北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(14)第72戦車連隊の観閲行進と内地戦車部隊(2011-10-09)

2022-07-31 20:00:16 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■90式戦車部隊を眺めつつ
 本日千歳市では航空自衛隊千歳基地航空祭が三年ぶりに盛大に行われたとの事ですが日曜特集は同じ千歳市の東千歳駐屯地祭です。

 第7師団祭、この行事を撮影した2011年当時は流石に2020年代を見通す事は出来ませんでしたが、2018年に再訪した際には第71戦車連隊へ10式戦車が配備開始されていました、しかしそれ以上に予測出来なかったのは2020年代に本州の戦車部隊がまだ74式という。

 戦車として完成された域にある、とは運用している方のお話しでしたが、しかし射撃競技会などを幾度か見せて頂く機会がありまして、考えさせられましたのは個人の技量がかなり反映されるもので、この点で90式はある程度まで平均値が高い、その先は難しいが。

 74式戦車を含む第二世代戦車は、戦車を構成する三要素、機動力と打撃力に防御力のうち二つしか満たしていません、第二世代の戦車は対戦車ミサイルの脅威が顕在化し、500mmや750mmという装甲を貫徹するミサイルを前には、従来装甲の限界が指摘されていました。

 複合装甲という技術が開発される前には、ミサイルに耐えるには率直に相当に装甲を厚くし機動力を断念するか、機動力を重視し装甲は形状の工夫や車高の低減で薄さを補うか。こうした究極の選択しかなく、動きが遅ければその分狙われ、装甲が薄ければ早くとも。

 第三世代戦車が開発された背景には戦車に搭載可能な大きさの1500hpクラスのエンジンが開発され、一方で装甲についても技術が進み均一圧延鋼板換算で800mmとか1000mm相当の複合装甲、イギリスのチョバム研究所が編み出した新技術が背景にありました。

 セラミックとチタン合金などミサイルのメタルジェットの直撃に耐える耐熱性と徹甲弾の貫徹を防ぐ硬度の装甲が開発された、ミサイルのメタルエットの高熱と高圧摩擦にも戦車砲弾の特にAP弾が叩きだす衝撃にも耐える装甲が実現した、という事情があります。

 第二世代戦車を改良する案として、M-60-2000構想という、早い話がエンジンを強化型に換装し砲塔をM-1戦車のものに置き換える構想が示されたり、イスラエルがサブラ改修キットとしてM-60戦車を第三世代相当に改良する装備、なんてものが考えられはしました。

 改造すれば新しい戦車を買わずとも良いということで、南アフリカのオリファントやイランのズフィカルのようにセンチュリオンを改良した事例はあるのですが。もっともコスト面を考えますと、イスラエルのサブラなどはトルコに提示された費用が五億円程度でした。

 第二世代戦車、設計の思想が第三世代戦車と異なりますので、例えば砲弾は防ぐという第三世代戦車の設計に対して第二世代戦車は砲弾貫徹を念頭に被害局限を考慮、例えば砲弾を複数の弾薬庫、床下始め分ける事で一気に誘爆するのを防ぐ等の設計が執られています。

 サブラのように度を過ぎて改修するとあまり変わらない費用で第三世代戦車の新車が買えますし、中途半端であればあまり意味が無い、とも思うのです。だから近代化改修しても限界がある、ということは理解しているのですが、しかし現状のまま、というのはすこし。

 レオパルド1やAMX-30など、世界の第二世代戦車はそこまで本気に成らずとも第三世代戦車が揃うまでの期間に第二世代戦車が有事の際、優勢を確保するほどではなくとも後れをとらないよう改良する、こうした施策は行われていました、ただ74式戦車の場合は。

 暗視装置の改良や弾道コンピュータの追加、レーザー測距装置の搭載など行われるべきなのですが、行われなかったのですよね。ただ、それならばもう少し90式戦車の量産を、多少スペックダウンしてでも全部隊へ配備できるよう施策があってよかったと、思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】ホームライナー浜松3号と東京発沼津行普通列車,東海道本線鉄道慕情

2022-07-31 18:22:58 | コラム
■東海道本線鉄道慕情
 普通列車で車窓と寄り道を愉しむ旅程というものはなかなかに楽しいものです。

 東京駅に入線するJR東日本E233系3000番台、東京駅を始発とする東海道本線はここから神戸市まで延々と続いているのですが長距離列車の多くは東海道新幹線に移行してしまいました、しかし、一日にわずかに沼津駅までゆく普通列車がありまして、ここのグリーン車の車窓は気持ちよい。

 E233系3000番台にはダブルデッカーのグリーン車が連結されています、ここで交通系ICカードにてグリーン券を購入しますと定額で沼津駅まで乗り換えなしにてグリーン車の車窓を楽しむことができる、実は新幹線のように急がずとも読書や駅弁を楽しむにはこうした乗り物もあるのだ。

 国鉄213系5000番台、熱海駅から東海道本線はJR東日本とJR東海の車両が並ぶようになりまして沼津駅はJR東海の駅、御殿場線とも乗り換える駅です。沼津行き普通列車が15両の長大な編成で沼津駅に到着しますと待っているのは3両編成だったりして拍子抜けすることがあります。

 東海道本線、静岡行きを乗らずにホームで様子見していますと続いて浜松行き普通列車、なんてのもやってくるのですが、読書を楽しむというならば沼津駅にはもう少しおもしろい列車がやってきます、それまでは沼津駅前を散策するのですが、なにか名所が偏っている街並みなのね。

 ホームライナー浜松3号、沼津駅に到着した373系特急電車、かつてはムーンライトながら号として毎晩岐阜県大垣駅と東京駅を結んでいた夜行快速電車ですが、静岡県内では特急電車として活躍している車両です、この車両がホームライナーとして沼津駅と浜松駅を結んでいる。

 373系特急電車のリクライニングシートは気持ちよいものでして、しかもこの列車は浜松行きですが、浜松到着とともに車庫にはいるのではなく種別を普通列車に変更してそのまま東海道本線を豊橋駅まで行くことができるのですね。長距離列車の気分、味わうにはこんな列車も良い。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-35戦闘機射出座席問題で運用停止,マーチンベイカー社製射出座席点火装置に製造上の問題-三カ月間公表せず

2022-07-31 07:00:35 | 防災・災害派遣
臨時情報-F35戦闘機不具合
 日本にも影響があるかは本日開催の千歳基地航空祭で予定されている三沢基地から参加する自衛隊F-35訓練展示が行われるかで判明するのですが。

 米軍F-35戦闘機が世界中でトラブルにより飛行停止となっています、これはF-35戦闘機に採用されているマーチンベイカー社製射出座席に不具合が発生している為で、不具合の概要は緊急時に射出に用いる火薬カートリッジの作動装置に異常が確認されていたため、これによりエジェクトレバーを操作した場合でも座席が射出されない懸念があります。

 ヒル空軍基地、不具合はユタ州州兵空軍のヒル空軍基地において行われた定期整備の際にマーチンベイカー社製作動装置の異常を整備員が発見した為といい、アメリカ空軍は即座にマーチンベイカー社とともに原因究明に当ったとの事です、そして不具合が発見された後にも全体原因が判明するまでの期間は非開示の方針が執られていたともされています。

 マーチンベイカー社によれば原因は点火用マグネシウム粉末の欠落、射出座席作動時に座席を投射し落下傘を展開させる為の推進剤に点火するマグネシウム粉末が、充填部品の緩開不良により散逸した為とのことで、今回の点検は世界中のF-35戦闘機射出座席でマグネシウム粉末の密閉が確実であるのかを点検するため。この件にかかわる事故はありません。

 F-35戦闘機射出座席問題には温度差があるようです、今回の点検時の異常はユタ州州兵空軍のヒル空軍基地にて点検で判明したのですが、その点検は2022年4月に行われていました、そして停止措置は7月下旬に行われています、この間はアメリカ空軍と海軍及び海兵隊は通常運用され、つまり三カ月間は原因不明のまま運用されていたこととなります。

 マーチンベイカー社製射出座席はF-35はもちろん世界中で使用されており、なんと中国製JF-17戦闘機にも採用されているほどです、安易に欠陥があったが原因不明だとなれば、各国の戦闘機運用に多大な影響が及ぶことは確かなのですが、だからといって情報非開示のまま、射出座席が作動しない可能性を操縦士が知らせられず飛んでいた事も問題でしょう。

 実害が無かったのだから良し、という考え方なのかもしれませんが、同じことを自動車会社が行えばリコール隠しと、アメリカならば批判されるのではないでしょうか。なお、マーチンベイカー社の射出座席が高い信頼性を持つ事は確かであり、緊急時に脱出し生還した操縦士は約6000名にのぼります。今回の事案での日本のF-35への影響は未知数です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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