備予定です。C-2輸送機は2011年度予算にて東日本大震災補正予算を含め4機が調達され、2012年度に2機、2014年度に2機、そして2017年度予算では3機が要求されており、合計11機がすでに予算化されていると共に、将来的に美保基地に続き入間基地への配備が予定され、30機以上が量産予定です。

 岐阜基地に隣接する川崎重工岐阜工場においてC-2輸送機は製造されており、完成した機体は防衛省技術研究本部岐阜支部にて試験を実施、技術研究本部の防衛装備庁への改編と共に試験を繰り返し実施し、航空自衛隊へ移管、岐阜基地飛行開発実験団にて試験が継続されました。川崎重工岐阜工場はC-2の姉妹機というべきP-1哨戒機も製造されています。

 P-1哨戒機と部品単位で互換性がある点でC-2輸送機は大きな特色があります。日本が国産した航空機としては第二次大戦中の航空機野戦後の旅客機開発を含め過去最大の機体規模を有しますが、同時に国産開発には多くの予算を要する為、海上自衛隊哨戒機と航空自衛隊輸送機の部品互換性を含め二機種同時開発という、非常にリスクの大きな航空開発をやり遂げた訳です。

 美保基地には老朽化したC-1輸送機が順次用途廃止となっていまして、C-2輸送機の完成は急務でした。C-1輸送機は高速飛行が可能であり時間当たりの輸送力を速力で増加させる優れた設計ですが、初飛行は1970年と半世紀近く前で、流石に老朽化が懸念すべき水準に達しており、耐用年数には逆らえずC-2輸送機配備を待たずに用途廃止が始っていました。

 新型輸送機は、航続距離と搭載能力でC-1輸送機を大きく上回っています。C-1輸送機は貨物や装備等8tを搭載し1500kmを飛行する輸送機です。C-2輸送機は貨物や装備等26tを搭載し6500kmの飛行が可能です。C-1輸送機では1t半トラックを搭載するのが精一杯でしたが、C-2輸送機では16式機動戦闘車や89式装甲戦闘車も輸送可能、この差は大きい。

 充分かと問われれば、一方現在の自衛隊任務は南スーダン派遣等、その活動範囲がアフリカ大陸まで及ぶ非常に広大な範囲を想定しており、又、国土防衛任務では戦車部隊の削減に伴う北部方面隊集中措置により、有事の際には戦車を緊急展開させる統合機動防衛力が整備されており、その一方でC-2輸送機の輸送能力では戦車の輸送が事実上不可能です。

 沖縄返還以前に開発が開始されたC-1輸送機は、航続距離を増大させる事は海外派兵に繋がるとした国会での社会党の厳しい反対に遭い航続距離を局限した結果、沖縄返還後の航続距離不足となり、航空自衛隊は苦肉の策としてアメリカ製C-130H輸送機を調達する事となりましたが、このC-130H輸送機も海外邦人救出任務では航続距離が足りていません。

 10000kmの航続距離をC-2はフェリー航続距離、つまり重貨物を搭載しない状態で飛行する場合は発揮出来ます。また、重量装備を輸送する場合には最大37tの重貨物を搭載可能です。この輸送力の大きなC-2にはもう一つ、エンジンの互換性という利点があり、B-747政府専用機、のE-767早期警戒管制機やKC-767空中給油輸送機と同型を搭載しています。

 ボーイング767やボーイング747と同型のエンジンであり、航空自衛隊既存航空機との整備教育や補給体系の統合という視点での意義はありますが、加えて自衛隊の任務が国際貢献や邦人救出任務等でグローバルに展開する中、世界中でこれらの機種は旅客機として運用されていますので、整備支援等、海外派遣などでの整備互換性が期待できるでしょう。

 部隊配備、岐阜から美保へ配備されるという事は実験部隊から実戦部隊へ移管される事を意味しますが、これは実任務に対応できる体制が漸く基盤として整った事を意味します。勿論、開発が五年遅れた事で既に2013年には美保基地にてC-2輸送機用格納庫が完成していましたため、本当に遅れた部隊配備であったことが分かります。今後の活躍が期待されます。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (4)
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