■現実的な経済性重視の選択肢
令和二年度防衛予算概算要求を視まして中期防衛力整備計画中に4隻が取得される哨戒艦に関する記載が無い事に少し考えさせられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/2e/3a308efc4a9fa5570069099bb0a6bc44.jpg)
哨戒艦、結局は予算ではないか、来年度予算概算要求には盛り込まれませんでしたが中期防衛力整備計画に盛り込まれる全く新しい艦艇としての哨戒艦は、数年内に建造計画が明確化されます。しかし、現在の財政状況で航空機の更新や3900t型護衛艦量産と両立しようとしますと、経済性が第一、余り高価な装備は建造できないように思えるのですよね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/b2/9e293eed0342230cb53a8da1e740a5d3.jpg)
カナダ海軍オタワの写真をいつもお世話になっている方にお見せしましたら珍しい写真を見せて頂きました、イギリス海軍のトン級哨戒艇ビーチャンプトンとワスパートンの佐世保入港時の写真です。粒子荒れから古い写真とは思いましたがなんと1978年3月の佐世保入港時の写真という。驚いたのは形状が掃海艇とよく似ていた点で実際、転用艦という。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/d4/6c71a4fe1f6c350ff50109ba0a35359e.jpg)
イギリス海軍香港駐留第6哨戒隊に所属しているもので、現在の香港騒擾を視ますとイギリス統治時代の平和で活気に溢れた香港の行く末を憂慮したものですが、気付いた点について。海上自衛隊が導入する哨戒艦、水上打撃力や速力が求められない以上、掃海艇の設計を応用する、という選択肢があるのではないか、ということ。それこそイギリスの様に。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/bc/21b56ac12c30d7035fd0a868a2e802a2.jpg)
海上自衛隊の新しい哨戒艦、防衛省は平成30年に成立した新防衛大綱に新しい区分として哨戒艦という区分を盛り込みましたが、現在、その新しい区分がどのような方式となるのかが広く関心を集めています。防衛用三胴船という1200t規模の新型艦となるのか、巡視船の重武装型にレーダー等を護衛艦と同等とするもの、想像力にて色々な推測が在ります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/bb/3bef4c99a0a25ed42b22558970ac786a.jpg)
掃海艇の重武装型ではないか、今回新たに着眼したのは、この点についてです。例えば将来三胴船という技術的に未知数の分野へ進出する事による技術と費用面での冒険や、敢えて装備体系になく実任務に海上自衛隊が加わる事へのグレーゾーンを広げかねない巡視船の転用、等ではなく既存の掃海艇設計をそのまま転用するのではないか、という視点です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/54/944ba208b68461f84b395166d78157bd.jpg)
巡視船を海上自衛隊仕様として艦砲を搭載し哨戒艇とする可能性も考えましたが、海上保安庁の巡視船にできる任務は海上保安庁が実施できます。そして海上保安庁の900tクラスの巡視船に必要な装備を搭載するならばコルベットと同程度の性能にはなるのでしょうが、現在の艦艇で高価であるのは電子装備であり、それでは建造費が護衛艦並となってしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/bf/38561374db101252de4d8364d650e311.jpg)
将来型三胴船、防衛装備庁が研究を進めている将来船で、上部構造物を大きく採る事が出来る三胴船は、掃海艦やえやま型と同程度の排水量で30ノットの速力とMCH-101掃海輸送ヘリコプターが発着可能な飛行甲板を有し、飛行甲板下に同等の面積を有する多目的ドックを配置できる、アメリカのインディペンデンス級沿海域戦闘艦小型版のようなもの。
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哨戒艦という新しい区分が発表された当時、当方は何しろ浪漫を大事にするため、という訳ではありませんが将来型三胴船の技術が一定程度まで推進した為にいよいよ具体的な装備として実現するのだろう、と考えていましたが、なにしろ概念実証船が建造されていません、そして国内にはフェリーや漁船等で将来型三胴船の基礎となる様な造船実績も無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/6d/c947b4f16d6011959782e4c26c30bc9c.jpg)
将来型三胴船を中期防の期間内に無理に建造するならば概念実証船が来年度予算に盛り込まれていなければなりません、それが無い、という事は哨戒艦はかなりコスト面を重視した装備となるのではないか、こう持論を修正しました。一方で掃海艇派生型の哨戒艦ならば安価に建造できます、何より既に設計図も建造実績も運用成果も、あるのですから、ね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/b7/953ec8915e21ea183d7ebd06a9d335c1.jpg)
200億円程度の建造費を要する現代の掃海艇、その尤も高価な機雷戦装備を事実上の後日装備として搭載しない事で安価に建造し、一種の多目的艇として完成させた掃海艇を哨戒艦として運用するのではないか、という。現行の掃海艇はFRP製船体を採用しており、以前の木造掃海艇よりも船体寿命は長く、これ即ち将来の用途変更にも対応できる余地が、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/3c/c628632b834ccf51629f8b32571ad237.jpg)
えのしま型掃海艇派生型掃海艦、高価な木造船体を採用した旧型の掃海艇はつしま型は建造費が50億円程度でした、えのしま型掃海艇が200億円まで費用が高騰したのは機雷掃討装備が高価すぎた為です。すると、船体を流用したもの、つまり艦砲を搭載しつつ、掃海装備や機雷掃討装備を後日搭載とするならば、建造費はかなり安価に抑えられるでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/16/c2eeab8ce7ad0067b3eaecf830fcbad5.jpg)
哨戒艦の建造計画は12隻です、海上自衛隊としては12隻という総数は決して少ないものではありません、現在の掃海隊群勢力を例に挙げれば掃海母艦2隻、輸送艦3隻、掃海艦3隻、掃海艇6隻、掃海管制艇2隻、という規模なのですからね。すると、装備体系適合や長期的戦略、というものがあってこそ、12隻という数字が盛り込まれたのでしょうからね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
令和二年度防衛予算概算要求を視まして中期防衛力整備計画中に4隻が取得される哨戒艦に関する記載が無い事に少し考えさせられました。
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哨戒艦、結局は予算ではないか、来年度予算概算要求には盛り込まれませんでしたが中期防衛力整備計画に盛り込まれる全く新しい艦艇としての哨戒艦は、数年内に建造計画が明確化されます。しかし、現在の財政状況で航空機の更新や3900t型護衛艦量産と両立しようとしますと、経済性が第一、余り高価な装備は建造できないように思えるのですよね。
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カナダ海軍オタワの写真をいつもお世話になっている方にお見せしましたら珍しい写真を見せて頂きました、イギリス海軍のトン級哨戒艇ビーチャンプトンとワスパートンの佐世保入港時の写真です。粒子荒れから古い写真とは思いましたがなんと1978年3月の佐世保入港時の写真という。驚いたのは形状が掃海艇とよく似ていた点で実際、転用艦という。
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イギリス海軍香港駐留第6哨戒隊に所属しているもので、現在の香港騒擾を視ますとイギリス統治時代の平和で活気に溢れた香港の行く末を憂慮したものですが、気付いた点について。海上自衛隊が導入する哨戒艦、水上打撃力や速力が求められない以上、掃海艇の設計を応用する、という選択肢があるのではないか、ということ。それこそイギリスの様に。
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海上自衛隊の新しい哨戒艦、防衛省は平成30年に成立した新防衛大綱に新しい区分として哨戒艦という区分を盛り込みましたが、現在、その新しい区分がどのような方式となるのかが広く関心を集めています。防衛用三胴船という1200t規模の新型艦となるのか、巡視船の重武装型にレーダー等を護衛艦と同等とするもの、想像力にて色々な推測が在ります。
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掃海艇の重武装型ではないか、今回新たに着眼したのは、この点についてです。例えば将来三胴船という技術的に未知数の分野へ進出する事による技術と費用面での冒険や、敢えて装備体系になく実任務に海上自衛隊が加わる事へのグレーゾーンを広げかねない巡視船の転用、等ではなく既存の掃海艇設計をそのまま転用するのではないか、という視点です。
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巡視船を海上自衛隊仕様として艦砲を搭載し哨戒艇とする可能性も考えましたが、海上保安庁の巡視船にできる任務は海上保安庁が実施できます。そして海上保安庁の900tクラスの巡視船に必要な装備を搭載するならばコルベットと同程度の性能にはなるのでしょうが、現在の艦艇で高価であるのは電子装備であり、それでは建造費が護衛艦並となってしまう。
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将来型三胴船、防衛装備庁が研究を進めている将来船で、上部構造物を大きく採る事が出来る三胴船は、掃海艦やえやま型と同程度の排水量で30ノットの速力とMCH-101掃海輸送ヘリコプターが発着可能な飛行甲板を有し、飛行甲板下に同等の面積を有する多目的ドックを配置できる、アメリカのインディペンデンス級沿海域戦闘艦小型版のようなもの。
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哨戒艦という新しい区分が発表された当時、当方は何しろ浪漫を大事にするため、という訳ではありませんが将来型三胴船の技術が一定程度まで推進した為にいよいよ具体的な装備として実現するのだろう、と考えていましたが、なにしろ概念実証船が建造されていません、そして国内にはフェリーや漁船等で将来型三胴船の基礎となる様な造船実績も無い。
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将来型三胴船を中期防の期間内に無理に建造するならば概念実証船が来年度予算に盛り込まれていなければなりません、それが無い、という事は哨戒艦はかなりコスト面を重視した装備となるのではないか、こう持論を修正しました。一方で掃海艇派生型の哨戒艦ならば安価に建造できます、何より既に設計図も建造実績も運用成果も、あるのですから、ね。
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200億円程度の建造費を要する現代の掃海艇、その尤も高価な機雷戦装備を事実上の後日装備として搭載しない事で安価に建造し、一種の多目的艇として完成させた掃海艇を哨戒艦として運用するのではないか、という。現行の掃海艇はFRP製船体を採用しており、以前の木造掃海艇よりも船体寿命は長く、これ即ち将来の用途変更にも対応できる余地が、と。
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えのしま型掃海艇派生型掃海艦、高価な木造船体を採用した旧型の掃海艇はつしま型は建造費が50億円程度でした、えのしま型掃海艇が200億円まで費用が高騰したのは機雷掃討装備が高価すぎた為です。すると、船体を流用したもの、つまり艦砲を搭載しつつ、掃海装備や機雷掃討装備を後日搭載とするならば、建造費はかなり安価に抑えられるでしょう。
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哨戒艦の建造計画は12隻です、海上自衛隊としては12隻という総数は決して少ないものではありません、現在の掃海隊群勢力を例に挙げれば掃海母艦2隻、輸送艦3隻、掃海艦3隻、掃海艇6隻、掃海管制艇2隻、という規模なのですからね。すると、装備体系適合や長期的戦略、というものがあってこそ、12隻という数字が盛り込まれたのでしょうからね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
乗員は1000トン型巡視船より少なく30名程度らしいのです。監視以外の役割は無理かな?と思います。
陸自で言えば偵察車両ですが、個人的には強行偵察も可能な装備だったら良いなです。
こんな感じなので、省エネの為に船体はエノシマ掃海艇と同じようにFRPになる可能性はありそうですね。 少しわくわくしています。
船体も余裕があるので、将来は無人機や無人船の母船にならないかな?
まさか有事の際に無人航行させて艦隊のデコイに使うわけにも参りません
将来三胴船などが実用化さらることを期待したのですが、来年度予算に実証船建造費が盛り込まれておらず、中期防で四隻建造するには、実証結果を待つ余裕がありませんし、民生用に三胴船建造実績のある造船所もありません
乗員の休養や訓練時間の不足を補う為に警戒監視任務の専用艦を新設した感じです。
また、掃海カテゴリーは隻数が減るので対策すると思います。
戦闘スピードが不要な哨戒艦は、改装したら掃海艦になる考えには賛成です。
76mm砲と機銃の他に、ESMとチャフランチャーを備え、「将来装備」としてSSM用のスペースと、CIWS用のスペースを空けておく。76mm砲は「はやぶさ」型から持ってきてもよい。FCSは光学式の簡素なもので良い。衛星通信装置を搭載。
兵装やセンサーが重くなるので、横幅を1mほど広げると良いでしょう。エンジンを強化しなければ、速力は1-2 kt下がる。
使用目的は監視・情報収集と、離島の巡視任務でどうでしょう?
・外国軍艦がやってきたら、エスコートする(情報収集・監視任務。普通に世界中でやられていること)
・小笠原や、南鳥島、沖の鳥島、五島列島などの巡視。乗員が少なくメンテナンス労力も少ない「哨戒艦」なら、2隻ペアの船に3セットの乗員をあてがうなどで(オーストラリア海軍はやっている)、常時展開しやすいのでは?